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日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

マルチ商法の現場を見た!

2005-06-21 11:25:20 | Weblog
 昨夜、喫茶店で人待ちをしていた時のこと。後ろで何か怪しい動き。4人がけの席に男3人女1人の集団(あ、でもこれは普通か)。テーブルの上にはノート型パソコンが置かれ、1人の男が正面に座る男に先程から一生懸命に何事か話を持ちかけている。話を持ちかけらている気弱な感じの中年男性は、壁側の席に座らされ、“脱走”できない状態に置かれている。
 待ち人が来る前に「私の視点」の次回作「日本財団にご用心」の考えをまとめようと意気込んでいたが、聞こえてくる「画期的な製品」「紹介するだけで2万5千円」「紹介者が10人になればあなたの収入は飛躍的に」といった言葉についつい耳を傾けてしまった。
 店内の騒音で声が全て拾えず、思わず「もう少し大きい声で」と言ってしまいそうになる。とにかく全神経を耳に集中して聞いてみた。
 「いいですか、今聴いてもらったこの内容。これを聞くだけで心が癒されるでしょ?これで多くの病人が奇跡的な回復をしてるんですよ。ほら、こうして携帯電話でも聞けます」
 話を中心になって進めるのが、まだ20代と思われる男。まさに立て板に水とはこのことだ。話が途切れることはない。
 「XXさん、あなたは人を紹介するだけでいいんです。そうすれば、私達が責任を持ってその方にお話させていただきます。XXさんは、何もする必要はありません。紹介するだけです。私たちの会社には130人の専属スタッフが365日、24時間体制で働いています。全員プロです。普通、XXX(聞こえなかった)だと、10人に1人ですが、わが社では2人に1人の方が契約されます」
 どうやら、説得役の男はXXさんにテープかCDかは分からぬが、何かものを売りつける契約を迫るのと同時に、友人・知人を紹介させようとしているのだ。ところが、見るからに気の弱そうなXXさんは、優柔不断の典型で、話を断ることも契約に応じることもできず、こう着状態となっていた。
 すると、横から女性が説得役に助け舟を出した。その女性はXXさんを知る人物の感じである。
 「いい、XXさん。正直言って今の仕事に満足してないでしょ?給料に不満でしょ?」
 そういう女性にXXさんは力なくうなずく。
 「だったらこんないい話ないでしょ。XXさん、あなた給料のほか毎月いくらあったら良いの?」
 「5万ぐらい」と答えるXXさんに、
 「5万なんて簡単よ。だってあなたが紹介した人のうちたった2人契約すれば手に出来る金額じゃない」
 と女性は畳み掛ける。
 いや、だけど、XXさんが契約した分を差し引いて考えないと、と横槍を入れたかったが、そのまま話を聞き続けるしかない。
 「うちのシステムとしては、会員さんにテレビ局のように、アシスタント・マネージャー、マネージャーXXXというように役職についてもらって紹介者が増えるごとに昇進してもらいます」
 説得役の男が再び登場した。
 「10人紹介してくれた人が契約すればあなたはディレクターです。そして一挙に、お支払いする額も1人につき2万5千円だったのが5万円になります」
 その時、待ち人が現れた。私達はその場から移動せざるを得ず、話の続きはどうなったかは分からない。それにしても、場所を含めてこんな形でマルチ商法が行なわれるのかと驚きをもって拝聴させていただいた。「聞く耳を持った」人間には、その姿や話し方からして怪しいとひと目で分かるが、「人生に疲れたり」「生活に追われている」人の目には救世主と映るのかもしれない。何か後味の悪いものを見た気持ちがひと晩経った今でも消え去らない。

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