2020年の栗本さんのコンディショニング講座、無事に終了しました。
いつもと違い今回のコンディショニング講座は、栗本さんの書籍から離れて、実際に自分の体を動かしながら、参加者それぞれが自分の「動き」を感じることを大切にしていく講座にしました。
それは、午後の子どもたちと遊ぶ講座も同様で、何かを「させる」ことではなく、安心できる空間での子どもたちの自由な遊び、動きから大人たちはどんなことを感じるのか、また、共に遊ぶときどのように遊ぶのかをそれぞれが自分の中で見つけていくような時間でした。
同年の子どもたちと同じような遊び方ができなかったり、集団の中で浮いてしまうと、発達障害と言われたり、何か障害があるのではないかという眼差しを向けられがちな子どもたちがいます。
そんなお子さんたちは、早期療育ということで療育施設に通ったり、発達のヌケを埋めていくためのメソッドを提供してくれる民間の習い事に通うなど、親御さん方は様々に手を尽くされています。
今回の講座でも赤ちゃんのある時期の動きを辿るとき、自分の体はどのように動くのか、動かないのか自分でやって感じていくワークをやりました。
栗本さんの言葉での誘導で、自分の体をどんな風に動かせばいいのか、何の見本もお手本もなく、周囲の人の動きを真似ることもないワークは、自分自身で試行錯誤を繰り返す時間でした。
その自分だけで試行錯誤を繰り返すことこそが、赤ちゃんが色々な動きを発見し、獲得していく過程です。
赤ちゃんや子どもはメソッドによって、動きや認知機能を獲得するわけではありません。
自らの動きで自らの体を知り、機能を獲得し、知恵や周囲との距離、自分が居て安心な場所かを確認し、積み上げ体得していくのだと思います。
講座の間中、置いてある道具には目も触れず、部屋を走り回ったり、道具の近くを通ったり、ちょっとだけ触れたり、遊んでいるお子さんを目の端で見たり、会場の外に出たり、親御さんの元に戻ったり、そうかと思えばまた、会場の外に行く…そんなことを繰り返しているお子さんたちもいました。
親御さん方は出て行かせないように、遊びに参加させようとがんばっていらっしゃいましたが、あの姿こそ、自分で試行錯誤しながら、場所の安全さや他の人が何をしているか確認したり、挑戦しようかどうか自分の中で格闘する姿だったと思います。
一見、無目的な一緒にいる大人を振り回すように見える行動の中にその子の進もうか、留まろうかのドキドキする試行錯誤があるように私は感じました。
それらを無視して、絵カードで指示を出したり、ヌケている動きをメソッドに沿ってさせることは、一時的には問題行動がおさまったり、動きを獲得したように見えても、その子の発達の根っこに働きかけることとは別のことだと思います。
メソッドによる働きかけで獲得したものは、その子の中から湧き上がった主体性を原動力にしていません。
自分の内側から湧き出たもの待ってもらえず、常に外からの力でさせられ続けてしまうとやる気もしぼんでしまいます。
コンディショニング講座でやったことでも、ここでやったからと持ち帰り、子どものその日の状態を見ずにさせてしまうと、ただのメソッドになってしまいます。
自分で自在にコントロールできる体を子どもたちが獲得し、色々なことを学習していくためには、メソッドではなく、子どもたちが気が済むまで試行錯誤できる環境を見守ることが大切だなぁと講座を通して感じました。
そして、試行錯誤する子どもとの小さなやり取りから、1対1の関係ができて、それを見守る大人や子どもたちの眼差しが、1対大勢の関係を作っていく。
そんなことを感じた今年のコンディショニング講座でした。
それぞれの場に持ち帰って、それぞれで試行錯誤して、また一年後お会いできたら良いですね。
来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。
講師の栗本さん、講座とぎうぎうの個人指導、ありがとうございました。またよろしくお願いします。