今日はおゆき先生&海実さんのコンサートを聞きに行きました。記事タイトルにした「本当は怖いシューベルト」は『裏』タイトルというか当初案、正式なコンサートタイトルは「心を奏でる声、詩(うた)を紡ぐ弦(いと)」といいます。
←来月は弾くほうのシューベルトイベントが
使用ピアノはうづらさんちのプレイエル、ここでショパンのコンサートをするならばまさに「作曲時に使われていたようなピアノ」という位置づけになりますが、今日はシューベルトですからちょっと違います。年代的には、シューベルトが亡くなって20年後くらいにできたピアノ…20年といえば「ちょびっと」な感じもしますし、仮にシューベルトさんがまともに長生きしてたら弾けたはずですけど、この20年というのはピアノの発展の歴史の中ではけっこう大きくて、ハンマー材質が違うそうです。
今日のプログラムの軸は作品番号90の即興曲四曲セット。間に歌曲を挟みながら…
シューベルトといえば美しいメロディーの作り手として比類ない地位にあります。
「美しく自然な旋律と情景や心情を映しだすピアノ。
歌はとても幸せです。」(海実)
しかしこのピアノのほうはかなりの曲者で、シューベルトの曲というとなんというか無駄な(納得いかない)弾きにくさ。
「楽譜の中で整然と美しく整って見える同音連打や分散和音はピアノの都合にも手の都合にも合わず」その一方で「少しでも動きが乱れたりミスタッチがあれば素人でも気づく。まさに苦労の報われない地味な難行苦行なのだ。」(おゆき)
まぁそんなこと言いつつ、わざわざ企画コンサートで弾こうってんだからおゆき先生は物好きです。
それを聞きに集まる我々も物好きかっていうと、
いやいや弾くほうは苦労してるかもしれないけど聞くほうからいえば魅力ある曲のオンパレードだから何も困りはしないんだけれど…
ただ、聞いててもシューベルトってただのきれいなかわいらしい曲ではない。
ということがよくわかるコンサートでした。
今日の解説役としてshigさんがしゃべっていたんですけど、まぁ彼はシューベルトどうもいまいち萌えないらしくて、いつもほどの活舌ではなかったです。その中でおぉなるほどと思ったのが「即興曲op90はそれぞれ女性のポートレートのようだ」
たとえば一番有名なop90-2ですけど、「私、かわいいでしょ?」みたいなコロコロ明るい調子がしつこくしつこく続いたかと思うと突然ブチ切れたり(o_o)
次に有名なop90-4ですけど、最初のところタカタカ下がっていって「ふと」上がる語尾が何か質問をしているようで、「私のこと好き?」みたいな問いかけがしつこくしつこく来て、あぁもうなんと答えたらいいんだろう地雷踏みそうで怖い。。
結局のところ「しつこい繰り返し」ってけっこうシンプルに怖さを生むもので、
同じようなフレーズが少しずつ様子を変えて何度も出てくるとか、
突然の変化とか、ゆがんだ感じとか、
「きれい」と「不気味」の同居がまた怖さを増幅する。
即興曲のほかには楽興の時の第四番が弾かれたんだけど、これがもう、とぼとぼうねうね歩いていくような進行…短い曲のわりに終わりが見えない感じ…そして終わり方が「やっぱり解決してない(o_o)」みたいな怖い締めくくりで。
歌曲は文句なく美しいものも多いのだけど(「音楽に寄せて」とか)、今日聞いた中では「糸を紡ぐグレートヒェン」がもぅもぅ…
対訳の歌詞を見ながら聞いていくと、いやここまで恐ろしい歌だとは知らなかった!!
あの方の気高い歩み、
あの方の立派なお姿、
あの方の口のほほえみ、
あの方の目の力、
そしてあの方の言葉の魔法の流れ、
あの方の手の握り方、
そしてああ、あの方の口づけ!
「口づけ」という言葉が怖い、そしてそこの旋律が怖い。
そんな口づけで心を奪っていった人がもう帰ってこない、
私の胸はあの方を求めて
飛び出していく。
ああ、あの方を捕まえ、
あの方を抱き、
口づけすることが出来たなら、
私の思う存分に、
あの方の口づけで
私の息の絶えるほどに!
言葉の怖さはゲーテのお仕事だけど、それを十二分に生かしたシューベルト、このとき弱冠17歳(高校生かよ!!)
ということで、本当は怖いシューベルトを、おゆき先生のピアノ演奏、海実さんの歌、平行弦のプレイエルでこってりたっぷり味わえるコンサートでした。
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使用ピアノはうづらさんちのプレイエル、ここでショパンのコンサートをするならばまさに「作曲時に使われていたようなピアノ」という位置づけになりますが、今日はシューベルトですからちょっと違います。年代的には、シューベルトが亡くなって20年後くらいにできたピアノ…20年といえば「ちょびっと」な感じもしますし、仮にシューベルトさんがまともに長生きしてたら弾けたはずですけど、この20年というのはピアノの発展の歴史の中ではけっこう大きくて、ハンマー材質が違うそうです。
今日のプログラムの軸は作品番号90の即興曲四曲セット。間に歌曲を挟みながら…
シューベルトといえば美しいメロディーの作り手として比類ない地位にあります。
「美しく自然な旋律と情景や心情を映しだすピアノ。
歌はとても幸せです。」(海実)
しかしこのピアノのほうはかなりの曲者で、シューベルトの曲というとなんというか無駄な(納得いかない)弾きにくさ。
「楽譜の中で整然と美しく整って見える同音連打や分散和音はピアノの都合にも手の都合にも合わず」その一方で「少しでも動きが乱れたりミスタッチがあれば素人でも気づく。まさに苦労の報われない地味な難行苦行なのだ。」(おゆき)
まぁそんなこと言いつつ、わざわざ企画コンサートで弾こうってんだからおゆき先生は物好きです。
それを聞きに集まる我々も物好きかっていうと、
いやいや弾くほうは苦労してるかもしれないけど聞くほうからいえば魅力ある曲のオンパレードだから何も困りはしないんだけれど…
ただ、聞いててもシューベルトってただのきれいなかわいらしい曲ではない。
ということがよくわかるコンサートでした。
今日の解説役としてshigさんがしゃべっていたんですけど、まぁ彼はシューベルトどうもいまいち萌えないらしくて、いつもほどの活舌ではなかったです。その中でおぉなるほどと思ったのが「即興曲op90はそれぞれ女性のポートレートのようだ」
たとえば一番有名なop90-2ですけど、「私、かわいいでしょ?」みたいなコロコロ明るい調子がしつこくしつこく続いたかと思うと突然ブチ切れたり(o_o)
次に有名なop90-4ですけど、最初のところタカタカ下がっていって「ふと」上がる語尾が何か質問をしているようで、「私のこと好き?」みたいな問いかけがしつこくしつこく来て、あぁもうなんと答えたらいいんだろう地雷踏みそうで怖い。。
結局のところ「しつこい繰り返し」ってけっこうシンプルに怖さを生むもので、
同じようなフレーズが少しずつ様子を変えて何度も出てくるとか、
突然の変化とか、ゆがんだ感じとか、
「きれい」と「不気味」の同居がまた怖さを増幅する。
即興曲のほかには楽興の時の第四番が弾かれたんだけど、これがもう、とぼとぼうねうね歩いていくような進行…短い曲のわりに終わりが見えない感じ…そして終わり方が「やっぱり解決してない(o_o)」みたいな怖い締めくくりで。
歌曲は文句なく美しいものも多いのだけど(「音楽に寄せて」とか)、今日聞いた中では「糸を紡ぐグレートヒェン」がもぅもぅ…
対訳の歌詞を見ながら聞いていくと、いやここまで恐ろしい歌だとは知らなかった!!
あの方の気高い歩み、
あの方の立派なお姿、
あの方の口のほほえみ、
あの方の目の力、
そしてあの方の言葉の魔法の流れ、
あの方の手の握り方、
そしてああ、あの方の口づけ!
「口づけ」という言葉が怖い、そしてそこの旋律が怖い。
そんな口づけで心を奪っていった人がもう帰ってこない、
私の胸はあの方を求めて
飛び出していく。
ああ、あの方を捕まえ、
あの方を抱き、
口づけすることが出来たなら、
私の思う存分に、
あの方の口づけで
私の息の絶えるほどに!
言葉の怖さはゲーテのお仕事だけど、それを十二分に生かしたシューベルト、このとき弱冠17歳(高校生かよ!!)
ということで、本当は怖いシューベルトを、おゆき先生のピアノ演奏、海実さんの歌、平行弦のプレイエルでこってりたっぷり味わえるコンサートでした。
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