「教育」は、英語のeducationを日本語に翻訳したもの。
educationのeはもともと"out"という意味。つまり「外へ」。ducationの語尾は名詞形を形成する接尾辞だが、duceは「導く」という意味がある。つまり、educationをその語形成に従って忠実に解釈すると、「(子供の)中にあるものを外へ導きだすこと」となる。
だからeducationは「自己の内にあるものを拠り所として自分で考え行動できるよう引き出してあげる」というほどの意味だろうか。educationの邦訳は「自立促進」くらいが妥当か。
しかし、西周(にしあまね)は、この語を「教育」と訳した。教育は読んで字の如く「教え、育てる」こと。要は、自分で考える云々以前に、考える土台がなければどぅしようもないのだ。足し算や引き算などの計算方法を自力で編み出すことは実に立派なことであり、計算方法を発見した先人には敬意を払うが、計算するのに一々計算方法を編み出すことから始めていては埒があかない。計算方法という結果だけを教えてもらう方が我々にとっては余程生産的だ(その後、理念や概念を学ぶのはいいことだと思うよ)。計算は手段であり目的ではないので、教えてもらった計算方法を利用してさまざまなことを考える。何かものを考えるためには、その考える手段を頭の中に入れておかなければ如何ともし難い。その手段を頭の中に入れるには、暗記が実に効率能率が良いのだ。
その暗記事項を頼りに自力で考える。まさに「教え」た結果自力で考えられるまでに「育」ったのだ。
どんな子供でも自分が今どこまで育っているのか、どこまで教えられたことを記憶にとどめたのかを知りたいと思うだろう。それがテストである。全国統一のテストがあれば全国の平均や順位が出る。その中で自分はいったいどのレベルなのかを知ることで励みにもなるだろう。もちろん悔しい思いをすることも必要であり、それが大きな飛躍のバネになれば頭の中身以上の成長をしたことになる。
だからテストは必要だし、学力の公表は意味がある。むしろ学力を公表しないテストは無駄だ。かつて、「子供が一生懸命考えた答えに○や×を付ける資格はわたくしには無い」と狂ったことを言って、テストに○や×、得点を一切記入しない小学校教師がいました。まさに狂っている・・・
<学力テスト…大阪府教委が開示決定 市町村別結果、教委で全国初>
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/h_osaka/20090717-OYO8T00624.htm
大阪府教委は17日、2007、08年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の情報公開請求に対し、「自主公表している市町村で混乱は生じていない」として市町村別平均正答率などを開示することを決めた。請求者への開示は8月上旬になる。市町村別結果は、文部科学省が実施要領で公表を禁止しており、大阪府や秋田県は知事の判断で公表しているが、都道府県教委としての開示決定は全国初となる。
開示するのは各市町村の平均正答率や学校数、児童数などが記載された文書で、学校別の結果は開示しない。府内43市町村のうち、小・中学校が1校しかない6町村の結果は「学校の成績が特定される」として非開示にする。
08年度分は、橋下徹・府知事が08年10月に公表した結果とほぼ同じ開示内容となるが、橋下知事が「市町が自主公表していない」として開示を見送っていた5市町分も含まれる。07年度分は初の公表。09年度以降も請求があれば開示する。
府教委は昨年9月、市民団体などの情報公開請求に対し、文科省の実施要領に沿って非開示を決定。不服申し立てを受けた府情報公開審査会が今年6月、市町村別結果について開示を求める答申をまとめ、府教委が方針を転換した。
<知事「当然の結果」…府教委、学テ開示「強権的」反発の自治体も>
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/h_osaka/20090717-OYO8T00618.htm
全国学力テストを巡り、17日、市町村別結果の開示へと方針を転換した大阪府教委。開示を決定した府教育委員会会議では「序列化にはつながらない」と公開に賛成する声が上がり、橋下徹・府知事も「当然の結果だ」と評価した。一方、非公開としてきた自治体は「主体性を踏みにじられ、強権的だ」などと反発しており、公開か非公開かを巡る論議はなお続きそうだ。
この日の府教育委員会会議では、陰山英男委員が「序列主義につながると言っているのは教師だけではないか」「(順位を)保護者や国民は冷静に受け止めている」と主張。小河勝委員は、一律的な公開に異議を唱えたものの、「橋下知事らが『税金を使っている以上、全部公開』と主張するのは非常にシンプル」と述べ、全会一致で「開示」が決まった。
上京中の橋下知事は東京都内のホテルで、報道陣に「公表しても大阪府では序列化や過度な競争などの混乱は起こっていない」と府教委を支持する考えを表明。非開示を主張する文部科学省には「逃げてはいけない」と方針転換を迫った。
自治体側からは、怒りの声が出た。昨年9月、公表を迫る橋下知事を批判した吹田市の阪口善雄市長は「1年もたたない間に府教委の軸がぶれ、点数至上主義に走るのは問題だ」と憤りをあらわにした。一方、豊中市教委の山元行博教育長は「国の実施要領から逸脱しているのは確か。情報公開制度との整合性をどう取るのか、国が方向性を出してほしい」と述べた。
文科省初等中等教育局の岩本健吾参事官は「事実なら実施要領の趣旨に反した公表の可能性がある。府教委としてどんな判断があったのか確認した上で対応を考えたい」とコメントした。