インドちゃんの子どもと書くな!子供と書け!!

障がい者と書くな!障害者と書け!!

ケンドー・コバヤシ

2006-04-11 09:57:17 | お店情報

ホワイトベース隊にとって、アムロ・レイという少年の存在はあまりにも大きかった。不慣れな戦いを強要された隊にあって、パイロットとしての彼の力は強すぎたのである。しかし、アムロとほかの若者たちの生きようとする意志に差があるはずおなかった。だからこそ、アムロと共に戦ったクルーたちは、程度の差こそあれ、彼とのギャップに思い悩んだ。そうした感情に最も悩まされた少年が、ハヤト・コバヤシであった。

ハヤトがアムロとの才能の差を意識したのは、ホワイトベースに身を寄せる以前から彼に近い位置に居たためであろう。一年戦争中盤において、ハヤトはサイド7に居住しており、彼の家はアムロの住まいの向かいにあった。そのため、機械いじりに没頭する内向的な少年の姿を、身近なものとして目にしてきたのである。それが、公国軍の襲撃によって、彼はアムロと共にホワイトベースに避難することとなった。その戦いの中で、アムロが急速に才能を開花させていくのを目の当たりにすれば、自分との違いに嫉妬と焦燥感を抱くのも当然と言えよう。彼にとっての一年戦争は、生き残るための戦いであると同時に、アムロ・レイという壁と向き合う試練だったのかもしれない。そしてその戦いは、己の存在意義を頑なに求めた少年の成長を促すこととなるのである。

 

 リュウさんを殺した敵が

   目の前にいるんですよ!

 

サイド7において公国軍の襲撃に遭い、避難民としてホワイトベースに搭乗したハヤトは敵の迫撃を受ける艦において、機銃座の砲手を務めることとなった。その後、モビルスーツへの順応を示した彼は、RX-75ガンタンクなどのパイロットとなり、ホワイトベースの戦力の中核として成長していく。彼の生来持つ勇敢な性格が、そうした行動をとらせたのだろう。しかし、その行動の裏には、アムロに対する競争心が働いていたことは想像に難くない。また、クルーたちのアムロに対する期待に比べ、自分が頼りにされていないと感じていたことも、アムロに対する反発心に繋がったと推測できる。実際、ホワイトベースを脱出したアムロの処分が独房入り程度だったことに反感を抱き、カイ・シデンたちと共に艦を降りたこともある。それは、アムロひとりがホワイトベースを守っているのではないという、彼のプライドの裏返しであったに違いない。

しかし、 そうしたアムロへの個人的な感情は次第に氷解していった。それは、戦いの中で多くの仲間を失い、ジオン公国に対する義憤を強くしていったためであろう。サイド6の宇宙港で公国軍の戦艦と鉢合わせした際には、怒りに震える場面もあった。戦争は彼の人間的成長を促すと共に、戦う意義を見出させたのである。それだけに、彼は己の力のなさを嘆いた。もちろん、ほかのクルーたちと同じように戦ってきた彼の力が足りなかったわけではない。しかし、ニュータイプとして大きく成長したアムロと共に戦った彼からすれば、自分があまりに無力であるかのように感じられたのであろう。結局、アムロとの差は一年戦争を戦い抜いても埋まることはなかった。だが、終戦を迎えた彼の表情にわだかまりはなく、ホワイトベースを支えた偉大な戦士の帰還を笑顔で迎えたのだった。

ハヤト・コバヤシ
階級:伍長(曹長の説もあり)  年齢:15歳  性別:男  所属:地球連邦軍第13独立部隊  出身地:不明  技能:パイロット  特技:柔道(黒帯)
身長:150センチ(ミニモニ。)  体重:48㌔

■フラウに明かした本心
ソロモン攻略中負傷したハヤトは、看病にあたったフラウに己の無力を嘆き、その心境を告白した
「悔しいな、僕だけこんなんじゃ。セイラさんにもカイさんにも適わないなんて・・・・・・情けないよ」
負傷したハヤトはフラウに自らの本心を語った。傷の痛みと共に、彼の中にあった劣等感が自らを苛んだのであろう。己の弱さを見せまいと戦ってきた少年が流した涙は、その葛藤の深さの表れであった。内に隠してきたその感情をフラウに明かしたのは、自分の苦しみを誰かに行ってもらいたいという思いがあったのかもしれない。

ア・バオア・クー攻略戦の直前にはフラウとの仲が進展し、親密に語り合うこともあった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・\(-o-)/

一年戦争後は、フラウ・ボゥと結婚し、カツ・レツ・キッカを養子にする・・・・・・・・・・(>_<)

 


学校法人ミライ(学園と)・ヤシマ(学園)(=2大うんこ学園)

2006-04-10 21:19:51 | お店情報

己のなすべきことを心得ている人間は多くない。背伸びをせず卑下もせず、等身大の自分を見つけられた者は降伏であろう。その「ポジション」が分相応であれば、自分と格差に思い悩むこともない。「過ぎたるは及ばざるが如し」という中国古典『論語』の言葉にもあるとおり、やり過ぎは足りないことと同じく良い結果を生み出さないのである。ミライ・ヤシマという女性は、それをよくわかっていたのではないだろうか。彼女が一年戦争の中で示した存在感は、そうした彼女の中庸さによるものと言えるだろう。

ミライが若いながらに達観したものの見方をしていたのは、彼女の生い立ちによる部分が大きいのかもしれない。U.C.0061、彼女は名家ヤシマ家の令嬢として生まれた。彼女の父は連邦政府高官を務め、政財界に強い影響力を持つ人物であったといわれている。その父のもとで何不自由なく育った彼女だったが、父の死後は地球を離れてサイド7に移住している。あまりに急激な環境の変化が、彼女に強い影響を与えたことは想像に難くない。それがネガティブな方向に向かわなかったのは、彼女が生来持つ懐の深さゆえであろう。父の死と宇宙への船出は彼女にとっての試練となったが、彼女はそれを貴重な人生経験として消化したに違いない。

だが、U.C.0079.09.18の公国軍によるサイド7襲撃によって、彼女はその新天地すら追われることとなる。ホワイトベースに避難した彼女は、クルーザー級のスペース・グライダーのライセンスを持っていたことから、操舵手不在のホワイトベースの操艦を自ら名乗り出た。それは、窮地にあって己の成すべきことを探した結果の決断だったのであろう。しかし、その決断が彼女を一年戦争の只中に放り込んだのである。

ホワイトベースの操舵手となり、サイド7からの逃避行を強いられたミライも、当初はなれない戦いに戸惑ってばかりであった。彼女をはじめとするクルーの大半が民間人であり、正規の軍人は艦にほとんど存在していなかったのであるから、それも当然である。だが、そうした環境と度重なる戦いが彼女を鍛えていった。生来の度胸の良さと潜在的な能力が、非常事態において発揮されたのであろう。時に戦術的な見識さえ垣間見せる彼女は、次第にホワイトベースになくてはならない存在となっていったのである。

 

 みんなに馬鹿な真似はさせないわよ

   あたしが責任を持つから!

 

そして、ミライの温かさと冷静さはホワイトベースクルーを支えた。スレッガー・ロウをして「ホワイトベースのおふくろさん」と言わしめたのも、その存在感ゆえである。 事実、クルーの精神状態に気を配り、暇を見ては繕いものにも精を出す彼女を、クルーたちは深く信頼したのである。ミライもまたクルーたちのことを第一に思慮を巡らせ、時には毅然とした態度をとることも厭わなかった。クルー全員の安全のためにアムロ・レイひとりを危険に晒し、フラウ・ボゥに卑怯・弱虫と罵られたこともあった。「何言ってもいいわ、我慢するのも勇気よ」。取り乱すフラウにミライは激しく諭した。大勢の命を預かる者の責任と向き合う彼女の姿勢が、その言葉からは窺える。

ミライはホワイトベースの精神的な支柱であった。無論、彼女ひとりの力は決して大きなものではなかったが、ホワイトベースというパズルに欠くことができないピースのひとつであったことは疑いようもない。彼女自身、一年戦争の中で深い悲しみを味わった。一度は将来を誓い合ったカムランとの別れ、心を寄せたスレッガー中尉の死。それでも折れず、己の本分を貫いてホワイトベースという「我が家」を支えたミライ。のちに妻となり母となる彼女は、一年戦争でクルーたちの「母」となる貴重な経験を積んだのである。

ミライ・ヤシマ
階級:少尉  年齢:16歳  性別:女  所属:地球連邦軍第13独立部隊  出身地:地球  技能:操艦 


ブライト・ノアの運ぶネ☆(はぁ?)

2006-04-01 02:22:22 | お店情報

のちに一年戦争を代表する名艦長と称されることになるブライト・ノアも、元を辿れば一介の士官候補生に過ぎなかった。U.C.0060、地球に生まれたブライトは、一年先生が膠着状態に入ったU.C.0079の3月に連邦軍に入隊した。一説には、ノア家はブリティッシュ系の血を引く裕福な家柄であり、彼はその環境の中で何不自由なく育ったとも言われているが、その真偽のほどは明らかになっていない。

彼が歴史の表舞台に姿を現すのはその6ヵ月後、同年9月のことである。士官候補生だった彼は「V作戦」の中核を担う新鋭艦ホワイトベースの乗員となり、サイド7へと向かった。その時点での彼は、それほど重要な任務を担ってはいなかった。実際、サイド7入港時に、テム・レイ技術大尉にブリッジへ上がるよう伝えた伝令がブライトであり、あくまでも彼は「ホワイトベースの士官候補生のひとり」だったのである。

しかし、ジオン公国軍のサイド7襲撃によって、彼を取り巻く状況は一変することとなる。正規乗員の大半が死傷し、艦長のパオロ・カシアス中佐も負傷した状況下で、ブライトはブリッジ要員の中心人物としてホワイトベースの指揮を執ることを余儀なくされるのである。サイド7からの避難民を抱え、クルーたちのほとんどは素人同然の訓練兵や民間人。実戦経験の少ないブライトにとって、ホワイトベースが置かれた状況はあまりに厳しかったと言える。絶望的な航海の舵取りを突然に背負わされた彼の重責がどれほどのものであったかは、想像に難くない。のちに名艦長と称えられるブライトの船出は、不安に満ちたものだったのである。

ジオン公国軍の襲撃によって正規乗員の大半を失ったホワイトベースは、サイド7を脱出しルナツーへと向かった。ブライトは負傷したパオロ艦長を補佐しつつ、この時点からホワイトベースの実質的な指揮官を務めていくこととなる。

重傷のためにルナツーで艦を降りたパオロに代わり、ブライトは本格的にホワイトベース艦長としての責務を負った。しかし彼を待っていたのは、避難民の受け入れ拒否と、ジャブローへ直行せよという命令であった。ブライトの抗議も受け入れられず、ホワイトベースはルナツーを出港し、命令に従って南米のジャブロー基地を目指して大気圏突入を図る。だが、シャア・アズナブルの追撃によって進入コースを大幅にずらされたホワイトベースは、ジオン公国軍の勢力下にある北米大陸へと降下することとなった。ここから、ホワイトベースの過酷な単独行動が始まったのである。

 

  俺だって生きている間くらい

    人並みに上手に生きてみたいと思うけど

  不器用だからな・・・・・・

 

素人の集団を率いて敵の勢力圏内を突破するというあまりに危険な行動の中にあって、ブライトの心労はいかほどのものであったろうか。それに加えて、地球に降下してからのホワイトベースの指揮は、最も階級の高いリード中尉(ルナツーから同行したサラミス級の艦長)が執っていた。あまり適切とは言いがたい彼の指揮も、ブライトのストレスとなっちたと言えよう。また、ホワイトベース内部に抱えた問題も決して軽視できないものであった。度重なる戦闘で神経衰弱に陥ったアムロ・レイが出撃を拒否したのもこの時期である。ブライトはこの時アムロを殴り、このように言い放ったといわれている。「貴様はいい!そうして歎いていれば気分も晴れるんだからな!」
このエピソードは、敵中に放り込まれ、素人集団を率いていたブライトの苛立ちを示していると言えるだろう。

さまざまな障害はあったものの、ホワイトベース隊は北米を抜けてユーラシア大陸に進入。ランバ・ラル隊の追撃、オデッサ作戦などをくぐりぬけてジャブローに到着した。これ以前に、第136連隊所属のマチルダ隊と2度目の接触時に少尉に任官されていたブライトは、ジャブローで大尉に昇進している。同時にホワイトベース隊は連邦軍第2連合艦隊所属の第13独立部隊とされ、囮部隊としての役割を与えられることとなる。ホワイトベース隊を厄介者扱いする連邦軍高官たちが下した処遇に、ブライトは内心納得がいかないものを感じていたのかもしれない。しかし彼らにこれを拒否する権利があろうはずもなく、ホワイトベースは再び宇宙へと上がった。

宇宙に上がったホワイトベース隊は、ソロモン攻略戦、星一号作戦に参加。最終的にはア・バオア・クー攻防戦の最中に艦を失い、終戦を迎えた。ブライトは最後までホワイトベース隊を指揮し、生存者全員を退艦させることに成功している。無事に終戦を迎えたブライトは、戦後も軍に留まった。閑職に追いやられながら7年の時を過ごした彼は、グリプス戦役で再びその手腕を振るうことになるのでる。

 

ブライト・ノア
階級:士官候補生→大尉  年齢:19歳  性別:男  所属:地球連邦軍第13独立部隊  出身地:地球  技能:艦長、部隊指揮

■艦長としての重責
一年戦争当時、ブライトは若干19歳の若者であった。そんな彼が、軍規に縛られることに慣れていない民間人のクルーたちを率いていくことは、相当な激務だったに違いない。しかし、ホワイトベースを取り巻く環境が、彼らの甘えを許さないものであったこともまた事実である。ブライトは時に傲慢とも取れる姿勢で指揮に当たったが、そこには、艦全体の無事を第一に考える彼の責任感の強さが見て取れる。激務の過労から彼が倒れたというエピソードも、そうした状況を物語っていると言えよう。

■アムロ・レイに掛けた期待
ブライトにとって、アムロ・レイとの関係は、最も頭の痛い問題だったと言える。ブライトはアムロがパイロットとしての才能を高く評価していたが、それゆえにアムロの身勝手や増長を痛烈に非難することも多かった。逆に言えば、アムロに対する期待の裏返しであったと言える。しかし、彼のそうした対応はアムロの反発を生み、アムロの脱走事件へと発展するのである。

■ミライに寄せた不器用な想い
ともに戦いの日々を過ごす中で、ブライトはホワイトベースの操舵手、ミライ・ヤシマに想いを寄せていく。しかし、彼女には親が定めた許婚がいた。その許婚(カムラン・ブルーム)のいるサイド6に行くことになた彼は、「軍令がなければ誰が寄るものか」とまで洩らしたという。いかに優れた部隊指揮の手腕を発揮していたとはいえ、彼は20歳にも満たない青年だった。恋敵の登場に心中穏やかではいられなかったことも、無理からぬことだったと言えよう。


セイラ・マスだおかだ!でたっ!ぱぁ~閉店ガラガラ。

2006-03-31 16:09:16 | お店情報

歴史的な指導者を父に持った娘の信教とは、いかなるものだろうか。ジオン・ダイクンの娘という枷、本人がどのように捉えようと、それは限りなく重かったに違いない。セイラ・マス、本名アルテイシア・ソム・ダイクンの人生は、その逃れられない宿命との葛藤に彩られていたのだ。

U.C.0062.09.12、アルテイシアは、サイド3に勃興したジオン共和国の指導者の娘として生を受けた。しかし、その後に起きた覇権争いに前後してジオン・ダイクンが死亡すると、激化する政治抗争に巻き込まれるのを恐れた側近のジンバ・ラルの手引きによって、幼い兄弟は地球への移住を余儀なくされた。そこでマス家の養子となったアルテイシアはセイラ・マスを名乗り、別人としての人生を送ることとなった。サイド3を離れ、地球で平穏な少女時代を過ごしたセイラは、医師を目指して看護学生となり、新たに建造されたサイド7へと移住。再び、宇宙の民として地球を離れた。しかし、そこで起きた事件が彼女の運命を大きく変えることになる。

U.C.0079.09.18、ジオン公国のサイド7襲撃によって、セイラは寄航していた地球連邦軍の新造艦ホワイトベースへと避難した。その直前、逃げ遅れた住民を捜索していた際に、シャア・アズナブル=実兄であるキャスパル・レム・ダイクンと再会したのである。地球で隠遁生活をしていた頃、父の仇討ちをすると言い残して姿を消した兄が、ジオン公国軍の士官として生きていたという事実。生きていたことが判明した喜びよりも、その行動の真意に疑問を抱いたセイラは、「赤い彗星のシャア」に関する情報を集めようとする。シャアとの戦いは、セイラにとって、兄の真意を確かめる唯一のチャンスであったのだ。だからこそ、誰よりも争いを嫌っていたセイラは、自ら戦いの渦中に身を投じていったのである。

状況に流されるままにホワイトベースの乗員となったセイラは、当初、負傷者の看護や通信管制に当たっていた。しかし、操縦を覚え、中央アジア転戦中にガソダムを無断使用したことから、その状況に変化が訪れることとなる。ホワイトベースに攻撃を仕掛けたランバ・ラル隊に接触し、兄の情報を得ようとしたことが始まりであった。軍規に従えば、ガソダムを無断使用したセイラは重罪に書せられても不思議ではない。しかし、彼女にニュータイプの素養ありと判断した連邦軍上層部は、これを不問とする代わりに彼女をパイロットとしてのである。この処置に反抗出来ない立場のセイラだったが、自分たちをモルモット扱いするセキ技術大佐の言葉に対して「ジオン・ダイクンが提唱したニュータイプは便利屋ではないんですけどね」と皮肉を込めて返したという。しかし、そうした本人の意思とは裏腹に、セイラはパイロットとしての才能を発揮していく。アムロに次ぐ戦果を示した事実は、彼女がニュータイプの適性を持ち合わせていた証明であるとする声も多い。

 

  なれていくのね・・・・・・

     自分でもわかる

 

セイラの戦いは、生き延びるためのものであると同時に、兄の復讐劇を止めるための戦いでもあった。ホワイトベース隊が各地を転戦する中で、セイラは三度に渡って兄と再会している。しかし彼女が目にしたのは、父の仇討ちという目的から転じて、ニュータイプによる人類全体の革新を夢想する兄の姿であった。そうした兄の行動を危険なものと感じたセイラは、彼の行いを止めたいと考えるようになる。そのため、軍を離れるように求めた兄を無視し、ホワイトベースクルーとして戦い続けた。

セイラがジオン・ダイクンの娘であり、赤い彗星のシャアの実の妹であると知らされていたのは、艦長のブライト・ノアのみであったという。彼女はア・バオア・クー攻防戦の直前、自らの出自をブライトに告白した。そのとき彼女はこのように語ったと言われている。「兄は鬼子です。父の本当の望みを歪めて受け止めて、自分ができるなんて・・・。キャスパル兄さんじゃありません」。彼女がここまで直情的に、己の心の内を他者に語ったのは、これが初めてであった。彼女にとって、兄の存在がどれだけ重圧になっていたかを窺い知ることができる貴重なエピソードだと言える。

一年戦争の最後の戦場となったア・バオア・クーでも、セイラはシャアとアムロの間に割って入り、ふたりの戦いを止めようとした。しかし、その言葉は最後まで兄に届くことはなかった。キャスパルはセイラの前から姿を消し、彼女の一年戦争は終焉を迎えた。

「戦争は忘れろ」という兄の言葉どおり、彼女はそれ以降、戦いに身を投じることはなかったのである。

 

セイラ・マス
階級:准尉→少尉  年齢:17歳  性別:女  所属:地球連邦軍第13独立部隊  出身地:サイド3  技能:パイロット

■兄キャスパルへの思い
セイラにとってキャスパルは残された唯一の肉親であり、心のよりどころでもあった。しかし、ザビ家への復讐を目指した兄の行動は、彼女にとって道を外したものと映ったのだろう。アルテイシアの名を捨てたと同様、兄にもダイクンの名を捨てて欲しかった彼女の願いは届くことはなかった。セイラはブライト・ノアに対して「兄は鬼子」であり、「刺し違えてもいい」と言い放ったという事実からも、愛憎の間で揺れるセイラの苦悩を見て取れる。

■ホワイトベースにおけるセイラの存在
理知的で聡明な女性として知られていたセイラであったが、彼女の口からは辛辣な言葉が飛び出すことも多かった。年端もゆかぬホワイトベースクルーにとって、セイラは近寄りがたい雰囲気を持つ「金髪さん」として、憧憬と揶揄を込めた視線で見られたことだろう。何しろ、カイ・シデンなどは「軟弱者」と呼ばれ、平手打ちまで食らったというのだから・・・・・・(うらやましい。。。)。

■いい女になるのだな
最終決戦となったジオン公国軍宇宙要塞、ア・バオア・クーでの戦いで、彼女は兄と再会する。しかし、そこに佇む敵の男は兄ではなく、シャア・アズナブルという名の軍人であった。シャアはアルテイシア・ダイクンにではなく、セイラ・マスに別れを告げた。その際、彼は「いい女になるのだな・・・・・・」とだけ告げ、姿を消したという。そしてこの時を最後にジオンの遺児である兄と妹が、再び顔を合わせることはなかったのである。

 

 


紫電改(はげハゲ)

2006-03-15 01:46:05 | お店情報

サイド7にジオン公国軍の奇襲がなければ、避難民がホワイトベースに逃げ込まなければ、カイ・シデンという少年の成長はなかったのではないか。そう思わせるほど、一年戦争における彼の成長は著しいものであった。逆に、ホワイトベースに乗るまでの彼は人間的に未成熟であったと言える。

U.C.0061、カイはプエルトリコ系のスペースノイドとして宇宙に生まれた。生まれてから地球に降りたことは一度もなく、地球に住む者を既得権益の有無にかかわらずエリート視していたという。そうした意味では、彼は典型的なスペースノイドであった。一年戦争が膠着状態に陥った時期、カイはサイド7に住んでいた。彼はそこでジオン公国軍特務部隊の奇襲に遭い、ほかの避難民と同じようにホワイトベースへと乗り込むこととなった。そのときの彼は、セイラ・マスに「あなたみたいな人、サイド7にひとりで残ってるといいんです」とまで言われ放たれている。この言葉はセイラの性格の強さ故だが、彼女が言うように彼がひとりでは何も出来ない日和見主義だったこともまた事実であった。彼はそのように振る舞い、周囲からもそうした目で見られていたのである。すべてに対して斜に構え、傍観者としての立場を崩さない、まさしくアウトローとでも言うべき存在だった。そうした姿勢が、セイラをして彼を「軟弱者」と言わしめた最も大きな理由だったといえる。

しかし、父が技術者であった関係で大型特殊車輌の免許をいくつか取得していたカイは、ホワイトベースクルーとしての責務を否応なく背負わされていく。はかの少年少女たちと同じく、戦争という一切の甘えが許されない状況に追い込まれていったのである。

ホワイトベースに乗艦したカイは、サイド7脱出当時は対空機銃の砲手を担当していた。しかし、人出不足から、地球降下後にRX-77-2ガンキャノン(C-108のコードが与えられていた)のパイロットとなった。これには異説も存在し、地球降下以前にRX-75ガンタンクの操縦を担当したとも言われている。しかし、当初の彼は数少ないMSを運用するパイロットの責務を負いながらも、 掩護にのみ徹するとさえ語っていた。その頃の彼は、戦う意義を見出せない自分に違和感があったのだろう。積極的に戦うことを嫌う彼の姿勢は、そうした感覚のゆえのものだったに違いない。

 

  そう、俺は軟弱者さ

   腹を立てるほどの人間じゃないのさ

 

その違和感からか、ベルファスト基地で艦を降りたカイは、そこでミハル・ラトキエという少女に出会う。幼い弟妹を養うためにジオン公国軍のスパイとして働く彼女に、戦争の悲惨さを見たのか、それとも状況に流されるままに戦ってきた己の不甲斐なさを省みたのか。カイは確かな決意のもと、ホワイトベースへ戻る。スパイ行為の果てに戦いに巻き込まれて死んでいったミハルの存在も、彼の戦う意義となったのだろう。彼は強い意志で次のように語る。「ミハル、俺はもう悲しまないぜ。お前みたいな悲しい子を増やさないためにジオンを叩く。徹底的にな」

一年戦争の終結まで、カイはホワイトベース隊の一員として戦い抜いた。そこには、かつて「軟弱者」と呼ばれた少年の姿はなく、人間的にも大きな成長を遂げたひとりの戦士がいたのである。

 

カイ・シデン
階級:民間人→少尉  年齢:18歳  性別:男  所属:地球連邦軍第13独立部隊  出身地:不明(スペースノイド)  技能:MSパイロット

■ホワイトベースにおけるカイ・シデンという存在
口が達者な皮肉屋で、思ったことを歯に衣着せず言葉にするような人間であった。そのくせ率先して行動することを嫌い、何事にも消極的で、周囲の人間から良く見られることはなかった。実際ホワイトベース隊の中で、彼は浮いた存在であったといっても過言ではないであろう。しかし彼の言動は偽らざる本音に根ざしたものであった。戦うことを余儀なくされたホワイトベースのクルーたちは、自らの意思を少なからず抱え込んでいたに違いない。その集団において、カイは自分の感情をはっきりと(ストレートとはいえないが)表す数少ない人間だったのである。

■本質を見抜く洞察力の鋭さ
カイの毒舌は、全てを穿って見る彼の性格によるものと見られがちだが、一概にそうとも言い切れない。ひねくれた物言いではあったが、彼の言葉の中には物事の核心を突いていたものもあった。ジャブローに到着したホワイトベースからカツ・レツ・キッカら3人の子供たちが逃げ出した理由を、艦から降りたくない点にあると即座に見抜いた彼の観察眼なども、その一例と見てとれる。

■パイロットとしての力量と成長
カイはアムロたちとともに、ホワイトベースのMSパイロットとしてその一翼を担った。アムロの華々しい戦績に隠れがちではあるが、彼もまた実力を備えたパイロットだったと言える。無論、MSに搭乗した瞬間から一人前だったわけではなく、他のパイロットと同様に各地を転戦していく中で技量を高めていったのである。正規の訓練を受けていないにもかかわらず、一般のパイロットをも凌ぐ戦果を挙げた事実は、彼が秘めていた素養の高さにあったのかもしれない。

■セイラの苦悩を見抜いたカイの心中
セイラはジオン・ダイクンの娘という自らの出自を伏せていた。しかし、カイは彼女が公国軍となんらかの繋がりがあると察していたのかもしれない。ア・バオア・クー戦の直前、カイはセイラに「ジオンを叩いた後に、連邦も叩くのかい?」と問い掛けている。その問いに彼女は言葉を濁したが、カイはそのような曖昧な物言いに納得がいかなかったのだろう。自分を「軟弱者」と評した女性の煮え切らない態度が許せなかったのかもしれない。

■ミハルとの出会いと別れ
ベルファスト基地の前で物売りをしていた少女が、ホワイトベースを降りた自分を誘ってきたとき、カイはどのような感情を抱いたのだろうか。洞察力の鋭いカイのことである。ミハルが嘘を言おうとも、彼女が公国軍のスパイだとすぐに察しがついたに違いない。それでもなお、彼女が欲する情報を洩らしたのは、戦争の中で弟妹と生きようととするミハルへの優しさだった。だからこそ、ミハルがホワイトベースに密航してきたときにも、彼女を匿ったのである。だが、戦いの中でミハルはその命を散らす。彼女の死に、無関係な人間を巻き込んでいく戦争の残酷さを垣間見たカイは涙するのだった・・・・・・。

■おまけ
一年戦争後、カイはジャーナリストに転身。数々のスクープをモノにする敏腕記者として「Zガソダム」に登場する。 


フラウ・ボゥさんが屁をこいたブリブリー

2006-03-13 16:29:47 | お店情報

人はゆっくりと段階を経て成長し、「子ども」から「大人」へと変わっていくのが自然である。だが、ホワイトベースに身を寄せる若者たちは、違った。突然に戦争という異常な状況に放りこまれ、明日をも知れない日々を過ごすことを余儀なくされたのである。死と隣り合わせの生活の中で、彼らが平常を保つことができたのは幸運であった。だが、強いられた戦いによって成長しなければならなかったのは不幸といえる。フラウ・ボゥは、そうした周囲の変化に戸惑いながらも、健気に強くあろうとした少女であった。

一年戦争が始まって9ヶ月、フラウが暮らしていたサイド7は未だ戦禍を被っていない平和なコロニーであった。戦争はコロニーに連邦軍施設を設営させてはいたが、フラウ自身の危機感は薄かったようだ。忍び寄る戦火の気配に不安を感じながらも、幼馴染のアムロ・レイの世話を焼く平凡な毎日を過ごしていたのである。その日常が破られたのが、U.C.0079.09.18の公国軍によるサイド7襲撃であった。その戦闘を前に茫然自失とする彼女の背中を押したのは、他ならぬアムロの言葉であった。「君は強い女の子じゃないか」・・・それは、フラウを生き延びさせるための方便だったのかもしれない。だが、その言葉のとおり、状況は彼女に弱音を吐くことを許さなかった。ホワイトベースに収容された避難民のほとんどが老人や女子供という環境で、彼女は艦の乗務員のひとりとして働かざるを得なかったのである。彼女が家族を失った悲しみを癒す間もなく、ホワイトベースはサイド7を後にした・・・。

 

 弱虫のアムロなんて見たくもないし、

  みんなこうして 大人になっていくんでしょ?

 

ごく普通の少女だったフラウにとって、ホワイトベースでの生活は苦しいものであったに違いない。それでも、彼女は不平ひとつ洩らさずに働いた。避難民の世話から、医療班の手伝いまで、彼女は必死に戦うクルーたちを陰から支えた。彼女自身、銃を取って戦うような正確ではなかったし、戦いの中にあって日常を守る行為に意義を感じていたに違いない。それが逆に無力感となったのか、出撃を拒否するアムロにかわりMSに乗ろうとしたこともあった。戦うことができるアムロに期待し、自分の分まで力を尽くして欲しいという思いが、彼女をそのような行動に駆り立てたのだろう。ホワイトベースを脱走した彼を単身追いかけたのも、そんな思いの表れだったと言える。

しかし、ホワイトベース隊が転戦を続ける中で、アムロは成長していった。フラウが知るアムロは既になく、彼女が気遣う意味も薄れていったのである。「アムロは、違うわ・・・・・・。あの人は、私たちと違うのよ!」。これは、彼女がハヤトに洩らした言葉である。自分から離れていくアムロを受け入れようとした葛藤の欠片だったに違いない。そうした感情をしまいこみ、彼女は戦い没頭した。その末に辿りついた一年戦争の終幕は、果たして彼女が望んだものだったのだろうか。彼女がその戦いで得たものと失ったものの大きさは、彼女自身にしかわからないことである。

 

フラウ・ボゥ

階級:上等兵  年齢:15歳  性別:女  所属:地球連邦軍 第13独立部隊
出身地:不明  技能:オペレーター
U.C.0064:誕生  U.C.0079:9月18日、サイド7居住時に公国軍の襲撃に巻き込まれ、ホワイトベースに避難する。11月27日、ホワイトベースが連邦軍ジャブロー基地に到着。以後、上等兵に任官される。12月31日、ア・バオア・クー攻略戦に参加。生還し、終戦を迎える。

■隊の気風に許されたフラウの服装
サイド7脱出後、フラウは連邦軍の軍服に着替えている。しかし、セイラやミライといった他の女性クルーとは異なる軍服を選び、スラックスも着用していなかった(もとよりひと揃えではなかったという説もある)。ホワイトベース隊が民間人と訓練生によって構成された寄せ集め部隊であり、軍規については比較的穏やかであったことが、彼女のそうした服装を許していたのであろう。

■子供たちに注いだ愛情
サイド7の襲撃で親とはぐれた3人の子供たち(カツ・ハウィン、レツ・コファン、キッカ・キタモト)。フラウは彼らの母親代わりとして、甲斐甲斐しくその面倒を見た。クルーたちがそれぞれ自らの仕事に追われる中で、子供たちの世話をすることができるのが彼女くらいだった、という事情はあろう。だが、アムロとの関係にも見られるような彼女の世話好きな性格が、子供たちを放っておくのを許さなかったに違いない。戦後、彼女は子供たちを養子として引き取り、本当の母親となったのである。

■兵士になりきれなかった優しさ
ホワイトベース隊の一員となったフラウだったが、戦いでは生来の優しさが妨げとなることもあった。公国軍の兵士によってRX-78-2に爆弾を仕掛けられた際にも、アムロひとりにその解除をさせたブライトやミライを激しく非難した。万が一の時に被害を最小限に留めようとした彼らの冷徹な決断を受け入れられなかったのである。

■変わっていくアムロへの戸惑い
身の回りに無頓着で、手が離せない子供のようだったアムロ。その少年がいつの間にか一人前の戦士に成長したことに、フラウは一抹の寂しさを抱いた。それだけではない。ニュータイプとして開花していく彼に、言い知れない疎外感さえ感じていたのだろう。フラウはそんな彼を前にして、「アムロって恐ろしいくらい逞しくなったのね」と呟いた。戦いは二人を子供のままにしておかなかった。それは、フラウにとって悲しい現実だったのかもしれない。

■子供たちの未来を思って
カツ・レツ・キッカがジャブローの施設に預けられると決まったとき、フラウは不安を抱いた。「あの子たち、ここにいて本当に幸せになれるかしら?」と。同じ境遇にあった彼女だからこそ、ここまで艦に残ってきた3人の気持ちに思慮を巡らしたのである。幼い彼らを戦場に置くことが良くないとは分かっていながらも、それでも彼女は子供たちの感情を無視できなかった。それは彼女が子供たちと真摯に向き合っていた証明である。

■フラウの肉親
公国軍によるサイド7襲撃に先立って、サイド7の連邦軍はコロニー住民に避難勧告を出していた。9月18火に入港したホワイトベースが公国軍艦艇の追跡を受けており、戦闘が予想されたためであったと言われている。しかし、結果的に公国軍MSのコロニー内への侵入を許し、戦闘はコロニー内部で発生した。当初、コロニー住民は退避カプセルに避難していたが、被害の拡大によって彼らは避難場所をホワイトベースへと変えた。その集団の中にいたフラウと母ファム・ボゥ、フラウの祖父の3人は第3リフトで宇宙港へと向かった。しかしアムロを見つけてフラウが避難列から離れた瞬間、公国軍MSからの流れ弾が避難民を直撃し、彼女の母と祖父の命を奪うこととなる。ホワイトベースがサイド7を脱出する直前、フラウは生存者を探してコロニー内を見回った。そこで彼女が見たものは、瓦礫の山と化した我が家であった。

 

 


シャア・アズナス(JR!?)

2006-03-02 16:18:13 | お店情報

U.C.0059、スペース・コロニー・サイド3がジオン共和国の独立を宣言した年に、シャア・アズナブルはこの世に生を受けた。そのとき、彼に与えられた名はシャア・アズナブルではなく、キャスパル・レム・ダイクンであった。コロニーへの宇宙移民者による独立自治を唱える思想家、ジオン・ズム・ダイクンの長男である。宇宙時代の真の幕開けを予感させるときに産まれたキャスパルこそ、ジオンの思想を実証する子ではないかと期待されたという。しかし、そんな甘い幻想の時代は長くは続かなかった。

U.C.0067、地球連邦政府はコロニー自治権整備法案を却下し、ジオン共和国の独立を法的に無力化した。ジオン・ダイクンの右腕であったデギン・ソド・ザビが台頭し、デギン派とダイクン派に分かれて内部抗争を始めたのも同時期である。キャスパルと妹のアルテイシア(U.C.0062に誕生)は難を逃れるためにダイクンの名を捨て、サイド3を脱出。マス家の家系を買い取り、エドワウ・マス、セイラ・マスの名で隠遁生活を余儀なくされる。このまま平穏に暮らせたはずのエドワウとセイラだったが、しかし、時代がそれを許すことはなかった。

U.C.0071、エドワウ・マスとしての暮らしに終止符を打ったキャスパルは、父の仇を討つべくジオン公国に潜入。シャア・アズナブルの名を得た彼は、ジオン公国軍士官学校へ入学した。シャアは学生時代にデギンの末子ガルマ・ザビとは旧友となっていることからも、彼がザビ家への復習を伺っていたことがわかる。シャアの名を歴史の中に再び見出すには、モビルスーツとミノフスキー粒子という新兵器の登場を待つ必要がある。

U.C.0079、ジオン公国による独立戦争が開始されたとき、シャアはすでにモビルスーツのパイロットとしてあった。士官学校時代から抜群の適性を見せたシャアは、開戦直後のウルム戦没で大戦果を記録し「赤い彗星のシャア」として全軍に知らる存在となっていた。

シャア・アズナブルの名が歴史上に記録されるのは、U.C.0079の初頭に起きた大規模な戦闘が始まりとなる。後にウルム戦役と呼ばれるこの戦いにおいて、シャア・アズナブル中尉の残した戦果は尋常なものではなかった。真紅に塗装された愛機MS-06ザクⅡを駆り、地球連邦軍の巡洋艦5雙を沈めたという。その電光石火の一撃離脱戦法を目撃した連邦軍将兵からは「赤い彗星」の異名で恐れられ、彼の所属するジオン公国軍宇宙攻撃軍からはその功績を称えジオン十字勲章が授与された。「赤い彗星のシャア」誕生の瞬間である。

少佐となったシャア・アズナブルは艦隊(ムサイ級3艦による小艦隊)を任され、各スペース・コロニーで頻発する反乱やゲリラ運動の掃討任務に就く。その任務の帰路に、彼の運命を変える一雙の宇宙艦との出会いがあった。ホワイトベース級1番艦・ホワイトベースの正式名称を持つ地球連邦軍の強襲揚陸艦がそれである。かねてより噂のあった連邦軍によるモビルスーツ開発計画(V作戦)の存在はジオン将校には有名な話であったが、その機動母艦と思しき新造艦が目前を通りすぎようとしている。シャアは心中で唸ったことであろう。「チャンスは意外なところに落ちているものだ」と。ゲリラ掃討作戦直後で補給もなかったシャアが、自らの艦隊をサイド7に向かわせたのは、恐らく軍功を欲してのことであろう。この時期、昇進を急ぐシャアの目的はザビ家への復讐にあったとされるが、このときの行動は確かに一致している。余談ではあるが、ガルマ・ザビ戦死以降、キシリア・ザビ配下となってからのシャアの活動には、他に目的があったのではないかと思えるふしがある。

ホワイトベースを追撃するシャアはサイド7への攻撃を開始。基本的に不可侵とされているスペース・コロニーに攻撃を加えるという暴挙に出たシャアだが、それは偵察部隊の独断によるものだったとされる。新米パイロットの暴走によりコロニー内で戦闘が開始され、それを連邦軍の新型モビルスーツ奪取のチャンスと見たシャアが事態を収拾させると見せて混乱に便乗したとするのが普通だろう。しかし、連邦軍の新型モビルスーツRX-78-2ガソダムの驚異的な戦闘力に押されたシャアは、自身でも初めて負け戦を強いられることになる。ビーム兵器を持つガソダムの攻撃力はシャアの想像を絶するもので、ザクⅡを一撃で破壊するその威力に、撤退を余儀なくされた。結果、シャアがガソダムとの戦闘で失ったザクⅡは合計で6機にも及んだ。これはルウム戦役以降、ジオン軍最大の損失であったという。

 

 認めたくないものだな・・・

   自分自身の若さ故の過ちというものを・・・

 

U.C.0079.10.04、ザビ家への復讐を窺っていたシャアは、ついに行動を開始する。自らの計略でデギン・ザビの末子、ガルマ・ザビを死に追いやったのだ。シャアの復讐とは、自分の実父、ジオン・ダイクンを暗殺したザビ家に対する仇討ちに他ならない。ザビ家とその一党はシャアにとって何よりも憎むべき敵であり、ドズル・ザビ中将の信頼やガルマとの友情はそれを達成するための手段に過ぎなかった。

ガルマ戦死の責任を取らされる形で公国軍を追放されたシャアであったが、キシリア・ザビ少将に拾われ、再び軍籍を取り戻している。これは公国軍のトップエースという実績と、一士官でありながら、ニュータイプ研究機関「フラナガン機関」へ接触し、そこひとりの少女(ララァ・スン)を送り込んだことにある。当時、ジオン・ダイクンが提唱した「ニュータイプ」は、ザビ家によって歪められ単なる政治的プロパガンダとなっていた。このニュータイプ研究機関に接触し、しかも実際に「ニュータイプ」たる少女おw送り込んでいるのは驚きに値する。シャアが「先読みのシャア」として評価されるのもうなずける話と言えよう。

ニュータイプ部隊指揮官となったシャアは、ララァやシャリア・ブル大尉と接触することで、「ザビ家への復讐」以外の目的を持つようになる。ニュータイプを正しく導かねばならない。彼がそれを強く認識したとき、その最大の障害となったのが一年戦争最強のニュータイプ、アムロ・レイ(浪平ちゃうで)であったのは、皮肉としか言いようがない。

ガルマ戦死の責任を取らされる形で公国軍を追放されたシャアが再び脚光を浴びるのは、U.C.0079.11.30のジャブロー攻略戦である。「マッド・アングラー隊」に赴任し、ホワイトベースを追跡したシャアは、巧妙に隠蔽されたジャブロー最大の宇宙艦ドックを発見。「ブリティッシュ作戦」で破壊に失敗し、以後11ヶ月の探査でも特定できなかったジャブローの入り口がついに判明したのである。ルウム戦役の活躍、V作戦の察知に続くシャアの功績である。公国軍の戦力不足から攻略に失敗したが、この功績が評価される形でシャアはキシリア秘蔵のニュータイプ部隊の指揮官として抜擢される。

父の提唱した、宇宙に適応した人類の革新たる「ニュータイプ」を図らずも導く立場となったシャアは、戦争の道具として歪められるニュータイプを見てどう思ったであろう。戦争での有用性だけが認められれば、ニュータイプは永遠に殺しの道具として扱われる。父が導こうとしたニュータイプの存り方を、自分が歪めている現実にシャアは苦悩したに違いない。

そんな悩めるシャアを導いたのが、ニュータイプ部隊のララァ・スン少尉であった。一説にはララァはシャアと恋人関係であったと言われているが、それは穿った見方であろう。シャアはララァを精神的支柱として欲したのである。ニュータイプが人類の革新なら、ララァの感じたものを信じることが人の革新につながると確信したのである。

しかし、悲劇が起こる。 ララァが連邦軍のニュータイプ、アムロ・レイ(浪平とちゃうで)少尉と交感し、それを阻止せんと割って入ったシャアをかばって戦死してしまったのだ。このとき、ララァとアムロは激しい共振現象を起こし、一瞬にして「分かり合えた」状態になったと言われている。シャアとアムロはニュータイプを導く者とその在り方を示す者として、互いに手を取り合えた者たちであった。それがひとりの女性の死をきっかけに永遠にすれ違いとなったのは悲劇としか言いようがない。シャアは「ララァを殺した男」としてアムロを憎み、アムロは「彼女を殺し合いに巻き込んだ男」としてシャアを憎んだ。この確執が昂じ、シャアとアムロはア・バオア・クーで憎しみの決闘を演じたと言われている。

ア・バオア・クー陥落後、シャアはグワジン級戦艦「アサルム」にてアステロイド・ベルトの小惑星基地アクシズへ脱出。デギン公王の側近、マハラジャ・カーンと共にアクシズの指導的立場にあったされるが、そのときの記録は残っていない。

 

  今という時では、人はニュータイプを

       殺し合いの道具にしか使えん!

 

 

 


アムロ・浪平

2006-02-25 02:16:03 | お店情報

英雄と呼ばれる人物にも少年時代がある。世間を舐め、自己中心的になりやすい時期である。“英雄”としての印象が強いためか、アムロ・レイのことを安定した人格の人物と思っている方が多いようだが、少なくとも、ガソダムに偶然乗った頃のアムロは、機械に明るい以外は、どこにでもいる内気な少年に過ぎなかった。

アムロは、U.C.0063.11.04、技術者であった父テムと母カマリアの間に生まれた。生誕地は、北米西部のプリンスルパートと言われている(日本の山陰地方という説もある)。幼少期に父と共に宇宙へ移民。父は仕事で不在がちであったため、アムロは独りで過ごすことが多かったようで、これがアムロの内向的な性格形成要因であると思われている。

そんなアムロに転機が訪れたのが、U.C.0079.09.18の公国軍によるサイド7襲撃である。偶然、ガソダムのマニュアルを入手していたアムロは、成り行きでガソダムに搭乗。何の訓練も受けていなかったアムロだが、公国軍のMS・ザクⅡ2機を激はするという戦果を上げてしまう。素人のアムロがいきなりMSでザクを倒すことができたのは、彼が父親のコンピュータからデータを盗んだからとも(父テムはガソダム開発の関係者だった)、彼がニュータイプだったからだとも言われているが、実のところ正確な理由はよくわかっていない。理由はどうあれ、アムロ以外にガソダムを扱える者がいなかったため、彼は現地採用のガソダムパイロットとして、公国軍と戦うことを余儀なくされる。アムロ・レイ伝説のスタートであった。

サイド7でのアムロの初勝利は、ガソダムの突出した性能の賜物だった。それは当初、公国軍の“赤い彗星”シャア・アズナブル少佐が、ガソダムの性能には驚愕しても、パイロットには興味を示さなかったことからも推測できる。宿命のライバルとして知られるアムロとシャアだが、初会戦時には、両者の腕前には歴然とした差が存在していた。何とかシャアを撤退させたアムロだったが、後にホワイトベースの艦長と士官候補生ブライト・ノアに、ガソダムの性能とアムロの技量がつりあっていないことを指摘されてしまう。アムロとしては恐怖の中、精一杯戦ったのに、そのように言われては面目丸つぶれであっただろう。確かに15歳の少年に、公国軍のエースパイロットと戦え、ガソダムの性能を当てにするな、というのは酷な話である。だが、ホワイトベースの実情の前に公国軍が手加減してくれるはずもなく、アムロはガソダムで歴戦の兵揃いの公国軍と戦わざるを得なくなった。

そんな戦いの中、アムロは幾度となく戦いに挑み、疲れ、ブライトたちと衝突してしまう。ホワイトベースクルーは、艦長になったブライトを肇、ほとんどが10代の少年少女だったのだから、仕方のない側面もある。アムロもたびたび勝手な行動をとり、周囲を困惑させた。一方で、アムロはガソダムのパイロットとして成長しつつあったうえ、ニュータイプの片鱗も見せるなど、その技量はホワイトベースの中核として相応しいものになっていった。だが、これがアムロを増長させたいったのであろうか?

アムロの独走を憂慮したブライトは、アムロをガソダムから降ろそうと考える。これに憤慨したアムロは、ガソダムと共にホワイトベースを脱走してしまう。自身を持ち始めていたアムロにブライトの仕打ちは屈辱以外の何ものでもなかっただろうが、その原因が自分の身勝手さ、子供っぽさにあるとは考えもしなかった。そもそもホワイトベースを出るのに、ガソダムを持ち出した事実から考えても、ブライトの憂慮は正しかったと言えるだろう。

限界に達したかと思われたアムロだったが、自分の不甲斐なさを痛感させる人物、公国軍のランバ・ラル大尉(グフを操縦)と出会う。ラルは器量、人物、技量、どれを取っても一流の男で、アムロは彼との戦いや仲間の死を通して、ひとりの戦士として成長していく。そして、アムロはシャアとの再戦を迎える。このときシャアは、ガソダムのパイロット、アムロの成長に驚くことになる。この瞬間こそ、アムロとシャアがライバルとして意識しあった瞬間なのかもしれない。

 

  ぼ、ぼくが一番
       ガソダムをうまく使えるんだ・・・・・・

 

アムロが一年戦争に参加したのは、わずか3ヶ月と2週間である。特別な訓練など何も受けていない。アムロはこのような状況から戦闘に参加し、ごく短期間の内に総撃墜数100を上回ると言われる超エースへと成長した。このような目覚しい成長こそが、彼がニュータイプである証拠と考える人がいるのも無理もないことだ。彼にニュータイプ的な素養があったことは確かだが、その爆撃的成長の背景には、彼個人の意思が働いていたことも間違いないだろう。彼の能力上昇は、人格的成長過程と合致する、とも言われる。実際、公国軍のゲリラ部隊隊長、ランバ・ラル大尉との戦闘やホワイトベースの兄貴的存在であったリュウ・ホセイの死などの大きな事件を体験するたび、それまでの子供っぽさがなりを潜め、それと同時にアムロの戦闘能力も進歩しているように見受けられる。

戦闘において、ある種の余裕すら感じさせるようになったアムロは、ジャブロー戦では2ヶ月前にあれほど苦戦したシャア・アズナブル大佐と互角以上の戦いを演じ、直後の宇宙戦ではムサイ級巡洋艦の主要部分にのみ命中弾を与え、やすやすと撃沈している。このとき、アムロは完全にニュータイプとして覚醒していたのである。

アムロのパイロットとしての成長は、ベルファスト基地に寄港した頃から、より顕著になっていた。ジャブロー戦後、宇宙へ上がったアムロは、キャメル・パトロール艦隊のムサイ級巡洋艦2雙 を容易に撃沈。サイド6宙域でのコンスコン艦隊戦では、ダブル・スコアに達する撃墜数を記録した。このときのアムロは非常に落ち着いており、完成された戦士となっていたとも言われる。淡々と戦闘をこなすその姿は、一歩間違えれば戦うだけの機械的な人間になっていたかもしれない。実際、地球では母親と、サイド6では行方不明となっていた父親との別離を経験しており、肉親という精神的支柱を喪失したアムロは、戦闘力だけが肥大したキル・マシーンとなる可能性もあったのだ。

そんなアムロに、後の人生を左右する出会いが待っていた。アムロと同格のニュータイプ、ララァ・スンとの邂逅である。その出会いは、ほんの一時だったが、ふたりの間には魂の交感と言うべきものがあった。この出会いがアムロとララァだけのものだったら、どんなにか幸せであったろう。しかし、ララァの側にはアムロの宿敵シャア・アズナブルがいた。ララァは戦士として、シャアを守ることを誓っていたのだ。ララァの言葉どおり、アムロが「来るのが遅すぎた」のだろうか?アムロとララァが再会したのは戦場で、敵同士としてだった。そのときアムロは、シャアを超えるニュータイプとして覚醒しており、アムロがシャアを殺すのは時間の問題かと思われた。ララァの中でシャアへの想いと、アムロとの共感が交錯したが、結局ララァはシャアの盾となることを選び、アムロの前に散った。

絶望感に襲われたアムロだったが、彼は倒すべき敵・ザビ家を認識し、ア・バオア・クーでの最終戦に挑む。アムロにとってシャアは真の敵ではなかったが、ララァを巡る因縁もあって、戦わざるを得なかった。戦いは生身での戦闘に発展したが決着は付かず、ふたりの宿縁は決定的なものとなる。そのまま、一年戦争は終結。そして、アムロはホワイトベースの仲間たちの元へと帰り、休息と軟禁の日々を送ることになる。

 

   僕には帰れるところがあるんだ・・・・・・

       こんなに嬉しいことはない・・・・・・

 


機動戦士ガソダム

2006-02-24 00:27:43 | お店情報

軟弱者!

 

連邦のモビルスーツは化け物か!

 

                    謀ったなシャア!

 

        坊やだからさ・・・

 

                                     

ザクとは違うのだよ!ザクとは!

 

                         俺を踏み台にしたぁ?

 

         弾幕うすいぞ!なにやってんの!

 

殴ったね・・・親父にもぶたれたことないのに!

 

           悲しいけどこれ、戦争なのよね!

 

やらせはせん!やらせはせんぞぉぉ!

 

     あの壷を届けておくれ。あれはいいものだ・・・

 

               奴との戯言はやめろ!

 

あえて言おう!カスであると!

 

           見えるぞ・・・私にも敵が見える!

                                                                

 

ごめんよ・・・僕にはまだ帰れる所があるんだ・・・

 

アムロ・レイ 階級:曹長→少尉 年齢:15~16歳 :テム・レイ :カマリア・レイ

 

フラウ・ボゥ 階級:上等兵 年齢:15歳 所属:地球連邦軍 第13独立部隊

セイラ・マス 階級:准尉→少尉 年齢:17歳 UC0062:サイド3にてジオン・ダイクンの長女として誕生 UC0068:ジンバ・ラルにより、地球へ移住。以降、セイラ・マスと改名 UC0079:医師を目指しサイド7へ移住。公国軍の奇襲を受けて、新造艦ホワイトベースへ避難。

シャア・アズナブル 階級:少尉→大佐 年齢:20歳 所属:ジオン公国軍宇宙攻撃軍→ジオン公国軍突撃機動軍 出身地:サイド3 愛称:赤い彗星 由来:愛機のザクⅡを赤いカラーリングに統一していたことに由来するが、彗星と呼ばれたのには他に理由がある。俗にいう「3倍説」である。シャアのザクⅡは通常の機体に比べて3倍の性能を持っていたとされるのだが、もちろん誇大妄想に過ぎない。実際にシャアのザクⅡは20%ほどしか性能向上は計られていないし、装備していた武装も通常のものと同じであった。シャア独特の戦法が、連邦・ジオンの両将兵に畏怖と脅威を感じさせた結果だろう。