あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

粋で味のある、大人の男性。

2010-02-22 23:37:44 | 日記・エッセイ・コラム

ここ連日、急逝された藤田まこと氏の追悼番組が放送されていますね。

私も母もけっこう好きな俳優さんだったので、突然の訃報はちょっとショックでした。

“ハンサムじゃないけど、実に魅力的な俳優さんのひとりだ”と母とよく言ってました。

《必殺シリーズ》はあまり観ていなかったので、私にとっては、『剣客商売』の秋山小兵衛(この字で良かったか)と、『はぐれ刑事純情派』の安浦刑事の印象が強いのですが。

そうして、今日SMA×2を観ていて、ハッとしました。

番組の終わりに、以前藤田氏がビストロスマップに出演したときの映像が映ったからです。

その時の氏の語ったお話は、私には印象深いものだったので。

藤田氏は、『てなもんや三度笠』のあんかけの時次郎役で一世を風靡した後、一転売れなくなってキャバレー回りをすることになった経験を語ってらっしゃいました。

正確には思い出せませんが、その時氏は、このようなことを言ったと思います。

“当然だよね。売れていい気になっていたけど、芸がまったくなかったんだから。僕はその時、自分が何もない、ってことを知ったんだよ”

私はその時、一時的に“流行りもの”になった自分のことを語りながら、同じように一世を風靡して“流行りもの”になりつつあるスマップのメンバーたちに、忠告してくれたのではないかと思いました。

その、少しも説教臭くない真摯な語り口に、今は大変少なくなった、本物の“大人の男”だと思ったのを覚えています。

かつて、『はぐれ刑事純情派』の連続シリーズが一応の最終回を迎えたとき、藤田氏はこのようなことをおっしゃっていました。

“でも、スペシャルでまたお会いすると思います。《帰ってきた安浦刑事》《またまた帰ってきた安浦刑事》……(中略)……《もうええやないか安浦刑事》”

ほんとうに、“もうええやないか”まで、やっていただきたかったです。

ご冥福を、心からお祈り申し上げます。

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5 コメント

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ご無沙汰しておりました[E:coldsweats01] (エラテイト・シン)
2010-02-23 01:24:54
ご無沙汰しておりました[E:coldsweats01]
ホント、『必殺』シリーズ好きには、晴天のへきれきだった、藤田さんの訃報…
『必殺』制作の母体となったのは、かつての映画会社、大映の倒産後に出来た京都映画でした。
その縁からと思われますが、映画監督・三隅研次さんがシリーズ初期には大きな役割を果たしていました。第一作『仕掛人』で、殺し屋の主役に悩んでいた緒形拳さんに…
「拳ちゃん、人を殺すような顔して殺さんと、ええのやで」
と、サジェッションしたのだそうです。

藤田さんにしても、中村主水初登場となった、第二作目の『仕置人』で、撮影初日に…
「これは時代劇じゃない。現代劇だと思ってやってくれ」とおっしゃったのだとか。
また、後日藤田さんに…
「この役をちゃんとやれば、あんたの一生モンの役になるで」ともおっしゃったのだとか…

今までに無い、全く新しいものを作る時、今までの経験を踏まえた上で、更に新しい何かを考えつく、そういう職人的な人がいなくなってしまった事が…『必殺』シリーズのみならず、映像作品の質を痩せさせてしまったように思えて…[E:weep]

藤田まことさんのご冥福を、お祈り申し上げます。
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う~ん[E:coldsweats01] (エラティト・シン)
2010-02-23 12:47:52
う~ん[E:coldsweats01]
藤田さんの訃報を悼んだコメントになってなかったですね[E:coldsweats01]
実を言えば、「仕事人」以降のシリーズの、作品の出来と、世間でのもて囃され方に、かなりの違和感を抱いているもので…[E:weep]

「藤田まことと言えば『必殺』」「『必殺』と言えば『仕事人』」…と、言うのに、少し反抗したくて…[E:weep]
藤田さんの生前のコメントで「道端で立ちションしててもいい役、それが中村主水[E:wink] スターさんには出来ない役だった。僕にこの役が来て、良かった…[E:confident]」というのがあって…

個人的に、みっともない姿がカッコ良く変身するカタルシスを味わえるのが、シリーズ第七作目に当たる「仕業人」という作品だと思ってます[E:confident]
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お久しぶりです[E:confident] (雨ふり猫@管理人)
2010-02-23 22:03:01
お久しぶりです[E:confident]
それにしても、『必殺』シリーズにすごく思い入れがあるんですね。
私はほぼ全く観ていない、と言った方が近いので……。
でも、みっともない姿がかっこ良く変わるカタルシス、というのは、何となく分かる気がします。
オデッセイアから最近のアニメまで、そういうシーンの出てくるストーリーは多いけど、いずれもスカッとするんですよね。
そうして、その語り方見せ方でも、そのシーンの深みは違ってくるのでしょうが、少しその『必殺』シリーズのそれぞれの違いを、知りたくなりました。
返信する
いや、お恥ずかしい[E:coldsweats02] (エラティト・シン)
2010-02-25 20:19:33
いや、お恥ずかしい[E:coldsweats02]

実は群馬テレビでは、第一作「仕掛人」から始まって、中村主水が出て来る作品をずっと放送しているんです[E:coldsweats01](現在は「仕事人」第一シリーズをやってます)週に一度のお楽しみ、といった感じで、シリーズそれぞれの作品の変遷を観ていったものですから…
「ああ、この作品は前の作品と、こういう所を変えようとしたんだな[E:confident]」
「シリーズ全体を後から振り返ってみたら、やっぱりこの作品がターニング・ポイントだったなぁ…」
などなど[E:coldsweats01]
それでしみじみしたのは、「ワタシ、やっぱり『必殺』好きなんだなぁ…[E:coldsweats02]」という事だったのでした[E:coldsweats01]

「仕事人」第一シリーズは結構長いシリーズでしたから、まだ今からでも間に合います[E:coldsweats01]
「中村主水=『仕事人』」が確立する前の、試行錯誤をご覧になってみて下さい[E:confident]
ある意味、歴史の目撃者気分を味わえると思います[E:coldsweats01]
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なるほどぉ[E:happy01] (雨ふり猫@管理人)
2010-02-25 21:53:35
なるほどぉ[E:happy01]
でもウチ、なぜか群馬テレビがよく映らないことがあるんですよね……[E:wobbly]
(夜は比較的いいみたい。電波の関係?)
でも、機会があったら観てみます。
若い藤田さんにお会いしたいです[E:confident]
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