あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

懐かしさとみずみずしさと。 『少女漫画』

2010-01-24 23:25:06 | アニメ・コミック・ゲーム

少女漫画 (クイーンズコミックス) 少女漫画 (クイーンズコミックス)
価格:¥ 880(税込)
発売日:2008-02-19

これは、高校の先輩に貸していただいた本です。

借りたままになっていて、今日お返しするために、昨夜あわてて読みとおしました。

『ベルサイユのばら』や『ガラスの仮面』など、作者の方がリスペクトしている作品をテーマに、描かれた短編コミックを集めたオムニバス集。

私にとっても懐かしい作品がほとんどで、ショートストーリーのどれもが味わいのあるものでした。

けれど、私がやはり一番好きなのは最後の1編『少女漫画家たち』。

それまでの短編それぞれに、狂言回しとまではいかないけれど、ちょっと顔を出す“俵あん”という少女漫画家の女性(27歳)がいるのですが、最後のストーリーは彼女が主人公になる。

描き手が主人公にまわったこの物語は、ものを創ることの難しさを、しみじみ考えさせられました。

ものを創り上げるのは、結構しんどいことだから、自分が“センスがいい”“才能がある”と信じなければ続けられない。

けれどその一方で、自分を冷静に客観視して、ダメな部分を見つめて修正するのは、なんて難しいことなのか。

本気で何かを成し遂げようとするなら、そんな苦労は当たり前、かもしれないけれど、なんだか胸苦しくなる思いもあって。

そうして、自分が本当に書きたいものを描かなければ意味がないかもしれないけれど、それを、他人にとっても見たいもの、面白いものにすることの厳しさ。

けれど、作品の端々に前向きな瑞々しさがあって、読後感はさっぱりしています。

それに、怖ろしく大胆な詩神(ミューズ)いや、少女漫画の女神か、そのユーモラスさも結構好きです。

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4 コメント

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はい、私も「少女漫画家たち」にしみじみしました… (エラティト・シン)
2010-01-27 23:27:22
はい、私も「少女漫画家たち」にしみじみしました…
ただ…私がしみじみしたのは、表現者達の悩み・葛藤の部分ではなく(いや、根っこではつながっているかもしれませんが)、“他者から認められたければ、他者を認めなくてはいけない”という事に思い至る前の俵あんの姿でした。
自分の価値観・センスを正しいと信じ、ウィットに富んだコメントをしているつもりで、他者の地雷を容赦なく踏む…[E:coldsweats01]
自分というものにこだわり続けている間は、自分を愛してもいない、という事なのかも…と。

青池保子さんの文庫本「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」と、「山岸涼子スペシャルセレクション 『わたしの人形は良い人形』」を買ってしまいました[E:coldsweats01]
青池さんの本は、これから読む、という事で[E:coldsweats01]
山岸さんの本は、収録作品の一つである「白眼子」を目当てに買いました。
以前、別の文庫本で読んで、落涙[E:weep]した作品だったんです。
山岸涼子の漫画で泣いたのって、これと、「木之花咲耶姫(←漢字表記、間違っているかも…[E:coldsweats02])」位です[E:coldsweats01]
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山岸涼子氏の作品は、高校生の時友達が貸してくれ... (雨ふり猫@管理人)
2010-01-30 23:36:36
山岸涼子氏の作品は、高校生の時友達が貸してくれた『日出処の天子』にちょっとハマりました。
短編もいくつか読みましたが、正直、私には怖すぎる話が多く、再読する勇気が出ませんでした[E:shock]
『天人唐草』とか、ホラーの範囲内でないものも怖い[E:bearing]正直、絵も怖い[E:despair]
凄い作家だとは思うのですが……[E:bearing]
落涙する作品があるとは知りませんでした。
また、シンさんのコメントとは直接関係ないのですが、ふと連想したことがあるのでまた後日書きます[E:confident]
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「天人唐草」…怖かったですね~[E:crying][E:sweat01] (エラティト・シン)
2010-02-03 13:19:03
「天人唐草」…怖かったですね~[E:crying][E:sweat01]
ただ父親から愛されたかっただけで、父親の価値観にあまりに従順だったばかりに、主人公がラストに陥った落とし穴の、なんと深く、恐ろしかったことか…[E:coldsweats02]しかし、今の若い女性読者からはどの程度、他人事ではない、切実なリアリティのある物語として読まれているのか、知りたい気がします。
あの主人公ほどに、今の若い女性が、父親(=男性)の価値観に従順でなければ自分には愛される価値は無い、と思い込む程、父親(=男性)に対して、尊敬の念や畏怖の念を持っているようには、思えないので。
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怖かったです[E:weep] (雨ふり猫@管理人)
2010-02-03 16:37:08
怖かったです[E:weep]
タイトルは忘れちゃいましたが、鬼の話も怖かったです[E:sad]
でもたしかに、今の時代はピンとくる人が少なくなっているのかもしれませんね[E:think]
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