聖トーマス教会に於ける「マタイ受難曲」より第1部の映像、その試作品を鑑賞。限られた条件での撮影としては上々と思われる。アングルやカットの選択など、言い出せばキリはない。わたし自身、演奏に集中していたため、カメラワークにまで助言する余裕はなかった。いまは、この映像が存在する、ということだけに感謝しなくてはならないだろう。
まだ音声はダビング前、カメラ内臓マイクよる仮のものだが、この残響たっぷりの音は、あの日お客様の聴いた音に近いような気もする。これはこれで別バージョンとして保存したいくらい。
改めて、演奏はよい。少なくともレチタティーボとアリアに関しては、歴史的名盤の数々に肩を並べることのできる名演中の名演であると確信する。コーラスについては、本来の実力を遥かに上回るパフォーマンスとなったことを祝福するのみ。
自分の指揮法については、自分で想像していたより無駄な動きが多く、今後はより無駄を削ぎ落としゆこう、と決心したところ。
とまれ、現時点で一般公開や発売の予定のないことは惜しまれる。というより、公開するためには演奏家たちとの契約を覆す必要があり、かなりの手間暇がかかる。しかも、交渉に成功する可能性は高いとも言えない。いずれ、その時の訪れることを信じたい。