たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』より-イギリス文学-「太古からの平和がただよえる故郷」-テニスン『芸術の宮殿』より

2022年05月04日 19時17分28秒 | 『赤毛のアン』

『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』より-物語の舞台アヴォンリーは、シェイクスピアの生地
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/c/b9d27633d799a1d66125583bbf39ac15


『赤毛のアン』がおしえてくれること
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/5a0d2f2e92ae7ed2832889bfc20a23b7





「『アン』の最終章(第38章)をご覧いただこう。これは、進学を断念したアンが、マシューのお墓参りをして、小高い丘の上から夕陽に染まるアヴォンリーを、しみじみと眺める場面だ。

 次の日の夕方、アンは小ぢんまりとしたアヴォンリーの墓地へ出かけていった。マシューのお墓に新しい花をそなえ、スコッチローズに水をやった。そして彼女は、この小さな墓地の穏やかな静けさを心地よく思いながら、薄暗くなるまで、佇んでいた。ポプラの葉が風にそよぎ、そっと優しく話しかけるように、さやさやと鳴った。思うままに墓地に生い茂っている草も、さわさわと揺れてささやきかける。アンがようやく立ち上がり、《輝く湖水》へ下っていく長い坂道をおりる頃には、すでに日は沈み、夢のような残照の中に、アヴォンリーが横たわっている。それはまさに、🌹「太古からの平和がただよえる故郷」だった。クローヴァーの草原から吹く風は、蜂蜜のようにほの甘く、大気は、すがすがしかった。あちらこちらの家々に明りが灯り、屋敷森をすかして、ゆれていた。遠くには、海が紫色にかすみ、潮騒の音色が、絶え間なく寄せてはかえし、かすかに響いている。西の空は、陽の名残にまだ明るく、柔らかな色合いが微妙に混じり合っていた。池の水面は夕空を映して、さらに淡く滲んだ色に染まっている。このすべての美しさに、アンの心はふるえ、魂の扉を喜んで開いていった。

 「私を育ててくれた懐かしい世界よ」アンはつぶやいた。「なんてきれいなんでしょう。ここでいきていること、それが私の歓びだわ」

第38章「道の曲がり角」」

 このシーンは、アンのかすかな哀愁が、穏やかな諦念へかわり、そして静かな満足感へと移ろっていく、デリケートな描写がなされる。モンゴメリは、複雑な心理描写とは無縁な児童向け作家と思われているが、原文をきちんと訳してみると、情感豊かな描写をしっとりと表出している。

 村岡花子氏訳(新潮文庫)は10代の若い読者が読むにふさわしい名訳だが、省略された場面もいろいろあり、たとえばここにあげた場面も訳されていない。初めてこのシーンを読む読者もいるだろう。

 この場面の案は、マシューの墓参りをして、一人で夕陽のなかに佇み、来し方をふりかえり、行く末に思いをはせている。ほんの数か月前、クィーン学院を卒業した時、アンの未来は薔薇色だった。成績優秀で卒業し、教員免状を手にした。さらに四年制大学への奨学金も獲得して、英文学で学士号をとるという夢が、将来にはきらきらと輝いていた。マシューもマリラも元気で、何の憂いもなかった。しかし今、アンは思いもかけなかった別の道を、歩き始めている。そんな場面である。

 🌹「太古からの平和がただよえる故郷」は、引用符でくくられてる。

 原書のテニスン詩集を探したところ、『芸術の宮殿』の88行に同じ一節があった。次に、日本語訳を、国会図書館で数日かけて総ざらいして調べたが、残念ながらなかった。日本では、英米詩の多くが訳されていないのだと、あらためて思い知る。

 しかし幸いなことに、『テニスン研究』(西前美巴著、中教出版)に、詩のあらすじが紹介されていた。この本の記述を参考にしつつ、拙訳をまじえてご紹介しよう。」

 (松本侑子著『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』、166-168頁より)
                           
                                    ⇒続く
 
  






コロナワクチンと不妊

2022年05月04日 10時07分57秒 | 気になるニュースあれこれ
「コロナワクチンには複数の異なった機構で生殖系を阻害、または攻撃、損傷する可能性があるわけです。むしろ効率的に不妊を起こしかねません。」

https://note.com/hiroshi_arakawa/n/n44594afefc84