2018年ミュージカル『ジキル&ハイド』(5)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/685570dcad8847846358dae14d4dd5f4
(東京国際フォーラム公演プログラムより)
「エマ・カレー役;宮澤エマ
-ジキルを愛し、北極星のごとく希望の光を放つ-
ロンドン一の美女として羨望の眼差しを受け、地位が高く、穢れも嫌味もないヒロインを演じる難しさを実感しています。これまで演じてきた役は一風変わっている人物が多かったので、今回は自分の斜に構えた部分を封印して、まっすぐにいなければいけませんね。
お稽古を重ねて感じるのは、エマの根底にある究極のポジティブさです。周りが全員反対する中、ジキルを信じて疑わず、自信を持って選べる強さ。そこには上流階級の人が持つ無自覚な自信だけでなく、生まれ持った芯の強さもあるでしょう。婚約パーティで嫌味を言われても、ウィットに飛んだ返事ができる。一歩間違えば疎外されかねないのに、それほどまでにジキルに自信があったのかもしれません。その一方で、エマ自身は自由になりたいという渇望も抱えています。父親の強い愛情が多少窮屈であること、また貴族社会や貴族のあり方に満足できず、偽善的な慈善事業をするより、医学の力で人々に尽くそうとするジキルに共感し、支えたいと思ったのではないでしょうか。
山田さんがおっしゃるには、ジキルとエマは「ありのままの」で究極にハッピーで、そこからどんどん遠ざかってゆくと。ジキルが生命を賭けてハイドと対決しようとする、その希望の光がこのシーンなんです。お稽古を始める前は、成長物語としてエマが変化することも考えていましたが、もしエマが変わったらジキルにとっての希望の光、北極星になれない気がして。エマだけはこの物語で唯一ぶれない存在として、ジキルを心の底から愛し、生き抜かなければならないと今は考えています。「あれは夢」はジキルに冷たくされて、初めて揺らぎ振り返るナンバー。それでも最後にはポジティブに戻るこの一曲で、エマのドラマと人間性をお見せできたら。
この物語は答えを出さないことに意味があるような気がします。善悪を分けるとはどういうことか、人は生きて行く中でより良い選択がわかっていたとしても感情ではそうはいかないとか。ジキルの実験では、ハイドが完全に悪でジキルは善だったのか。結末を見ても、一体何が悪だったのか、ずっと揺さぶられ続けて答えが出ない。その余韻を楽しみ、思い巡らしていただけたら嬉しいです。」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/685570dcad8847846358dae14d4dd5f4
(東京国際フォーラム公演プログラムより)
「エマ・カレー役;宮澤エマ
-ジキルを愛し、北極星のごとく希望の光を放つ-
ロンドン一の美女として羨望の眼差しを受け、地位が高く、穢れも嫌味もないヒロインを演じる難しさを実感しています。これまで演じてきた役は一風変わっている人物が多かったので、今回は自分の斜に構えた部分を封印して、まっすぐにいなければいけませんね。
お稽古を重ねて感じるのは、エマの根底にある究極のポジティブさです。周りが全員反対する中、ジキルを信じて疑わず、自信を持って選べる強さ。そこには上流階級の人が持つ無自覚な自信だけでなく、生まれ持った芯の強さもあるでしょう。婚約パーティで嫌味を言われても、ウィットに飛んだ返事ができる。一歩間違えば疎外されかねないのに、それほどまでにジキルに自信があったのかもしれません。その一方で、エマ自身は自由になりたいという渇望も抱えています。父親の強い愛情が多少窮屈であること、また貴族社会や貴族のあり方に満足できず、偽善的な慈善事業をするより、医学の力で人々に尽くそうとするジキルに共感し、支えたいと思ったのではないでしょうか。
山田さんがおっしゃるには、ジキルとエマは「ありのままの」で究極にハッピーで、そこからどんどん遠ざかってゆくと。ジキルが生命を賭けてハイドと対決しようとする、その希望の光がこのシーンなんです。お稽古を始める前は、成長物語としてエマが変化することも考えていましたが、もしエマが変わったらジキルにとっての希望の光、北極星になれない気がして。エマだけはこの物語で唯一ぶれない存在として、ジキルを心の底から愛し、生き抜かなければならないと今は考えています。「あれは夢」はジキルに冷たくされて、初めて揺らぎ振り返るナンバー。それでも最後にはポジティブに戻るこの一曲で、エマのドラマと人間性をお見せできたら。
この物語は答えを出さないことに意味があるような気がします。善悪を分けるとはどういうことか、人は生きて行く中でより良い選択がわかっていたとしても感情ではそうはいかないとか。ジキルの実験では、ハイドが完全に悪でジキルは善だったのか。結末を見ても、一体何が悪だったのか、ずっと揺さぶられ続けて答えが出ない。その余韻を楽しみ、思い巡らしていただけたら嬉しいです。」