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たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ちひろ美術館_「まるごとちひろ美術館」展に行ってきました(2)

2015年11月15日 23時44分15秒 | いわさきちひろさん
 ちひろさんの『戦火のなかの子どもたち』『絵のない絵本』の原画に涙した日の夜、インターネットのニュースでパリの襲撃事件のニュースを知りました。世界はますます混沌としてきています。日本もよその国のことではない状況になりつつあるはずなのに、なんだか早くも商業的なクリスマスムードがつくられていて違和感をおぼえてしまいます。

 パリの中心部、地図を見るとルーブル美術館から近かったりするようで、私も行ったことがあるだけに、ヨーロッパも安全ではなくなったのだとあらためて気づかされました。カフェの写真、私が宿泊先のホテルから一人で地下鉄に乗って行った、サルトルらが集ったというデュ・マ・ゴネと同じ光景、当たり前すぎるパリの街の風景。本当に世界は混沌とするばかりです。ネットのニュースをいろいろと読みながらちひろさんのこんな言葉を思い出しました。

「もちろんこの地球上に人間が安心して暮らせるところがあるなどとは、私もずっと前から思わなくなっていたけれど。」

昭和53年発行の『ちひろのことば』からの引用で、全文は下記ブログで紹介しています。


http://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/dd9858ecf24c02fc21102ed4fd154ec4


「世界中のこどもみんなに平和としあわせを」ということばを残されたちひろさん。どんな思いで今の日本を、世界をご覧になっているでしょう。

 「ちひろさんが画家として立つきっかけとなった紙芝居『おかあさんの話』(アンデルセン作)の原画は存在せず習作一点しか残っていません。ちひろの絵を職人が写し取って版を作る、かき版という方法で印刷されました。この紙芝居がちひろの筆をそのまま伝えているとはいえませんが、初期の画風を知る上では貴重な資料です。ちひろはこの作品で、1950年に文部大臣賞を受賞しました。」(『ちひろのアンデルセン』講談社文庫より)

 貴重な一枚をみることができました。アンデルセンの作品はハッピーエンドではありませんが、紙芝居ではおかあさんが子どもと出会って終わる物語になっていると解説にありました。

 『おやゆびひめ』『絵のない絵本』の他に、文庫版の本で繰り返しみてきた「アトリエの自画像」「暖炉の前で猫を抱く少女」「毛糸を編む少女」の原画との出会いも嬉しかったです。原画でしかわからない赤い色のにじみ具合、紙のしわなど、ちひろさんが描かれたものそのものなのだと思うと、ちひろさんと対話しているような言葉にならない思いがありました。

 昨日の続きを書こうとしていましたがあまりまとまりませんでした。『おやゆびひめ』『絵のない絵本』『戦火のなかの子どもたち』からまた書きたいと思います。

 ちひろさん、55歳での旅立ちは本当に早過ぎました。世界はもっとちひろさんの絵が必要でした。空から世界を見守っていてくださいと祈りたいと思います。