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没後90年記念 岸田劉生展 名古屋市美術館

 
名古屋市美術館で開催中の「没後90年岸田劉生展」を鑑賞しました。
 
岸田劉生と言えば愛娘を描いた麗子像が有名です。今回は重要文化財の麗子微笑が2月26日まで限定展示されています。劉生は、日本の近代洋画に多大な影響を与えた日本を代表する洋画家で38歳で急逝され画業生活も短い画家でした。
 
僕自身もやはり、あの妖艶などこか怖いイメージのある麗子像が浮かぶのですが、今回の展覧会では劉生への数々の新しい発見がありました。先ずは、麗子像と並ぶ自画像の多さ、斜に構えた眼鏡をかけた武骨な顔立ちの自画像、一見するとその写実性から同じような作品に見えるのですが、よく見ると自画像の中に画風の変遷を感じます。端的には風景画や静物画にも見られるのですが劉生は、晩年の麗子像にいたるまでに、西洋絵画の美術史の中にある絵画技法を用いているのです。それは、セザンヌの影響を受けたと言える印象派の画風であったり、古典絵画の極めて細密な画風のなど様々な画風を実験的に挑んでいることがわかります。さらに劉生や洋画ののみならず、日本画や水墨画にも挑戦していて、どの作品も劉生の特色がよく表れていました。
 
そして、彼の代表作である麗子像です。茶や黒の暗い背景に赤や黄色の中心にした着物や毛糸のガウン。おぱっか髪に、切れ長の眉毛とふくらみのある頬。一見するとおどおどしいイメージのある童子の姿が、実際に観るとすべてはバランスよく配置され麗子の優しいさと童子の中に秘めた母のような慈愛を感じます。まさに劉生の麗子像は彼自身の完成形であることがよく理解できました。
 
150余点の珠玉の作品が一堂に介する展覧会は、今回の名古屋展で最終となる劉生展、様々な麗子像と共に新たな劉生像を発見してみてはどうでしょうか。



 

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