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民主党と外交―大きな構えで論戦を挑め(和文、朝日)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu1

 米国の駐日大使が野党の民主党本部を訪ね、対テロ活動での協力を要請する。代表は大使に向かって米国の政策を公然と批判する。その模様はすべてメディアに公開される――

 これまでなら想像もできなかったことである。焦点は、11月1日に期限が切れるテロ対策特措法の延長問題だ。政府・与党は延長が既定路線だったが、参院で過半数を失った結果、民主党の協力を仰がざるを得なくなった。

 6年前の9・11テロから1カ月後、米国はアフガニスタンを攻撃した。国際社会は支持し、日本も海上自衛隊をインド洋に送り、対テロ行動に参加する各国艦船に給油する活動を始めた。

 米国としても、日本を戦列にとどめおく意味は大きい。小沢代表に対し、シーファー駐日大使は「機密情報でもどのような情報であれ、提供する準備がある」とまで述べて、協力を求めた。

 与党側はすでに、自衛隊の活動についての情報開示や、特措法の一部修正にも前向きの構えを示している。

 日米関係や安全保障で、これほど政府・与党が野党に歩み寄る姿勢を見せることが、かつてあっただろうか。

 政府・与党には、参院で否決されても衆院で3分の2の多数で再可決する道は残されているが、あくまで最後の手段だろう。必要な情報が開示され、真剣な論戦が交わされる。修正もある。そんな緊張感のある国会審議になれば、対米関係をめぐる日本の政治の風景は大きく変わるに違いない。

 民主党は以前からテロ特措法に反対してきた。参院選の大勝を考えると、この立場を維持するのは当然だろう。しかし、一法案の是非にとどめず、イラク戦争への評価を含めて、対米外交を根本から検証する機会にすべきだ。

 イラク戦争は、大義だった大量破壊兵器が存在しなかったばかりか、戦後のイラクはずたずたの状況だ。中東全域が不安定になっている。日本もこの戦争を全面的に支持した。この失敗について、まともな総括も反省も行われていない。

 インド洋とイラクでの自衛隊活動の詳細も明らかにしてもらいたい。イラクで活動する航空自衛隊は、何を運んでいるのか、どのくらい危険な業務なのか。文民統制の主体である国会がないがしろにされてきたのを、ただす必要がある。

 そうした検証の上で、日本の行動がテロをなくし犠牲を防ぐことに本当に役立っているのか、日本がやるべきことは何かをしっかり議論すべきだ。

 民主党には、米国にもの申す姿勢を世論に印象づけようとの狙いがあるのは間違いない。特措法をてこに安倍政権を追い詰める思惑もあるだろう。

 そうした要素は政治につきものだが、それだけが外交をかき回すことは好ましくない。民主党は政局の思惑を超えた外交の選択肢を示さねばならない。大きな構えの外交論議をしかけていくべきだ


 記事は不偏不党の事実報道でなければならない。
 ただし社説には、その新聞がもっている価値観が出てきてもよい、むしろ価値観が読者に伝わるように書かれるべき。

 それなのに、筆者の読解力が不足しているせいかこの社説を何度読んでも、朝日新聞はテロ特措法をどう考えているのか分からない。
 テロ特措法の話なのに、『イラク支援法』に基づいているイラクを持ち出してみたり、海上、航空自衛隊がホームページで公開している内容を、改めて「明らかにしてもらいたい」と書いたり、自衛隊に対する最高指揮権を持っている筈もない国会が、なぜか文民統制の主体になっていたり、レトリック(勘違い?)と突っ込みどころを撒き散らしながら社説は驀進する。
 それでも最後の段落までは、まだ「テロ特措法を議題に対米外交の見直しを」と言いたいのかもしれないと思える。まあそれもテロ特措法そのものに対する考えではないが、ここでは置く。
 止めは最後尾の一文「それだけが外交をかき回すことは好ましくない」そして「大きな構えの外交論議」。
 それまで主語をたくみに隠し、論旨をぼかしながら、「対米外交の見直し」という印象操作を進めつつ、次の文章で「外交をかき回すことは好ましくない」、オチと呼ぶにはあまりにも豪快。

 朝日新聞の価値観として、「反米」というのだけは辛うじて分かった。戦後、紙の為にGHQに一時屈したとはいえ、戦前からの一貫したスタンスといえる。


 尚、テロ特措法関係では、下記の社説が白眉といえる。

テロ特措法*延長の理はどこにある(和文、北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/42673.html

「海自の仕事の大半を占める給油の実績は四十八万キロリットルに上る。うち三十八万キロリットルが米軍向けだ。」と詳細な情報を書いておきながら、同じ口で「政府は「作戦にかかわること」などとして海自の活動の詳細を公表していない」と主張。北海道新聞さんはどのようにして公表されていない情報を入手したのでしょうか?
 更に「ピーク時には四万キロリットルあった毎月の給油量も、ここ一年は一千-四千キロリットルに大きく減少している。これ以上、海自が居残る意味がどれほどあるのか。」と疑問を呈しながら、「イラクやアフガニスタンの現状を見れば、武力にものをいわせた米国の対テロ戦争が、決してテロ制圧につながっていないことは明らかだ。」と言い切る始末。海自がいなくともいいと北海道新聞さんが判断する程給油量が減っているのならば、テロ制圧の効果が上がってきているということだとしか考えられない。
 このような自爆というか、自家撞着が微笑ましい。
 タイトルでいきなり国連決議を無視してしまう地方紙なので、生暖かく見守ろう。


 民主党の反対について。現在の方法と同じ効果でより低コストな代案を思いついているのなら、それを提示した上で反対するべき。ただ、アメリカが嫌いだから、政府を困らせたいから、対テロに反対する、イラク派遣に反対するというのではあまりにも無責任でありといえる。
 民主党の中の人も政権交代なんぞ真っ平だと思っているから、こういう国民からあきれられるような発言をしているのだろうと邪推する。

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