路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・09.04】:知ってしまった者の責任 性加害問題とメディア

2023-10-02 08:01:10 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【大谷昭宏のフラッシュアップ・09.04】:知ってしまった者の責任 性加害問題とメディア

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・09.04】:知ってしまった者の責任 性加害問題とメディア 

 ジャニー喜多川氏(故人)による性加害問題で、前検事総長ら外部の特別チームは「40年超に及び、被害者は数百人という証言もある」とする報告書をまとめた。その中でメディアの責任にも言及。「事務所は批判がないことから自浄能力を発揮できなかった」とした。

 この点に関して国連人権理事会はもっと手厳しく、「日本のメディアはもみ消しに加担したと伝えられている」と指摘している。

 こうした批判が渦巻くなか、私は旧知のテレビ朝日の玉川徹さんの発言に少なからず心を動かされた。

 「ぼくは、少なくとも週刊文春の裁判のあと、性加害の事実認定があったことは知っていたわけです。だけど、ぼくの仕事じゃないなと思っていた。間接的に逃げていたのかなって」

 この言葉に胸に手を当ててみた記者やテレビ人も少なくないのではないか。私自身、こうした問題に限らず、さまざまな場面で「それをぼくに言われてもなあ」と何度受け流したことか。

 そんなとき、この性加害問題をいち早く紙面で取り上げた大久保真紀朝日新聞編集委員が、2年前の5月、さわやかな季節に日本記者クラブ賞を受賞された際の一文を、このコラムで紹介したことを思い出した。

 大久保さんは〈理不尽な社会の中で、懸命に生きている人たちに吸いよせられるように取材を続けてきた〉としている。

 そのうえで、それを書き続けることは〈知ってしまった者の責任〉と、きっぱりと言い切っている。

 いまさらながらの私を含め、今回の件は多くのメディア関係者に〈知ってしまった者の責任〉を長らく問い続けることになるはずだ。

 

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年09月04日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.28】:時間かかっても原発ゼロにするしかない

2023-10-02 08:01:00 | 【東京電力福島第一原発事故・放射能汚染・処理水の海洋放出問題と環境汚染

【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.28】:時間かかっても原発ゼロにするしかない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.28】:時間かかっても原発ゼロにするしかない 

 「決して賛成ではないけれど、反対はしない」。私はテレビなどでこのようにコメントしている。福島第1原発処理水の海洋放出が、ついに24日から始まった。

 「安全性への理解は深まった」としながらも、「科学的安全と社会的安心は違う」とする全漁連会長の言葉に、震災から10年、このコラムに福島の道の駅で見かけたミニトマトについて書いたことを思い出した。

 他県産と同じ値をつけたまっ赤なトマトに、町の職員は「やっとここまできた」と顔をほころばせた。大気や海洋、土壌汚染、子どもの甲状腺…。それらが報じられるたびに農産物は買いたたかれ、嫌というほど思い知らされた風評被害。

 そしてこのたびも、そんな風評被害で福島を苦しめるなと政党や市民団体の人々が東電や福島県庁前に立つ。だが手にしたボードには「処理水」ではなく、決まって「汚染水」と大書きされている。それを目ざとく報じる中国など一部の国々。福島の生産者や、あの日、道の駅でミニトマトを前にした町の職員はこの光景をどんな思いで見ていることか。

 問題の本質は、そこにないはずだ。2度とこんな事態を引き起こさないことではないのか。そのためには脱原発。新規建設はもちろん、再稼働もとんでもない。時間がかかろうとも、原発ゼロの国にするしかない。

 この時期、多くの人々の胸に去来する、詠み人知らずの句がある。

 〈八月は六日 九日 十五日〉

 そこにそこに「過ちは 繰返しませぬから」の思いを込めて、「二十四日」をつけ加えたらどうだろう。海洋放出が続く向こう30年間、せめてこの日を忘れずにいたい。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年08月28日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:医師の過労自殺 命を守る働き方改革に

2023-10-02 07:33:50 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説①】:医師の過労自殺 命を守る働き方改革に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:医師の過労自殺 命を守る働き方改革に

 過重労働を強いられた若手医師が昨年自殺し、今年6月に労災と認定された。患者の命を救うはずの医師が自ら命を絶つ過酷な就労環境を放置してはならない。政府や医療界は医師の長時間労働是正に真剣に取り組む責務がある。

 神戸市の病院に勤務する26歳の男性医師は、亡くなる前月の時間外労働が200時間を超え、休みも100日間取れなかった。労災認定基準を大きく超えている。
 
 労働基準監督署は男性医師の自殺は長時間労働で精神障害を発症したことが原因と認定。一方、病院側は、労働に当たらない「自己研さん」の時間も含まれており、過重な労働の負荷があったとは認識していないと主張している。
 
 男性医師は専門的な研修を受けながら診療に当たっていた。学会で発表する論文準備にも追われていたという。自身の技能を磨く時期ではあったが、雇用する病院には働く人々の健康や労働時間を管理する責任があるはずだ。
 
 全国医師ユニオンなどが勤務医対象に行った就労状況調査では、昨年4月の休日は4人に1人が3日以下の違法状態。健康状態に不安のある人は約53%を占め、死や自殺について約24%が「時々」、約7%が「頻繁」に考えると答えた。医師らの過剰な献身で医療が支えられている実態が分かる。
 
 医療界でも来年4月から「働き方改革」が始まる。一般勤務医は年960時間、地域医療を担う勤務医や研修医は年1860時間が残業時間の上限となる。一般の残業時間上限は原則年360時間、最大年720時間だ。医療確保のためとはいえ過労死を招きかねない上限設定自体に疑問が残る。
 
 自己研さんも含め医師業務は労働か否かの線引きが難しい。夜間や土、日曜日に待機する宿日直は労働時間とみなされないが、実際は救急診療を担う場合もあり過重労働の温床となっている。「隠れ労働」を解消しなければ医師の健康は確保できず、医療の質の低下も招く。
 
 政府や医療機関は、医師の労働実態を正確に把握することはもちろん、医師以外の人材が診療の一部を担う「タスクシフト」の拡大や、情報通信技術(ICT)活用による効率化など、医師の負担軽減を積極的に進めるべきだ。
 
 医師らの健康と医療の質の確保を両立してこそ「働き方改革」の名に値する。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月02日  07:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ

2023-10-02 07:33:40 | 【世界遺産(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)(世界遺産条約)...

【社説②】:「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が、長崎市の端島(はしま)(通称・軍艦島)を含む文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に関する日本の取り組みを認める決議を採択した。

 朝鮮半島出身労働者に関する説明が不十分と指摘した2021年の決議から一転した形だが、韓国など関係国との対話の継続も促しており、日本政府は引き続き誠実な対応に努める必要がある。
 
 産業革命遺産が15年に登録される際、韓国が軍艦島の炭鉱などでの朝鮮半島出身者の強制労働を理由に反対したため、日本側は「犠牲者を記憶にとどめるために適切な対応を取る」と約束した。
 
 日本政府は「産業遺産情報センター」を東京都内に設置したが、朝鮮半島出身労働者への差別的対応はなかったとする元島民の証言を紹介したため、韓国側が反発。ユネスコも21年の決議で日本側の説明に不備があるとして「強い遺憾」を表明していた。
 
 今回の決議は、同センターに犠牲者を追悼するコーナーを設置するなど戦時徴用を巡る展示を充実させた日本側の対応を評価する一方、調査や検証をさらに行い、24年12月までに追加報告するよう求めてもいる。
 
 これは、ユネスコが日本の対応にお墨付きを与えたわけでなく、今後も対応を注視する姿勢を示したことを意味する。
 
 韓国政府は「遺産の全体的な歴史を理解できるよう解説を強化する、という自らの約束を履行するよう期待する」と表明した。
 
 尹錫悦(ユンソンニョル)政権は日韓関係の強化を重視しており表現は控えめだが、負の側面を含む歴史の全体像を提示する取り組みを続けるよう、日本政府に求めている。
 
 日本が来年の遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟)でも韓国側は徴用問題を指摘する。日本側には「日韓の関係改善が進み、影響は限定的」との楽観論もあるが、日本側の対応次第で韓国が態度を硬化させる可能性はある。
 
 自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい。日本政府には引き続き丁寧な説明と対話継続の努力を求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月02日  07:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える いつの世も弱きを助け

2023-10-02 07:32:50 | 【女性が輝く社会・女性の社会参画・女性差別・女性を取り巻く諸問題】

【社説①】:週のはじめに考える いつの世も弱きを助け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える いつの世も弱きを助け

 伊勢湾、三河湾に面し、丘陵が連なる愛知県・知多半島のちょうどへそ辺り、半田市鴉根(からすね)地区(旧・知多郡成岩(ならわ)町)の小さな公園にひときわ大きな石碑が建っています。この地に、明治から昭和期にかけ、社会から虐げられた人たちのための「救済所」があったことを伝えています。

 立ち上げたのは榊原亀三郎(1868~1925年)。子分70人を従えた俠客(きょうかく)でした。30歳のころ保護司制度の原点をつくった遠州(浜松市)の実業家、金原明善に感銘を受け、後半生を世のために尽くすと決意しました。
 
 山林を開墾し、明治32(1899)年に榊原弱者救済所を設立。捨て子や、家庭から逃げてきた女性、病や老いで家族に見放されたり、罪を償っても行き場がない人らを受け入れました=写真。
 

◆1万5千人の母子ら救済

 成岩町沿革史はこう記しています。博徒の親分、亀三郎が「翻然悔悟」し、救済事業を始めたが、最初は皆、本心を疑った。しかし「熱心久しくして衰えざる」を見て、支援の輪が広がり、創立以来の30年余で、1万5千人を救済した-。驚くべき人数の多さです。
 
 亀三郎の没後、土地、建物は売却され、その存在はほとんど忘れ去られていました。「はんだ郷土史研究会」代表幹事の西まさるさん(77)が偶然、救済所のことを知り、2010年、亀三郎の生涯をまとめた著書を出版。その功績が再評価されつつあります。
 
 当時の新聞や資料を丹念に調べた西さんによると、晩年の亀三郎は「この世に1人の孤児もいなくなり、努力しても飯が食えない人が1人もいなくなるまで、この事業を続ける」と語ったそうです。
 
 現代版の救済所とでも言いましょうか。名古屋市熱田区の「千年(ちとせ)建設」社長、岡本拓也さん(46)がNPO法人「リブ クオリティ ハブ」を立ち上げたのは2022年のこと。虐待を受けていても逃げ場がないなど、シングルマザーが抱える「負のスパイラル」を強く憂いていたからです。
 
 例えば生活保護や児童手当などの行政サービスを受けたり、仕事に就くには住居や住民票が必要。しかし、住まいを見つけるには仕事や蓄えがなければなりません。

 ◆グラミン銀行に触発され

 岡本さんは大学時代に海外を放浪中、バングラデシュで、グラミン銀行のことを知りました。「銀行の常識」では考えにくい貧困女性らに特化した無担保融資と、その高い返済率に驚かされます。
 
 ある女性はグラミン銀から30ドルを借りて鶏を買い、卵を売って週60セントずつ返し、1年後に完済しました。女性は次に100ドルを借りて牛を買い、牛乳を売って、やがて貧困から抜け出したのです。グラミン銀と創設者のムハマド・ユヌス総裁は2006年、ノーベル平和賞を受賞しました。
 
 岡本さんは18年に父親の急逝で会社を継ぎました。その後のコロナ禍で、どこにしわ寄せがいくのかと考えた時、困難に直面する母子への支援を思い付きます。
 
 建設会社ならではの事業は、まず「住まい」から。投資家や銀行から資金を調達し、好立地にある中古マンションをビルごと購入して、リフォーム。虐待などで逃げてきた母子に割安で貸します。スタッフはとことん寄り添い、支援団体や就労にもつなげます。
 
 愛知県内で夫と3人暮らしだった女性(38)は今年2月、3歳の長男が夫から虐待されていることに気付きました。2人目を妊娠中でしたが、別居、離婚を決意しました。
 
 ハブに助けを求めます。離婚協議を進めながら、3月には、岡本さんが管理する名古屋市内のマンションに引っ越しました。家賃は3LDKで4万円台と相場の半分ほどです。児童手当などの申請や免許証の書き換え、銀行通帳の名義変更などについてもスタッフが相談に乗ってくれました。
 
 行政は申請主義、こちらから働きかけないと何も進まないことを痛感したと女性は言います。自分がどこで、どんな支援を受けられるのかも分かりませんでした。
 ハブはこれまでに計38人の母子に住まいを提供し、市民の寄付で食料や日用品も届けています。1日何件もの相談が全国から寄せられています。まだまだ支援の輪を広げねばと岡本さんは言います。
 
 困窮する女性を支えるための法律が来年度、施行されます。女性の地位はいまだ低い。亀三郎が追い求めた社会も、実現してはいません。しかし、どんな時代でも、弱者に温かい手を差し伸べる人がいるのも、この社会なのです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月01日  07:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:現行保険証廃止 「人に優しい」に程遠い

2023-10-02 07:31:50 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【社説①】:現行保険証廃止 「人に優しい」に程遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:現行保険証廃止 「人に優しい」に程遠い

 マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」導入により施設の高齢者や障害者らが苦慮している。「人に優しいデジタル化」には程遠い。政府は現行の保険証維持に政策を転換すべきだ。

 マイナカードの申請や交付時には対面での手続きが必要とされ、施設などで暮らす高齢者らが取得する際の障壁となってきた。
 
 このため政府は8月、自治体職員らが施設などに赴いて申請を受け付けたり、郵送や代理人による受け取りを可能にしたりする交付手順を示した。施設でのカード管理の方法も文書化した。
 
 しかし、これらの対応は現場に負担を強いるものでしかない。
 
 多くの市区町村では従来の窓口業務に出張して申請を受け付ける仕事が加わり、人手不足を懸念する声が出ている。施設側も5年ごとの更新時期やカードの存在を日常的に確認せねばならない。
 
 カードの取得は任意だが、認知症の人たちの意思をどう確認するのかなどは不明なままだ。
 
 視覚障害者も困難に直面している。顔認証機能がある読み取り機の枠に顔を合わせたり、暗証番号の入力が難しいためだ。触覚で数字が打ち込めるキーボード(テンキー)付きの読み取り機はなく、音声ガイドも一部にとどまる。
 
 視覚障害者以外にも、意思に反して身体が動く「不随意運動」のある人が顔認証で入力できない事例が起きている。想定が甘く、障壁をなくすバリアフリーに逆行していると言わざるを得ない。
 
 光回線のインターネット環境が整わない離島や山間地域の医療機関では、マイナ保険証による資格確認ができない。こうした地域のマイナ保険証所有者には被保険者番号などが記された文書を配布するというが、現在の保険証があれば問題はなく、一連の対応はその場しのぎにすぎない。
 
 そもそも高齢者らには、5年ごとに役所でカードを更新すること自体が新たな手間になる。
 
 河野太郎デジタル相は「デジタル化は温かく優しい社会をつくるための一つの手段」と繰り返す。不必要な苦難を弱者に強いる現実こそ直視すべきではないか。
 
 岸田文雄首相は内閣改造後、新任の武見敬三厚生労働相に現行保険証廃止に伴う国民の不安に丁寧に対応するよう指示したが、現行保険証の維持こそ、不安解消のための最善策と考える。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年09月30日  07:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・09.17】:小渕優子氏が涙をこらえる姿は9年前にも…本人だけでなくみんなが忘れていなかった「傷」

2023-10-02 00:10:30 | 【政治とカネ・政党交付金・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会名による政治資金...

【中山知子の取材備忘録・09.17】:小渕優子氏が涙をこらえる姿は9年前にも…本人だけでなくみんなが忘れていなかった「傷」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・09.17】:小渕優子氏が涙をこらえる姿は9年前にも…本人だけでなくみんなが忘れていなかった「傷」 

 かつて「涙は女性の最大の武器」と発言し、批判されたのは小泉純一郎首相だった。当時外相だった田中真紀子氏が、自身の判断をめぐって自民党幹部と会談後、報道陣の前で「一生懸命やっているんですけどね…」と言って顔をゆがめた際のことを念頭に置いた発言。「泣かれると男は太刀打ちできないでしょ」と続くのだが、女性議員が抗議して小泉氏が国会答弁で説明する事態にもなった。

就任会見に臨む自民党の小渕優子選対委員長(2023年9月13日)
就任会見に臨む自民党の小渕優子選対委員長(2023年9月13日)

 自民党の選対委員長に就任した小渕優子氏が9月13日に、党四役の就任記者会見に臨んだ際、9年前に表面化した自身の関連団体の不明朗政治資金支出について問われた際、答える中で声を詰まらせ、涙声になった。カメラのフラッシュの音がいっそう激しさを増す中、小渕氏は「あの時に起きたことは政治家として歩みを続ける中で、心の中に反省を持ちけして忘れることのない傷」「私の今後の歩みを見て頂いた上でご判断いただきたい」と、涙をこらえながら訴えた。

 就任記者会見は、言ってみれば「ハレの場」。そこで涙ながらに話さなくてはならなかったのは、9年前の「」への悔しさ、悲しさなのか…。そんなことを考えながら取材を続けた。

 小渕氏はこの時、泣いたり涙をこぼしたわけではない。ただ「小渕氏と涙」というのは、記憶に残る範囲でこの時だけではなかったように思う。

 第2次安倍政権で経産相に抜てきされた2014年秋、就任直後に週刊新潮の報道で今回の「政治とカネ」の問題が表面化し、辞任に追い込まれた。戦後最年少(34歳9カ月)での初入閣や「初の女性首相」への期待など、それまで日の当たる道を歩いてきた小渕氏にとって、ステップアップの機会とみられていただけに、就任からわずか1カ月あまりの2014年10月20日に行われた大臣の辞任会見には、立すいの余地もないほどのメディアが集まった。小渕氏はその会見でも涙をこらえ、言葉に詰まる場面があった。「こうなった以上、すべてが甘かった。政治家としては一から出直そうと思っている」と語った。辞任後は雲隠れ沈黙が続き説明責任を果たしていない」との批判にさらされた。

 次の説明のチャンスまで1年の時が流れた。小渕氏本人が地元の群馬県で記者会見したのは1年後の2015年10月20日。その前日に、小渕氏の依頼で設置された第三者委員会の記者会見も行われ、委員長を務めた元最高検検事の弁護士は、小渕氏の監督責任は認めつつ、小渕氏自身が直接不正に関与していないため「不正処理に関する法律上の責任を強く問うことにはためらいを感じざるを得ない」と指摘した。

 この第三者委の会見を受けて、小渕氏は東京ではなく地元の群馬県前橋市で会見したのだが、私は出席を認められず、閉め出された。さまざまな手を尽くし、なんとか発言内容を調べようとしたことを覚えている。ピンチの時ほど多くの人に伝わるようにした方がいいのではないかと思う時に限って、「内向き」な説明になってしまうケースは少なくない。この時、小渕氏は後に有罪判決を受けた元秘書らに会計処理を任せきりだったとして「早く報告したかったが、(第三者委の)報告書を待っていた」と釈明したが、最初の説明のタイミングが遅れたことを払拭(ふっしょく)するような機会には、ならなかったと思っている。

 小渕氏はこの会見に先立って行われた後援会の会合で、「もう1度群馬のために頑張れ」の声を受け、やはり涙ぐみながら「地元のためにこれからも頑張ります」と表明した。小渕恵三元首相の後継者で有力支援者には「姫」と呼ばれ、地盤も強く、スキャンダルを抱えても選挙は圧勝で乗り切ってきた。「選挙に勝てばみそぎは済んだ」という言葉はよく聞くが、期待された小渕氏が受けたダメージ、選挙結果とは別の観点から大きかったのではないかと感じる。

 身内への説明では理解してくれる人がほとんどでも、外向きの説明では必ずしもそうとは限らない。だからこそこれまで、積極的に自ら幅広く説明することが必要だったと思うし、そうではなかったからこそ「説明不足」の評価を引きずったまま9年が過ぎてしまったのではないか。

 自民党内では、小渕氏の「復活」には好意的な声も多いと聞く。「雌伏9年」と話す人もいた。ただ13日の記者会見では4役が出席し、約30分と時間が限られた。そんな中での小渕氏のやりとりで最も印象に残ったのが、「傷」をめぐる涙がらみの言葉だった。少し残念な思いもした。「涙で逃げ切り」「泣いてごまかし」などの声も聞いた。

 普段の小渕氏はさばさばしてあねご肌的な側面もあり、慕う議員も多いと聞いたことがある。岸田文雄首相は「選挙の顔の1人」への期待を口にしており、この先、再び表舞台に出て行くきっかけが、今回の選対委員長起用になるのかもしれない。それでも、自身が「けして忘れることのない傷」と言及した問題は、メディアも国民も同様だと思う。そんな現実にケリをつけるための小渕氏の発信、涙ではなく言葉を、見ていきたい。10月の衆参両院補選では、選対委員長としての手腕もいきなり問われることになる。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年09月17日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・09.10】:リスクもはらむ大臣待機&待望組の初入閣 岸田首相9・13内閣改造で「悲願達成」は何人誕生?

2023-10-02 00:10:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・09.10】:リスクもはらむ大臣待機&待望組の初入閣 岸田首相9・13内閣改造で「悲願達成」は何人誕生?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・09.10】:リスクもはらむ大臣待機&待望組の初入閣 岸田首相9・13内閣改造で「悲願達成」は何人誕生? 

 時の総理大臣によって内閣改造が行われる季節が、またやってきた。岸田文雄首相にとっては首相就任直後の第1次、衆院選勝利後の第2次と組閣を行った後、昨年8月に始まった現在の第2次改造内閣に続くもの。現在の内閣は、昨年の参院選を経て、安倍晋三元首相の銃撃事件で表面化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員との関係を見直すことも目的の1つだった。

岸田文雄首相(2023年6月撮影)

       岸田文雄首相(2023年6月撮影)

 この時に9人が初入閣したが、3人が政治とカネの問題や失言で事実上更迭に。この3人(寺田稔氏、葉梨康弘氏、秋葉賢也氏)は、当選回数などから「大臣適齢期」とされ、各派閥が入閣させたい顔ぶれ、初入閣を待っている、望んでいるという意味で呼ばれる「大臣待機組」「大臣待望組」の一員でもあった。

 「待機組」「待望組」とは、衆議院で当選5回以上、参議院で3回以上で、閣僚経験がない議員を指すといわれる。近年、行われてきた内閣改造では、その都度、60人とも70人ともいわれる「待機&待望組」からどれくらいの人が大臣に起用されるかという問題が、関心が注がれる側面の1つになっている。直近では、第2次安倍政権時代の2018年10月の内閣改造で、19の閣僚ポスト中12人が初入閣したが、この時に60代以上が9人いた。その前の内閣改造時の初入閣は、6人。当時の取材メモを読み返すと「ベテランの在庫一掃内閣」の言葉があった。待機&待望組が押し込まれた、という印象しかなかった。

 2018年の内閣改造で初入閣した「待機&待望組」の1人が、東日本大震災に関する失言で約半年後に五輪相を辞任した桜田義孝氏。震災に関連してでは、2016年8月の内閣改造で復興相として初入閣した今村雅弘氏も、後に失言で大臣を辞任した。今村氏も当選7回(当時)の「待機&待望組」だった。

年長の初入閣組が、さまざまな問題で任期をまっとうできず、辞任するケースが最近は少なくない。先日の「汚染水」発言が問題視され、謝罪と撤回に追い込まれた野村哲郎農相も、78歳での初入閣だった。

 大臣待機&待望組が大挙して起用される背景には、所属するベテラン議員の起用を要望する派閥への「配慮」ともいわれる。国会議員になった以上、大臣に上り詰めるのは1つの目標でもあるのだろうが、当選回数を重ねていても、資質がある人もいれば、必ずしもそうでない人もいると聞いたことがある。内閣のメンバーの顔ぶれが「派閥均衡型」などといわれるようになって久しいが、「自分が求めるより、相手が求める人」(政界関係者)を起用せざるを得ないのは、政権を安定的に運営していくため、派閥への一定の配慮が必要なためとも聞いた。

 今回は特に、岸田首相が国民民主党を連立政権に組み込むのではないかとの見方があったことから、自民党内では「大臣ポストが減る」など不満の声も出ていたという。結果的に、環境が整わず、今回の国民民主党の連立政権入りは見送られる見通しとなり、岸田首相は13日に内閣改造に踏み切る見通しだ。そうすると、「待機&待望組」の顔ぶれに関心が集まるようになった。顔ぶれリストの1つを見ると、当選5回以上の衆議院議員はかなりの数にのぼり、7回以上もそれなりにいる。参院議員の当選3回以上も一定数いる。こうしたリストも眺めながら、首相は大臣を決めていくものなのだろうか。

 かつて小泉純一郎首相は、派閥の論理にとらわれない閣僚の「一本釣り」などで、内閣の布陣に独自色を見せたこともある。ただ最近は「派閥均衡型」が定着し、岸田内閣の布陣も、その流れに乗った顔ぶれだ。年功序列や論功行賞…こんなワードは、内閣改造の時期の永田町では重視される言葉になる。永田町の常識、社会の非常識ともいわれる。内閣支持率が好調ではない岸田首相が踏み切る内閣改造。時にリスクもはらむ「大臣待機&待望組」から「悲願の初入閣」となる大臣は、どこまで生まれるのだろうか。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年09月10日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・09.03】:「鬼門」の農相ポストが再び時の政権を追い詰める?野村農相「汚染水」発言でも続投の背景とは

2023-10-02 00:10:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・09.03】:「鬼門」の農相ポストが再び時の政権を追い詰める?野村農相「汚染水」発言でも続投の背景とは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・09.03】:「鬼門」の農相ポストが再び時の政権を追い詰める?野村農相「汚染水」発言でも続投の背景とは 

 海洋放出が始まった東京電力福島第1原発の処理水を「汚染水」と発言し、4時間あまりで謝罪と発言撤回に追い込まれた野村哲郎農相(79)の資質問題が、処理水をめぐる中国の日本産水産物輸入の全面停止という強硬な対応に追われる岸田政権を直撃した。野村氏は「言い間違え」を主張し、首相や政権幹部らも「言い間違え」で足並みをそろえるが、言い間違えても許されることと、そうではないことがあるのが、世の常だ。

岸田文雄首相(2023年6月撮影)
岸田文雄首相(2023年6月撮影)

 今回、野村氏が発言したタイミングは、岸田首相が東京・豊洲市場を視察し、水産事業者への支援策を発表した日。結果的に、支援策のニュースをかき消すような形になった。支援策には多くの漁業関係者が注目しているはずだし、首相のメンツも丸つぶれ。「言い間違え」ですむ問題でないことは、一目瞭然だ。

 東日本大震災から12年が経過するが、被災地では今も震災前の生活に戻っておらず、特に原発事故の影響はなお続いており、政府には言葉も行動も合わせた支援継続が求められている。それを崩しかねない今回の出来事、しかも中国の主張をなぞるような発言を、言い間違えであっても水産事業者の担当閣僚が口にしてしまったという事実は、重いのだと思う。

 直近では第2次安倍政権で、震災に関連した失言をした2人の大臣は、発言直後に更迭された。岸田文雄首相は野村氏の更迭を否定したが、岸田政権で昨年秋から冬にかけて起きた「辞任ドミノ」では、問題を抱えた閣僚の処遇に対する、後手後手の対応が露呈したことは記憶に新しい。今週9月8日に予定される、処理水海洋放出をめぐる衆参両院での閉会中審査に野村氏が出席予定で、この場で再び「炎上」するようなやりとりが起きれば、再び首相の判断にも批判が高まることになる。

 野村氏の発言後、取材した政府関係者の言葉には、うなずくしかなかった。「まさかの鬼門復活だよ…」。

 「鬼門」とは、かつて安倍晋三政権(第1次も第2次も)で不祥事やスキャンダルで交代が相次いだ、農相ポストのこと。第1次安倍政権では、2007年5月から9月までの約4カ月間に、当時大きな批判を浴びた事務所費問題などで農相が3人交代し、第2次政権でも2015年2月、政治とカネの問題で農相が辞任した。第1次政権では、この農相ポストをめぐる「負の連鎖」が、安倍氏を退陣に追い込む一因になった。その役職が再び、首相の足を引っ張るような形になったのが今回の問題のもう1つの側面だ。

 野村氏は昨年8月の内閣改造で、当時78歳で初入閣を果たした。当選4回の参院議員。JA出身の農水族である一方、当選回数が適齢期となった「大臣待機組」の1人として、念願の入閣を果たした経緯がある。

 「政策に詳しいことと大臣の資質は、必ずしもリンクしない」(関係者)といわれる。野村氏は「汚染水」以外にも、全面輸入停止に踏み切った中国の対応を「想定は全くしていなかった」と素直に驚いて危機感のなさを露呈。6月の記者会見時にかりゆしシャツで臨んだ際には「遊び人みたいな感じ」などと述べ、沖縄ではかりゆしが正装という認識が不足しているとの指摘を受けたこともあった。今回、発言の不安定さがあらためて露呈しただけに、野党議員からは「岸田首相は本当にこのまま続投させるのだろうか」と、首をひねる向きもある。

 岸田首相が今回、野村氏の更迭を否定したのは、漁業者への支援策のとりまとめが迫ることに加え、近く内閣改造・自民党役員人事が予定されることも、影響しているとの見方が強い。更迭でダメージを負うより、内閣改造で何もなかったかのように退任させるのではないか…との見立てだ。

 首相動静によると、岸田首相は8月に入り、各閣僚と昼食を取っている。1回に2閣僚が出席しているが、永田町では、この場が、内閣改造を前に「大臣再任か退任かの『面接』になっている」との見方がある。8月28日には、ともに去就が注目される河野太郎デジタル相と高市早苗経済安保相が昼食の場に参加したため、さまざまな臆測が流れた。野村氏は8月2日、現在の処理水問題にともに取り組む西村明宏環境相とともに、首相との昼食に参加している。今回の発言問題のかなり前ではあるが、この時の「面接」も含めて、野村氏の処遇が判断されることになる。久しぶりに岸田首相の「人事眼」が問われるシーズンが迫ってきた。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

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 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年09月03日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・08.27】:岸田首相あるある「スピード感のなさ」処理水放出めぐる中国側対応に「外交の岸田」をいつ発揮?

2023-10-02 00:10:00 | 【東京電力福島第一原発事故・放射能汚染・処理水の海洋放出問題と環境汚染

【中山知子の取材備忘録・08.27】:岸田首相あるある「スピード感のなさ」処理水放出めぐる中国側対応に「外交の岸田」をいつ発揮?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・08.27】:岸田首相あるある「スピード感のなさ」処理水放出めぐる中国側対応に「外交の岸田」をいつ発揮? 

 「先送りできない困難な課題に、1つ1つ答えを出していくことに尽きる」。岸田文雄首相が国会答弁や記者会見で、何度も繰り返している言葉だ。この言葉は、だから「衆院解散しない」など、政局的な話題を否定するため使われることも多かったが、答えを出したところで政局どころではなくなってしまったのが、今回、政府が踏み切った東京電力福島第1原発の処理水海洋放出ではないだろうか。中国側が、日本産水産物の輸入全面停止の措置に踏み込んだことで、さまざまなところで大きな影響が出始めている。

岸田文雄首相(2023年8月2日撮影)
岸田文雄首相(2023年8月2日撮影)

 政府は処理水については、国際原子力機関(IAEA)による安全性の科学的根拠が示されていることを強調している。ただ、岸田首相が中国側の「いいがかり」(政府関係者)のような対応に毅然(きぜん)と反論した姿は、見えない。首相は中国側の方針が明らかになった8月24日、中国側に、措置の「即時撤廃」を求める申し入れを行ったとし「海洋放出の影響について科学的根拠に基づき、専門家同士がしっかり議論を行っていくよう中国政府に強く働き掛けていきたい」と述べた。IAEAが示した科学的根拠に触れながら、風評被害対策にも動く考えを示した。

 ただ、この時の言葉は記者会見ではなくぶら下がり取材の対応で、時間も10分弱。コメントを述べたという感じだった。しかも、これが「言いっぱなし」になっているように感じる。国としては手順どおりに進めてきたことで、他国にとやかく言われる筋合いはないという立場なのだろう。しかし、最も影響を受けるのは漁業者や水産事業者という現場だ。言葉だけではなく行動ですぐに向き合わなければならないと感じる。

 ただ、中国側の対応に伴う事態の深刻さがどんどん明らかになってきた翌25日も、首相が積極的に発信した形跡は見えない。この日は、沖縄市で開幕したバスケットボール男子W杯の日本-ドイツ戦観戦などで沖縄を訪れ、試合前のセレモニーにも出席した。日本代表の初陣ですでに決められた日程でもあり、それ自体は批判されることではないかもしれない。ただ、結果的にタイミングは悪かったのではないかと感じる。

 取材した永田町関係者からは「応援する相手が違うのではないか」との声も聞いた。沖縄入りが悪いのではなく、要は、中国側の対応にスピード感を持って対応していない、ということだった。岸田首相に対しては今夏、全国で相次いだ豪雨災害被災地の訪問についても「遅い」との指摘があった。国の少子化対策やマイナ保険証の問題などでも同様だ。スピード感のなさは、もはや岸田首相「あるある」なのだが、今回の問題は、これまでとは少し異なる。岸田首相の「得意分野」で起きている問題だからだ。

 岸田首相は外相経験が長く、第2次安倍政権で1682日を務めた。連続、専任日数では最長だ。今年5月の広島サミットではホスト国として議長を務めたが、立場が人をつくるということなのか、各国首脳とのコミュニケーションなども慣れた様子で、首相自身も「外交の岸田」を自負してきたといわれる。

 一方で、外交の舞台というのは本来、事務方同士の水面下の交渉がベースとなっており、表舞台で展開される「首脳外交」というのは、そんな地道な地ならし上に成り立つと、かつて外交に当たった関係者に聞いたことがある。しかも、水面下の交渉すべてがうまくいくとは限らない。今回の中国側の強硬な態度も、「何を言ってもまったく聞く耳を持たない」(関係者)状態が解消されなかったことが一因とされる、野村哲郎農相が25日の会見で「(全面停止は)大変驚いた。全く想定していなかった」とぶっちゃけ発言したことにも疑問や批判の声が出ているが、ここにも政府内の混乱がにじむ。

 先日の共同通信社の世論調査によると、処理水放出前の岸田首相の説明が不十分だという指摘は、81・9%にのぼったという。首相は、放出方針を表明した22日の関係閣僚会議で「数十年の長期にわたろうとも、処理水の処分が完了するまで政府として責任を持って取り組む」と述べたが、岸田政権以降、いくつもの政権に引き継がれるだろう責任の「決意表明」としては、少し弱い内容だと感じた。加えて、放出後の説明も同様だ。そんな中で公明党の山口那津男代表の中国訪問も延期されるなど、外交にも影響が出てきた。

 新たな「チャイナリスク」を背負う形になった岸田首相。長年培った「外交の岸田」の判断力、発信力を使うのはまさに今でしょ!というタイミングに、岸田首相は今、立たされているのではないかと感じている。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年08月27日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2023年09月30日 今日は?】:ベルリンマラソンで高橋尚子が女子で初めて2時間20分を切る世界最高記録で優勝

2023-10-02 00:00:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2023年09月30日 今日は?】:ベルリンマラソンで高橋尚子が女子で初めて2時間20分を切る世界最高記録で優勝

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2023年09月30日 今日は?】:ベルリンマラソンで高橋尚子が女子で初めて2時間20分を切る世界最高記録で優勝

 ◆9月30日=今日はどんな日

  茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー東海事業所で臨界事故。社員2人死亡(1999)

 ◆出来事

  ▼昭和天皇が初訪米(1975)▼ベルリンマラソンで高橋尚子が女子で初めて2時間20分を切る世界最高記録で優勝(2001)

1975年(昭和50年)10月2日、訪米した昭和天皇・香淳皇后とアメリカ大統領ジェラルド・R・フォード及びベティ・フォード夫妻。

2時間19分46秒の世界最高記録でゴールに飛び込んだ高橋尚子(2001年9月30日撮影)2時間19分46秒の世界最高記録でゴールに飛び込んだ高橋尚子(2001年9月30日撮影)

 ◆誕生日

  ▼白川和子(47年=女優)▼トニーヒロタ(64年=タレント)▼斉藤こず恵(67年=女優)▼西島隆弘(86年=AAA)▼紺野ぶるま(86年=芸人)▼橘花梨(93年=女優)▼鈴木夢(06年=タレント)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2023年09月30日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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