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●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》

2023年09月25日 00時00分12秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年08月20日[日])
《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ」の最終処分先》…NUMOにからめとられて、泥沼に足を突っ込み…。百万歩譲って、せめて核発電所を止めてからにしませんか? 全ての核発電所の廃炉作業に着手してからにしませんか? マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放流先どこにするのか、なんて考えるのは変でしょ?

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ
     増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放流
      先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…
    「「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
     足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地の
     ナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する
     人口減少、最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」
     があるという》…意味が分からない? 
     そんな理由で死の灰を受け入れるの?」

 対馬市の続報…。あぁ~あ、やっちゃったよ…。
 東京新聞の記事【対馬、核ごみ調査促進の請願採択 市議会特別委、業界団体が提出】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/270606)。《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査について、長崎県対馬市議会は16日、特別委員会を開き、地元の建設業団体が提出した調査受け入れを促進する請願を賛成多数で採択した。9月12日の本会議でも採択される見通し。文献調査に慎重な姿勢を示してきた比田勝尚喜市長は採択を受け「さらに熟慮する」とのコメントを発表し、今後の対応に注目が集まる。文献調査を巡っては、市内の建設業団体が人口減少や経済衰退を理由に受け入れを要請していた。請願の議決は賛成9人、反対7人、欠席が1人。一方、漁協の一部や市民団体が出した反対の請願6件は一括して不採択となった》。

   『●SLAPPと祝島
   『●SLAPPと原発、沖縄
   『●祝島の人たちは海を売っていない(1/2)
   『●祝島の人たちは海を売っていない(2/2)
   『●上関原発反対! ~祝い島島民の会blog~
   『●立ち止まるなら今…「原発政策を福島第一原発
        事故以前に先祖返りさせたのが自民党安倍政権」
    《祝島の閧いは終わらない政府、中国電力の非道
    《ところで人口3300人の上関町は原発誘致に熱心なようだが、
     巨大な原発2基から入ってくる莫大(ばくだい)な金(上関町には
     1984年度以降原発関連交付金として約70億円が支払われている)を、
     何に使おうとしているのだろうか。財政需要額の小さな町に多額の金が
     入ってきて町政が、いや町全体が狂うことはないだろうか。
     老婆心ながら心配になる》

   『●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」:
            大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!
   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》
   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
      町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》

 そして……はぁ? 《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》したというのに、またしても驚愕の大愚。核燃料サイクルは破綻し、サイクルの「環」は閉じないまま。使用済み核燃料中間貯蔵施設は、すなわち、《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ」の最終処分》場ということ。(東京新聞)《◆核燃料サイクルが破綻しているのに活用に前のめり 日本国内で原発で貯蔵している使用済み核燃料は、膨大な量だ。およそ2万トンに上り、多くは貯蔵プールで保管する。政府は「核燃料サイクル」を掲げて再利用をもくろむが、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場は完成が延期され続けている。再利用で減らそうにも、要の施設が機能せず、思うようにいかずにいる》。使用済み核燃料中間貯蔵施設なので、上関町から、「六ケ所村の再処理工場が完成したら、搬出してね」って、そんなことは無理でしょ!? しかも、《「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好》…。

   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】

 中電や経産省、国が散々市民を分断してきた山口県上関町、《問われる町衰退の責任》(長周新聞)。そして、何より、祝島の皆さんがお気の毒で仕方ない。絶対にコンナモノを受け入れてはいけない。
 長周新聞の記事【上関を核のゴミ捨て場にするな 関電からゴミもらう中電の卑屈 降って湧いた中間貯蔵施設建設計画 県民の総力でたたかおう!】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27390)。《中国電力山口県上関町に対して使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設を提案したことが、上関町内のみならず山口県内で物議を醸している。1982年の原発建設計画の浮上から41年を経て、原発については町内外の根強い反対世論に包囲されて建設には至っていないものの、さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場にする正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている。この間、上関町内に乗り込んで取材にあたってきた記者たちで、状況について分析、論議してみた》。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27390

上関を核のゴミ捨て場にするな 関電からゴミもらう中電の卑屈 降って湧いた中間貯蔵施設建設計画 県民の総力でたたかおう!
社会 2023年8月13日

     (原発建設に反対し中電のボーリング調査を阻止する
      漁業者たち(2005年6月、上関町))

 中国電力山口県上関町に対して使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設を提案したことが、上関町内のみならず山口県内で物議を醸している。1982年の原発建設計画の浮上から41年を経て、原発については町内外の根強い反対世論に包囲されて建設には至っていないものの、さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場にする正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている。この間、上関町内に乗り込んで取材にあたってきた記者たちで、状況について分析、論議してみた。


心してかかってこいよ!関電

 A 降って湧いたような中間貯蔵施設の誘致話で、「どうして上関なのか」「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好だ。中電の必要性からすると、島根原発の施設内に建設するのが妥当で、わざわざ上関まで使用済み核燃料を運んでくるというのは非効率でしかない。費用からしても非効率なのだ。中間貯蔵施設の必要性に迫られているのは誰がどう見ても関電で、原発銀座でもある福井県内の美浜高浜大飯の7基の原発施設内の核燃料プールにため込んだ使用済み核燃料が容量上限に近づいており、これを福井県外に持って行けということで、福井県ともめていた。

 B 核燃料プールの貯蔵容量の上限に対して関電は8割に上り、島根原発のみの中電は68%(約7割)で比較的余裕があるというが、実際のトン数を見たらわかるように、関電の美浜原発が抱えている使用済み核燃料の貯蔵量が480㌧(容量上限620㌧)、高浜原発が1380㌧(同1730㌧)、大飯原発が1820㌧(同2100㌧)で、あわせて3680㌧にものぼる。島根原発で中電が抱えているのは460㌧(同680㌧)とその差は歴然としている。上関に建設しようとしている中間貯蔵施設がどれだけの規模なのかははっきりしていないが、要するに関電の使用済み核燃料のゴミ捨て場にされるということだ。3000㌧クラスの規模になってもおかしくない。
 美浜原発は1、2号機が廃炉作業中で、3号機は40年以上稼働した老朽原発でありながら、これが再稼働している。高浜原発も1号機、2号機はもうじき50年になろうかという老朽原発で、3号機、4号機とて40年近く稼働している老朽原発だ。大飯原発も1号機、2号機は40年ごえ、3号機、4号機は40年ごえしているような原発だ。そこに溜め込んできた使用済み核燃料を福井県外に持ち出さないといけないため、関電が場所を求めている関係だ。なぜに山口県が関電のゴミ捨て場にされないといけないのかだ

 C 福井県が県外に持ち出せ」といっているものを喜んで受け入れるのが山口県・村岡知事なのだろうか。バカではあるまいか? と思うが、日本中どこを探しても「中間貯蔵施設をうちに建設して下さい」というような自治体は珍しい。地獄の沙汰もカネ次第で長年にわたって原発や米軍基地に郷土を売り飛ばす政治をやってきたとはいえ、山口県政界の態度も問われている。県民としては見過ごせない重大な問題で、「上関町の政策選択なのでコメントする立場にはない」では済まされない。当事者は立地自治体の上関町民のみとはならない。山口県東部の住民のみならず、山口県民全体が当事者として考えなければならない重大な問題なのだ。何か事が起これば無関係では済まないのだから。

 A 中間貯蔵施設などといっているが、核燃料サイクルそのものは破綻しており、実質的には最終処分場にされかねない。原発は建っていないのに、まさに「原発の墓場」にしようというのだ。核燃料サイクルでいうと、青森県六ヶ所村に30年前から建設している再処理工場がトラブル続きでメドがたたず、完成時期をずらしにずらして今日に至っている。総事業費として14兆7000億円を注ぎ込んで行き詰まっている。そのために全国の原発で敷地内なり貯蔵プールに使用済み核燃料を抱え続け、福島原発事故でもまさかあれほど大量の使用済み核燃料を原発内に抱えていたとは誰も思っていなかった。あの事故によって、使用済み核燃料をとり出すだけでも少々でない労力だったことはニュースでも報じられてきた。厳重に冷やし続けないといけないのだ。
 斯くして行き場のない使用済み核燃料が増え続けているのに原発は再稼働してさらに使用済み核燃料を増やし、かといって再処理工場がないために、急場凌ぎで中間貯蔵施設をつくろうといっている。原発を止めてしまえば使用済み核燃料は増えないのだから止めればよいのに、それはやらずに「たいへんだー!」「満杯になったら原発が止まるー!」と騒いでいる本末転倒も甚だしい
 使用済み核燃料は仮に再処理されても高レベルの放射性廃棄物となり、地下深くに埋めて数万年から10万年かけて安全に管理して、ようやく天然ウラン並みの放射能になるという。この建設場所も決まっていないのが現状だ。原発はよく「トイレなきマンション」とも揶揄されるが、そのように後先のことを何も考えていない政策なのだ。
 核燃料サイクルという実現できもしない建前を掲げることで原発政策を正当化し、無責任に使用済み核燃料だけが増え続けている
 これらを推進しているのは経済産業省であり、上関に中間貯蔵施設を作れと背後で糸を引いているのも国にほかならない。福井に断られたからといって山口県をゴミ捨て場にしようとする関電も厚かましいが、国の存在抜きに動くような話ではない


原発推進40年の挙げ句 町民の反発は必至

 B
 上関町内で住民に意見を聞いて回ったが、誰もが一様に驚いている。寝耳に水で、テレビのニュースで初めて聞かされて仰天した人がほとんどだ。事前に何らの話もなく、全国版ニュースでいきなり「上関町に中間貯蔵施設」が報じられた。これには推進派の住民も「えっ?」と戸惑っていたし、「なぜ関電の原発のゴミをわたしたち上関が引き受けなければいけないのか」と疑問を口にしていた。40年以上も原発騒動でもめてきて、上関原発建設計画については実質的に破綻して建設のメドもないなかで、今度は中間貯蔵施設というわけで、要するに上関をゴミ捨て場にするのだから「ふざけるな!」という感情になるのは当然だ。
 候補地として中電が示しているのは、90年代に入ってもともと原発用地として買い占めてきた土地で、より四代地区(予定地に最も近い集落)に近い。この土地を別目的である「中間貯蔵施設としてどうぞ」といって利用しようとしている。地権者からすると「話が違うではないか」という思いもあって、「こんなことが許されるのだろうか」「いまになって詐欺みたいな話だ」と話す住民もいた。いくら中電の所有地になっているからといって、こんな勝手な真似が許されるのか? と――。

 A 上関については長年取材にもあたってきて、推進派住民ともよく話はするのだが、さすがに今回のやり方については憤っている人が少なくない。頭越しですべてが勝手に動いており、住民そっちのけなのだ。一言の説明もなくいきなり報道で知らされ、住民感情としては穏やかでないものがある。中電の驕りというか、上関を好きなようにできるという思い上がりを感じとっている。
 それで町長と議会が飼い慣らされた賛成マシンとして同意したとしても、ちょっと単純にはいかないだろうな…という感触だ。住民同意がまるでない。現状では中電が町の上層部を例の如く丸め込んで、好き勝手に計画を持ち込んでいるだけなのだ。40年かかって原発1基建てられずにきた中電が、何をいい出すのかと思ったら「中間貯蔵施設をつくります」などといい始め、しかも上関に持ち込まれるのはその原発でできた行き場のない核のゴミ。傍から見ると、上関を公衆便所か何かのように扱っているし、「中電いい加減にしろよ!」という感情になるのも当たり前だ。
 ただこれは、中電の都合で動いているというよりも、関電と国の意向で動いている要素の方が強い。中電としてはカルテル問題でやり玉に挙がって社長の首が吹っ飛んでおり、監督官庁の経産省や電力業界のなかで首根っこを抑えられている。上関については原発計画もお手上げ状態なのは一番わかっているはずだ。近年は上関へのかかわりもどこか引き気味できていたが、そんな矢先に「中間貯蔵施設をつくります」などといい出しており、推進派住民からしても「なにをいまさら」という思いを口にする人は少なくない。長年にわたって踊らされてきたが、興ざめしている人々が大半だ。もう40年かけて今度は中間貯蔵施設を巡って大騒ぎが続くのかと思うとうんざりするのも当然で、「あいだ(飽きた)」という。


次期衆院選の重要争点 計画背後に自民岸派

     (漁業権を守るため中国電力の上陸を阻止する
      上関町祝島の島民や漁民たち(2010年))

 A 2011年以後は工事もストップして、上関原発建設計画については建設のメドがまるでない。これは福島事故を受けて国の原子力政策が揺らいだことも関係しているが、上関については福島事故以前からメドなどない。原発用地も虫食いで売却に応じていない地権者も複数いるし、極めつけは祝島が受けとりを拒否しているために漁業補償が成立していない。だから「着工」パフォーマンスはできても、実際に埋め立て工事などやれば漁業権侵害で訴えられるのは中電であり、手を付けられない関係だ。漁業補償が成立していない海域の公有水面埋立免許を出したのが村岡知事であり、これまた全国でも例がないことをやっている。
 漁業補償については2000年代に126億円が関係8漁協にばらまかれたが、すでに20年以上が経過しており、その間に漁業者もずいぶんと入れ替わった。民法上も債権は10年といわれるが、20年も前の契約と補償金をもって「漁業補償は成立している」といって現在の海に手を付けるというのも無理がある。漁業補償交渉は一からやり直さなければ、現在の漁業者の権利を侵害することになる。一銭も補償金をもらっていない現在の若手漁師にとっては容認し難いものだ。つまり、振り出しに戻っているということだ。ただ、振り出しに戻っているとはいえ、買い占めた広大な土地だけは擁している。そこに、ならば「中間貯蔵施設を作ります」というのだ。

 C 山口県では、1979年の豊北原発建設計画の断念から上関町に舞台を移して原発計画とのたたかいがくり広げられてきた。この間、山口県では1基も原発を建てさせていない。この最大の原動力は県民の反対世論の強さにある。自民党が牛耳る県政は中国電力の最大株主でもあり、中電とタッグを組んで推進してきたが、町内外の反対世論が圧倒している状況は変わらない。
 JCO東海村臨界事故が起きた後、佐藤栄作の息子である信二が「わたししか上関原発を建設できない」と原発建設の巻き返しを叫んで衆院山口2区で落選したこともあった。佐藤信二としては新規立地の突破口である上関を前に動かすことで中央政界において得点稼ぎをしようとしたのだろうが、逆に2区の有権者から総スカンを食らって、以後は国政に返り咲くことなどできなかったそれほど反対世論は根強いものがあるし、2区は米軍岩国基地と上関は重要な争点になる。

 A この時期に中間貯蔵施設が降って湧いて思うのは、次の衆院山口2区が大注目されるということだ。補欠選では岸信千世がかつがつ当選したものの、無所属で挑んだ平岡との差は僅かだった。中間貯蔵施設への態度如何によっては「岸家の命脈」は絶たれることになるに違いない。西村経産大臣は岸信介の後継者として地元岸派を引き継いだ吹田の娘婿で、これが上関をゴミ捨て場にしようと画策しているというのなら信千世も無関係では済まない。平岡が再度2区で挑もうとしているが、「上関への中間貯蔵施設建設は認めないとはっきり態度を打ち出せば、残り数千票の差など恐らくひっくり返る。保守層も含めてこの地域では国策に対してギリギリとした思いが鬱積しているのだから。逆に立憲民主党が日和った場合は自爆だろう

 C 上関への原発建設なり中間貯蔵施設の建設というのは、前段でも論議になったように上関町内、2300人の町民だけの問題ではない。仮に上関町長と議会が「作っていいですよ」といったからといって、「はい、そうですか。仕方ないですね」では済まない。広く山口県民全体の問題として考えなければならない性質のものだ。住民同意は上関だけで良いとはならない。周辺自治体の首長たちも態度が迫られることになる
 中央構造線断層帯が走っている目と鼻の先に中間貯蔵施設を建設して、仮に巨大地震に見舞われたらどうなるのか、あるいは台湾有事などを叫んでいる折に、ミサイル攻撃の格好の標的になることも歴然としている。何千㌧という使用済み核燃料を抱えた施設にもしかの事態が起こった時にどうなってしまうのか、何が起こりうるのか現実的に想定しなければ話にならない。上関以外の人には無関係という性質の話ではないのだ。いずれは県知事の同意も必要になるだろうし、そのときは村岡も態度が迫られることになる。山口県民としては選挙において厳正に審判を下さなければならない時がくる。


地域振興どころか衰退 中電による飼い殺し

 A 中電としては40年かけて狭い上関町は買収し尽くした。町長や町議は頭が上がるヤツなど一人もいないし、おかげで好き放題ができる関係だ。町は計画が浮上した頃には7000人以上いた人口が、いまや2300人と激減している。高齢者が多く、現役世代は都会に出て帰ってこない。それもこれも、40年間も原発騒動に時間を費やし、「原発ができれば町が発展する」とバカの一つ覚えの如く旗を振ってきたことと無関係ではない。
 「原発ができれば町財政が豊かになる」「原発ができればそこで働けて人口が増える」「原発ができれば…原発ができれば…」の夢追いをしてきて、産業振興に無関心なものだからますます人口が減少して人が住めない町になってきた
 この間、町内に取材に行ってみても、ずいぶんとこれまでに知り合ってきた町民の皆さんが亡くなられていて、空き屋の多さも尋常ではなかった。40年も経てば無理もない話ではあるが、「原発ができれば…」の罪深さを感じさせる。
 産業としては漁業が主力なのだが、その振興には不真面目で投機的に電源交付金に飛びついて箱物をこしらえたりするのだけは大好きなのが特徴だ。2000年代にかけて巨額の原発関連の交付金も下りたが、温泉を掘ったり、学校を新しくしたり、道の駅を作っても、身にならないから人口はますます減少する。町財政が厳しいというが、カネがいくらあってもこれではどうにもならない。
 北海道の小さな町がふるさと納税で年間100億円をこえる金額を集めたとかが話題になっているが、地方の魅力を発信して農産物を返礼品として掲げるだけでも、ずいぶんなことができるものだと感心する一方で、そんな努力もせずに口を開けて餌を与えられるまで待っているようなのが上関町政だ。「原発ができれば…」の投機的な姿勢が転換されないまま、ずるずると40年も経過してしまった。

 C もっとも罪作りなのは中電で、買収し尽くして町全体をコントロール下に置いてしまった。7000人を買収するより2300人を買収するほうが楽で済むし、人口など減れば減るほど楽に町全体をコントロールできる関係にほかならない。選挙をコントロールするのも、少なければ少ないほど対象が小さくて済む。買収選挙など当たり前で、町民の就職先や縁故関係から切り込んだり、住民間の矛盾であったりを調べ尽くして、それらすべてを原発推進に利用してきた。弱みを突いて反対派だった住民を転向させたり、反対派に手先を潜り込ませたり、実は裏でつながって飼い慣らしていたり何でもありだ
 上関の反対派といったとき、一般の住民たちは一生懸命に反対を貫いてきた一方で、インチキな輩、実は中電とつながっている(ぬえ)みたいな輩とかさまざまいるわけで、決して単純ではない。長周新聞としてはインチキな反対派幹部が運動を敗北に誘っていくことについては公然と批判を加えてきたし、裏切りについては記事にもしてきた。そういった連中は結局のところ住民のなかで正体が暴露されて力を失ってきた。そのことも上関原発が建設できなかった大きな要素になっている。
 今回の中間貯蔵施設についても柏原前町政の時期から町議会の全員協議会には話が振られていたというのに、いわゆる反対派といわれる町議たちはなぜダンマリをしていたのか? という疑問がある。盆明けには町議会で判断するといっており、8月中に全議員の態度が迫られる。郷土上関を核のゴミ捨て場にするのかどうかが問われている。
 関電から核のゴミ捨て場扱いをされているのに、「やったー! カネが入ってくる」「これで人口が増えます」みたいなことをいっているならどうかしている。福井県すら「県外に持ち出せ!」と激怒している代物大喜びで「上関に持ってきて!」といっているに等しいからだ。

 A いずれにしても上関だけの問題ではないし、広く山口県民の世論を結集して対峙しないことにはどうにもならない。原発にせよ、米軍基地にせよ、郷土を売り飛ばして中央政界で大きい顔をしているのが山口県の政治家たちで、これらも一緒になって中間貯蔵施設を山口県に持ち込むというのなら、上関原発闘争40年ではないが、本腰入れてやり合わないといけないということだ。最も手っ取り早い初めの一手としては、岸信千世を大差で落選させることになる。2区の有権者が激怒した選挙がどうなるのか、計画を持ち込んだ自民党岸派は補欠選挙以上に痺れたら良い。

 B 佐藤信二が落選した選挙では長周新聞も選挙区に乗り込んで号外を何万枚と戸別配布したが、大いにやりあったら良いのではないか。県民世論に火を付けていくほかない。現状では「中間貯蔵施設を作ります」と勝手にいっているだけで、作らせるも作らせないもすべて世論との力関係で決まる。原発を一基も建てさせていない山口県民相手に関電が豪腕を振るうというなら、なおさら県民感情としては燃えるものがある。
 普通に考えて、関西の電力供給のために溜め込んだ核のゴミを持ってこられて喜ぶ県民などいないし、「どうして山口県が受け入れないといけないのか?」と思うのが一般的だ。山口県は核の肥だめではないし、ふざけるな! と思っている人が大半だ。それらの世論をつなげて全県と現地がつながっていくことが大切だ。上関現地の問題に切り縮めたがっているのに対して、上関だけの問題では済まないことをはっきりさせて、運動を作っていくことが重要だ。この40年もそうやって対抗してきたのだ。
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●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】

2023年08月23日 00時00分57秒 | Weblog

(20230804[])
はぁ? 上関町では、《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞…》。
 再度引用。長周新聞の記事【生殺し状態からの転換が急務 浮上から40年たつ上関原発計画 問われる町衰退の責任】(https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/24841)によると、《柏原町長の辞職(病気)によって山口県上関町の町長選挙の投開票が23日におこなわれ、原発推進を掲げる西哲夫(町議会議長)が当選した。中国電力上関原発計画が1982年に浮上して今年で40を迎えた。半世紀近くにもわたって町民は原発推進・反対で分断され、「原発ができれば町が活性化するという空疎なスローガンのもとで、町の基幹産業である漁業をはじめ農業や商業、教育や医療、福祉、介護など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞し、めっきり寂れた町になってしまった。この40年のあいだに町の人口は約7000人から2000人台へと3分の1以下に減少したことに衰退があらわれているが…》。

   『●砂上にペラペラの壁を造ってまでも
       再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木」
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れて
      いたとは──》《それどころか「口利き」さえ疑われかねない問題》
    「最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。そして、
     最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…
     正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?」
    「今井尚哉氏やアベ様らが開発を目指すらしい次世代原子炉
     「アベシンゾウ」とでも名付けて下さい。この愚かな核発電「麻薬」
     中毒者・核武装論者の名を末代まで伝えるために。」
    「数多のアベ様案件、一つとして解決を見ず。未だにのうのうと
     国会議員に居座り、「安倍派」の看板まで掲げる始末。」

   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
      を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
    「足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を
     突っ込み…。…《町民の皆さんがその道を選んだ》…なんで
     そうなるのだろうか?? …空虚な《地域振興》ではないのか?
     トイレなきマンションの、まずはトイレからの垂れ流しを止めて
     からの議論開始ではないのか?」

   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
      町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》

 《使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町に》? 上関町の皆さんはそんなものを望んでいるのか? 《地元からの地域振興策の要求》だそうだけれども、この《地元》って上関町の誰? 醜悪な「原発マネー」のアノ関電としては《福井県外に保管場所の候補地を確定させ、30年ごろに2000トン規模で操業》だそうですが、山口県の上関町の皆さんは本当にそれでいいのですか? 福島を《原状回復》して見せてから、寝言は言うべき。まずは、全ての核発電所を廃炉にしてから、議論すべし。トイレなきマンションの、まずはトイレからの垂れ流しを止めてからの議論開始ではないのか?
 汚染水海洋放出でもそうだ。そもそも脱原発の約束はどこにいったのかね? 《2015年に政府と東電がした「関係者の理解なしに(処理水の)いかなる処分もしない」という約束》は? 武藤類子さんは《住宅などの避難者支援が打ち切られ国や福島県が避難者を切り捨てる方向が明確になってきていると指摘。政府方針である汚染水を処理した水の海洋放出を「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない、という漁連との約束を反故(ほご)にしたプロセスは、民主主義に反する」と批判した》(東京新聞)。

   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】

 小野沢健太記者による、東京新聞の驚愕の記事【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/267439)によると、《中国電力は2日、山口県上関町に新設を計画する上関原発周辺の所有地に、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を検討すると発表した。使用済み核燃料の保管場所探しが難航している関西電力と共同開発し、関電の核燃料も保管される見通し。2011年3月の東京電力福島第一原発事故後、計画が中断したままの原発予定地は、地元からの地域振興策の要求に応じる形で、関電を救済する場所にもなろうとしている。(小野沢健太)》。

 上関町の惨状。一方、祝島。「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」。「原発マネー」など、クソクラエ、ということだ。上関町の《地元からの地域振興策の要求》で《使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町》に造られれば、さらなる祝島の皆さんの苦しみが続くことになる。本当にお気の毒で仕方ない…。

   『●SLAPPと祝島
   『●SLAPPと原発、沖縄
   『●祝島の人たちは海を売っていない(1/2)
   『●祝島の人たちは海を売っていない(2/2)
   『●上関原発反対! ~祝い島島民の会blog~
   『●立ち止まるなら今…「原発政策を福島第一原発
        事故以前に先祖返りさせたのが自民党安倍政権」
    《祝島の閧いは終わらない政府、中国電力の非道
    《ところで人口3300人の上関町は原発誘致に熱心なようだが、
     巨大な原発2基から入ってくる莫大(ばくだい)な金(上関町には
     1984年度以降原発関連交付金として約70億円が支払われている)を、
     何に使おうとしているのだろうか。財政需要額の小さな町に多額の金が
     入ってきて町政が、いや町全体が狂うことはないだろうか。
     老婆心ながら心配になる》

   『●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」:
            大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/267439

「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案
2023年8月3日 06時00分

     (中間貯蔵施設の候補地に浮上した区域に隣接する、上関原発
      予定地=山口県上関町(2017年撮影))

 中国電力は2日、山口県上関町に新設を計画する上関原発周辺の所有地に、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を検討すると発表した。使用済み核燃料の保管場所探しが難航している関西電力と共同開発し、関電の核燃料も保管される見通し。2011年3月の東京電力福島第一原発事故後、計画が中断したままの原発予定地は、地元からの地域振興策の要求に応じる形で、関電を救済する場所にもなろうとしている。(小野沢健太


使用済み核燃料 原発で使った核燃料は、敷地内の使用済み核燃料プールに保管される。日本政府は、使用済み核燃料を化学処理(再処理)して加工したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を原発で再利用する核燃料サイクル政策に取り組むが、再処理工場青森県六ケ所村)が完成延期を繰り返し実現の見通しが立っていない。使用済み核燃料は各原発のプールにたまり続け、2023年3月時点で原発を保有する電力10社のプール容量の74%が埋まっているプールが満杯になると、核燃料の交換ができず原発は動かせなくなる


◆経営体力不足の中国電 ✕ 原発マネー求める地元 ✕ 保管先確保が急務の関電

 中国電は施設の完成時期、貯蔵容量などを「未定」と説明。町の同意を得た上で地盤調査に着手し、半年ほどかけて10カ所で掘削(ボーリング)調査し、建設可能かを確かめるという。

 「単独での建設や運営は難しい」。2日、東京都内で取材に応じた中国電の山本直樹執行役員はそう語った。関電との共同開発は中国電側が提案したという。稼働が見込める原発が2基にとどまる中国電には、大規模な中間貯蔵施設を造る経営体力がそもそもない。

 上関原発の建設は、福島事故後に中断し、本当に建設されるか見通せない状況が続く。地元経済界が期待した「原発マネー」の恩恵はなく、上関町の西哲夫町長は今年2月、中国電に新たな地域振興策の要求を突き付けた。今回の提案は、それへの答えとなる。町が調査に同意すれば、国から県と町に毎年計1億4000万円が交付される見通しだ

 原発を再稼働させていない中国電は、使用済み核燃料の保管場所に困っているわけではない。新規制基準に適合した島根原発2号機(島根県)は事故対策工事中で稼働時期は未定。建設中の3号機は審査が始まったばかりだ。島根原発の使用済み核燃料プールは容量の3割ほどの空きがある。

 一方、関電にとって使用済み核燃料の保管先の確保は最優先の課題。運転開始から40年を超えた美浜3号機高浜1、2号機(いずれも福井県)を稼働させる条件として、今年末までに福井県外に保管場所の候補地を確定させ、30年ごろに2000トン規模で操業させると、県に約束している。

 関電は6月、フランスの再処理工場に少量の使用済み核燃料を搬出する計画を県に報告。国内での保管場所確保が難しいことを如実に示し、県議会の自民党会派の山岸猛夫会長が「お茶を濁しただけ」と公然と関電を批判するほどだった。

 国内で唯一建設済みの中間貯蔵施設は青森県むつ市にあり、東京電力と日本原子力発電が共同開発。関電はこの施設の利用を模索したが、地元の猛反発で頓挫した経緯がある。

 中間貯蔵施設の共同開発がうまく進めば、関電にとっては原発の「生命線」の確保につながる。関電の広報担当者は取材に「建設できるかを調査する段階であり、搬出先を確保できたと言える状況ではない」と慎重な話しぶり。福井県との約束は今年末までに候補地を確定させる必要があり、他社の原発予定地を利用する奇策がその答えになりえるのかはまだ見通せない。

【関連記事】使用済み核燃料の中間貯蔵施設 山口県上関町で中国電力が建設を検討
【関連記事】どうする?使用済み核燃料の保管場所 満杯になれば原発は動かせない…それなのに対策は後手に
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●マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放流先どこにするのかなんてナンセンス…しかも、《被爆地の長崎》で…

2023年06月17日 00時00分26秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年05月30日[火])
《原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ」の最終処分先》…NUMOにからめとられて、泥沼に足を突っ込み…。百万歩譲って、せめて核発電所を止めてからにしませんか? 全ての核発電所の廃炉作業に着手してからにしませんか? マンションからたれ流しにしておいて、トイレをどうするのかとか、放流先どこにするのか、なんて考えるのは変でしょ?

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ
     増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》

 「防人の島」の《町民の皆さんがその道を選んだ》のですか?
 足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を突っ込み、抜け出られなくなるのではないか。しかも、被爆地のナガサキで。《改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという》…意味が分からない? そんな理由で死の灰を受け入れるの?
 西田直晃中山岳両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/核のごみ 被爆地の長崎県、しかも日韓国境近くの「防人の島」に埋めてもよいのか…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/252197?rct=tokuhou)によると、《1週間後の19日には、対馬市商工会も請願の提出を決めた。商工会によると、処分地選定を担当する「原子力発電環境整備機構NUMOニューモ)」から昨秋までに、会員向けの説明会を主催したいと打診を受けた。昨年のうちに理事らがこの説明会に参加。商工会は4月、市民も含めた説明会を開いた》。

 この地震大国に、厄介なものを抱え込んでしまい、しかも、日々、それを増やし続けている愚行。《経済産業省が最終処分の適地を公表した「科学的特性マップ」には、対馬を火山や活断層が近くにないとして「好ましい」とした。ただ政府の地震調査委員会は昨年3月、対馬近海に活断層があると発表した。壱岐・対馬付近では1700年、マグニチュード(M)7.0の地震も起きたとされる》。
 《◆デスクメモ 最終処分の誘致話が出る自治体は日本の端の方にある。典型的な「地方」だ。迷惑施設を受け入れてでも経済的な潤いを求めようとする。そうせねばならぬ困窮ぶりこそ直視が必要だ。地方創生を掲げてきた自公政権。看板に見合う責務を果たすべきではあのムラの救済より先に。(榊)》

   『●原子力発電環境整備機構(NUMO)の担う役割と実績
   『●なぜ反核の元長崎市長が長崎に核燃料廃棄物の最終処分場誘致…?
   『●1000000年間「死の灰」を管理、「国が科学的に
        有望な候補地を絞り込」むと云う「科学的」とは?
   『●核発電所からの「死の灰」最終処分場をどうするのか?、
        を今ごろ考えている「麻薬」中毒患者たちの無責任
   『●ニッポン科学の勝利!! 10,0000年間管理可能な
          地域が「科学的特性マップ」上に30~65%も
   『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から
               沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》
   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
         超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/252197?rct=tokuhou

こちら特報部
核のごみ 被爆地の長崎県、しかも日韓国境近くの「防人の島」に埋めてもよいのか…
2023年5月25日 17時00分

     (かつては韓国人観光客でにぎわった比田勝港。
      最近は人影がまばらに=長崎県対馬市で)

 原発から出る高レベル放射性廃棄物核のごみ」の最終処分先が決まらずに久しい中、被爆地の長崎県で新たな動きが出た。処分場の誘致に向け、対馬市の複数の経済団体が市議会に請願を出す方針を決めた。ただ対馬は国境に近く「防人(さきもり)の島」とも称された。安全保障上、重要な地域に埋めていいか。近隣国の反発を買わないか。(西田直晃中山岳


◆誘致請願の背景に人口減少、観光需要の落ち込み

 福岡空港からジェット機で約30分。玄界灘に浮かぶ島にあるのが対馬市だ。

 人口約2万8000人。漁業や観光業が盛んだ。市北部の高台に行くと、朝鮮半島が視界に飛び込むことも。距離は約50キロ。「冬場が一番ですが、空気が澄んだ日に山や展望所に登れば、この季節でも韓国の街並みがまれに見えます」。市職員の男性が教えてくれた。

 朝鮮半島と長く交易を持ち、心理的な距離も近いだけに、韓国との関係がしばしば取り沙汰されてきた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の創設者・文鮮明氏が提唱したとされるのが「日韓トンネル」だが、市議会は2013年、「日韓トンネルの早期建設を求める意見書」を可決した。

 安全保障政策でも重きが置かれる。重要な施設周辺などが対象となる土地利用規制法特別注視区域に指定された地域がある。陸上自衛隊対馬駐屯地を抱えるためだ。一定の面積以上の土地や建物の売買時に氏名や国籍の届け出を求める。

 その対馬で今月浮上したのが「核のごみ」の最終処分場の誘致に向けた動き。具体的には、複数の経済団体が市議会に請願を提出する方針を決めた。

 「核のごみ」は使用済み核燃料を再利用する際に出る。放射能レベルが非常に強く、危険度が下がるのに長時間を要する。国が目指す最終処分法は地層処分。地下深くの岩盤に隔離する。

 選定過程の第1段階に当たるのが文献調査だ。応募して受け入れると、国から自治体に約20億円が交付される。過去には、07年に高知県東洋町が応募したが、町民の反対で取り下げに。20年11月からは北海道寿都町神恵内村で行われている。

 今月12日、文献調査に応募するよう求める請願を提出する方針を固めたのが「対馬建設業協同組合」。会員数は25年前のピーク時に比べて4割減に。組合員の男性は「公共工事が減り、市内の建設業には打開策が必要だ」と語る。

     (レベル放射性廃棄物の最終処分場選定の文献調査を巡り、
      長崎県対馬市商工会の理事会が開かれたホテル
      =19日午後、対馬市で)

 1週間後の19日には、対馬市商工会も請願の提出を決めた。商工会によると、処分地選定を担当する「原子力発電環境整備機構NUMOニューモ)」から昨秋までに、会員向けの説明会を主催したいと打診を受けた。昨年のうちに理事らがこの説明会に参加。商工会は4月、市民も含めた説明会を開いた

 こちらは「文献調査」という文言を請願に明記しない。商工会の山田審司事務局長は「請願は文献調査ありきではなく、まずは市議会で再度の議論を、という体裁にする。段階を踏むことが重要」と話す。

 市内では07年にも一部の市議に誘致の動きがあり、最終的に市議会が「誘致反対を決議した。改めて誘致が浮上した背景には「深刻化する人口減少、最近までの日韓関係の悪化、観光需要の落ち込み」があるという。特に打撃だったのが、コロナ禍による韓国・釜山との航路停止。ピーク時の18年に約40万人いた訪日客が消え、比田勝港周辺に林立していた商店や飲食店の撤退も相次いだ。


◆文献調査への応募阻止へ署名で対抗

 対馬では今も「核のごみ」の最終処分の誘致に反発が強い。市民有志の「核のごみと対馬を考える会」は、文献調査に市が応募しないよう求める請願の提出に向けて準備しており、応募反対の署名も集めている。

 水産加工会社を長年営んだ上原正行代表(78)は「核のごみ捨て場というレッテルを貼られたら魚価低迷につながる核のうば捨て山を造るような国策にだまされたらいかん」と息巻く。

 危機感を強めるのは、2011年の東京電力福島第一原発事故直後、海外の消費者から海産物やシイタケの安全性に厳しい目が向けられたからだ。「原発事故後に香港で海産加工品などの物産展を開いたが、ツシマから来たと言ってもフクシマと誤解された。予定していたマグロの解体ショーも中止になった」

 懸念は、まだある。

 経済産業省が最終処分の適地を公表した「科学的特性マップ」には、対馬を火山や活断層が近くにないとして「好ましい」とした。

 ただ政府の地震調査委員会は昨年3月、対馬近海に活断層があると発表した。壱岐・対馬付近では1700年、マグニチュード(M)7.0の地震も起きたとされる。「政府が核のごみを安全に管理できるといくら言っても信用できない」(上原さん)

 漁業会社役員の久保嘉代さん(50)は、最終処分に関する情報が市民に広く伝わっていないとし「子育て世代や若者もよく知らないまま誘致の話が進んでしまうようで心配だ」と危ぶむ。

 朝鮮半島に近い対馬は1300年以上前に「防人」が置かれ、歴史的に国防の要衝にもなってきた。現在も陸自の対馬駐屯地があり、隊員は地元住民から「やまねこ軍団」と呼ばれる。そんな国境の島に最終処分場を誘致して、安全保障上の問題はないのか。

 元陸自レンジャー隊員の井筒高雄さん(53)は「ウクライナで原発がロシア軍に占拠されたように、原発や核物質の関連施設は攻撃対象になるリスクをはらむ」と述べた上、「政府が九州以南で防衛強化を図ってきたのは中国や北朝鮮の脅威を念頭に置いてきたから。その前提に立てば、攻撃を受けやすい国境近くで核のごみを処分していいのかと疑問が湧く」と語る。

 万が一、放射能漏れがあれば九州や本州に運ばれる恐れもある。「安全保障の観点からは対馬を最終処分場の候補地から切り離したほうがいいのではないか」

 国境近くで最終処分すれば、韓国はじめ近隣国の反発を買う恐れもある。先の上原さんは「処分場を誘致すれば韓国などから観光客も来なくなるだろう。そうなれば、政府が防人の島を見捨てることと同じではないのか」と語気を強める。

 どこであれ、住民の合意を得るのは簡単ではない最終処分場を巡る問題に、どう向き合えばいいのか。

 新潟国際情報大の佐々木寛教授(政治学)は、そもそも政府が最終処分をはっきりさせないまま、原発の再稼働や活用を進める点を無責任だ」と批判する。

 さらに「文献調査に手を挙げた自治体が数十億円単位の交付を受けたとしても、その後に地元合意がまとまらない可能性がある。その場合に首長が誘致を断れるのかも疑問だ」と述べ、こう強調する。

 「最終処分場の誘致は今生きている世代だけでなく、将来にわたる世代たちにも影響が及ぶ、いわば『世代間民主主義』の問題だ。自治体は補助金との引き換えに『核のごみ』を引き受けることが子々孫々にも本当に合意を得られるのか、慎重に考える必要がある。さもないと将来にわたり禍根を残すことになるだろう」


◆デスクメモ

 最終処分の誘致話が出る自治体は日本の端の方にある。典型的な「地方」だ。迷惑施設を受け入れてでも経済的な潤いを求めようとする。そうせねばならぬ困窮ぶりこそ直視が必要だ。地方創生を掲げてきた自公政権。看板に見合う責務を果たすべきではあのムラの救済より先に。(榊)

【関連記事】78年前の東京・山の手大空襲 渋谷で犠牲になった米兵捕虜62人 なぜそこに? なぜ知られていない?
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●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》

2023年04月06日 00時00分41秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年03月21日[火])
足抜けできるのか? NUMOにからめとられて、泥沼に足を突っ込み…。

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます
   『●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させて
     いただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…

 《町民の皆さんがその道を選んだ》…なんでそうなるのだろうか??

   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 古賀茂明さん《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、と社長に聞く。社長が頷いたら、「では、1カ月以内に最終処分までの計画を出してください」と言う。それは無理だというだろうから、では1年待つと言って、議論を終わる。 これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる。 国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ。新政権には、是非そうした議論をして欲しい》。

 空虚な《地域振興》ではないのか? トイレなきマンションの、まずはトイレからの垂れ流しを止めてからの議論開始ではないのか?

 宮畑譲西田直晃両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/核のごみ最終処分は「国の責任」っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/231170?rct=tokuhou)によると、《原発活用に前のめりになる岸田文雄政権。今度は使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に向け、国の責任で取り組む方針をまとめた。語感の頼もしさと裏腹に不信が募る。東京電力福島第一原発事故の対応でも政府は「国の責任」を強調してきたが、独断専行に傾く局面が目に付いたからだ。最終処分を巡って今後、どんな展開が待ち受けるのか。文献調査が進む北海道寿都町(すっつちょう)神恵内村(かもえないむら)にどう影響するのか。(宮畑譲西田直晃)》。

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/231170?rct=tokuhou

こちら特報部
核のごみ最終処分は「国の責任」っていうけど…大丈夫? 文献調査が進む北海道の町村で起きていること
2023年2月15日 12時00分

 原発活用に前のめりになる岸田文雄政権。今度は使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に向け、国の責任で取り組む方針をまとめた。語感の頼もしさと裏腹に不信が募る。東京電力福島第一原発事故の対応でも政府は「国の責任」を強調してきたが、独断専行に傾く局面が目に付いたからだ。最終処分を巡って今後、どんな展開が待ち受けるのか。文献調査が進む北海道寿都町(すっつちょう)神恵内村(かもえないむら)にどう影響するのか。(宮畑譲西田直晃


◆たまり続ける使用済み核燃料

 「政府一丸となって、かつ、政府の責任で、最終処分に向けて取り組んでいく」。高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を巡り、10日にあった閣僚会議。ここで示された基本方針の改定案に冒頭の一節が明記された。現在は意見公募(パブリックコメント)の最中で、改定されれば2015年以来、8年ぶりとなる。

 使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物は「核のごみ」とも呼ばれる。現状では各原発の貯蔵プールで使用済み核燃料がたまり続け、廃液をガラスと固めた「ガラス固化体」が加工されている。

     (新型転換炉ふげんの使用済み核燃料が保管されている
      プール=茨城県東海村の東海再処理施設で)

 「核のごみ」はやっかいだ。放射能が極めて強く、寿命も長い。00年制定の最終処分法によれば、地下深くで地層処分する計画だが、安全面の問題などから具体的な道筋を描くに至っていない

 国が責任を強調するのはこの状況の裏返しでもある。最終処分法の制定以降、「手挙げ方式」と呼ばれる全国公募が始まった。07年に高知県東洋町が応募したものの、町民の激しい反対で取り下げに。現在、選定プロセスの第1段階に当たる「文献調査」を受け入れているのは、北海道の寿都町神恵内村だけだ。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、過去5年に約160回の説明会を全国で開いたが、関心を持つ地域は限定的だった。かたや最終処分場が決まった国外の例では10件程度の候補地から1件に絞った経緯がある。担当者は「調査の結果、処分地になりえないことや民意の反対もある。候補地はもっと必要」と話す。


◆政府方針に不信「本当にできるのか」

 現行の仕組みでいえば、処分地選定と処分自体を担うのは、電力会社が事業費を拠出する原子力発電環境整備機構NUMOニューモ)だ。ただ処分地選定が難航するため、国は15年に基本方針が改定された時も、適性の高いと考えられる地域を提示するなど、前面に出た。今回は「さらに一段ギアを上げようということ」(前出の担当者)になる。

 神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)は「原発政策は国策なのだから国に責任はある」と理解を示す一方、懸念も浮かぶ。「国が地方に力ずくでやるということになってはいけない」

 根底には国への不信がある。「福島第一原発事故後の対応で、国や電力会社は信頼されることをやってきたのか」。例えば第一原発で生じる汚染水の後始末。首相時代の菅義偉氏は「政府の責任で対応する」と述べたが、海洋放出に反対する声に耳を貸さず、処理後に放出する方針を決めた。

 国が最終処分に前のめりになっても「本当にできるのか」と疑う向きもある。

 高レベル放射性廃棄物は安全になるまで10万年を要するとされる。大阪大の平川秀幸教授(科学技術社会論)は「日本は地震国そこら中に活断層がある地中深くに移した後に問題が見つかった場合、放射性廃棄物を取り出せるのか原発関連の技術への不信はぬぐえていないまして10万年先の安全を確保できるのか」と語る。


◆調査進まないのは「選挙が控えているから」

 岸田政権が「最終処分に向けて国の責任で取り組む」と宣言した今、文献調査が進む寿都町と神恵内村の人びとは何を思うのか

 2020年11月から始まった両町村の文献調査は現在も続いている。当初は約2年の予定とされたが、NUMOの広報担当者は「想定より時間が掛かっている。調査結果を評価するための考え方を経産省のワーキンググループに尋ねているところ。いつまで、と決まっていない」と話す。

 地質図や学術論文などを用いた文献調査が終われば、地元の意向を踏まえ、地質や地盤を調べる概要調査への移行を図るという。第2段階に当たる調査だ。

 3年前に文献調査への反対を表明した神恵内村議の土門昌幸さん(69)は「2年を過ぎても調査が終わらないのは、選挙が控えているからでは」といぶかる。ここで言う「選挙」とは4月に予定される村議選のこと。賛成派の村議が多い現状を踏まえ、波風を立てたくないのでは、とみる。

 土門さんは「村民への説明が不十分なまま時間がたってしまった。概要調査は知事が『受け入れない』と明確に表明しているので、村長に歩調を合わせるように働きかけるしかない」と自らに言い聞かせる。


◆賛否分かれて人間関係も壊れた

     (寿都町役場(右奥)の近くに立てられた看板=2020年撮影)

 一方、寿都町の反対派住民グループの槌谷和幸さん(74)は岸田政権に対して「端的に言うと、腹立たしいのひと言」と語気を強める。「『最終処分は国の責任で』と強調されると『調査が進む町村で国が処分地選定を強力に推し進める』に聞こえてしまう。国の言うことは全く信用できない」

 同町では、文献調査から概要調査に移る際、住民投票を実施すると条例で定めているが、町長の決定への拘束力はない。

 重みを持つのが町議会の意向で、現在は賛否が拮抗 (きっこう) する。10月には町議選が予定され、槌谷さんは反対派候補の擁立を模索中だ。しかし「見つけるのに苦労している。この小さな町は町民のつながりが濃密で、賛否が分かれたことで人間関係が壊れた人もいる」。

 推進勢力の出方も警戒する。NUMOの担当者らによる説明会について「『対話の場』と言っても実情は違う一方の見解を言い含める場になっている」。推進派への取り込み、反対派の切り崩しが今以上に進むことを危惧する。

 岸田政権は今月10日、「GXグリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定し、原発の積極活用を盛り込んだ。異論が噴出するタイミングで最終処分の基本方針案を示し、「国の責任」を強調した。


◆「地方を悩ませ、苦しませているだけ」

 長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)は「最終処分場がないと一層、責められる。そうした声を意識しただけ。アピールの意味合いが強い」と述べ、批判そらしの意図を疑う。その上で「処分地選定に力を入れると言っても、実質的には電気事業連合会電事連)任せになる。特段の変化はないだろう」とみる。

 最終処分場の議論は避けては通れない一方、寿都町、神恵内村の例に漏れず、住民の納得を得ずに議論を進めるのは問題がある。

 信州大の茅野恒秀准教授(環境社会学)は「最終処分場についてはこれまでも、国主導での理解促進という言葉を多用してきたが、今の北海道の2町村を見ても見解の一致を見ておらずむしろ分断を招いている地方を悩ませ、苦しませているだけ」と断じ、こう続ける。「受け入れに対する厳しい現実を政権が直視せず、国民的理解を丁寧に得ようとしない安易な姿勢が問題。原発は安全で、電気代も下がるという技術的、経済的楽観論を捨て去るべきだ


◆デスクメモ

 原発を動かせばごみが出るしかし処分先が決まらず、たまる一方。管理に困る。置き場にも。なすべきことは明白原発を止め、ごみ増を防ぎ、その間に処分先を話し合うしかし国は稼働ありきごみが増えるほど後始末に困るのに不合理な思考に独断専行始末が悪すぎる。(榊)

【関連記事】「入学手続きに来ました」 核ごみ調査応募で北海道寿都町の片岡町長
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コメント
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●《(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させていただきたい》…足抜けできるのか? NUMOにからめとられて…

2021年11月12日 00時00分40秒 | Weblog

(2021年11月7日[日])
伊沢健司記者による、アサヒコムの記事【「冷静に議論を」「力及ばず」 「核のごみ」で割れた町の選挙結果は】(https://digital.asahi.com/articles/ASPBW01NZPBTIIPE007.html?iref=pc_ss_date_article)。

 《町長選はこれまで4回連続無投票で、選挙戦となるのは20年ぶりだった。当日有権者数は2448人、投票率は84・07%。当選を果たした片岡氏は支持者らを前に、「核のごみの案件は厳しいと改めて感じた。賛成反対は別に、(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させていただきたい。寿都町で冷静に議論が進むことを望む」と述べた。越前谷氏は「力が及ばなかった。私の責任だ。町民の皆さんがその道を選んだから仕方が無いが、寿都の将来、未来を考えると私の心はなんともいえない」と語った。片岡氏が昨年8月に文献調査への応募検討を明らかにして以降、町民、町議会、地元の産業団体は、賛否をめぐって二つに割れた。今回の町長選は町民が文献調査についての意思を示す初めての機会だった。片岡氏の当選で、来秋までの2年間の文献調査が続くことが確実になった》。

   『●《脱原発へ政策のかじを切り、際限のない健康被害の脅威に歯止めを
      かける。それが最終処分場問題の解決に向けた国民議論の最低条件》
    《高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道
     寿都町。町内に不安が広がり道や隣接自治体との亀裂も深まって
     いる巨額の交付金で誘致を促す手法。このままでいいのだろうか》
    《原発から出る核のごみを最終的にどこで処分するのか。国民に
     突き付けられた課題であることは間違いない。とはいえ町の判断は
     地域の行く末を委ねる手段としては余りに安易ではないか》。

   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
   『●【NNNドキュメント‛20/核のごみは問いかける 「尊重」の先には…】
        …空虚な《地域振興》なことは立候補しなくたって《学》べます

 《町民の皆さんがその道を選んだ》…なんでそうなるのだろうか??

   『●《理性と良識》で判断…核発電は《「被害が大きくて」かつ「事故発生
     確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険》(樋口英明さん)
   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を

 古賀茂明さん《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、と社長に聞く。社長が頷いたら、「では、1カ月以内に最終処分までの計画を出してください」と言う。それは無理だというだろうから、では1年待つと言って、議論を終わる。 これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる。 国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに止めるのは簡単だ。新政権には、是非そうした議論をして欲しい》。

 空虚な《地域振興》ではないのか? トイレなきマンションの、まずはトイレからの垂れ流しを止めてからの議論開始ではないのか?
 同紙の記事【「核のごみ」調査推進派の現職・片岡氏が6選 北海道寿都町長選】(https://www.asahi.com/articles/ASPBV752HPBVIIPE008.html?iref=pc_ss_date_article)によると、《「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定に向けた全国初の「文献調査」が進む北海道寿都(すっつ)町の町長選が26日、投開票され、調査を推進する現職の片岡春雄氏(72)が、調査反対派の新顔で前町議の越前谷由樹氏(70)を破り、6選を果たした。確定得票は片岡氏が1135票、越前谷氏が900票だった》。

 それにしても、足抜けできるのかねぇ…NUMOにからめとられて、底なし沼に引きずり込まれるのでは?
 投票しない、または、自公お維に投票してしまうと… ➙ 空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)。
 同紙の記事【「核のごみ」北海道での処分場設置は? 衆院候補道内32人の賛否は】(https://www.asahi.com/articles/ASPBT73Q1PBTIIPE002.html?iref=pc_ss_date_article)によると、《31日に投開票される衆院選で道内12選挙区に立候補した32人に対し朝日新聞が実施したアンケートでは、「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)をめぐる問題についても質問した。原子力政策への見解とともに、最終処分場の「道内での設置の賛否」について聞くと、「反対」が18人、「どちらでもない」が14人、「賛成」がゼロだった》。

 さらに、同紙の記事【寿都町とNUMOの新たな勉強会初会合 町民17人応募】(https://www.asahi.com/articles/ASPBF74HBPBFIIPE012.html?iref=pc_ss_date_article)によると、《「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む北海道寿都町で、新たな勉強会が始まった。町と原子力発電環境整備機構NUMO)が参加者を募ったところ30~90代の町民17人が応募した。扱うテーマは自由だが、参加者からは最終処分について知りたいとの要望が相次いだ》。

   『●「「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の
      嘆きが胸に突き刺さ」らないとは…吉岡茂之裁判長

 再び「「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さ」らないとは(2017.03.30)…吉岡茂之裁判長。《ヒロシマやフクシマの不安と嘆きを置き去りに、誰のため、何のために、今再稼働を急ぐのか》?
 東京新聞の記事【伊方原発3号機の運転容認 広島地裁が被爆者ら7人が運転禁止を求めた仮処分申し立てを却下】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/140881)によると、《四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転禁止を求め、被爆者の女性を含む広島、愛媛両県の住民7人が申し立てた仮処分について、広島地裁(吉岡茂之裁判長)は4日、申し立てを退け、運転を容認した。伊方3号機は2019年12月の定期検査以降、停止中。20年1月に山口県内の住民が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が運転禁止を命じた。この命令は、21年3月の異議審で同高裁が取り消し、運転を容認した。四国電力は10月中の再稼働を目指していたが、職員の保安規定違反が発覚し、再稼働の時期を未定に変更した。今後、地元自治体の理解を得て再稼働する予定。(小川慎一)》。

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https://digital.asahi.com/articles/ASPBW01NZPBTIIPE007.html?iref=pc_ss_date_article

「冷静に議論を」「力及ばず」 「核のごみ」で割れた町の選挙結果は
伊沢健司
2021年10月27日 12時00分

     (当選確実の報道を受け、支援者らと万歳をする片岡春雄氏
      =2021年10月26日午後10時9分、
      北海道寿都町、日吉健吾撮影)

 「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定に向けた全国初の文献調査を継続するか、中止するか――。国策をめぐる賛否が最大の争点となった北海道寿都町長選が26日投開票され、調査を推し進めた現職の片岡春雄氏(72)が、調査中止を掲げた新顔で前町議の越前谷由樹氏(70)を破り、6選を果たした。

 国内の原発が動き始めてから半世紀以上経つなか、人口約2900人の漁業のまちで、初めて動き出した最終処分場の選定プロセス。トップが下した「政治的判断」に、町民の賛否は割れた。この1年の「核のごみ」をめぐる議論を3回にわたり追った。

 町長選はこれまで4回連続無投票で、選挙戦となるのは20年ぶりだった。当日有権者数は2448人、投票率は84・07%

 当選を果たした片岡氏は支持者らを前に、「核のごみの案件は厳しいと改めて感じた。賛成反対は別に、(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させていただきたい。寿都町で冷静に議論が進むことを望む」と述べた。越前谷氏は「力が及ばなかった。私の責任だ。町民の皆さんがその道を選んだから仕方が無いが、寿都の将来、未来を考えると私の心はなんともいえない」と語った。

 片岡氏が昨年8月に文献調査への応募検討を明らかにして以降、町民、町議会、地元の産業団体は、賛否をめぐって二つに割れた。今回の町長選は町民が文献調査についての意思を示す初めての機会だった。片岡氏の当選で、来秋までの2年間の文献調査が続くことが確実になった

 片岡氏は、人口減少や新型コロナの影響で落ち込んだ地域経済を、調査に伴う交付金で立て直そうと考えた。国内で宙に浮いた核のごみの問題に「一石を投じる」とも主張。漁業や農業の振興策を訴え、文献調査については来秋の住民投票を前提に継続する考えを示してきた。町営の風力発電やふるさと納税によって町の収入を増やした5期20年の実績が、支持の浸透につながったとみられる。

 一方、越前谷氏は一貫して文献調査に反対してきた。水産加工業者らでつくる反対派の町民の会などの後押しを受け、町議を辞職し、町長選に立候補した。町内の分断を解消するには文献調査の中止が最優先だと訴え、交付金に頼らない「身の丈に合った財政改革」を進めると主張したが及ばなかった。

 経済産業省は選挙結果を受け、「個別の選挙結果については控えるが、地域の声を踏まえて、引き続き対話活動を続けていきたい」とのコメントを出した。

     ◇

 町議補選(被選挙数1)も26日投開票され、いずれも新顔で、文献調査に反対する吉野卓寿氏(31)が、賛成する南嶋亘氏(74)を破った。定数9の町議会は、賛成派5人、反対派4人となり、賛成派が過半数の状況は変わらない。


視点|国民的な関心、高める必要

 片岡春雄町長が文献調査への応募検討を明らかにした昨年8月から1年3カ月、記者は札幌から寿都へ通い続けている。この間、片岡氏、越前谷由樹氏だけでなく、賛成派と反対派の町民や、子どもにも話を聞いた。話の中で共通するのは、町の将来をよくしたいという熱意だ。

 しかし現実には、かつて親し…
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https://www.asahi.com/articles/ASPBV752HPBVIIPE008.html?iref=pc_ss_date_article

「核のごみ」調査推進派の現職・片岡氏が6選 北海道寿都町長選
伊沢健司
2021年10月26日 21時49分

     (当選確実の報道を受け、支援者らと万歳をする片岡春雄氏
      =2021年10月26日午後10時9分、
      北海道寿都町、日吉健吾撮影)

 「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定に向けた全国初の「文献調査」が進む北海道寿都(すっつ)町の町長選が26日、投開票され、調査を推進する現職の片岡春雄氏(72)が、調査反対派の新顔で前町議の越前谷由樹氏(70)を破り、6選を果たした。

 確定得票は片岡氏が1135票、越前谷氏が900票だった。

 当選を果たした片岡氏は支持者らを前に、「核のごみの案件は厳しいと改めて感じた。賛成反対は別に、(文献調査後の)概要調査前に住民投票で意見を聴いて判断させていただきたい。寿都町で冷静に議論が進むことを望む」と述べた。

 越前谷氏は「力が及ばなかった。私の責任だ。町民の皆さんがその道を選んだから仕方が無いが、寿都の将来、未来を考えると私の心はなんともいえない」と語った。

 経済産業省は選挙結果を受け、「個別の選挙結果については控えるが、地域の声を踏まえて、引き続き対話活動を続けていきたい」とのコメントを出した。

 日本海に面した人口約2800人の寿都町では昨年8月、片岡氏が文献調査への応募検討を突然表明。町民の賛否が割れるなかで10月に正式応募し、11月に調査が始まった。

 片岡氏は、人口減や新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ地域経済を立て直すため、調査で得られる交付金に期待した。核のごみの問題に「一石を投じる」とも主張。漁業や農業の振興策を訴え、文献調査が終わる来秋にも住民投票を行う考えを示してきた。

 一方、越前谷氏は町内の分断を解消するには文献調査の中止が最優先だと主張した。調査応募の前に住民投票をするべきだったと批判。交付金に頼らない財政改革を進めると訴えていた。しかし、町営の風力発電やふるさと納税によって収入を増やしてきた片岡氏への支持が上回った。

 推進派の片岡氏が6選し、文献調査は継続される。ただ、2年間の調査期間が終わる来秋にも、次の段階の概要調査へ進むかの賛否を問う住民投票が予定されており、「国策」による町内の分断が続く可能性がある。

 処分場の選定プロセスは20年に及び、既存のデータや論文を用いる2年間の文献調査、実際に地面を掘る4年間の概要調査、地下施設をつくる14年間の精密調査へと続く。国から地元や周辺自治体には、文献調査で最大20億円、概要調査で最大70億円の交付金が出る。

 国は2000年に法律をつくり、地下300メートルより深くに核のごみを埋める処分場の受け入れ自治体を探してきたが難航。07年には高知県東洋町の当時の町長が応募したが、反対派に町長選で敗れ撤回に追い込まれた。(伊沢健司)
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https://www.asahi.com/articles/ASPBT73Q1PBTIIPE002.html?iref=pc_ss_date_article

「核のごみ」北海道での処分場設置は? 衆院候補道内32人の賛否は
2021衆院選
伊沢健司
2021年10月26日 6時00分

     (北海道寿都町=2021年6月、本社機から)

 31日に投開票される衆院選で道内12選挙区に立候補した32人に対し朝日新聞が実施したアンケートでは、「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)をめぐる問題についても質問した。原子力政策への見解とともに、最終処分場の「道内での設置の賛否」について聞くと、「反対」が18人、「どちらでもない」が14人、「賛成」がゼロだった。

 朝日新聞は今回の衆院選に合わせて北海道の12選挙区に立候補した32人に政策アンケートを行いました。アンケートは9月下旬から配布し、各質問100字以内で回答してもらいました。100字を超えた回答は要約しました。「核のごみ」以外の回答については別途配信します。

 政党別では、自民の11人中9人が「どちらでもない」、2人が「反対」と回答した。このほか公明1人、維新3人、N党1人も「どちらでもない」と答えた。これに対し、立憲(12人)と共産(3人)の全員、無所属1人が「反対」と答えた。

 「どちらでもない」の理由は「原子力政策推進の是非にかかわらず処分場は必要」「もっと議論が必要」など。「反対」の理由は「国の原子力政策は失敗している」「『受け入れ難い』と宣言した道条例を尊重すべきだ」などだった。

 処分場の選定に向けた全国初の文献調査が進む北海道寿都町と神恵内村を含む道4区では、立憲新顔の大築紅葉氏(38)が「反対」、自民前職の中村裕之氏(60)が「どちらでもない」だった。

 理由について大築氏は「道には核のごみを『受け入れ難い』とする条例があり、巨額の交付金を餌に調査を受け入れさせる制度は問題がある。地震大国の日本に地層処分の適地があるのかも疑わしく、候補地選定の厳しい基準を設けることが先決」と回答した。

 中村氏は「賛否は自治体の自治権に属するので、明らかにする立場にない。当該自治体と知事が反対の決定をした場合、次の段階に入らないことを約束する」と回答した。(他の質問項目も含む各候補のアンケート回答は、26~29日の紙面で紹介します)(伊沢健司)


道内12小選挙区候補者の「核のごみ」に関する回答

 届け出順。党派の略称は、自(自民)、立(立憲)、公(公明)、共(共産)、維(維新)、N(N党)。諸は諸派、無は無所属。敬称略

質問文
 「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた文献調査が寿都町と神恵内村で進められています。道内の他地域でも最終処分場が設置される可能性があります。道内での設置の賛否(賛成、反対、どちらでもない)を原子力政策への見解も含めてお聞かせください。


1区・小林悟(維新)
どちらでもない。文献調査を否定する事はナンセンスである。科学的見地に基づいて、静かな環境で議論が進められるべきである。今まで原子力エネルギーの恩恵を受けてきたので、どこかに最終処分場をつくるのが政治の責任である。

1区・道下大樹(立前)
反対。国の原子力政策は失敗し、核燃料サイクルも破綻している。北海道における核のごみ最終処分場設置は、農林水産業や観光への影響も大きく、核のごみを受け入れ難いとする道条例の趣旨にも反することから反対だ。

1区・船橋利実(自前)
どちらでもない。近い将来、国内のいずれかの地域に最終処分場設置が必要でその際は国民の理解を得る努力が大切。文献調査はその一つとの認識だ。道議時代、道の関係条例を起案した政策責任者として条例を尊重すべきだと考える。

2区・高橋祐介(自新)
どちらでもない。東電福島第一原発事故への反省を出発点に、国民の不安をしっかりと受け止め、二度と事故を起こさない取り組みを続ける。安全性を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する。

2区・松木謙公(立前)
反対。特定放射性廃棄物は北海道の条例で受け入れ難いとされている。条例は当然順守されるべきだ。また、多額の交付金を示し一自治体の判断だけで処分地決定のプロセスを進める政府のやり方に違和感を覚える。

2区・山崎泉(維新)
どちらでもない。まず最終処分場を設置する最終責任は国にあることを明確にする法制化が必要。町村民と周辺市町村の意思を尊重し、賛成派、反対派など外部勢力に左右されない意思決定をする静謐な環境づくりを進める。

3区・高木宏寿(自元)
どちらでもない。原子力政策推進の是非にかかわらず処分場は必要。最終処分場の選定は避けられない課題であり、道条例との整合性を図る必要がある。

3区・荒井優(立新)
反対。「特定放射性廃棄物の持込みは受け入れ難い」とする約束(条例)を守ることが政治の役割。北海道の潜在力である再生可能エネルギー活用で、お金を還流させる循環型経済を構築、道民の所得向上・経済活性化に繫(つな)げる。

3区・小和田康文(維新)
どちらでもない。どこに立地するかに関わらず、しっかりと議論しなければならない。既設原発は市場原理により将来はフェードアウトしていく。これを見すえて再生可能エネルギー拡大へシフトすべきだ。

4区・大築紅葉(立新)
反対。道には核のごみを「受け入れ難い」とする条例があり、巨額の交付金を餌に調査を受け入れさせる制度は問題がある。地震大国の日本に地層処分の適地があるのかも疑わしく、候補地選定の厳しい基準を設けることが先決。

4区・中村裕之(自前)
どちらでもない。賛否は自治体の自治権に属するので、明らかにする立場にない。当該自治体と知事が反対の決定をした場合、次の段階に入らないことを約束する。

5区・大津伸太郎(無新)
反対。原発再稼働を中止し、すべてを廃炉にする。廃炉作業のみに特化する。カナダ元首相らが関与したとされる「カナダ・日本の核のごみ受け入れ構想」を具体的に進めていく。

5区・和田義明(自前)
反対。現在政府で沖ノ鳥島に最終処分場を設置する案が検討されている。当案は安全の観点と領土保全の観点から好ましい。脱炭素戦略と燃料価格高騰に鑑み、原子力発電は引き続き重要なベースロード電源だ。

5区・橋本美香(共新)
反対。科学的に処分方法が十分確立されておらず、現時点で限りある環境を将来世代に引き継ぐことが困難な状況で「受け入れ難い」と宣言した道条例を尊重すべきだ。原発廃止、核燃料サイクルから撤退し原発ゼロを求める。

5区・池田真紀(立前)
反対。原発も廃棄物処分も、お金と引き換えに地方に設置する国の政策は限界。北海道には「特定放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難い」とする条例があり、これをしっかり守ると同時に原子力政策そのものの転換が不可欠だ。

6区・斉藤忠行(N新)
どちらでもない。

6区・西川将人(立新)
反対。道条例に基づいて、核のごみは持ち込まない原則を堅持すべきだ。原子力発電は順次他の発電源へと移行すべきだ。

6区・東国幹(自新)
反対。北海道条例に反するべきではないと考える。

7区・伊東良孝(自前)
どちらでもない。原子力発電所は厳しい規制の中で稼働が認められている。核廃棄物の処分方法を調査・研究するのは当然だ。ただし道条例では廃棄物の持ち込みを「受け入れがたい」としており、持ち込み前提なら整合性が問われる。

7区・篠田奈保子(立新)
反対。食糧危機に対応するため第1次産業を早急に拡充する必要があり、自然豊かな北海道での滞在型ワーケーションを拡充するためにも、北海道に核のごみ処分場の設置は不適切である。原発に依存しない社会の構築を目指す。

7区・石川明美(共新)
反対。日本国内では、ふさわしい地層はない。そもそも住民合意が一度も行われていない。

8区・逢坂誠二(立前)
反対。核燃料サイクルを進めても使用済みMOX燃料ができるだけでトイレのないマンション状態は解決しない。使用済み核燃料は再処理せず、当面乾式貯蔵を行い、直接処分の道を検討すべきだ。

8区・前田一男(自元)
どちらでもない。現代生活を送るうえで、どこかが負担しなければならない課題であり、もっと議論が必要だ。

9区・山岡達丸(立前)
反対。すでに蓄積している使用済み核燃料の最終処分をどう処理するかは国全体で考えなければならないが、北海道は「核物質を受け入れない」ことが条例で定められており、その条例に基づき、道民としては反対する立場。

9区・堀井学(自前)
どちらでもない。文献調査自体は問題ないと考える。重要なのは地層処分技術の研究開発と考える。

10区・神谷裕(立前)
反対。原子力発電所の新増設は認めない。使用済み核燃料の扱いや立地地域への支援、雇用の公正な移行など、原発のない社会に向けた不可逆的な方針を速やかに確立し、国の監督と責任の下で廃炉を着実に進める。

10区・稲津久(公前)
どちらでもない。既に原発を持つ日本においては、原発への賛成、反対に関わらず、どうやって最終処分場を造っていくのか、道民や国民の意見を聴きながら議論を重ね、結論を出すことが重要だと考える。

11区・石川香織(立前)
反対。道は条例で「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難い」と宣言している。原発に依存せず再生可能エネルギーの普及を加速すべきだ。ポテンシャルが世界3位の地熱を生かした発電を拡大。

11区・中川郁子(自元)
どちらでもない。

12区・川原田英世(立新)
反対。自然環境が豊かで第1次産業の大きな可能性を秘めた道への核のごみ持ち込みは、道産食材の国内・国際的な信頼を損ねかねない。核のごみは日本だけの問題ではなく、国際的な協力のもと解決策を検討する必要がある。

12区・武部新(自前)
どちらでもない。最終処分場の選定は段階的な調査を法令上規定しており、文献調査は最終処分地選定に直結しない。まずは自治体の調査実施の判断を尊重し、調査等の経過を見守るべきであり、賛成・反対を議論する段階にはない。

12区・菅原誠(共新)
反対。技術的に未確立の地層処分はやめ、当面は地上に暫定保管する。併せて、安全な処分技術の構築を急ぐ。道の「核抜き条例」の順守、住民の合意抜き、交付金をテコにした手法はやめ、再稼働せず即時廃炉にする。
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https://www.asahi.com/articles/ASPBF74HBPBFIIPE012.html?iref=pc_ss_date_article

寿都町とNUMOの新たな勉強会初会合 町民17人応募
伊沢健司 2021年10月14日 10時30分

     (寿都町とNUMOが開いた新たな勉強会の初会合を終え
      報道陣に内容を説明するファシリテーター(進行役)
      =2021年10月12日午後8時14分、北海道寿都町、伊沢健司撮影)

 「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む北海道寿都町で、新たな勉強会が始まった。町と原子力発電環境整備機構(NUMO)が参加者を募ったところ30~90代の町民17人が応募した。扱うテーマは自由だが、参加者からは最終処分について知りたいとの要望が相次いだ。

 町とNUMOは、最終処分の議論を深めることなどを目的として町が人選した出席者による「対話の場」を今年4月から3回開いた。それとは別に町民が参加する機会を設けるため、高校1年以上の町民を対象とする新たな勉強会を準備してきた。

 12日夜の初会合は非公開で、町民12人が出席した。ファシリテーター(進行役)やNUMOによると、参加者が今後の進め方について要望を書き出した。「最終処分場について賛成・反対派の話を聞きたい」「将来の寿都像をみなさんに聞いてみたい」といった意見が出された。

 会合後、取材に応じたNUMO寿都交流センターの末木克久所長は、最終処分への理解を深めてもらうのが勉強会の目的かと問われ「我々としてはそういう思いではいるが、より自由にやりたいので特にテーマを絞っているわけではない」と説明した。(伊沢健司)
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コメント (1)
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