Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●「明らかな脅し、報復」: アベ様や「沖縄負担軽減担当相」=最低の官房長官による辺野古・高江破壊

2016年07月31日 00時00分24秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の伊勢崎馨氏による記事【安倍政権による沖縄いじめが異常! 150人の村に500人の機動隊を投入、辺野古提訴…「やると言ったらやる」と民意無視】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2439.html)。

 《新たなヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)の建設工事を再開、全国から投入された約500人の機動隊が抗議をする市民たちを力任せに次々と排除した。しかも、そのやり方は暴力的なものだった。反対する市民ひとりに何人もの機動隊員がよってたかって身体を拘束し、さらには県道も規制することで反対する市民がトイレに行くことも封じようとしたのだ》。

 「美しい国」「県民に寄り添う」の実情はこんなもの。アベ様や「沖縄負担軽減担当相」を兼務する最低の官房長官ら『卑怯なコウモリ』と「似た類い」による、これまでの沖縄の民意に対する「明らかな脅し、報復」。2016年7月参院選直後の高江や辺野古破壊の再開、「小中学校のエアコン補助費を廃止」、市民に対する暴力…やることなすこと酷い。「美しい国」ニッポンには民主主義なんて存在しない。

   『●究極の差別…「県民の安全を守るために 
     派遣されたはずの職員が基地建設に抗議する住民を鎮圧」!
   『●2016年7月参院選、「あとの祭」…「本土」マスコミは
           「沖縄・地域住民弾圧隊」「照明弾誤射」を報じず
   『●こんな理不尽なことが許されるのか!  
      アベ様らは辺野古や高江で一体何をやっているのか?
   『●辺野古破壊・高江破壊…アベ様は
     「話し合いで問題解決の道を探る心積もりなど、最初からなかった」
   『●辺野古破壊・高江破壊… 
     ニッポンでアベ様のやっていること、どこら辺が「美しい国」なのか?
   『●「住民分断」「差別」「イジメ」: アベ様や
      「沖縄負担軽減担当相」が沖縄でやっていることは「あざとい」
   『●イソップ寓話『卑怯なコウモリ』と「似た類い」: 
      「県民に寄り添う」と言いつつ、辺野古・高江破壊
   『●自衛隊配備で「住民分断」:
     「自衛隊の配備計画…いずれの島でも人々は分断されている」

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http://lite-ra.com/2016/07/post-2439.html

安倍政権による沖縄いじめが異常! 150人の村に500人の機動隊を投入、辺野古提訴…「やると言ったらやる」と民意無視
伊勢崎馨
 沖縄 2016.07.23

     (上・自由民主党ホームページより/
      下・島尻安伊子オフィシャルサイトより)

 それはあまりにもむごすぎる光景だった。昨日、沖縄防衛局は沖縄県東村高江の米軍北部訓練場に新たなヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)の建設工事を再開、全国から投入された約500人の機動隊が抗議をする市民たちを力任せに次々と排除した。

 しかも、そのやり方は暴力的なものだった。反対する市民ひとりに何人もの機動隊員がよってたかって身体を拘束し、さらには県道も規制することで反対する市民がトイレに行くことも封じようとしたのだ。

 このように約150人しかいない高江に大量の機動隊を配備するという異常さもさることながら、国は同時に、もうひとつの暴挙に出た。沖縄県に対し、辺野古埋め立ての承認取り消しを求める国の是正指示に従わないことが違法として新たな訴訟を起こしたのだ。

 国と沖縄県は今年3月4日に、国が翁長雄志沖縄県知事を相手に訴えていた代執行訴訟で和解が成立し、双方が訴訟を取り下げ「円満解決に向けた協議」を続けてきたはずだった。安倍首相も「埋め立て工事を中止する」と明言し、国と県がそれぞれ行政手続きなどを取り下げて、代執行以外の手順を進めるとしていた。さらに6月には県が政府を提訴する予定だったが、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」がさらなる「協議」を促したため県は提訴を見送っていた。

 協議がスタートしようとしたこの時期に一転、政府による強行とも思える再提訴。──これは、これまでの「協議での解決」を前提にした和解を踏みにじるものである。

 もちろん、こうした安倍政権の強権的な姿勢はあきらかな“報復”だ。ご存じの通り、7月10日の参院選では安倍首相が沖縄担当相に抜擢した現役閣僚である島尻安伊子氏が落選し、反基地の新人・伊波洋一氏が初当選。沖縄では14年の知事選以降、今年6月の県議会選挙、そして今回の参院選と3度続けて反自民、反基地勢力という民意を示してきた

 だが、こうした沖縄県の民意に対し、安倍政権はさまざまな嫌がらせを行ってきたが、とくに今回の参院選後は苛烈を極めている。現に、政府は参院選翌日から高江のヘリパッド建設工事に向けて機材搬入を開始。あまりに露骨すぎる態度だが、このヘリパッドではたんなるヘリコプター着陸帯ではない。すでに完成している2カ所のヘリパッドには、危険性が指摘されている新型輸送機オスプレイによる訓練が行われており、地元では昼夜を問わずに低空飛行を繰り返している

 想像してみてほしい自分の住む家のすぐそばにそんな危険機種のヘリパッドがつくられ、夜中でさえ構わず爆音を立てて上空を飛び回る様子を。本来は自然ゆたかで静かな村が、このままでは壊されてしまう──そうした不安と怒りから、地元住民は精一杯の抵抗をしているだけなのだ。それを政府は力にものを言わせるように、参院選が終わったそばから強硬手段に出た。

 しかも、そこに地元の意見を聴こうという姿勢はない。21日には沖縄県議会の定例最終本会議で、ヘリパッド建設中止を求める意見書を賛成多数で可決したばかりだったが、これを政府は無視。昨年11月の辺野古新基地建設の抗議運動が行われているキャンプ・シュワブのゲート前に100人規模の機動隊を投入したのに比べて、その5倍の数にあたる機動隊を投入したのだ。14年には特定危険指定暴力団工藤会の壊滅作戦で機動隊約530人が派遣されており、今回の人数は、基地やヘリパッドに反対する一般市民をまるで指定暴力団の抗争並みの警備と同一視しているという指摘もある。事実、地元紙である琉球新報の報道によれば、政府関係者は「国は物量で圧倒している。やると言ったらやる」と話しているという。これはあからさまな参院選で示された沖縄の意志に対しての脅し報復だ。

 政府はこうした一連の動きに対し「予定通り」と主張しているが、それを信じるわけにはいかない。そもそもこの間、沖縄担当相だった島尻氏へのこれ以上の逆風を恐れ、参院選まではこうした動きを一時封印してきた。しかし、それはたんなる選挙対策であり、島尻氏の落選により衆参すべてで自民党が議席を失ったことで、基地関連の建設を一気に強行させようとしているのだ。

 しかも、落選早々、島尻氏は大臣辞任を否定し続投を表明したが、これも8月3日に予定される内閣改造までは留任させるという安倍政権、官邸の意向だった。

 これほど沖縄県を、そして県民の民意を陵辱した政権はこれまでにもなかったはずだ。まさになりふり構わず、そして独裁的に進められていく沖縄イジメの、これが実態だ。

 安倍首相はこれまでも、自分の意に沿ない沖縄に対して、民主主義国家のやり方とは思えない嫌がらせを数々行ってきた。とくに基地反対を訴えて当選した翁長知事就任後は、再三再四の面会要請を拒否するだけでなく、約3800億円と見積もられていた沖縄振興予算を3340億円へと大幅減額仲井眞弘多前知事時代は要望を上回る予算を付けてきたが、その態度を一転させた。

 なかでも卑劣なのが、今年4月には県内の幼稚園、小中学校のエアコン補助費を廃止する方針を決定したことだ。しかも県内の施設に設置されたエアコンは単に暑さ対策のものではない。基地周辺や軍用機の飛行ルートにある学校の騒音対策として設置されているものだ

 琉球新報の社説(5月14日付)には、〈補助のない他の公立校と不公平だというが、米軍機が飛ぶことこそ不公平だ補助を廃止するなら全米軍機の沖縄上空飛行を停止すべきだ〉とあるが、まさにその通りだろう。安倍首相にとって沖縄の民意や子どもたちのことなどどうでもよく、頭にあるのはアメリカへの忠誠心だけだ

 これは決して沖縄だけの問題ではない。沖縄が選挙という民主的なかたちで示した民意は、こうしてわたしたちの目の前で踏みにじられているではないか。市民の声に聞く耳ももたず、力によって排除する。そうした安倍政権の沖縄軽視は、日本国民全体の軽視、民主主義の軽視だということを忘れてはならない。

伊勢崎馨
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●一カ月の「中断」・話し合いで距離が縮むなどあり得ない、「辺野古移設断念こそ唯一の解決策」

2015年08月20日 00時00分01秒 | Weblog


東京新聞の社説【翁長・安倍会談 辺野古断念こそ解決策】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015080802000131.html)。

 「政府が名護市辺野古への県内移設を「唯一の解決策」とする限り、進展は望めない。辺野古移設断念こそ唯一の解決策だ」。
 一カ月の「中断」・話し合いでアベ様らと沖縄との距離が縮むなどあり得ない、「辺野古移設断念こそ唯一の解決策」。両者の距離が無くなるとは、辺野古移設断念のこと。「時間稼ぎだとしたら、あまりにも不誠実」であり、一カ月の「中断」といった姑息な譲歩ではなく、沖縄県民の民意に答えるには「断念」しか道はない。

 それにしても、「そもそも、なぜ米軍の基地問題で日本人同士が争わねばならないのか――」?・・・・・・深層心理に「沖縄だからいいや」の醜さ。

   『●辺野古破壊: 「そもそも、なぜ米軍の基地問題で
            日本人同士が争わねばならないのか――」

   『●翁長知事「がくぜんとしている、日本の将来に禍根を残す」
                ・・・深層心理に「沖縄だからいいや」の醜さ


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015080802000131.html

【社説】
翁長・安倍会談 辺野古断念こそ解決策
2015年8月8日

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)は返還による危険性除去が急務だが、政府が名護市辺野古への県内移設を「唯一の解決策」とする限り、進展は望めない。辺野古移設断念こそ唯一の解決策だ。

 沖縄県の翁長雄志知事と安倍晋三首相がきのう会談した。昨年十二月の翁長氏の知事就任後、今年四月十七日に次いで二度目の会談だ。最大の懸案は普天間飛行場の辺野古への県内移設問題である。

 政府は、辺野古移設の本体工事に向けて行っている海底掘削調査を、十日から一カ月間、中断することを決めた。

 この間、政府と沖縄県は五回程度、辺野古移設をめぐり集中的に協議する。十一日に予定する初会合に出席するため、菅義偉官房長官が沖縄県を訪れる、という。

 仲井真弘多前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認に「法律的な瑕疵(かし)があった」とする第三者委員会の報告を受けて、翁長氏は近く承認を取り消す方針を示唆していた。政府の作業中断には、県側との決定的な対立を当面、避ける狙いがあるのだろう。

 この一カ月間は、国民の反発が強まっている安全保障法制関連法案の参院審議や、賛否が割れる鹿児島県・川内原発の再稼働とも時期が重なる。政府が沖縄の米軍基地問題でも強硬姿勢を続ければ、内閣支持率のさらなる低下を招くとの危惧もあったに違いない。

 ただ、これは一時的な「政治休戦」にすぎない。翁長氏が拒否する辺野古移設を、政府が推進する対立構図に変わりはないからだ。

 辺野古容認に転じた仲井真氏に「ノー」を突き付け、翁長氏を県知事に当選させた辺野古移設を拒む民意は、昨年の名護市長選、県知事選、衆院選で繰り返し示されている

 政府がこうした民意に反して、沖縄県民の抜本的な基地負担軽減につながらない、米軍基地の県内「たらい回し」を強行するのは、民主主義に反する。

 政府がかたくなな態度を改め、辺野古移設計画を断念しなければ、県側との接点は見えてこまい。沖縄振興予算の確保で県側に翻意を促すような手法も、もはや通用しないだろう。

 政府は県との集中協議を、政府の取り組みを説明し、辺野古移設への県側の理解を得る場と考えているようだ。安保法案を成立させた後、辺野古移設を強行するつもりなのだろうか。県側との協議がそのための時間稼ぎだとしたら、あまりにも不誠実である。
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●屁理屈にもなっていない・・・菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」

2015年02月27日 00時00分33秒 | Weblog


東京新聞の記事【汚染水漏れ1年以上前報告 規制委、対策指示せず】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015022602000132.html)と、
社説【汚染水が海へ 全ての情報を公開せよ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015022602000147.html)。

 あ~アベ様の言う「完全にブロックされている」「状況はコントロール」の悲惨な現実・・・・・・その後、次々に明らかにされる事実や空虚な発言の「悲惨さ、無残さ」。

   『●東電原発人災: あ~アベ様の言う
      「完全にブロックされている」「状況はコントロール」の悲惨な現実


 「原子力規制委員会は遅くとも二〇一三年十一月、東電から漏出の報告を受けていたのに、排水溝の付け替えなど有効な対策を明確に指示していなかった」。
 な~んにも驚きません、だって原子力「ムラ寄生」委員会原子力「推進」委員会ですから・・・・・・田中俊一 原子力「ムラ寄生」委員会原子力「推進」委員会 委員長をはじめ委員の皆さんは「規制」などする気もなく、原発再稼働さえできれば彼らは満足。東電原発人災に集中すべきなのに、彼らはそこには全く興味がありません

   『●原子力「ムラ寄生」委員長が
       「避難計画審査は不要」であり「当事者が考え」ろ!、とのこと


 「まだ懲りていないのか。東京電力は、福島第一原発の汚染水が外海に流出し続けていたのを放置し、公表もしなかった。原子力につきまとう隠蔽(いんぺい)体質を改善しないと、事故処理も進まないだろう」・・・・・・東電に何を期待しても無理です。

   『●「暴走するゾウ、ゴジラを解き放とうという
       「愚」」な東電をどのように「信頼」すればよいのか?


 さて、最近で最も驚き、呆れ、腹立たしかった発言・戯言・・・・・・「◆政府なお「状況コントロール」・・・・・・菅義偉官房長官は・・・・・・「港湾外の海水の濃度は法令告示濃度に比べ十分に低い。汚染水の影響は完全にブロックされている。状況はコントロールされている」」!!
 まだ言うか! しかも、影響』はブロックって・・・・・・菅氏の脳細胞の神経回路が「完全にブロック」されているようです。枝野氏の「『ただちには』影響がない」並みの空虚さ。
 常々、うすうす菅官房長官アホ?、と思っていたのですが、今回、確信に。ブログ主の中で、最低の官房長官に認定。 

   『●アベ様のオツムの中身のネタ元:
      「憲法改正、愛国心教育、自虐的歴史教育是正、戦後レジーム脱却」

     「政界には日本会議を支持する「日本会議国会議員懇談会
      (日本会議議連)」があるが、そこには安倍政権の主要メンバーが
      ズラリなのだ。特別顧問は安倍首相と麻生財務相で、会長は
      次世代の党の平沼代表。石破地方創生相が相談役を務め、
      副会長には菅官房長官下村文科相、高市総務相が並ぶ」

   『●「「慰安婦」問題の本質とは何か」
      『週刊金曜日』(2014年9月12日、1007号)について・・

     「【佐高信の新・政経外科第12回/歴代官房長官の採点者たち】、
      「菅官房長官はただのイエスマン・・・・・・民主党政権は『未熟な善』
      ・・・・・・自民党という『老練な悪』・・・・・・
      「愚首相を操る痴官房長官の危険」・・・・・・権力志向の成り上がり
      特有のあくどさ」」

   『●安心な新「安全神話」: 「万が一事故が起きた場合は
       関係法令に基づき、政府が責任を持って対処する」

     「菅官房長官は御嶽山の水蒸気爆発も川内原発再稼働に「全く影響はない」
      と言い切っています」

   『●「吉田調書と原発」 『週刊金曜日』
       (2014年10月10日、1011号)についてのつぶやき

     「テッサ・モーリス=スズキ氏【元オランダ人「慰安婦」は
      「強かんと暴行」を証言 菅官房長官が貶めた「日本の地位」】、
      「安倍内閣の姿こそ、・・・国際的に不信を買う元凶」。
      『『朝日』の「誤報」よりも、誰が国際社会の印象を
      落としているでしょうか?

      http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/62a82250c5ba66a70f10829a76237225

   ●菅義偉官房長官曰く「この問題は過去のものだ。
         争点にはならない」・・・・・・なんという言い草!!

   『●火山学者のレベルや噴火予測の精度は知らないが、
         超巨大噴火は起こりません、とでも言いたげな田中俊一氏

     「今回の御嶽山の噴火について菅義偉官房長官は、29日の
      記者会見で「川内原発再稼働への影響を与えないと思う」
      と早々と宣言。今回の噴火事故を受けて再稼働を見直すことを
      否定した」

   『●辺野古破壊者は沖縄で4度目の完敗だというのに、「ロコツな“沖縄イジメ”」
     「ロコツな“沖縄イジメ”だ。安倍政権が来年度予算で、沖縄振興予算を
      削減する。概算要求の3794億円を1割程度削る方針だという。
      菅官房長官は26日の会見で、「米軍普天間基地の移設計画と
      リンクすることはない」と話したが、「よく言うよ」だ」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015022602000132.html

【社会】
汚染水漏れ1年以上前報告 規制委、対策指示せず
2015年2月26日 朝刊
 

 (↑ブログ主注: まことに勝手ながらコピペさせて頂いております
 【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/images/PK2015022602100038_size0.jpg】)

 東京電力福島第一原発の排水溝から、高濃度の汚染水が外洋に漏出している問題で、原子力規制委員会は遅くとも二〇一三年十一月、東電から漏出の報告を受けていたのに、排水溝の付け替えなど有効な対策を明確に指示していなかったことが二十五日、規制委や東電への取材で分かった。現在も、外洋への汚染は続いている。 

 東電は漏出の兆候として一三年十一月ごろ、1~4号機の山側を通るK排水溝を流れる水に含まれる放射性セシウムなどの濃度が高いことを規制委に報告。昨年四月以降の測定で、法令で放出が認められている濃度基準を上回る数値であることを確認した。

 規制委は一四年一月から作業部会で議論を始め、二月には東電に「一五年三月末までに濃度基準を下回るように」と文書で求めた。作業部会では、メンバーから、浄化対策が講じやすい専用港内に排水溝の出口を付け替える案や、海に放出する前にいったん水をためて、基準を満たしていることを確認した後に排出する案などが出された。

 ところが、東電は「検討中」「データの整理中」などの答えを繰り返し、結局は排水溝内を清掃する方針を示し、部会で出た改修案はうやむやになった。

 その一方、東電は一四年四月から一週間に一回、排水溝の流量や放射性物質の濃度などの測定を開始。日常的に汚染された水が流れ、雨になると濃度が急上昇する状況を明確につかんでいた

 しかし、規制委は東電に測定データを要求せず、東電がどんな対策を練っているのか積極的に把握しようとせず、待ちの姿勢に終始した。その結果、今月二十四日に東電が高濃度汚染水の漏出のデータを報告するまで、規制委は明確に状況を把握できていなかった。

 規制委の金城慎司事故対策室長は「東電がデータの整理中と答えていたので、待っていた。排水溝近くののり面をカバーで覆ったり、除染するなど汚染源を取り除いてきたのを確認してきた」と釈明した。

 田中俊一委員長は二十五日の記者会見で「排水溝は雨水などがあり、コントロールできない。放置していたわけではなく、会合で議論していた。(規制委に)責任問題はまったくない」と述べた。
 

(↑ブログ主注: すいません、コピペさせて頂いております
 【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/images/PK2015022602100039_size0.jpg】)


◆政府なお「状況コントロール」

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十五日の記者会見で、東京電力福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けていた問題について「港湾外の海水の濃度は法令告示濃度に比べ十分に低い。汚染水の影響は完全にブロックされている。状況はコントロールされている」と述べた。政府は遅くても二〇一三年十一月以降、継続的な汚染水漏れを把握しながら、外洋への影響を否定してきた

 安倍晋三首相は二〇一三年九月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、福島第一原発について「アンダーコントロール(管理されている)と明言。汚染水漏れが続いていた一四年十月の参院本会議で、この発言の撤回を求められた際も「全体として状況はコントロールされていると繰り返した

 これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は二十五日の記者会見で、汚染水漏れについて「まったくアンダーコントロールではない状況が証明されている」と指摘。「(所管する)経済産業省がきちっと監督をしていないことの裏返しだ。国会論戦で責任を厳しく追及していきたい」と述べた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015022602000147.html

【社説】
汚染水が海へ 全ての情報を公開せよ
2015年2月26日

 まだ懲りていないのか。東京電力は、福島第一原発の汚染水が外海に流出し続けていたのを放置し、公表もしなかった。原子力につきまとう隠蔽(いんぺい)体質を改善しないと、事故処理も進まないだろう。

 安倍晋三首相は言った。

 汚染水は「全体としてコントロールされ、影響はブロックされている」と。

 ところが、高濃度の放射能汚染水が原発構内から外洋に漏れ続けていたことが、明らかになった。

 2号機の建屋の屋上にたまったものが雨で流され、排水溝から外に出た。雨が降るたびに放射性セシウムやストロンチウムの濃度が高くなっていた。

 2号機は爆発こそ免れたものの、格納容器内の圧力を下げるため、放射性物質の濃度が高い蒸気を外へ放出せざるを得なかった。そのため、1~3号機の中で最も多量の放射性物質を放出したと、されている。

 雨水は止められない。汚染水対策の難しさを、あらためて思い知らされた。

 だがそれ以上に問題なのは、東電がこのことを一三年十一月には知っていながら公表せず、応急措置も施していないことである。

 住民の健康や漁業者の生活に直結する重大な情報こそ、コントロール(操作)され、ブロック(遮断)されていたのである

 原子力業界の隠蔽体質は、かねて指弾されてきた。情報を表に出したがらないムラ社会の体質が、福島の事故につながったという指摘も多い。これだけの惨事を起こしていながら、変われないのはなぜなのか。生命や安全を軽視し続けるのはなぜなのか

 国と東電は、汚染水対策の一環として、建屋の周りに掘った井戸からくみ上げた地下水を、浄化して海に流す方針で、漁業者との協議を進めてきた。

 「信頼関係が崩れた」と漁業者が怒るのは当然だ。漁業者にとって、海は生活の糧なのだ。

 漁業者だけではない。原発や原子力事業者に対する不信と不安は、3・11で頂点に達した感がある。電力会社に不利な事実やデータをも洗いざらい公開する姿勢がないと、不信はぬぐえない。国民の不安は募る。一つの隠し事があれば、他にもあるのではと、考えて当然である。誠意がなければ理解は得られまい。

 首相は汚染水の監視とデータの解析、公表を、命じられないのだろうか。コントロールとブロックを約束したのだから
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●辺野古破壊者は沖縄で4度目の完敗だというのに、「ロコツな“沖縄イジメ”」

2015年01月02日 00時00分53秒 | Weblog


nikkan-gendaiの記事 『露骨なイジメ…基地反対の沖縄を「兵糧攻め」にする安倍政権』(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/156149)。

 「ロコツな“沖縄イジメ”だ。安倍政権が来年度予算で、沖縄振興予算を削減する。概算要求の3794億円を1割程度削る方針だという。菅官房長官は26日の会見で、「米軍普天間基地の移設計画とリンクすることはない」と話したが、「よく言うよ」だ」
 一昨年末の仲井真前沖縄県知事の「いい正月になる」、とのギャップ・・・・・・アベ様豪語「最高の責任者は私だ。・・・・・・私たちは選挙で国民の審判を受ける」で、沖縄では4度目の完敗だったのに、この「ロコツな“沖縄イジメ”」は一体何なんだ?

   『●沖縄県民の民意は明白: 辺野古破壊者、沖縄で4度目の完敗
   『●沖縄県民の民意にお構いなし、
        辺野古破壊者は沖縄で4度目の完敗だというのに

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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/156149

露骨なイジメ…基地反対の沖縄を「兵糧攻め」にする安倍政権
2014年12月28日

    (就任挨拶を拒否された翁長氏/(C)日刊ゲンダイ)

 ロコツな“沖縄イジメ”だ。安倍政権が来年度予算で、沖縄振興予算を削減する。概算要求の3794億円を1割程度削る方針だという。菅官房長官は26日の会見で、「米軍普天間基地の移設計画とリンクすることはない」と話したが、「よく言うよ」だ。11月の沖縄県知事選で基地移設反対を掲げる翁長雄志氏(64)を当選させた、県民への仕返しであることは明らかではないか。

   「振興予算は、そもそも道路や港湾、空港などインフラ整備の
    ためのもの。基地問題の是非などを理由に、官邸の
    意思ひとつで金額を増減するべきではないはずです」
    (翁長氏に近い玉城義和・沖縄県議)


   「辺野古推進派の仲井真知事時代には優遇していたにもかかわらず、
    官邸の意に沿わない翁長氏の就任で、手のひら返しで予算を
    削ったということでしょう。名護市長選、県知事選、衆院選で
    示された民意の無視どころか、報復措置といえます」
    (ジャーナリスト・横田一氏)

 また、基地負担軽減担当の菅は、25日から知事就任挨拶のため上京していた翁長氏の会談要求を徹底拒否。山口俊一・沖縄北方担当相との会談でお茶を濁した。

   「ただの就任挨拶にもかかわらず、会う時間すら取らない
    というのは、あまりにも大人げない。『意に反する人間とは
    会わない』という安倍官邸の思惑が透けて見えます」(玉城義和氏)

 政権の意思に反する沖縄県民を突き放し、徹底的に財政を締め上げるなんて、この国はまるで封建時代に逆戻りだ。
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●「鼻血」「死の街」問題と「金目でしょ」発言に対するマスコミ対応の落差

2014年06月28日 00時00分26秒 | Weblog


nikkan-gendai.comの記事【「最後はカネでしょ」 福島を絶望させた石原環境相の大失言】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151072)、
東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014061802000125.html)、
asahi.comの社説【環境相の発言―「最後は金」が蝕むもの』(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)、
東京新聞の社説【「金目」発言 住民に寄り添わぬ不実】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014061902000144.html)。

   『●安全よりカネ: 韓国「拝金政権」の国際諮問委員は
        新自由主義原理主義・規制緩和論者の竹中平蔵氏


 「普段はまったく存在感がないのに、口を開けば失言暴言。石原伸晃環境相が、またやらかした。16日、福島原発事故の廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐる福島県側との交渉について、「最後は金目でしょ」と言い放ったのだ」・・・・・・元東京「ト」知事の父上と同じで、つい環境大臣も本音がポロリ!!、してしまったのでしょうね。福島に「押しつけたい一心」なのでしょう。これでは福島の方々も引き受ける気持ちにはならないでしょうし、「東京電力本社」や「国会」にでも中間・最終貯蔵施設をつくってくれっ!、という心情ではないでしょうか。最後は「金目」で済むんでしょうから、「東京電力本社」や「国会」で貯蔵すれば済むのでしょう、きっと。

 一方、「鼻血」問題や「死の街」発言であれだけ騒いでおきながら、この「金目」放言についてはマスコミはなぜ(ほぼ)放置状態? 不思議です。

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
   『●「鼻血問題」: 圧力に屈した「アベ様のNHK」
   『●「巨大噴火と原発 これでも再稼働するのか」
            『週刊金曜日』(2014年5月30日、993号)
   『●東京電力原発人災鼻血問題: 風評被害に矮小化していて良いのか?
   『●『DAYS JAPAN』(2014,JUL,Vol.11,No.7)の
                   最新号についてのつぶやき


 「福島の人たちが本当に欲しいのはお金じゃない。放射能なんかこれっぽっちも気にしなくてよかった日々であり、田んぼや畑や海で汗をぬぐうひとときであり、子どもや孫と笑って過ごせる生活だ」「あまりにも配慮を欠く発言だ。石原伸晃環境相の「金目(かねめ)」発言から透けて見えるのは、苦悩する住民に寄り添おうとはせず、その犠牲の上に国策を推し進めようとする、政府の不誠実な姿勢」・・・・・・放言を繰り返す自民党議員ですが、東京電力原発人災の非常に多くの部分の責任は自民党にあります、それなのに「金目」とは・・・・・・呆れます。トップのアベ様からして、最近盛んに「沖縄の人達に寄り添って」と言いつつ、平気で普天間基地移転推進ですものね・・・・・・全くすごい国です。

   『●反省なき自民党を体現:
        「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●稲嶺進氏が名護市長選圧勝:
        「安倍政権はそれでも埋め立てを強行できるのか?」


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151072

「最後はカネでしょ」 福島を絶望させた石原環境相の大失言
2014年6月17日

      (親の顔が見てみたい/(C)日刊ゲンダイ)

 普段はまったく存在感がないのに、口を開けば失言暴言。石原伸晃環境相が、またやらかした。

 16日、福島原発事故の廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐる福島県側との交渉について、「最後は金目でしょ」と言い放ったのだ。

 この発言は、官邸で菅官房長官に中間貯蔵施設の住民説明会について報告した後、記者団の質問に答える「ぶら下がり取材」で飛び出した。

 当然、福島側は猛反発。ただでさえ難航していた交渉が、暗礁に乗り上げそうだ。

 慌てた環境省は、急きょ会見をセット。石原環境相は「発言をよく覚えていない」「最後はお金の話になるが、それは受け入れが決まるまで説明できないという意味だ」などと釈明したが、謝罪の言葉はなかった。自覚がないのだろう。

 なにしろ、石原環境相には“前科”がある。

 昨年8月にも、福島市内で開かれた会合で、中間貯蔵施設の建設について「(地元の)皆さんが福島のために自ら行動するという認識を持っていただくことが重要」と言ってのけた。これが、地元に責任を転嫁する発言だと福島側の猛反発を受けたのに、まったく懲りていない。

■「福島原発第1サティアン」

 2012年9月にテレビ番組に出演した際も、原発事故の汚染土壌について「運ぶところは福島原発第1サティアンしかない」と発言して物議を醸した。それで、優位と見られていた総裁選でも惨敗したことを忘れたのか。

   「こんな人が総裁候補だったことが恐ろしいですね。発言が軽すぎるし、
    学習能力もない。そもそも、伸晃氏は最初から環境相のポストが
    不満だったと聞きます。環境行政に興味もないし、原発事故処理で
    損な役回りをやらされていると思っているフシがある。父親の慎太郎氏が
    ガチガチの原発推進派なのに、自分は環境相の立場で同調しづらい
    という鬱憤もあるのでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 この親子の政治感覚は独特だ。日本維新の会の分裂騒動でも石原環境相はシャシャリ出てきた。今月5日、慎太郎氏側につくことを決めた議員が議員会館の慎太郎氏の部屋を訪れた際、なぜか石原環境相も同席していたのだ。記者の間からは、「伸晃さんは何の関係があるのか」「公私混同じゃないか」との声が上がっていた。

   「石原家に公私の区別はないのでしょう。慎太郎氏の威光にあぐらを
    かいて、政治家としての勉強を怠ってきたのが伸晃氏です。国会に
    遅刻したり、すぐに不用意な発言をするのも甘えがあるから。
    中間貯蔵庫をめぐる今回の発言なんて、本来なら即、
    更迭モノですよ」(山田厚俊氏=前出)

 こんな大臣ひとり攻めきれない野党も情けない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014061802000125.html

【コラム】
筆洗
2014年6月18日

 大切に飼っている犬を売ってほしいと三人の人間がやって来た。こちらとしては手放しがたい。架空の話である▼もう少し続ける。三人の頼み方はそれぞれ異なる。一人は「大切にします」と犬への思いを訴える。もう一人は「子どもが懐いてしまって」と事情を説明する。最後の一人はこちらがためらっているとこう言った。「最後は金目(かねめ)でしょ」▼誰だってこの最後の人にだけは売るまい。原発事故の汚染土を保管する中間貯蔵施設に向けた被災地との交渉について「最後は金目でしょ」と発言した石原環境相。十七日、おわびしたいと頭を下げたが、「それをいっちゃあおしまいよ」である▼誠意や気持ちを何で示すか。「金目」もそうであることは否定しない。それでも金目だけでは人の心は動かぬ。ましてや交渉のテーブルにあるのは故郷の土地、未来である。金目発言はカネ、経済成長ですべてを解決できると信じる政権の本音ではないかと疑う▼金にこだわらなかった人が十六日、亡くなった。元大リーグ選手のトニー・グウィンさん。五十四歳。若すぎる。哲学者然とした顔、ずんぐりした体形が懐かしい▼首位打者八回の名選手。求めれば高額契約で他球団にも移籍できたろうにサンディエゴ・パドレスに在籍し続けた。地元への愛情。球団への思い。石原さんなら「えっ、なんで移籍しなかったの」というか。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

環境相の発言―「最後は金」が蝕むもの
2014年6月19日(木)付

 そうだ。石原伸晃環境相の言葉が無神経に映したのは、いまの福島の一断面である。

 「最後は金目でしょ」

 損害賠償も除染も帰還も、移転先での新しい生活も。復興でさえも。原発事故の被災地には、「最後は金目」な案件がうずまいている。

 だけど、福島の人たちが本当に欲しいのはお金じゃない。

 放射能なんかこれっぽっちも気にしなくてよかった日々であり、田んぼや畑や海で汗をぬぐうひとときであり、子どもや孫と笑って過ごせる生活だ。

 取り戻せないことはわかっている。だからこそ、やりきれない。金目で済ませたいのは、住民ではない。国のほうなのだ。

 確かに、お金は便利だ。「代償」の道具として万能にみえる。だけど、そのお金は原発事故のあと、福島をひたすら蝕(むしば)んでもきた。

 「もらった」「もらえない」「足りない」「もらいすぎだ」――。無色透明を装いながら、遠慮なしに地域や家族や友人関係に踏み込み、分断した。

 この3年間、その矛盾と空虚さをいやというほどかみしめてきた。「どうせ金なんだろ」という目と闘いながら。

 その中で自分をどう取り戻し、周りとの関係を結びなおし、いかに生きるか。重たい問いと向き合ってきたのは、国ではない。彼らのほうだ。

 中間貯蔵施設もそうだ。ふるさとに、そんなものは欲しくない。だが、除染した汚染土をどこかで保管しなければ、福島全体の復興が進まない。

 葛藤から抜け出し、なにか前を向いていくための答えを探しに住民説明会へと足を運んだ人たちもいただろう。

 石原氏の言葉は、そういう人たちの心をへし折った。

 「30年以内の県外処分」も、もはやそらぞらしい響きにしか聞こえまい。

 膨大な量の汚染土を、いったい県外のどこが引き取るというのか。あてもないまま「約束します」と繰り返す国の軽さが、「最後は金目」と言い放つ大臣の姿と重なる。

 発言後、石原氏は釈明と陳謝に追われている。ただでさえ、むずかしさを増していた交渉だ。こんな形で断ち切ってしまった関係を修復するのは、容易ではないだろう。

 約2週間にわたった説明会に担当大臣である石原氏は一度も出席しなかった。まずは現地に足を運び、耳を傾けるといい。

 自らの発言の罪深さを、蝕んでしまったものの重さを、骨身で実感するために。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014061902000144.html

【社説】
「金目」発言 住民に寄り添わぬ不実
2014年6月19日

 あまりにも配慮を欠く発言だ。石原伸晃環境相の「金目(かねめ)」発言から透けて見えるのは、苦悩する住民に寄り添おうとはせず、その犠牲の上に国策を推し進めようとする、政府の不誠実な姿勢だ。

 発言は十六日に飛び出した。東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設の建設をめぐり、候補地の福島県双葉、大熊両町を対象にした住民説明会を終えた翌日だ。

 石原氏はこの日、首相官邸で、菅義偉官房長官に住民説明会などについて報告。その後、記者団の質問に答え、難航する福島県側との調整に関し、「最後は金目でしょ」と述べた、という。

 説明会では住民側からの質問の多くが、交付金などの生活支援策や用地買収価格などに集中したことが念頭にあったのだろう。

 経済的補償は施設の建設を受け入れるか否かの判断材料の一つだが、それだけではあるまい。

 原発事故で長期避難を強いられた上に、なぜ除染廃棄物の受け入れまで迫られなければならないのか。三十年以内に県外に搬出すると国は言うが、そのまま最終処分場になるのではないか。

 そんな住民の苦悩や不安に、政府はまず寄り添わねばならない。原発の放射能汚染が住民を苦しめることのない未来図を描き、実現への道筋を示す必要もある。

 福島県の佐藤雄平知事は「住民の皆さんの、ふるさとを思う気持ちを踏みにじる発言だ」と反発した。当然だ。菅氏が石原氏に注意し、沈静化を図ろうとしたのも政権の危機感の表れだろう。

 野党の要求で参院ではきょう環境委員会が開かれる。石原氏は十六回の住民説明会に一度も出席していないという。以前、国会審議に遅刻したこともあった。大臣や政治家としての資質を含め、この際、徹底追及すべきだ。

 同時に、見過ごしてならないのは、国策遂行に当たっては、住民の故郷に抱く気持ちなど顧みず、札束で施設などの受け入れを迫る政府の強権的な姿勢である。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沖への「移設」問題では、年間三千億円台の沖縄振興予算を計上することで基地の県内固定化を迫ってきた。政府の常とう手段だ。

 福島でも沖縄でも、住民の心情と向き合う気持ちが、政府には欠けているのではないか。お金は大事ではある。しかし、お金さえ積めば押し切れると考えているのなら、勘違いも甚だしい。
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●国外移設どころか、やはり辺野古埋立承認へ: 2010年11月の沖縄知事選の予想が現実に

2014年01月10日 00時00分08秒 | Weblog


asahi.comの記事【辺野古埋め立て承認へ最終調整 沖縄知事27日にも表明】(http://www.asahi.com/articles/ASF0SEB201312240046.html)、
琉球新報の記事【14年度予算 「厚遇」は印象操作だ 基地強要の正当化やめよ】(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217117-storytopic-11.html)、
沖縄タイムズの記事【社説[公開質問状]不可解な事が多すぎる】(http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=59469)。
asahi.comの記事【仲井真知事「いい正月になる」 沖縄振興予算を評価】(http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312250150.html?ref=com_top6)、
東京新聞の記事【見せかけの沖縄振興策 関係薄い予算 多数計上】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122802000149.html)。

 外堀を埋めるための報道かもしれないが、失望した・・・・・・と当初思っていたが、やはりそれが現実に。
 2010年11月の沖縄知事選の予想が、やはりこれまた現実に。

   『●菅総理の内心』(2010年11月30日
   
    「菅総理は内心小躍りしていることでしょう、これで県「内」移設の目途が
     立ったということですから・・再選された知事は、直後に、「県外」堅持と
     ししつつ、「議論の門戸は閉ざさない」としている」

 番犬様・アメリカ本土にお返しするのが本筋でしょうに。そのうえで、「沖縄振興予算や基地負担軽減」。
 選挙は沖縄県民の選択の結果だったのかもしれないけれども、そう仕向けたのは本土の仕業・・・・・・。自公政権が復権し、さらに悪い方向へ。このまま自公政権、安倍政権を続けていて本当に大丈夫ですか?
 仲井真知事は「いい正月を迎え」られただろうか? 三が日が明け、さて、どうだろう・・・・・・。

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http://www.asahi.com/articles/ASF0SEB201312240046.html

辺野古埋め立て承認へ最終調整 沖縄知事27日にも表明
2013年12月25日03時13分

 沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古へ移設するための国の埋め立て申請について、承認する方向で最終調整に入った。25日に安倍晋三首相と首相官邸で会談する。県が求めていた沖縄振興予算や基地負担軽減への説明をふまえ、27日にも態度を明らかにする。
 安倍首相は24日の閣議で、沖縄の要望に応じて、振興予算を2021年度まで毎年3千億円台を確保するよう指示した。仲井真氏は「政府の決意を示していただいた。格別のご高配に深く感謝申し上げる」とするコメントを発表した。
 県は、17日の沖縄政策協議会で「普天間の5年以内の運用停止」「米軍牧港補給地区(浦添市)の7年以内の全面返還」などのほかに、振興予算の確保や鉄軌道の導入なども要望。政府の回答にも「担保」を求めていた。閣議での指示は、これに応えた形だ。
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http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217117-storytopic-11.html

社説
14年度予算 「厚遇は印象操作だ 基地強要の正当化やめよ
2013年12月25日

 2014年度沖縄関係予算が前年度比15・3%増の3460億円で決まった。増額となったのはともかく、政府が「厚遇」を強調する点に強い違和感を抱く。
 政府は躍起になって「沖縄に対し他の都道府県ではあり得ないほど特別に国費をつぎこんでいる」というイメージを振りまいている。だがそれは事実と異なる。むしろ他府県にはあり得ない水増しやごまかしがまかり通っている。政府はこれで基地強要を正当化したつもりだろうが、不当な印象操作は直ちにやめてもらいたい。

数ある「かさ上げ」
 「水増し」「ごまかし」の最たるものは那覇空港の整備予算だ。
 那覇空港は1990年代の段階で既に、2010年代半ばでの「ボトルネック」が懸念されていた。つまり、空港利用の需要が高まり、滑走路1本ではさばききれないという見立てだ。滑走路増設の必要性は全国でも福岡空港に次ぐ二番手の位置付けだった。福岡は既に整備され、那覇に着手するのは自然な流れのはずだ。
 那覇は国管理の空港だから整備は政府の空港整備勘定(旧空港整備特別会計)で計上すべきだ。だが政府はこれを沖縄関係予算に組み込んだ。県の注文で辛うじて一括交付金と別枠になったとはいえ、沖縄以外なら国の予算となるところ、さも沖縄のため特別に計上したかのように装うのは不当な「演出」だ。他の沖縄関係事業にしわ寄せも生じたはずである。
 沖縄関係予算を「かさ上げ」しているのは沖縄科学技術大学院大学も同様だ。2001年に構想が浮上した際は、この経費捻出のため通常の沖縄関係予算が削られるのを警戒する声があった。政府はその点をうやむやにし、一時は文部科学省予算で一部賄うと説明したが、雲散霧消した。今や完全に沖縄関係予算だ。
 本来、入るべきでないこれらを除くと、14年度の沖縄関係予算は2930億円だ。99年度は3282億円だから15年で1割減った。国全体ではこの間、逆に1割以上増えている。
 財政学が専門の池宮城秀正・明治大教授によると、沖縄の2011年度1人当たり依存財源(国からの財政移転)額は32万円で全国18位。類似9県平均41万円の8割弱だ。「沖縄優遇」は印象操作にすぎない。
 戦後通算で見ると沖縄への1人当たり財政援助額は全国平均の6割にすぎず、むしろ「冷遇」だった。復帰後の沖縄への高率補助は戦中戦後の「償い」の意味があったが、今や露骨に基地押し付けの材料だ。どこまで沖縄の尊厳を踏みにじれば気が済むのだろうか

程遠い自由裁量
 確かに沖縄振興一括交付金制度は沖縄予算だけにある制度である。だがこれはカネ目当てというより予算の効率化、財政の地方分権論として出た構想だ。地方の実需にあった予算編成とするため、省庁ごとのひも付き補助金でなく、地方の自由裁量で支出できるようにするのが本来の狙いだ。
 しかし制約が多く、自由裁量とは程遠いのが現状だ。沖縄の振興には人材育成が欠かせないのに、例えば教員の加配には使えない。人件費支出を伴うのは予算の単年度主義に反するからという理由のようだが、制約は本来の趣旨に反する。例えば無償の奨学金の大幅創設、留学の大幅増に向けた大胆な支援策などを可能とすべきだ。県は15年度以降、裁量権を広げるべく国を説得してほしい。
 全国予算を見ても解せない点は多々ある。歳出削減に向けた切り込みどころか、各省庁の要求をほぼ受け入れた。増税は財政再建が目的のはずが、従来型の公共事業増加に振り向けられた感がある。
 税制改正の方向も疑問だ。低所得者に負担増を強いる一方、大企業への優遇策が目立つ。「強きを助け、弱きをくじく構図だ。
 防衛費も増えた。「強権国家づくりに税金を使うのが安倍政権らしい。予算編成の「哲学」が正しかったのか、疑問は尽きない。
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http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=59469

社説[公開質問状]不可解な事が多すぎる
2013年12月25日 06:42

 17日に開かれた沖縄政策協議会で、仲井真弘多知事が唐突ともいえる「要請書」を安倍晋三首相に提出して以来、県内では「条件闘争だ」「承認への布石か」など、さまざな臆測が広がり、異常な事態に陥っている。
 そもそも要請書はどういう性格のものなのか。3月の政策協で知事は米軍普天間飛行場の県外移設を求める立場を主張していた。それが基地負担軽減を求めた今回の要請書に「県外移設」が見当たらないのはどういうわけか。
 あまりに不可解なことが多すぎるのである。知事は政府への要請書に関する疑問に答えてもらいたい。
 まず第1に「普天間飛行場の5年以内運用停止、早期返還」だ。なぜ5年なのか。県は政府が提出した埋め立て申請で工期5年とされていることなどを根拠としている。しかし、知事はこれまで「辺野古移設は事実上不可能。5年も10年もかかるなら固定化そのもの。県外が一番よい」と一貫して県外を主張している。要請書が辺野古移設の容認を前提としているのなら、県民への背信行為となる。
 第2に「オスプレイ12機程度を県外の拠点に配備」。文面からは普天間配備24機のうち12機の常駐を容認すると受け取られる。全41市町村長らが署名した「建白書」で求めたのはオスプレイの配備撤回である。
 知事は8月に県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の会長として、首相にオスプレイ配備中止を要請した。整合性はどうなるのか。

    ■    ■

 第3に「日米地位協定の条項の追加等、改定」の項だ。要請書では従来の改定要請にあった「抜本」の文字が消えている。返還前の基地の環境・文化財の立ち入り調査などを求めているが、軍転協が求めていた「起訴前の身柄の引き渡し」など「日米地位協定の抜本的見直し」という表現は見当たらず、後退していると言わざるを得ない
 さらに「次のステップへ(沖縄のさらなる発展に向けて)」とした項目では、鉄軌道の導入決定、早期着工などとともに「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案を踏まえた候補地として検討」と明記した。いわゆる「カジノ法案」である。
 県はカジノを含む統合リゾートについて法制化と県民の合意形成を前提としている。その前提で国家戦略特区に「沖縄統合リゾート」を提案しているが、候補地域として検討するよう踏み込んだ。意思決定に正当性はあるのか。

    ■    ■

 要請書は知事と一部の県幹部のみが関与し、まとめられた。首相と全閣僚が出席する公の場に提出する要請書である。過去の政策協でも同じ手法をとっているのか。それとも今回は「例外中の例外」なのか。
 安倍政権はあらゆる手を使って、知事の年内埋め立て承認を得ようと必死だ。25日には首相と知事が会談する。だが、知事が真っ先にやるべきことは沖縄に戻り、要請の趣旨を県民に説明することである。後先が逆であるというほかない
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http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312250150.html?ref=com_top6

仲井真知事「いい正月になる」 沖縄振興予算を評価
2013年12月25日14時46分

 安倍晋三首相は25日午後の仲井真弘多(ひろかず)・沖縄県知事との会談後、首相官邸で記者団に「政府としてできることはすべて行っていく。日米地位協定は1度も改定が行われていない。改定交渉すら行われなかったが、交渉することで合意できた。しっかり結果を出していきたいと決意している」と述べ、沖縄の基地負担軽減に取り組む考えを改めて示した。
 仲井真氏も記者団の取材に応じ、首相による基地負担軽減と沖縄振興予算確保の説明について、「有史以来の予算だ。長年の基地に絡む性格の違う内容のものの解決をお願いしたら、早く取りかかっていただいて前に進み始めた実感がある。いい正月になるというのが実感だ」と語った。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122802000149.html

見せかけの沖縄振興策 関係薄い予算 多数計上
2013年12月28日 朝刊

 沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は米軍普天間飛行場の移設に関し、名護市辺野古(へのこ)の埋め立て申請を承認した主な理由として、政府の沖縄振興策と在沖縄米軍基地負担軽減策を評価したことを挙げた。だが、政府の提案には沖縄振興とは直接関係ないものも少なくない。基地負担軽減策も実現の保証はない。 (城島建治、大杉はるか)

 仲井真氏は記者会見で「安倍内閣の沖縄に対する思いが、かつてのどの内閣にも増して強いと感じた」と述べた。安倍晋三首相も記者団に「知事に約束したことは全力でやる」と強調した。政府は二〇一四年度予算案に沖縄振興費として概算要求を五十二億円上回る三千四百六十億円を盛り込んだ。政府関係者は「異例の大盤振る舞いだ」と指摘した。
 しかし、中身を点検すると、公共事業関係費千三百八十二億円のうち学校施設の耐震化九十四億九千万円を計上。不発弾等対策費二十五億五千万円も含まれている。
 琉球大の我部政明(がべまさあき)教授(国際関係論)は学校耐震化や不発弾処理などについて「国が全国で行っているのに沖縄振興予算といえるのか」と批判。
 那覇空港滑走路増設事業費三百三十億円も含まれていることについても「国が管理する空港なのだから、国が整備するのは当然だ。それなのに沖縄振興とことさら強調されても困る」と述べた。
 沖縄県が二一年度までの振興計画期間中の予算措置を要望したのに対して、政府は毎年度三千億円以上を確保すると約束した。しかし、安倍首相がそれまで政権を担うかは分からない。法的な裏付けがない「口約束」にすぎないため、財政事業が厳しくなれば、予算が減らされる可能性は否定できない。
 基地負担の軽減に関して、首相は米軍が普天間に配備している新型輸送機オスプレイの訓練の半分程度を県外に移すと約束した。ただ、オスプレイの運用は米軍の専権事項。受け入れ側の他の自治体の理解も必要で、ハードルは高い。在日米軍の法的地位や基地の管理・運営に関する日米地位協定に関しては補足する新たな協定に関する協議を米側と開始することになった。だが、協議対象は国会承認が必要な拘束力のある協定とは限らない。これまでも話し合われてきた運用改善と違うのかどうかも明らかになっていない。
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●何の反省もない強者の傲慢

2011年05月29日 00時01分24秒 | Weblog


東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011051602000035.html)を以下にコピペ。

 3・11東日本大震災で何か変わったのだろうか? 何の変化も感じない。今頃になってメルトダウンをようやく発表する始末だし、事態はじわじわと悪化し、閉塞感が漂うというのに、政治屋的・マスコミ的にはもう喉元を過ぎてしまった感。第2のFUKUSIMAはそう遠くないと感じてしまう。原発安全神話がそうなのだから、沖縄の苦難に何らかの変化があろうはずもない。「政権交代の意味」などもう忘れてしまった。自民党政権への復帰や、自民党もどき政権の樹立に向かわないことを祈る。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011051602000035.html

【社説】

弱者に押し付ける傲慢 沖縄米軍基地と原発
                                           2011516

 十五日は沖縄返還記念日。復帰後三十九年たつが、在日米軍基地の約75%が集中する現実は変わらない。負担を押し付ける構図は原発と同じではないか。
 米軍普天間飛行場の「最低でも県外」移設を訴えた鳩山由紀夫前首相の「公約破り」から一年。その後も打開の道筋が見えず、民主党政権と沖縄県との溝は深い。
 今月七日、東日本大震災後初めて沖縄県を訪問した北沢俊美防衛相との会談で、仲井真弘多県知事は身を乗り出してこう訴えた。
 「(県外移設は)民主党として総選挙で訴えた公約だ。ぜひ県外ということに取り組んでほしい」

自民党と変わらず
 日米両政府は、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部にV字形滑走路を造る県内移設方針を堅持している。首相が今国会終了後に訪米、米側と最終確認する日程を描く。北沢氏の訪問は、その前に県側の理解を得る狙いだ。
 もともと仲井真氏は条件付きで県内移設を認める立場だが、県外を求める県民感情が高まり、昨年十一月の県知事選告示前に県外を求める姿勢に変えた。県が県内受け入れに再転換するのは至難だ。
 米上院軍事委員会のレビン委員長らが、辺野古案を全面的に見直し、これまでにも検討され、排除されてきた米空軍嘉手納基地への統合案を再び持ち出したのも、辺野古移設の難しさを表している。
 にもかかわらず、北沢氏は「大震災で膨大な支出が予想される。それによって沖縄振興に差し障りがあっては政府と沖縄との関係に齟齬(そご)が生じかねない」として、引き続き沖縄振興予算の確保に尽力する姿勢を強調した。
 重い基地負担に苦しむ沖縄に米軍基地を新たに造ろうとする無神経さといい、その受け入れを沖縄振興という金で迫る手法といい、自民党政権と何ら変わらない。政権交代の意味はどこにあるのか

交付金をアメ
 多くの人が好まない施設を、経済基盤が脆弱(ぜいじゃく)な地域に交付金や雇用、ハコモノなどの「アメとともに押し付けるこの構図は沖縄の米軍基地だけでなく、原子力発電所の立地にも共通する。
 安全保障も電力も、国民の生命と財産を守り、暮らしを豊かにするために欠かせない社会インフラであることは、誰しもが認める。
 本来なら、それに伴う負担は、その恩恵に浴する人々が、可能な限り公平に負担すべきだ。しかし、実際はそうなっていないところに問題の本質がある。
 沖縄の過剰な基地負担の上に成り立つ日本全体の安全保障。原発の電力は地元で使われることはなく、多くは人口密集地向けだ。
 民主党政権の公約破りは沖縄県民の、原発事故は福島県民や原発立地他県住民の、なぜ自分たちだけが負担を強いられているのかという不公平感を呼び覚ました。
 こうした地域の労苦は、負担を直接負ってこなかった多くの国民にとって他人事(ひとごと)であり、負担を押し付けることに、あまりにも無神経で傲慢(ごうまん)だったのではないか。
 政府ばかりを批判できない。それを許してきたのは、われわれ国民自身であるからだ。
 弱い立場に立つ人に押し付けて豊かさを享受する生き方を、そろそろ改めた方がいいのだろう。基地問題や原発事故の教訓は、そこにこそ見いだしたい。
 沖縄の米軍基地も原子力発電所も、今すぐに撤去することは現実的でないことは理解する。それにより雇用が生まれ、地域経済に組み込まれているのも事実だ。
 まずは、基地も原発も過渡的な施設と位置付けることから始めたい。その上で、新しい安全保障政策やエネルギー政策を議論し直し、実現のための工程表をしっかりと描かねばならない。
 アジア・太平洋地域の安定に実力組織はどこまで必要で、自衛隊と米軍は役割をどう分担するのか。その維持にはどのような施設が必要で、日本国内にどう配置するのか。その際、一地域に過重な負担を押し付けてはならない。
 また、原発をいつまで維持し続けるのか。新しいエネルギー源開発はどこまで可能か。電力供給に限りがあるのなら、電力に頼る生活の見直しも避けられない。
 国会議員や官僚、専門家だけでなく国民全体が当事者意識を持って議論に積極的に参加すべきだ。さもなくば、基地や原発の問題はいつまでたっても解決しない。

県内正当化は慎め
 地元自治体、警察、消防、自衛隊はもちろん、「トモダチ」作戦によって懸命の作業に当たった米軍将兵には感謝したい。人道支援に活動の幅を広げる日米同盟の意義を確認した思いだ。
 だが、この活動をもって普天間の県内移設を正当化しようとする動きには違和感を覚える。被災現場での献身的な活動を政治目的に利用することは厳に慎みたい
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