[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2025年01月24日[金])
控訴断念なのに、畝本直美検事総長談話「…被告人が犯人であることの立証は可能であり…」? (小川秀世 弁護団事務局長)《「検事総長がいまでも犯人と考えていると公言したに等しい」》…畝本直美検事総長にお聞きしたい、《捜査機関の者》以外で誰が証拠の捏造をできるのだろうか? なぜ? いつ? どうやって? 翻って、事件直後に捜査していないのか?
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》』
《仮に特別抗告があった場合には、差し戻し審で検察側が行った
みそ漬け実験の写真の色について、専門家が分析した鑑定書を
特別抗告審で提出する方針だとし、「検察官の判断の誤りを
容易に明らかにできる」と強調した》(東京新聞)
「⦅犯人とされ、死刑判決を受けた袴田巌さんの再審開始を東京高裁
が認めた⦆ことは素晴らしい。でも一体何年かかっているのか?
(東京新聞社説)《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」と
高裁は述べた。つまり、捜査機関による証拠捏造…》。
証拠のでっち上げまでやっておきながら、警察や検察は、いい加減に
非を認めろ。袴田巌さんの一生を破壊しておきながら、この上、
まだ東京高検は特別抗告する気なのか? 一体何をやっているのか?
《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。最「低」裁は、即刻、
特別抗告を棄却し、即座に再審を開始して、すぐさま無罪を言い渡す
べきだ。少しは、最高裁らしい仕事をしなさい。」
[2023年03月19日]
《死刑判決の根拠とされた「5点の衣類」の不自然さに着目。弁護団と連携し、捏造(ねつぞう)の疑いを示す「みそ漬け実験」に取り組み、再審開始につなげた》《「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」が解散する見通しとなった》そうだ。長きにわたり本当にご苦労様でした。再審開始、再審無罪判決、控訴断念に大きく貢献されました。
山本真嗣記者による、東京新聞の記事【信じて続けた実験は、再審開始につながった 清水区の袴田さん支援団体が解散へ 「5点の衣類」に突破口】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/381508)によると、《1966年の清水市(現静岡市清水区)一家4人強盗殺人事件で、再審無罪となった袴田巌さん(88)の支援を約20年にわたり続けてきた「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」が解散する見通しとなった。死刑判決の根拠とされた「5点の衣類」の不自然さに着目。弁護団と連携し、捏造(ねつぞう)の疑いを示す「みそ漬け実験」に取り組み、再審開始につなげた。(山本真嗣)》。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》』
『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》』
《48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ
大変苦労してる。だから、(無罪判決が出たからといって)
それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、
皆さんにお力をお借りしたいと思っております》
『●福井事件 (1986年) は明らかな冤罪…7年間の服役を終えた前川彰司さん
の第2次再審請求で、名古屋高裁金沢支部 (山田耕司裁判長) が再審決定』
(日刊スポーツ)【大谷昭宏のフラッシュアップ/警察、検察の
「なりふり構わぬねつ造」どれだけあるんだ】《袴田事件では
物的証拠を捏造し、福井の事件では証言を捏造する。検察、警察の
許し難い不正が、また暴き出された。38年前、1986年に起きた
「福井女子中学生殺害事件」で殺人罪に問われ、7年間服役した
前川彰司さん(59)の再審請求に対して、名古屋高裁金沢支部は
先週、再審を決定。きのう28日開始が確定した。私は20年前、
出所直後に入院した前川さんに代わって、ひとり冤罪を訴え続ける
お父さんや現地を取材。決定当日は福井テレビにリモート出演
させていただいた》
『●袴田冤罪事件、何の反省もない検察の《控訴断念》を受け、漸くの謝罪記事
…マスコミの罪も非常に重い…検察が控訴したら、どうしたのだろうか?』
『●福井事件、発生から38年も経って漸く再審を決定…《検察が手持ち証拠の
開示に応じることが、冤罪を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ》』
『●《死刑制度「廃止含め議論を」》…《現在の制度には放置が許されない多くの
問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した》』
『●大谷昭宏さん「無実で犯行をでっちあげられながら、それを立証できずに
人生を奪われた人は無数にいるかもしれない」…飯塚事件の真相解明を望む』
『●初めての死刑執行後の再審請求「福岡事件」…《無実を訴えながら死刑を
執行された西武雄さんが獄中で詠んだ》〈叫びたし寒満月の割れるほど〉』
『●《平野啓一郎氏…「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑
制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けている…》』
『●神戸金史RKB報道局解説委員長《起きてはいけないことが起こらないように
するために、「福岡事件」を語り継ぎ、再審請求運動を続ける人たちがいる…》』
『●「袴田さんを犯人視することない」と、静岡地検の検事正が直接謝罪しつつ、
《検事総長談話について「袴田さんを犯人視しているわけではない」》?』
『●清水潔さん《死刑執行後に冤罪の可能性が指摘…「飯塚事件」…検察は証拠
開示をしないと。…これも袴田事件のように間違った判決だったのでしょう》』
『●笹倉香奈教授「袴田さんの再審無罪…現に死刑判決を言い渡された無実の人が
いる…著しい不正義が実在…死刑制度に対する根源的な問題が改めて提起」』
『●飯塚事件《久間三千年…元死刑囚は自身も含めた確定死刑囚の名前と判決確定日
が記されたリストを透明の仕切り板越しに示した。執行済みの死刑囚は…》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/381508】
信じて続けた実験は、再審開始につながった 清水区の袴田さん支援団体が解散へ 「5点の衣類」に突破口
2025年1月24日 11時42分
1966年の清水市(現静岡市清水区)一家4人強盗殺人事件で、再審無罪となった袴田巌さん(88)の支援を約20年にわたり続けてきた「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」が解散する見通しとなった。死刑判決の根拠とされた「5点の衣類」の不自然さに着目。弁護団と連携し、捏造(ねつぞう)の疑いを示す「みそ漬け実験」に取り組み、再審開始につなげた。(山本真嗣)
◆実態に迫るため、メンバーは血も提供
25日に静岡市で開く無罪判決の報告集会で活動を総括。「再審無罪を達成した」として解散を諮る。
(みそ漬け実験で茶色に染まった半袖シャツを手にする
山崎俊樹さん=静岡市清水区で)
2003年に設立。当時は第1次再審請求が静岡地裁に棄却され、袴田さん側が即時抗告。弁護団は検察側に証拠開示を拒まれ、行き詰まっていた。地元の「清水市横砂こがね味噌(みそ)事件袴田巌救援会」が解散し先の見えない中、「支援を続けなければ」と会の元メンバーらが集まった。
熱心に取り組んだのが、5点の衣類に関するみそ漬け実験。事件発生の1年2カ月後、衣類はみそタンクから見つかった。シャツの色が白すぎることに違和感を持ったメンバーらが同じ素材の衣類をみそ漬けにするなどし、同じ色合いの衣類が20分ほどで「作れる」ことを突き止めた。
付着した血痕の色にも注目。より実態に迫ろうとメンバーは自ら血を提供し、シャツなどに付着させた。みそ漬けにされた血液は黒く変色し、赤みが残っていた衣類の矛盾を指摘。結果を弁護団と連携してまとめた報告書が、第2次再審請求の新証拠となり、14年の静岡地裁の再審開始決定につながった。
◆弁護団と一体になって活動
10年に5点の衣類を撮影した鮮明なカラー写真が開示された。再審請求審で、実験の証言をした事務局長の山崎俊樹さん(70)は「(カラー写真を見て)新証………
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(2025年01月05日[日])
《死刑制度「廃止含め議論を」》…《現在の制度には放置が許されない多くの問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した》。
豊秀一編集委員による、アサヒコムのインタビュー記事【無実なのに死刑、不正義の現実 袴田さん無罪で「制度維持できない」】(https://www.asahi.com/articles/ASSDF2RS5SDFUPQJ00DM.html)によると、《死刑台からの生還となった、袴田巌さんの再審無罪の確定は、私たちの社会に何を突きつけているのだろうか。刑事訴訟法が専門で、冤罪(えんざい)救済の活動に取り組む笹倉香奈・甲南大学教授に、死刑制度は維持されるべきなのか聞いた》。
『●東京地裁・男沢聡子裁判長殿、一体どういうことですか? 大川原化工機
冤罪事件「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」のに…』
「大川原化工機でっち上げ事件。あまりに酷い冤罪事件というか、
公安警察・検察によるでっち上げ事件・捏造事件。何度請求しても、
保釈を認めなかった裁判所も、あまりに杜撰で冷酷。勾留後に
亡くなった1人の命は戻らない。しかも、東京地裁・男沢聡子
裁判長は、《勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん》の
《遺族の請求棄却》」
《冤罪被害者を支援する団体「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」
の事務局長を務める甲南大の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は未決拘禁者
における問題として「刑事収容施設に入った時点で、一般市民と同じ
ように扱われなくなるのであれば『推定無罪の原則』に反している」
と指摘。「被疑者や被告の防御権の観点からも、健康は大前提だ。社会
水準に満たない医療によって、命が危険にさらされることは許されない」》
再審法見直し…それとともに、死刑存置の是非も議論すべきだ。
大谷昭宏さん「…無実で犯行をでっちあげられながら、それを立証できずに人生を奪われた人は無数にいるかもしれない。誰にでも起こり得る。決して他人事ではないんです」(東京新聞)…例えば、飯塚事件の真相の解明が望まれるが、警察・検察・裁判所は再審を拒否し続けている。久間三千年さんは自分の口で無罪を訴えることも出来ない、死刑にしてしまったから…。冤罪で死刑執行。
同様に、(これも福岡…)《「福岡事件」で冤罪を訴えながら1975年に処刑された西武雄さん》…〈叫びたし寒満月(かんまんげつ)の割れるほど〉、《無実を訴えながら死刑を執行された西武雄さんが獄中で詠んだ》(天声人語)そうだ。《西さんは「事件とは無関係」として一貫して無罪を…主張したが、1956年にともに最高裁で死刑が確定した。…「現場にいなかった」と訴える西さん》…。《日本の裁判史上初めての死刑執行後の再審請求》。最早、関係者も亡くなり、再審請求も出来ない。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》』
『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》』
《48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ
大変苦労してる。だから、(無罪判決が出たからといって)
それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、
皆さんにお力をお借りしたいと思っております》
『●福井事件 (1986年) は明らかな冤罪…7年間の服役を終えた前川彰司さん
の第2次再審請求で、名古屋高裁金沢支部 (山田耕司裁判長) が再審決定』
(日刊スポーツ)【大谷昭宏のフラッシュアップ/警察、検察の
「なりふり構わぬねつ造」どれだけあるんだ】《袴田事件では
物的証拠を捏造し、福井の事件では証言を捏造する。検察、警察の
許し難い不正が、また暴き出された。38年前、1986年に起きた
「福井女子中学生殺害事件」で殺人罪に問われ、7年間服役した
前川彰司さん(59)の再審請求に対して、名古屋高裁金沢支部は
先週、再審を決定。きのう28日開始が確定した。私は20年前、
出所直後に入院した前川さんに代わって、ひとり冤罪を訴え続ける
お父さんや現地を取材。決定当日は福井テレビにリモート出演
させていただいた》
『●袴田冤罪事件、何の反省もない検察の《控訴断念》を受け、漸くの謝罪記事
…マスコミの罪も非常に重い…検察が控訴したら、どうしたのだろうか?』
『●福井事件、発生から38年も経って漸く再審を決定…《検察が手持ち証拠の
開示に応じることが、冤罪を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ》』
『●《死刑制度「廃止含め議論を」》…《現在の制度には放置が許されない多くの
問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した》』
『●大谷昭宏さん「無実で犯行をでっちあげられながら、それを立証できずに
人生を奪われた人は無数にいるかもしれない」…飯塚事件の真相解明を望む』
『●初めての死刑執行後の再審請求「福岡事件」…《無実を訴えながら死刑を
執行された西武雄さんが獄中で詠んだ》〈叫びたし寒満月の割れるほど〉』
『●《平野啓一郎氏…「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑
制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けている…》』
『●神戸金史RKB報道局解説委員長《起きてはいけないことが起こらないように
するために、「福岡事件」を語り継ぎ、再審請求運動を続ける人たちがいる…》』
『●「袴田さんを犯人視することない」と、静岡地検の検事正が直接謝罪しつつ、
《検事総長談話について「袴田さんを犯人視しているわけではない」》?』
『●清水潔さん《死刑執行後に冤罪の可能性が指摘…「飯塚事件」…検察は証拠
開示をしないと。…これも袴田事件のように間違った判決だったのでしょう》』
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【https://www.asahi.com/articles/ASSDF2RS5SDFUPQJ00DM.html】
無実なのに死刑、不正義の現実 袴田さん無罪で「制度維持できない」
聞き手 編集委員・豊秀一 2024年12月17日 7時00分
(笹倉香奈・甲南大学教授)
死刑台からの生還となった、袴田巌さんの再審無罪の確定は、私たちの社会に何を突きつけているのだろうか。刑事訴訟法が専門で、冤罪(えんざい)救済の活動に取り組む笹倉香奈・甲南大学教授に、死刑制度は維持されるべきなのか聞いた。
――袴田さんの再審無罪の確定をどう受けとめられましたか。
「袴田さんの再審無罪は、現在も続く日本の刑事司法の問題点について、改めて我々に突きつけました。それと同時に、現に死刑判決を言い渡された無実の人がいるという、著しい不正義が実在することを明らかにしたと思います。死刑制度に対する根源的な問題が改めて提起されました」
情報を知れば、人の考えは変わりうる
「現在の死刑制度には多くの問題点がありますが、袴田さんの事件がこのような結果になった以上、必要かつ適切な検証を行えば、もはや日本の死刑制度は維持できないということにならざるを得ないと思っています」
「いまお話ししたことは、日本弁護士連合会が事務局となって立ち上げ、各界の方が参加した『日本の死刑制度について考える懇話会』の最後の会合での私の発言です。提言を出すタイミングが、再審無罪が確定した直後に偶然に重なりました」
――1980年代には死刑再審無罪事件が四つ続きました。
「本来はそこで死刑制度自体を見直すべきでした。実際に死刑執行が一時止まった時期もあったのですが、90年代に入ってオウム真理教による凶悪事件などが起きて、死刑廃止に関する議論は立ち消えになってしまいました」
「死刑判決が確定して44年………
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[※ 安田好弘さん 《「死刑反対。死刑をおかしい」と言うこと自体が、異端者になってくる》 (2018年7月28日 報道特集)↑] (2024年12月16日[月])
再審法見直し…それとともに、死刑存置の是非も議論すべきだ。
《現状のままに存続させてはならない》。アサヒコムの記事【死刑制度「廃止含め議論を」 遺族や元検察トップ、法学者らが提言】を再掲、《与野党の国会議員や犯罪被害者遺族、元検事総長らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が13日、政府への提言を報告書にまとめた。現在の制度には放置が許されない多くの問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した。そのうえで国会や政府のもとに、制度の廃止を含む「根本的な検討」のための会議体を設けるよう求めた》。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》』
『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》』
《48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ
大変苦労してる。だから、(無罪判決が出たからといって)
それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、
皆さんにお力をお借りしたいと思っております》
『●《有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を
出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる》元刑事裁判官・木谷明さん』
『●工藤隆雄氏《日本の司法には昔から冤罪体質があり…事件の背後には後に
「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれた紅林麻雄という静岡県警の刑事がいた》』
『●福井事件、発生から38年も経って漸く再審を決定…《検察が手持ち証拠の
開示に応じることが、冤罪を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ》』
『●《死刑制度「廃止含め議論を」》…《現在の制度には放置が許されない多くの
問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した》』
東京新聞の【<社説>再審法の改正 地方の声に耳を傾けよ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/372887?rct=editorial)、《地方議会で再審法(刑事訴訟法の再審規定)見直しを求める動きが広がっている。既に全国の400超の議会が、法改正や改正に向けた議論の必要性を訴える意見書案を可決。事件から58年を経て再審無罪=写真=となった袴田巌さん(88)の住む静岡県では年内に県議会と35市町の全議会がそろう見通しだ。政府や国会は早急な法改正に動くべきではないか。》
『●《「死刑制度を続ける日本は北朝鮮やシリアと同じ」―。…日本に向けられて
いる厳しい視線》《間違いが起こる可能性を認める国こそ民主主義的な国》』
『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》』
《「死刑もやむを得ない」は80.8%》…それでも死刑制度の廃止、あるいは、死刑の停止を。世論は重要だとは思う。でも、ならば、死刑存置派が何パーセントを下回れば、国民的議論をスタートするのか? 選択的夫婦別姓制度など、とおの昔に導入されていなければいけないではないか。世論に関係なく、世界で唯一に近い、強制的夫婦同姓制度を続けているニッポン。フランスやイギリスのように、死刑存置派が多くても、死刑制度の廃止、あるいは、死刑執行の停止に進んだ国もあるのだ。なぜ、ニッポンはそんなに死刑制度、死刑執行に拘るのか?
東京新聞のコラム【〈視点〉「死刑懇話会が提言」 割れる「存廃」国会で議論を 社会部・三宅千智】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/372819)/《死刑制度のあり方を議論する民間の懇話会が11月13日、現制度と運用について「現状のままに存続させてはならない」とする報告書をまとめた。死刑の存廃や制度のあり方を検討する公的な会議体を国会や内閣に設けるよう、委員の総意として提言した。内閣府が5年前に行った世論調査では、「死刑もやむを得ない」は80.8%。私も問われれば「迷いもあるが、被害者や遺族の無念さを思えばやむを得ないのでは」と答えただろう。だが懇話会の取材を通じ、制度の維持と廃止の間で気持ちと考えが揺れた。「日本の死刑制度について考える懇話会」は、死刑廃止を求める日本弁護士連合会の呼びかけで2月に発足。委員には学者や警察・検察の元トップ、犯罪被害者遺族ら16人が参加した。制度の存廃については意見が分かれた。双方の考えを深く知りたいと思い、懇話会の座長で刑法が専門の井田良(まこと)中央大大学院教授と、委員の金高雅仁元警察庁長官に取材を申し込んだ。井田さんは、政治の力で死刑を廃止すべきだと訴える。「日本の裁判は誤った死刑判決が出てしまうおそれを払拭していない」と指摘し、「英国のように、死刑執行後に新たな証拠が出てくるなどして間違いが分かれば、制度は維持できなくなるだろうが、最悪のシナリオだ」と述べた。10月に再審無罪が確定した袴田巌(はかまたいわお)さん(88)が頭をよぎる。長期間死…》。
最後に、平野啓一郎さんの重要な指摘。
東京新聞の【<社説>週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/373723?rct=editorial)、《作家の平野啓一郎氏が「死刑について」(岩波書店)で興味深い視点を与えています。日本の「人権教育の失敗」なのだと-。相手の気持ちになって考えようと学校で教えられますが、これは感情教育です。<人権をこのように感情面だけで捉えてしまうことは危険です。なぜなら、共感できない相手に対しては、差別も暴力も、何の歯止めもなくなってしまうからです> 平野氏はそう説きます。「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けているとも。<例外規定を設けているかぎり、何らかの事情があれば人を殺しても仕方がないという思想は社会からなくならないでしょう>》。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/372887?rct=editorial】
<社説>再審法の改正 地方の声に耳を傾けよ
2024年12月11日 07時55分
地方議会で再審法(刑事訴訟法の再審規定)見直しを求める動きが広がっている。既に全国の400超の議会が、法改正や改正に向けた議論の必要性を訴える意見書案を可決。事件から58年を経て再審無罪=写真=となった袴田巌さん(88)の住む静岡県では年内に県議会と35市町の全議会がそろう見通しだ。政府や国会は早急な法改正に動くべきではないか。
意見書は、地方自治法に定められた地方議会の権限で、国などに応じる義務はないが、訴えがここまで広がっている意味は重い。
改正を求めるのは、再審法が無辜(むこ)を救う最後の砦(とりで)なのに、あまりに不合理なためだ。無実を訴えながら死刑が確定した袴田さんは、再審請求で無罪の方向性を示す証拠を検察側が開示するまで約30年を要した。2014年に再審開始決定が出たが、検察側が不服を申し立て(抗告)、確定まで9年かかった。70年以上改正されていない再審法では、検察側に証拠開示義務がない上、抗告権は認められており、再審が「開かずの扉」といわれる主因と指摘されてきた。
静岡県では、死刑事件の再審無罪判決は1989年の島田事件に続き2例目。その前にも冤罪(えんざい)事件はあり、県弁護士会は「法改正を求めるのは冤罪から住民を守る地方議会としての責務」と意見書案可決を各議会に働きかけてきた。
都道府県では既に17道府県議会が可決。首都圏が栃木、群馬、山梨の3県にとどまる一方、中部は静岡のほか岐阜、三重、長野、滋賀、石川、福井と9県中7県が可決済みで全体の4割を占める。再審無罪となった呼吸器事件(滋賀県東近江市)、再審開始が確定した福井女子中学生殺人事件(福井市)、再審開始決定が出ながら検察の抗告で審理の続く日野町事件(滋賀県日野町)、名張毒ぶどう酒事件(三重県名張市)など冤罪やその可能性の高い事件が多いことも背景にあろう。市町村議会の可決例も増え続けている。
法務省の有識者会議でも議論はされているが、検察や同省には見直しに慎重な意見が根強く、議員立法にも期待がかかる。地方の声は強い後押しになるはずだ。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/373723?rct=editorial】
<社説>週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは
2024年12月15日 07時40分
街を「ばい菌」から守るパトロール-。死刑囚だった袴田巌さんの風変わりな散歩の日課です。事件から58年ぶりに再審無罪となったものの、既に88歳。長く死の恐怖と直面したゆえの拘禁症状が今も続いているのです。
強盗殺人犯のぬれぎぬを着せられた人生はあまりに残酷です。幻覚や妄想、興奮、混迷が次々と現れる拘禁症状もまた残酷です。
◆拘禁症状は残虐な刑罰
国家は袴田さんの人生ばかりか、精神をも破壊したに等しいといえます。拘禁症状の恐ろしさについては、医師で作家の加賀乙彦氏が名著「死刑囚の記録」(中公新書)で描いています。
<死刑囚は、死について考えないようにすることも、気ばらしに身を投じることもできない。そこで死刑囚は、ノイローゼになることによって死を忘れるのである>
加賀氏は1950年代に東京拘置所で精神科の医官として勤務し、死刑囚の精神状態をつぶさに記しました。
<死刑の苦痛の最たるものは、刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。これが、残虐な刑罰でなくて何であろう>
11月に「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が、政府や国会への提言をまとめました。
学者や国会議員、経済団体代表、元検事総長、元警察庁長官、日弁連、犯罪被害者遺族らが委員を務める懇話会です。
死刑制度について「現状のまま放置できない」とし、検討のため会議体を設けるよう求めました。結論が出るまでの間は死刑執行の停止も検討すべきだとも…。
「これまでの死刑論議は存置派と廃止派が意見をぶつけ合うだけだった。今回はどれだけ理解し合えるか」と井田座長は記者会見で意義を語りました。
世論調査では常に死刑制度を支持する結果が出ます。しかし、民意に存在する「迷い」がどれだけ反映されているのかは疑問です。
神ならぬ人が行う裁判ゆえ、誤判の危うさは常に伴います。袴田さんのように確定死刑囚が再審で無罪になった例は、戦後計5件もあります。
◆感情論は歯止めなくす
もし死刑執行されていたら…。取り返しがつきません。究極の人権侵害です。国家でさえ償えない制度でもあるのです。
世界196カ国のうち死刑がないのは144カ国。7割超にのぼります。韓国でも死刑執行を停止し、米国も連邦レベルでは執行停止を宣言しています。
人権意識は時代とともに進化します。あたかも復讐(ふくしゅう)劇のように死刑執行を続けるのは、普遍的な人権保障の原則と折り合うでしょうか。人は罪と向き合い反省し、更生できますが、命を奪えば贖罪(しょくざい)の機会をも奪います。
死刑制度は犯罪抑止の効果を持つと信じられていますが、実は科学的な証明はありません。被害者感情や処罰感情が死刑制度の根拠となるという人もいます。でも本当にそうでしょうか。
作家の平野啓一郎氏が「死刑について」(岩波書店)で興味深い視点を与えています。日本の「人権教育の失敗」なのだと-。
相手の気持ちになって考えようと学校で教えられますが、これは感情教育です。
<人権をこのように感情面だけで捉えてしまうことは危険です。なぜなら、共感できない相手に対しては、差別も暴力も、何の歯止めもなくなってしまうからです>
平野氏はそう説きます。「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けているとも。
<例外規定を設けているかぎり、何らかの事情があれば人を殺しても仕方がないという思想は社会からなくならないでしょう>
◆被害者にもっとケアを
被害者感情は十分に理解しますが、刑罰とは切り分けて考えた方がいいかもしれません。被害者側へのケアや生活支援は政府がもっと力を注ぐべき事柄です。
死刑制度をどうするか。この難問には懇話会が提言したように、まず会議を設けて話し合うのが近道だと考えます。同時に再審の法規定も見直し、何としても冤罪(えんざい)を防がねばなりません。
それにしても袴田さんが街をパトロールして見張っている「ばい菌」の正体とは何でしょう。
憎悪、偏見、差別、暴力…。社会に潜む悪徳かもしれません。「ばい菌」にさらされている人はいないか。そんな目で街を守る袴田さんを国家が死刑台に送ろうとしたことは大きな過ちなのです。
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(2024年11月26日[火])
大谷昭宏さん「…無実で犯行をでっちあげられながら、それを立証できずに人生を奪われた人は無数にいるかもしれない。誰にでも起こり得る。決して他人事ではないんです」(東京新聞)…例えば、飯塚事件の真相の解明が望まれるが、警察・検察・裁判所は再審を拒否し続けている。久間三千年さんは自分の口で無罪を訴えることも出来ない、死刑にしてしまったから…。冤罪で死刑執行。
(日刊スポーツ)【大谷昭宏のフラッシュアップ/警察、検察の「なりふり構わぬねつ造」どれだけあるんだ】。頼みの綱の裁判所がきちんと機能しているだろうか? そして、《人権を脅かす捜査の不正を監視し、暴く。報道の使命》《「…公権力をチェックするのは報道の生命線でもある…」》はずなのだが…。
東京新聞の記事【戦前と戦後のボーダー世代として報道と向き合う 「負の歴史踏まえ権力監視」 ジャーナリスト・大谷昭宏さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/369242)。《静岡県一家4人殺害事件、福井中3殺害事件…。再審事件の背景に、警察や検察による証拠の捏造や不都合な事実の隠蔽が指摘されている。大谷昭宏さんはこれらの事件を含め多くの冤罪を取材し、捜査の問題点を社会に問い続けてきた》《◆「戦後メディアは、戦意高揚に加担した反省に立ち再出発」》《◆新聞に染み付いたDNAとは?》
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》』
『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》』
《48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ
大変苦労してる。だから、(無罪判決が出たからといって)
それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、
皆さんにお力をお借りしたいと思っております》
『●福井事件 (1986年) は明らかな冤罪…7年間の服役を終えた前川彰司さん
の第2次再審請求で、名古屋高裁金沢支部 (山田耕司裁判長) が再審決定』
(日刊スポーツ)【大谷昭宏のフラッシュアップ/警察、検察の
「なりふり構わぬねつ造」どれだけあるんだ】《袴田事件では
物的証拠を捏造し、福井の事件では証言を捏造する。検察、警察の
許し難い不正が、また暴き出された。38年前、1986年に起きた
「福井女子中学生殺害事件」で殺人罪に問われ、7年間服役した
前川彰司さん(59)の再審請求に対して、名古屋高裁金沢支部は
先週、再審を決定。きのう28日開始が確定した。私は20年前、
出所直後に入院した前川さんに代わって、ひとり冤罪を訴え続ける
お父さんや現地を取材。決定当日は福井テレビにリモート出演
させていただいた》
『●工藤隆雄氏《日本の司法には昔から冤罪体質があり…事件の背後には後に
「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれた紅林麻雄という静岡県警の刑事がいた》』
『●福井事件、発生から38年も経って漸く再審を決定…《検察が手持ち証拠の
開示に応じることが、冤罪を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ》』
『●《死刑制度「廃止含め議論を」》…《現在の制度には放置が許されない多くの
問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/369242】
戦前と戦後のボーダー世代として報道と向き合う 「負の歴史踏まえ権力監視」 ジャーナリスト・大谷昭宏さん
2024年11月26日 12時00分
<昭和20年に生まれて Born in 1945>
静岡県一家4人殺害事件、福井中3殺害事件…。再審事件の背景に、警察や検察による証拠の捏造(ねつぞう)や不都合な事実の隠蔽(いんぺい)が指摘されている。大谷昭宏さんはこれらの事件を含め多くの冤罪(えんざい)を取材し、捜査の問題点を社会に問い続けてきた。
大谷昭宏(おおたに・あきひろ) 1945年7月8日、東京都生まれ。早稲田大卒業後、読売新聞に入社。大阪社会部で事件取材やコラム「窓」を担当。退社後はテレビにも活動の場を広げている。主な著作に「警察が危ない」「事件記者という生き方」など。
(新聞に宿る「DNA」について語る大谷昭宏さん
=千代田区で)
◆「戦後メディアは、戦意高揚に加担した反省に立ち再出発」
「裁判で冤罪が確定すれば大ニュースになるが、無実で犯行をでっちあげられながら、それを立証できずに人生を奪われた人は無数にいるかもしれない。誰にでも起こり得る。決して他人事ではないんです」
人権を脅かす捜査の不正を監視し、暴く。報道の使命だ。「日本のメディアは戦時中、軍部に屈し、戦意高揚に加担した負の歴史を持つ。戦後は、その反省に立ち再出発した。公権力をチェックするのは報道の生命線でもあるんです」
(袴田巌さんの再審公判を終え、無罪判決に笑顔を見せる
姉ひで子さん(中)ら=9月、静岡市の静岡地裁で)
大谷さんは読売新聞大阪本社で記者生活をスタートさせた。後に社会部長となる黒田清さん(1931~2000年)と出会い、事件取材に強い「黒田軍団」の一員として社会問題を追った。1984年には大阪府警賭博ゲーム機汚職事件を取材したルポで、大阪社会部として日本ノンフィクション賞を得ている。
◆新聞に染み付いたDNAとは?
事件に加え、黒田軍団が力を注いだのが戦争の記憶を伝える報道だ。連載「新聞記者が語りつぐ戦争」は18年間に及び、書籍化もされた。連載中の87年には、戦争犠牲者の親族らが大切にする形見やゆかりの品を集めた特別展も開催している。「息子が戦地で最後まで手にしていた水筒」「父からの最後の手紙」「夫の千人針」…。黒…………
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(2024年11月4日[月])
《今回の再審開始決定につながった弁護側の新証拠は、検察が開示した捜査報告メモなど287点の中に含まれていた。これにより、関係者の1人が前川さんに不利な法廷証言をした後、警察官から結婚祝い名目の金銭を受け取っていたことや、検察が証拠の不正を知りながら、それを隠して公判を続けていたことなどが判明。決定は「不誠実で罪深い不正の所為」と捜査機関を厳しく批判した》(東京新聞)…「福井事件」(福井女子中学生殺し、福井女子中学生殺人、福井女子中学生殺害事件)は明らかな冤罪…7年間の服役を終えた前川彰司さんの第2次再審請求で、名古屋高裁 (山田耕司裁判長) が再審決定。7年間も冤罪で服役し、終始一貫して無実の訴え。事件発生から38年も経って漸く再審を決定。
『●「前川さんの身になってほしい!」: 「福井事件」という明々白な冤罪』
『●愚挙: 検察の異議が認められて福井事件の再審開始が取り消しに』
「《この事件でも物証がなく、関係者の証言のみで前川さんは
罪に問われている。しかも、前川さんは逮捕から一貫して犯行を
否認をしている》。検察(名古屋高検)も酷いけど、裁判所が
一体何を考えているのか、理解に苦しむ。この裁判所(名古屋高裁)
の愚挙、批判的な記事があまり出ないのはなぜ??」
『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」/』
『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について』
「粟野仁雄さん【福井女子中学生殺害事件で前川彰司さんの
再審請求棄却 立証責任回避の違法な決定】」
『●「「アイドル」を守れ!」
『週刊金曜日』(2014年6月6日、994号)についてのつぶやき』
「中嶋啓明さん【「一刻も早く再審開始決定を」
福井女子中学生殺人】、《逮捕から28年が過ぎた……前川彰司さん
……指紋や目撃者など、前川さんと犯行を結び付ける直接証拠が
一切ない》。青木理さん「前川さんの身になってほしい!」」
『●福井事件 (1986年) は明らかな冤罪…7年間の服役を終えた前川彰司さん
の第2次再審請求で、名古屋高裁金沢支部 (山田耕司裁判長) が再審決定』
(朝日新聞、2024年10月24日[木])
海外からの視線…《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》。特に、再審に関わる条文を改正し、充実させねば、冤罪者は救われない…《検察が手持ち証拠の開示に応じることが、冤罪(えんざい)を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ》。(東京新聞)《再審法は、検察有利に過ぎるなど、これまでも不備が指摘されており、国会でも超党派の議員連盟が法改正を目指している。支部の裁判長は、今回の決定は「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大前提に従ったと述べた。現状の再審制度の根本に欠けているものがまさにそれであろう》。《かねて検察が証拠開示に消極的な点は問題視されてきた。今回も裁判所に強く命じられ、ようやく応じた形という。しかし、その結果、やっと再審に道が開いた。換言すれば、検察が不利な証拠を隠すことが冤罪の土壌にもなり得るということだろう。証拠開示の規定がないなど現在の再審法(刑事訴訟法の再審関連部分)には明らかに不備がある。可及的速やかな抜本的改正が強く求められる》。
東京新聞の【<社説>福井の中3殺害 検察異議断念は当然だ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/363448?rct=editorial)。《検察が手持ち証拠の開示に応じることが、冤罪(えんざい)を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ。1986年、福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で懲役7年の殺人罪が確定、服役した前川彰司さん(59)に対する名古屋高裁金沢支部の「再審開始」決定について、同高検は異議の申し立てを断念した。決定は確定し、事件から38年を経て、ようやく裁判がやり直される。前川さんは無罪判決を受ける公算が大きい。前川さんは、逮捕時から一貫して容疑を否認。物証に乏しく、一審は無罪だったが、検察の控訴で二審は逆転有罪となり、最高裁で有罪が確定。服役後、前川さんが起こした第1次再審請求で、裁判所は一度は再審開始を決定したものの、検察の異議を認めて決定が取り消され、最高裁で確定した》。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》』
『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》』
《48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ
大変苦労してる。だから、(無罪判決が出たからといって)
それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、
皆さんにお力をお借りしたいと思っております》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/363448?rct=editorial】
<社説>福井の中3殺害 検察異議断念は当然だ
2024年10月30日 07時57分
検察が手持ち証拠の開示に応じることが、冤罪(えんざい)を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ。
1986年、福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で懲役7年の殺人罪が確定、服役した前川彰司さん(59)に対する名古屋高裁金沢支部の「再審開始」決定について、同高検は異議の申し立てを断念した。決定は確定し、事件から38年を経て、ようやく裁判がやり直される。前川さんは無罪判決を受ける公算が大きい。
前川さんは、逮捕時から一貫して容疑を否認。物証に乏しく、一審は無罪だったが、検察の控訴で二審は逆転有罪となり、最高裁で有罪が確定。服役後、前川さんが起こした第1次再審請求で、裁判所は一度は再審開始を決定したものの、検察の異議を認めて決定が取り消され、最高裁で確定した。
そして先週、第2次再審請求で再度の再審開始決定が出て、検察の対応が注目されていた。無罪と有罪の判決、再審開始と取り消しの決定に翻弄(ほんろう)されながら、前川さんが続けてきた長い戦いに、ようやく終止符が打たれそうだ。
欧米主要国の多くでは、下級審で無罪判決や再審開始決定が出た場合、検察は原則、上訴(控訴や上告、抗告など)できない。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大原則に沿った仕組みだが、同じ原則を掲げながら、上訴に制限がない上、異議申し立てもできる「検察有利」な日本のシステムは、かなり異質だ。
今回の再審開始決定につながった弁護側の新証拠は、検察が開示した捜査報告メモなど287点の中に含まれていた。これにより、関係者の1人が前川さんに不利な法廷証言をした後、警察官から結婚祝い名目の金銭を受け取っていたことや、検察が証拠の不正を知りながら、それを隠して公判を続けていたことなどが判明。決定は「不誠実で罪深い不正の所為」と捜査機関を厳しく批判した。
かねて検察が証拠開示に消極的な点は問題視されてきた。今回も裁判所に強く命じられ、ようやく応じた形という。しかし、その結果、やっと再審に道が開いた。換言すれば、検察が不利な証拠を隠すことが冤罪の土壌にもなり得るということだろう。証拠開示の規定がないなど現在の再審法(刑事訴訟法の再審関連部分)には明らかに不備がある。可及的速やかな抜本的改正が強く求められる。
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[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2024年11月30日[土])
アサヒコムの訃報記事【元刑事裁判官の木谷明さん死去 30件超の無罪判決、司法問題を発信】(https://www.asahi.com/articles/ASSCY35BSSCYUTIL028M.html?iref=pc_ss_date_article)、《刑事裁判官として30件以上の無罪判決を出したことで知られる元裁判官で弁護士の木谷明さんが21日、急性心筋梗塞(こうそく)で死去した。86歳だった。葬儀は近親者らで行った。所属する法律事務所が29日、明らかにした。神奈川県平塚市出身。東大法学部在学中の1960年に司法試験に合格し、63年に裁判官に任官。最高裁調査官や水戸地裁所長、東京高裁部総括判事などを歴任した。2000年に退官後、法政大法科大学院教授や弁護士として活動し、刑事司法のあり方についてメディアなどで積極的に発信した。著書に「刑事裁判の心」や「『無罪』を見抜く」などがある》。
ご冥福をお祈りいたします。とても残念で仕方ない。
『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》』
《(琉球新報)<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ
…「疑わしきは被告の利益に」という原則を再審請求の審理にも適用
した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
遠かった。審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ。…
捜査当局が再審請求の段階で新たに開示した証拠に基づく
再審開始決定が近年相次いでいる。茨城の布川事件や、熊本の
松橋事件などは新証拠がきっかけとなり、再審無罪につながった。
日野町事件も再審裁判が始まれば無罪となる可能性がある。さらに
言えば、確定前の裁判でネガなどの証拠が明らかになっていれば、
判決内容に影響を与えていたかもしれないのだ。検察の責任は重い》
『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》』
《死後再審の例は少ない。再審公判で無罪判決が出たのは、日弁連の
支援事件では殺人罪で懲役13年が確定した1953年の
「徳島ラジオ商殺し」だけだ。ほかには84年に滋賀県日野町で
起きた強盗殺人の犯人とされ、無期懲役となった元受刑者が
死亡した「日野町事件」で、2018年に大津地裁が再審開始を
決定した。検察側が抗告し、現在は最高裁で争われている》
聞き手・阿部峻介記者による、2024年3月24日のアサヒコムの記事【第7回/時間がかかりすぎる再審請求 元裁判官「証拠開示に法律の不備」】(https://www.asahi.com/articles/ASS3F4SRKS2PPTIL00Q.html?iref=pc_rellink_01)、《「日野町事件」では裁判のあり方にも疑問が示されている。裁判官の役割とはなにか。再審をめぐる現状に課題はないのか。有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる木谷明弁護士…》。
『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》』
『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》』
「《二重の不正義》を認めたくない検察、それを見て見ぬふりする裁判所。
木谷明さんや熊本典道さんの話や訴えになぜ耳を傾けようともしないのか…。
4年も待たせて、この仕打ち、さらに待てという」
《元裁判官の木谷明氏の持論である。裁判官時代に約三十件もの無罪判決を
書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった。その木谷氏の
著書「『無罪』を見抜く」(岩波書店)にはこんなくだりがある…》
《「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は刑事裁判の原則で、再審でも
例外ではない。ところが日本の検察はまるでメンツを懸けた勝負のように、
再審開始の地裁決定にも「抗告」で対抗する。間違えていないか。
再審は請求人の利益のためにある制度で、検察組織の防御のためではない》
『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し』
《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》
『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!』
『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう
としているのに許せない。もともと無実なのだから」》』
「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」
『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求・
糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》』
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を
説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は掌中の
証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ』
『●「イチケイのカラス」第2話 ――― 裁判官らの謝罪と憲法第76条
「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この…」』
『●《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、
逮捕・起訴はなかったかもしれません」》と仰ってたのですがね?』
『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》』
《あれだけ理不尽な裁判を受け続け、30年近い長期の獄中生活を
余儀なくされながら、ここまで明るく前向きに生きられる人がいる
という事実は、まさに「驚異」である。
ステージ4の直腸がんをも見事に克服しつつある桜井さん。どうか、
あのチャーミングな「自慢の恋女房、恵子ちゃん」との生活を、
今後も精いっぱい楽しんでください。
木谷明(弁護士)》
『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう』
「2023年3月18日(土)の『報道特集』から: 故・熊本典道さん、
元裁判官の木谷明弁護士」
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●飯塚事件…《裁判所は…検察に証拠品のリストの開示を勧告…したが、
検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否》』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実の人
にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
《…再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)…》
最後に、訳ありではありますが…:
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【https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e372334c7acce173a80312815be59c79】
後から「発見」された証拠の危険性
これに続いて、元東京高裁判事で現在は片山氏の弁護人の木谷明弁護士が、自身が裁判官中に経験した再審請求事件の話を例に、後から「発見」された証拠の危うさを説いた。
それは、かの有名な白鳥事件。物証がほとんどなく、被害者を射殺した凶器の銃も発見されなかった。警察は、「被告人らが武装蜂起をするために峠で射撃訓練をした」とみて、何度も捜索を行ったが、それらしい証拠は見つからず仕舞い。ところが、2年後になって、銃弾が「発見」され、その線条痕が被害者の体内の弾と一致したとの鑑定を元に有罪判決が下された。しかし、「発見」された銃弾は2年間も山に放置されていたとは思えないほど新しく、その鑑定も後に捏造された疑いが出た。
死刑判決が確定して現在再審請求中の袴田事件でも、有罪の決め手の1つである血染めの着衣が、味噌工場のタンクから「発見」されたのは、事件から1年2か月も経ってから。この着衣は、袴田巌氏のもので犯行時に着ていた、とされたが、サイズがはるかに小さく、新たに行われた鑑定では、血痕から被害者のDNAは検出されなかった。
やはり再審請求中の狭山事件でも、石川一雄氏の自宅の2回にわたる家宅捜索では見つからなかった被害者の万年筆が、3回目の捜索で勝手口の鴨居から「発見」され、有罪証拠に使われた。
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【https://www.asahi.com/articles/ASS3F4SRKS2PPTIL00Q.html?iref=pc_rellink_01】
第7回
時間がかかりすぎる再審請求 元裁判官「証拠開示に法律の不備」
有料記事 やってへん 検証・日野町事件
聞き手・阿部峻介 2024年3月24日 6時00分
(過去の裁判記録を手に、再審制度の見直しを提言する
元裁判官の木谷明さん=2023年11月22日、東京・渋谷、
阿部峻介撮影)
「日野町事件」では裁判のあり方にも疑問が示されている。裁判官の役割とはなにか。再審をめぐる現状に課題はないのか。有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる木谷明弁護士(86)に聞いた。
(【連載初回はこちら】花嫁の父「お前たちのために自白した」
日野町事件、死後再審の扉は)
――大津地裁の元の裁判では、判決直前に検察の請求で犯行の場所や被害品をあいまいにした訴因変更が問題になりました。
「日野町かその周辺」で殺害し、奪われた金庫の中身もわからない。強盗殺人のような重大事件でこれだけ訴因をぼかすのは異例です。これに沿って有罪判決を書いたのは、非常に問題のある手法だったと思います。
いつ、どこで、何を……具体的に
――どこに問題があるのでしょうか。
訴因というものは具体的でなければなりません。いつ、どこで、何をした。そうした情報がはっきりしていなければ、被告側の防御が難しくなるからです。
例えば無実の人が「何日に犯行をした」と追及された場合、その日のアリバイを立証すれば無罪になります。でも「何日~何日」とされたら、その間のアリバイを全て立証しないといけなくなります。
法律は「できる限り」具体的に、としか言っていませんが、ここまであいまいな訴因にされれば、防御は容易ではありません。
――訴因変更はどのような時に行われるものなのでしょうか。
審理を経て「このままだと有罪にできないが、訴因を少し変えれば起訴内容と大きく変わらない程度の立証ができる」という時に、検察が自ら判断するのが原則です。
一方でこの事件でも報道があったように、裁判官が促すこともないではありません。
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【プレミアムA】「やってへん」検証・日野町事件
「自白」と客観状況の矛盾は、裁判が進む当時から指摘されてきた。 そこでは大きく四つの謎が浮かんでいる。 [ もっと見る ]
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公平な裁判か
検察官が「立証は十分」と思…
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[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2024年09月29日[日])
(東京新聞社説)《16世紀のフランスの思想家・モンテーニュにこんな言葉がある。 <無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である> 捜査にも裁判にも誤りは起こる。無実の人を罰するのは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》。
償いようのない警察・検察による犯罪…せめて、再審法の改正を、《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実の人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》。
【<社説>袴田さんに無罪判決 再審に道開く法改正こそ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/356843?rct=editorial)。《静岡県の強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんに静岡地裁の再審公判で「無罪」が言い渡された。無実の訴えから半世紀余。早く真に自由の身とするためにも、検察は控訴してはならない。「開かずの扉」と評される再審制度も根本的に問い直すべきだ》。
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん…《周囲に「自分は23歳だ」と吹聴
…「彼がプロボクサーとしてデビューした年齢…今も闘っているのだ…」》』
『●《袴田巌さん…静岡地裁…無罪(求刑死刑)を言い渡した》…当然の「無罪」
判決が漸く! 検察がこの再審判決に対して控訴するなど許されない!!』
『●再審判決・無罪…《事件当時、東京新聞は、袴田巌さんを犯人とする報道を
しました。袴田さんと家族の人権、名誉を傷つけたことを深くお詫び致します》』
自白偏重、人質司法、そして、あまりに酷い再審制度の不備。再審法改正が絶対に必要。弁護側が求める、権力を使って警察が集めた証拠や調書の開示だけでもすぐに実施すべき。事件発生から、投獄から、死刑判決から、一体何年を要しているのか!
さらには、死刑制度の廃止。例えば、取り返しのつかないことを仕出かしてしまっている飯塚事件。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
《何という非人道的なことか》(桐山桂一さん)。《刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正》が全く進まないニッポン。《台湾では冤罪をなくすために、めざましい改革が進行中》だそうだ。羨ましい限りだ。《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》…何の進歩も無く、《日本の刑事司法のガラパゴス化》(鴨志田祐美さん)。
言うまでもなく袴田冤罪事件、《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》の例ではないか。《残酷で異常な出来事と欧米などでは受け止められている》、《日本でも放置し続けてきた再審法を整備すべきときが来ている。法務・検察はそのことも自覚すべきである》(東京新聞社説)。何十年にも渡って無実の袴田巌さんを牢屋につなぎ、しかも証拠が捏造されていたとまで裁判所が指摘。再審裁判で、「有罪」を主張するのはいったいどういう神経か? しかも、検察は再び死刑を求刑した。なんという冷酷…。(大谷昭宏さん)《この期に及んでなお、「死刑を求刑する」と言い放つ検察官に、いまも背筋が凍りついている》。《いまも、死刑囚のまま》な状況から、漸く解放された袴田巖さん。検察の控訴など、絶対に許されない。一体どこまで人権侵害すれば気が済むのか。控訴によって、さらなる人権侵害は許されない…(東京新聞社説、2023年10月28日)《無実の訴えから半世紀。日本の刑事司法の異様さをも表している。すでに87歳の高齢。残る人生と名誉をこれ以上、検察は奪ってはいけない》。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/356843?rct=editorial】
<社説>袴田さんに無罪判決 再審に道開く法改正こそ
2024年9月27日 07時32分
静岡県の強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんに静岡地裁の再審公判で「無罪」が言い渡された。無実の訴えから半世紀余。早く真に自由の身とするためにも、検察は控訴してはならない。「開かずの扉」と評される再審制度も根本的に問い直すべきだ。
「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」-。1985年に刑事法の大家だった平野龍一・元東京大学長は論文にそう記した。
80年代に死刑囚が相次いで再審無罪となった。免田事件、財田川(さいたがわ)事件、松山事件、島田事件。まさに死刑台からの生還だった。
袴田さんは戦後5例目になる。事件は66年。それから58年もたって、やっと「無罪」の声を聞いた。気の遠くなる歳月を考えても、刑事司法関係者は深刻な人権問題だと受け止めるべきである。
異常な取り調べだった。袴田さんは強く否認したが、連日、平均12時間を超える過酷な調べを受け体調も崩した。取調室で小便もさせられた。拷問に等しい。20日目に「自白」したが、同地裁は再審判決で「自白調書は非人道的な取り調べで獲得されたもので、捏造(ねつぞう)と認められる」と指弾した。
死刑確定の証拠も怪しかった。みそタンクの中から発見された「血痕の付いた5点の衣類」は、確定判決の根拠とされたものの、そもそも事件から約1年2カ月後に見つかったこと自体に不自然さが伴う。血痕に「赤み」が残っていた点も鑑定で「1年以上では赤みは残らない」とされた。
この点についても同地裁は「捜査機関によって血痕を付ける加工がされ、タンク内に隠匿されたものだ」と断罪した。捜査機関が故意に袴田さんを犯人に仕立て上げたのだ。何と恐ろしいことか。
◆3重の不正義を許すな
袴田さんの裁判を見るだけでも、いまだ「絶望的な刑事裁判」が続いているのは明らかだ。
とりわけ無罪までの時間が長すぎる。最高裁は75年、「疑わしきは被告人の利益に」との刑事裁判の原則が再審制度にも適用されるという決定を出した。
この原則に立てば、もっと早く袴田さんに無罪が届けられたはずだ。死刑確定の翌年に第1次の再審請求がされたが、再審が確定するまで実に42年もかかった。
無実の人を罰する不正義。真犯人を取り逃がす不正義。無罪まで長い歳月を要する不正義。冤罪(えんざい)には3重もの不正義がある。これはあまりに絶望的である。
袴田さんの無罪はゴールではなく、刑事訴訟法の再審規定(再審法)を改正するためのスタートの号砲とすべきである。
再審法は約100年前の条文を使って、戦後もずっと放置されてきた。わずか19条しかない。再審法の改正は喫緊の課題である。
例えば無罪にたどり着くまで長い時間を要するのは、再審開始決定に検察官が不服申し立てをできる仕組みがあるからだ。
袴田さんの場合も、2014年に地裁で再審開始決定が出ながら、検察官が即時抗告をしたため、再審開始が確定するまで約9年も経過してしまった。
いったん再審が決まれば、検察官の不服申し立ては禁止する法規定が必要だ。冤罪の被害者は一刻も早く救済すべきなのは当然ではないか。今回の無罪判決についても、検察は控訴せずに無罪を確定させるべきである。
証拠開示の在り方も大きな問題だ。再審については明文の規定が存在せず、裁判所の裁量に委ねられているにすぎない。
「存在しない」と検察側が主張していた「5点の衣類」のネガフィルムが保管されているのが判明したのは14年のことだ。証拠隠しともいえる行為が再審の扉を閉ざしていたに等しい。
このような不正義を防ぐためにも、無罪に結びつく、すべての証拠を検察側に開示させる法規定を設けねばならない。
現在、超党派の国会議員による「再審法改正を早期に実現する議員連盟」ができている。衆参計347人の議員が名前を連ねる。
◆究極の「国家犯罪」犯す
法務省が再審法改正に後ろ向きならば、議員立法で進めてほしい。再審法改正を求める市民集会は19日も都内で開かれた=写真。世論の後押しこそ大事だ。
16世紀のフランスの思想家・モンテーニュにこんな言葉がある。
<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>
捜査にも裁判にも誤りは起こる。無実の人を罰するのは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ。
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[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2024年09月28日[土])
検察・警察、裁判所、マスコミ…。袴田巖さんや袴田秀子さんの58年間、償いようがないでしょ? あまりに残酷過ぎる58年間。
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん…《周囲に「自分は23歳だ」と吹聴
…「彼がプロボクサーとしてデビューした年齢…今も闘っているのだ…」》』
『●《袴田巌さん…静岡地裁…無罪(求刑死刑)を言い渡した》…当然の「無罪」
判決が漸く! 検察がこの再審判決に対して控訴するなど許されない!!』
[「袴田さん 無罪」「衣類など 証拠捏造認定」(朝日新聞、2024年09月27日[金])]
[「検察は控訴断念を」]
[「「三つの捏造」捜査断罪」 「5点の衣類・押収物 否定」 「自白を強要 非人道的」]
[「58年 やっと「自由の扉」」 「裁判長が謝罪 姉「巌の半生いかして」」]
毎日新聞の記事【無実の叫び 袴田事件/「時間かかり申し訳ない」 再審無罪の袴田巌さんに裁判長が謝罪】(https://mainichi.jp/articles/20240926/k00/00m/040/164000c)。《静岡地裁の国井恒志裁判長…その上で、「(袴田さんの逮捕から再審無罪確定まで)ものすごく時間かかることに本当に申し訳なく思う」と謝罪した。国井裁判長は判決言い渡し後、袴田さんの姉秀子さん(91)に、検察官には無罪判決を不服として控訴する権利があることを説明。「裁判所は自由の扉を開けた。しかし、この扉は閉まる可能性もある。健やかにお過ごしください」と語り掛けた》。
森達也さんのつぶやき:
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【https://x.com/MoriTatsuyaInfo/status/1839459820128358888】
森達也(映画監督・作家)@MoriTatsuyaInfo
捜査機関の捏造が正式に認定された。ならばなぜメディアは、当時の静岡県警について取材しないのか。単独の犯行なのか組織的なものなのか。静岡県警には拷問と捏造の歴史がある。顔や名前を晒せとは言わない。でも捏造の構造くらいは追求すべきだ。
午前9:19 2024年9月27日
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《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》。
毎日新聞の記事【袴田事件/捜査当局情報に傾斜 袴田さん 毎日新聞報道検証】(https://mainichi.jp/articles/20240927/ddm/002/040/101000c)。《静岡県でみそ製造会社の専務一家が殺害された事件当時、袴田巌さん(88)を巡る報道は過熱した。1966年の逮捕から起訴までは捜査当局の視点に偏った記事が目立ち、袴田さんを犯人視する表現もあった。本紙(静岡県版を含む)の当時の記事を検証した。毎日新聞は7月4日夕刊で有力な容疑者として袴田さんのイニシャルを使い「従業員『H』浮かぶ」とする記事を掲載。逮捕を伝える8月19日朝刊では、袴田さんが容疑を否認していることを掲載する一方で「刑事たちの執念と苦しさに耐えたねばりが功を奏して(中略)逮捕にまでたどりついた」と表現した。袴田さんが「自白」に転じたことを伝えた9月7日朝刊も「全力捜査がついに犯罪史上まれな残忍な袴田をくだしたわけで、慎重なねばり捜査の勝利だった」と、捜査当局と一体化したような書きぶりだった。自白に重きを置きすぎた報道とも言える》。
望月衣塑子さんのつぶやき:
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【https://x.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1839483575277903960】
望月衣塑子@ISOKO_MOCHIZUKI
袴田巌さん、再審無罪。検察庁の組織防衛のための愚かな抵抗で、再審公判が昨年10月に開かれ、決着が長引かされた。検察だけではない、当時の東京新聞をはじめとしたマスコミのほぼ全社が、袴田巌さんを犯人視する報道を繰り返し、死刑判決に加担したと思う。
私たちマスコミに関わる記者たちは、捜査当局一辺倒になりすぎた故に、袴田さんを犯人視し続け、冤罪をうみだすことに加担した過去の過ちを絶対、忘れてはならない。
東京新聞の今日9月27日の1面です。
袴田さんと家族の人権、名誉を傷つけたことを深くお詫びします。
↓
事件当時、東京新聞は、袴田巌さんを犯人とする報道をしました。
袴田さんと家族の人権、名誉を傷つけたことを深くお詫び致します。
1966年8月17日、静岡県警は強盗殺人容疑などで袴田さんの逮捕状を取り、翌18日に逮捕しました。本紙は同日夕刊で取り調べの段階から「犯人はやはり『袴田』だった」という見出しで報じました。
また、袴田さんは逮捕前から否認を続けていましたが、逮捕から20日目、2回目の拘留期限の3日前に自供を始めたとされています。
本紙は66年9月7日付静岡版で「粘りの捜査にがい歌 袴田の仮面はぐ」との見出しで記事を掲載しました。
逮捕段階では罪が確定していないのに、袴田さんを「犯人」と報道した本紙にも、冤罪を生んだ責任はあります。
本紙は現在、容疑者を犯人と決めつけない「事件報道ガイドライン」を策定しています。今後も予断や偏見を拝した冷静な報道を続けてまいります。
https://tokyo-np.co.jp/article/356688
午前10:53 2024年9月27日
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一方、朝日新聞には、「お詫び」の言葉は見当たらない。
償いようのない警察・検察による犯罪…控訴などあり得ない。
東京新聞の【<コラム 筆洗>詩人の谷川俊太郎さんが書いた『生きる』にこんなくだりがある…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/356817?rct=hissen)。《▼そのブーム時には既に拘束されていた事実に奪われた歳月の長さを痛感する。一家4人強盗殺人事件で66年に逮捕され、死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審公判で静岡地裁は無罪判決を言い渡した▼無実を訴えながら、美しいものとの出会いが制限された独房で死刑執行におびえた日々。支えた姉ひで子さん(91)ともども、冤罪(えんざい)という「悪」を拒み続け、たどり着いた節目である▼釈放され10年がたっても、長い拘束の影響で妄想が出る巌さんには胸が痛むが、判決後のひで子さんの笑顔に救われる思いがした▼検察が控訴せずに判決が確定し、弟と姉が事件から解放されることを。2人が味わうべき喜びを先の詩の続きが教える。<生きているということ いま生きているということ 泣けるということ 笑えるということ 怒れるということ 自由ということ>》。
海外からの視線…《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》。
岸本拓也・中山岳両記者による、1年半ほど前の2023年3月20日の東京新聞の記事【こちら特報部/「異様さ」に海外も注目 再審開始決定の袴田さんめぐる日本の刑事司法 死刑囚生活45年、再審可否を延々議論】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/239168)。《1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定した元ボクサー袴田巌さん(87)。13日の東京高裁の再審開始決定は、欧米など外国のメディアも速報した。驚きとともに強調されているのが、半世紀近い身柄拘束と、87歳という高齢だ。かねて国連も問題視してきた日本の人権感覚。海外から、どんな視線が注がれているのか。(岸本拓也、中山岳)》
南野森さんのつぶやき:
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【https://x.com/sspmi/status/1839213323923108113】
南野 森(MINAMINO Shigeru)@sspmi
《メモ》袴田事件に関わった裁判官(敬称略)
【死刑判決】
①静岡地判1968年9月11日👉死刑(石見勝四・高井吉夫・熊本典道)
②東京高判1976年5月18日👉控訴棄却(横川敏雄・柏井康夫・中西武夫)
③最2小判1980年11月19日👉上告棄却(宮崎梧一・栗本一夫・木下忠良・塚本重頼・鹽野宜慶)
【第1次再審請求】
④静岡地決1994年8月8日👉請求棄却(鈴木勝利・伊東一広・内山梨枝子)
⑤東京高決2004年8月26日👉即時抗告棄却(安広文夫・小西秀宣・竹花俊徳)
⑥最2小決2008年3月24日👉特別抗告棄却(今井功・津野修・中川了滋・古田佑紀)
【第2次再審請求】
⑦静岡地決2014年3月27日👉再審開始と死刑・拘置の執行停止を決定(村山浩昭・大村陽一・満田智彦)
⑧東京高決2018年6月11日👉原決定取消、再審請求棄却(大島隆明・菊池則明・林欣寛)
⑨最3小決2020年12月22日👉原決定取消、東京高裁に差戻し(林道晴・戸倉三郎・林景一・宮崎裕子・宇賀克也)
⑩東京高決2023年3月13日👉検察の抗告を棄却(大善文男・青沼潔・仁藤佳海)
【再審】
⑪静岡地判2024年9月26日👉無罪判決!(國井恒志・益子元暢・谷田部峻)
午後5:00 2024年9月26日
――――――――――――――――――――――――――
2014年3月27日、村山浩昭・元静岡地裁裁判長は袴田巌さんの死刑と拘置の執行を停止し、釈放を決めた裁判官…「これ以上拘置するのは耐えがたいほど正義に反する」…《2014年3月、静岡地裁は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、その捏造証拠による死刑判決によって長期間、死の恐怖の下で身柄を拘束されてきた」「拘置をこれ以上継続することは、耐えがたいほど正義に反する」とし、再審の開始と死刑および拘置の執行停止を決定した》(長周新聞)。
『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」』
自白偏重、人質司法、そして、あまりに酷い再審制度の不備。再審法改正が絶対に必要。弁護側が求める、権力を使って警察が集めた証拠や調書の開示だけでもすぐに実施すべき。事件発生から、投獄から、死刑判決から、一体何年を要しているのか!
さらには、死刑制度の廃止。例えば、取り返しのつかないことを仕出かしてしまっている飯塚事件。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/239168】
こちら特報部
「異様さ」に海外も注目 再審開始決定の袴田さんめぐる日本の刑事司法 死刑囚生活45年、再審可否を延々議論
2023年3月20日 18時14分
(袴田巌さん=13日午後、浜松市)
1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定した元ボクサー袴田巌さん(87)。13日の東京高裁の再審開始決定は、欧米など外国のメディアも速報した。驚きとともに強調されているのが、半世紀近い身柄拘束と、87歳という高齢だ。かねて国連も問題視してきた日本の人権感覚。海外から、どんな視線が注がれているのか。(岸本拓也、中山岳)
【関連記事】袴田さんの再審開始が確定、無罪の公算強まる 検察側が特別抗告を断念 1966年一家殺害 死刑事件で5例目
◆英BBC、米CNN、中東アルジャジーラも
「袴田さんは半世紀近くの間、不当に拘束されて、人間としてあってはならない残酷な扱いを受けた。この点を英国の人たちは異常なことと見ている」
13日に「45年間の死刑囚生活を経て再審が認められた日本人男性」と報じた英紙ガーディアン東京特派員のジャスティン・マッカリーさん。「こちら特報部」の取材に対し、事件への自分や母国の受け止めをこう語った。
同日は他にも、海外メディアのサイトに再審開始決定を伝える見出しが並んだ。「袴田さんの再審開始、東京高裁が認める」(英BBC放送)、「日本の裁判所は、1966年の殺人事件を巡る最長の死刑囚の再審請求を認めた」(米CNN)といった具合だ。
欧米だけでなく「日本の裁判所、87歳死刑囚の再審を支持 袴田巌は45年間独房に監禁された」(中東・アルジャジーラ)、「47年を死刑囚で服役した日本の87歳男性に裁判所が再審許可」(韓国・ソウル新聞)などニュースは世界中を駆け巡った。
◆「日本では裁判所と検察の誤った判断の代償として、死が待っている」
各メディアは「日本は米国とともに主要な先進民主国の中で、いまだに死刑を採用している例外的な国だ」(BBC)などと解説。際立つのは、その多くが「世界で最も長く拘置された死刑囚」と袴田さんを紹介していることだ。
日本メディアでは、ほとんど見られない表現だが、ギネスブックのサイトには、2011年に「世界で最も長く収監されている死刑囚」として袴田さんが認定されている。現在は1968年9月の一審の死刑判決から、釈放された2014年3月までの「45年」が認定記録だ。
(東京高検に特別抗告の断念を求め、記者会見する弁護団
事務局長の小川秀世弁護士(右)ら=16日、東京都内)
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」も同様の認識で、アムネスティ日本の中川英明事務局長は「アムネスティ独自の調査でも袴田さんの拘束は最も長い」と話す。検察が期限の20日までに特別抗告すれば、「袴田さんが裁判を受ける権利を損なう。公正な裁判を妨害すべきではなく、再審の実現に協力すべきだ」と求める。
世界的に見ても異様な事件であるためか、死刑制度が残る米国でも20年にCNNが特集。日本の有罪率が99.9%と極めて高い状況や、米国と違って、容疑者が弁護士の立ち会いなしで取り調べられる日本の司法制度の特異性を否定的に紹介した。ハーバード大教授が、日本の有罪率が高い理由を「検察官が非常に少ない。彼らの仕事量を考えると、最初に有罪判決に焦点を当てる。本当に罪を犯したか否かを考える時間はない」と解説している。
特集は、無罪判決という形で誤りを認めることが「裁判官と検察官の双方のキャリアにとって有害と見なされる可能性がある」との見方を示す。その上で「日本では(裁判所と検察の)誤った判断の代償として、死が待っていることもある」とした。
◆「正義の時が来た!」
一方、袴田さんに14年に名誉王者ベルトを贈った世界ボクシング評議会(WBC)は14日、ホームページに「滞った正義を獲得するため闘う」と連帯のメッセージを掲載。日本プロボクシング協会の公式ツイートにも、WBC関係者が「It's time for Justice!(正義の時が来た!)」と投稿した。
同協会「袴田巌支援委員会」委員長で、元東洋太平洋バンタム級王者の新田渉世さん(55)は「WBCのスレイマン会長はじめ海外のボクシング関係者は、常日ごろ袴田さんを気にかけてくれてきた」と話す。
袴田さんが収監中だった08年、「ハリケーン」と呼ばれた米国の元ボクサーで、殺人罪で20年近く投獄された後に無罪となったルビン・カーター氏が、袴田さんを励ますビデオメッセージを寄せた。新田さんは「袴田さんは『東洋のハリケーン』として、海外でも認知されている。今回の決定後、『フリー、ハカマダ』の声はネットなどで広がっている」と話す。
◆国連の委員会「強要された自白の結果、死刑が科されたという報告に懸念」
死刑が廃止されている欧州などでは、もともとこの事件への関心が高い。08年、姉のひで子さん(90)が洞爺湖サミットに参加する主要8カ国(G8)の大使館などに救済を求めた際は、「42年の拘束は胸が痛む」といった反応があった。袴田さんが釈放された14年には、国際人権規約を担当する国連の委員会が「強要された自白の結果、死刑が科されてきたという報告は懸念される事項」と指摘した。
一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(大阪市)の藤本伸樹研究員は「袴田さんは自白を強要され、死刑判決後も長期にわたり独居で拘禁された。国際的には、日本の司法制度の問題を示す代表的な冤罪事件の一つとして扱われてきた」と話す。
◆日本の再審規定は「周回遅れ」…変えるべき時
(検察庁)
そんな事件に改めて下された司法判断で、刑事訴訟法の再審規定(再審法)見直しが注目されている。裁判所の再審開始決定への検察の不服申し立てに制限がなく、検察側に対する証拠開示請求がほとんど認められないからだ。
熊本大の岡田行雄教授(刑事法)は「欧米などでは、冤罪事件や誤判の発覚をきっかけに再審制度が改められてきた」と説く。例えばドイツは1960年代半ばの制度改正により、裁判所が再審開始決定すれば検察は不服申し立てできず、再審の場で主張するようになった。英国では、裁判所から独立した委員会が検察側の証拠を集めて閲覧し、再審を始めるか判断している。台湾でも、有罪確定後に再審請求のためなら公判や捜査段階で集めた証拠を閲覧できる。
それに比べて「日本は何周も遅れている」と岡田さんは指摘。「再審請求審は本来、無罪の可能性がある事案を探す手続きだ。それなのに、日本では検察の抗告などで延々と『再審するかどうか』に時間をかけている。そもそも再審請求しても裁判所がたなざらしにしたままで、審理が進まないケースすら目に付く」と苦言を呈する。
「迅速に再審開始を確定させ、有罪か無罪かは再審の場で争われるようにすべきだ。現行の規定では再審を始めるまでに時間がかかり、冤罪被害者や親族は高齢になっても苦しむ。刑訴法改正を含め、法整備を進める時期にきている」
袴田さんの記事を何度も書いてきた前出のガーディアン特派員マッカリーさんも、この先を注視する。「海外からは日本に死刑制度の廃止を求める声が上がるが、日本は死刑を支持する声が根強く、あまり変わらなかった。袴田さんのように著しく人権を侵害された事件を受けて、日本がこれからどうするのか、関心を持って見ている」
◆デスクメモ
在京6紙は全紙が14日朝刊の社説で、今回の再審開始決定について書いている。東京高裁の判断を高く評価こそすれ、否定する意見はない。国際的にも特異なこの事件の経過が、広く知られるようになった結果だろう。さらに争って、国民を納得させられる理由があるとは思えない。(本)
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[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2024年09月26日[木])
《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖(袴田巌)さん…袴田事件、《再審公判も15回の審理を終えて、9月26日に判決が下る》………そして、当然の判決「無罪」が漸く! 検察がこの再審判決に対して控訴するなど許されない!! 《一刻も早い無罪確定》を。漸く《いまも、死刑囚のまま》な状態から解放された袴田巖さん。《「『死刑囚』でなく『袴田巌』として生きてほしい」 弟を支え続けた姉・ひで子さん》《巌には余生を「死刑囚」でなく、人間として、そして「袴田巌」として生きてほしい。ただ、それだけです》(野村昌二記者)。
金子和史記者による、アサヒコムの記事【袴田巌さん再審で無罪判決、静岡一家4人殺害で 確定死刑囚で5例目】(https://www.asahi.com/articles/ASS9S2G6GS9SUTIL021M.html?linkType=article&id=ASS9S2G6GS9SUTIL021M&ref=app_flash)。《1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)の裁判をやり直す再審で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は26日、無罪(求刑死刑)を言い渡した。死刑が確定した事件で再審無罪となったのは戦後5件目》、《■検察の対応が今後の焦点に》。
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん…《周囲に「自分は23歳だ」と吹聴
…「彼がプロボクサーとしてデビューした年齢…今も闘っているのだ…」》』
[「袴田さん 無罪」「衣類など 証拠捏造認定」(朝日新聞、2024年09月27日[金])]
[「検察は控訴断念を」]
[「「三つの捏造」捜査断罪」 「5点の衣類・押収物 否定」 「自白を強要 非人道的」]
[「58年 やっと「自由の扉」」 「裁判長が謝罪 姉「巌の半生いかして」」]
野村昌二記者による、dot.の記事【19日間ぶっ続けで取り調べ 1日平均12時間の過酷さ 袴田事件で知る「冤罪」の温床「人質司法」の問題点/野村昌二】(https://dot.asahi.com/articles/-/234668)。《袴田事件の再審公判の判決が9月26日、言い渡され、無罪となる公算が大きい。「冤罪」の温床とされるのが人質司法だ。大川原化工機を巡る事件でも、浮き彫りになった冤罪を生む構造について考える》。
同記者による、もう一つの記事【「『死刑囚』でなく『袴田巌』として生きてほしい」 弟を支え続けた姉・ひで子さん/野村昌二】(https://dot.asahi.com/articles/-/234670)/《1966年、静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さんのやり直しの裁判の判決が26日、言い渡される。姉・ひで子さんに心境を聞いた》。
自白偏重、人質司法、そして、あまりに酷い再審制度の不備。再審法改正が絶対に必要。弁護側が求める、権力を使って警察が集めた証拠や調書の開示だけでもすぐに実施すべき。事件発生から、投獄から、死刑判決から、一体何年を要しているのか!
さらには、死刑制度の廃止。例えば、取り返しのつかないことを仕出かしてしまっている飯塚事件。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
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【https://www.asahi.com/articles/ASS9S2G6GS9SUTIL021M.html?linkType=article&id=ASS9S2G6GS9SUTIL021M&ref=app_flash】
袴田巌さん再審で無罪判決、静岡一家4人殺害で 確定死刑囚で5例目
金子和史 2024年9月26日 14時02分
(散歩の休憩中に空を見上げる袴田巌さん
=2020年12月16日、浜松市内)
1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)の裁判をやり直す再審で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は26日、無罪(求刑死刑)を言い渡した。死刑が確定した事件で再審無罪となったのは戦後5件目。
【特集】袴田巌さん58年後の無罪 なぜ死刑囚にされたのか
袴田巌さん(88)に、再審公判で「無罪」が言い渡された。「死の恐怖」を強いたこの半世紀は何だったのか。前代未聞の事件を数字からたどる。
■検察の対応が今後の焦点に
検察は、再審の判決に対し控訴できる。ただ、80年代に確定死刑囚が再審で無罪になった4事件を含め、検察が再審公判での無罪判決に控訴した例は近年ないとみられる。弁護団や支援者は、袴田さんの年齢も踏まえ一刻も早い無罪確定を求めており、検察の対応が焦点になる。
事件は66年に発生し、従業員で元プロボクサーの袴田さんが強盗殺人や放火などの容疑で逮捕・起訴された。捜査段階で「自白」したが、公判では一貫して無罪を主張。一審・静岡地裁は68年に死刑を言い渡し、80年に確定した。
袴田さん側が2008年に申し立てた第2次再審請求審では、静岡地裁による再審開始決定、東京高裁による取り消し、最高裁による差し戻しを経て、東京高裁が23年に再審開始を決定。検察が特別抗告せず、再審公判が開かれることが決まった。
■「犯人にさせられた」 再審公判で弁護側主張
同10月の再審公判の初公判………
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【https://dot.asahi.com/articles/-/234670】
「『死刑囚』でなく『袴田巌』として生きてほしい」 弟を支え続けた姉・ひで子さん
2024/09/25/ 16:00
野村昌二
AERA
袴田ひで子さん(はかまた・ひでこ)/1933年生まれ。6人きょうだいの5番目で、3歳年下の末っ子が巌さん。33歳の時、巌さんが強盗殺人などの罪で逮捕されて以来、無実を訴え活動を行う(撮影/編集部・野村昌二)
1966年、静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さんのやり直しの裁判の判決が26日、言い渡される。姉・ひで子さんに心境を聞いた。AERA 2024年9月30日号より。
(【写真】「自宅でくつろぐ袴田巌さん」はこちら)
* * *
「もう安心しな」って、巌には言ってあげたい。
釈放されて10年経ちますが、巌は私が姉だとはわかっていても、いまだに妄想の世界にいます。裁判は終わったことだと思っていて、「無罪が確定した」と言っても「当たり前だ」って言うくらいのもんでしょう。でも、まだどこかで、自分は死刑囚で処刑されるという不安が残っていると思うからね。
「無罪判決が待ち遠しいでしょう」と言われるけど、私は悠然としています。一生懸命、無罪に向かって見えない権力と闘ってたからね。
ただ、落ち込んだこともありました。最初の10年くらいは支援がなかったから家族だけでやって、68年9月に巌に死刑判決が出た時は周りが全部敵に見えて。やがて母親も父親も亡くなり、眠れなくてウイスキーをくいくい飲んで寝るようになって、酒浸りの日が3年ほど続きました。その頃から支援者が出始めて、自分がこんな風じゃあ巌を助けるどころじゃないと思って酒はやめました。でも、心ない言葉も耳に入ってきましたから、世間とは距離を置いて生活しました。盆も正月もなく、同窓会にも行っていません。
ここまで続けてきたのは「巌は無実」っていうことに尽きます。事件が起きて3日後に巌は実家に帰ってきて、近所の人とにこやかに話しているのを見ました。いくらポーカーフェースだって、4人も殺して普通でいるわけがないですから。
冤罪が起きるのは、警察のずさんな調査があるからだと思う。
最初から警察は、引っ張った人間は犯人だと決めて、犯人らしくないと思ったら無理にでも犯人にするでしょ。巌の取り調べも苛烈を極め、1日平均12時間、長い時は16時間に及びました。そういうことが冤罪を生む。だから、昔から冤罪はたくさんあって、みんなは泣き寝入りしちゃっているだけです。
(自宅でくつろぐ袴田巌さん。釈放後も拘禁反応によって、
意思疎通が難しい(写真:袴田さん支援クラブ提供))
巌を元の体に戻してほしいとか、私の人生を返してほしいとか、そんな野暮なこと言ったってできるわけありません。だから、警察には巌を48年間も無実の罪で拘置所などに入れていたことをいい方向に生かし、「これ以上、無実の人をつくるな」と言いたい。
巌は88歳です。足腰がちょっと弱くなったけど、それは年相応。今年になって猫を2匹飼うようになったら「猫にご飯くれてやってくれ」とか言葉が出てくるようになりました。
巌には余生を「死刑囚」でなく、人間として、そして「袴田巌」として生きてほしい。ただ、それだけです。
(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年9月30日号
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[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]
※2024年09月26日(木): 当然の判決が漸く! 検察がこの再審判決「無罪」に対して控訴するなど許されない!! ➙ 【袴田巌さん再審で無罪判決、静岡一家4人殺害で 確定死刑囚で5例目】(https://www.asahi.com/articles/ASS9S2G6GS9SUTIL021M.html?linkType=article&id=ASS9S2G6GS9SUTIL021M&ref=app_flash)、《1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)の裁判をやり直す再審で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は26日、無罪(求刑死刑)を言い渡した。死刑が確定した事件で再審無罪となったのは戦後5件目》、《検察の対応が今後の焦点に》。 (2024年09月25日[水])
袴田事件、《再審公判も15回の審理を終えて、9月26日に判決が下る》(長周新聞)。
袴田事件の《被害者孫の心情「真実明らかに」を胸に刻み込むべきは》誰か? それは、少なくとも、袴田巌さんやひで子さんではない。同時に、真犯人を取り逃すという、被害者やその遺族にも大変な被害をもたらしている。(ボクサーに対する偏見と思われる)袴田巌さんを犯人視し、軌道修正を怠り、思い込みや偏見により初動捜査を誤った警察や検察、さらにそれを見抜けない裁判所の罪はあまりに重い。
『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました』
《自責の念から酒におぼれ、生活保護受けた時期も 袴田事件の取材を
続けているジャーナリストの青柳雄介さんは、初めて会ったときに
話の途中で何度も嗚咽を漏らし、涙を流す熊本さんの姿が目に
焼き付いている。「いちずな人だった。判決によって自分の人生も
随分、曲がってしまったのでしょう」。弁護士になった後は、酒に
おぼれ、家族と離別。肝硬変や前立腺がんを患い、生活保護を
受けながら暮らした時期もあった。告白後は再審開始のために
支援を続けた》
長周新聞の【書評/『袴田事件:神になるしかなかった男の58年』 著・青柳雄介】(https://www.chosyu-journal.jp/review/31846)。《しかし証拠はなにもなく、袴田氏はほぼ一貫して容疑を否認したが、警察と検察による自白の強要、証拠のでっち上げ、でたらめな調書によって、逮捕から14年後の1980年に死刑が確定した》、《とくに、それまで検察が「ない」といってきた「五点の衣類」のカラーネガ93点と取り調べの録音テープ46時間分が発見され、それによって違法捜査の全体像がしだいに明らかにされていった》。
《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖(袴田巌)さん。
西田直晃記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/袴田巌さんの素顔を見つめたジャーナリスト 「極限の状況を生き抜かせた」ボクサーの経験 最後に求める勝利】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/355956?rct=tokuhou)。《再審公判の判決の言い渡しを26日に控え、無罪を待つ袴田巌さん(88)。釈放から10年を経た今も、拘禁反応が他者との意思疎通を妨げるが、口を突く言葉の節々から「闘い抜く強固な意志」を感じ取ったという2人のジャーナリストがいる。密着を続けた取材者の目に映る袴田さんの素顔とは。(西田直晃)》。
もう一点、付け加えるならば、あまりに酷い再審制度の不備。再審法改正が絶対に必要。弁護側が求める、権力を使って警察が集めた証拠や調書の開示だけでもすぐに実施すべき。
さらには、死刑制度の廃止。例えば、取り返しのつかないことを仕出かしてしまっている飯塚事件。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
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【https://www.chosyu-journal.jp/review/31846】
『袴田事件:神になるしかなかった男の58年』 著・青柳雄介
書評・テレビ評 2024年9月23日
今から半世紀以上前の1966年6月30日、静岡県清水市(現在の静岡市清水区)にあった味噌製造会社の専務宅が放火され、焼け跡から一家4人の焼死体が発見された。4人の遺体には合計40カ所以上の刺し傷があった。そして、強盗殺人と放火などの容疑で、同社従業員の袴田巖氏(当時30歳)が逮捕された。
しかし証拠はなにもなく、袴田氏はほぼ一貫して容疑を否認したが、警察と検察による自白の強要、証拠のでっち上げ、でたらめな調書によって、逮捕から14年後の1980年に死刑が確定した。
これに対して本人や姉、支える人々によって再審請求が出され、弁護側の求めと裁判所の勧告によって、それまで検察側が独占していた未提出の証拠が2013年頃から開示され始めた。
とくに、それまで検察が「ない」といってきた「五点の衣類」のカラーネガ93点と取り調べの録音テープ46時間分が発見され、それによって違法捜査の全体像がしだいに明らかにされていった。
2014年3月、静岡地裁は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、その捏造証拠による死刑判決によって長期間、死の恐怖の下で身柄を拘束されてきた」「拘置をこれ以上継続することは、耐えがたいほど正義に反する」とし、再審の開始と死刑および拘置の執行停止を決定した。ところがこれで終わらなかった。メンツを潰された検察は異議を唱えて即時抗告し、昨年3月に東京高裁が再審開始を決定するまで、さらに9年の歳月を要している。
■執拗な取り調べと拷問で自白を強要
この本は、袴田事件を18年追い続け、関係者にインタビューをくり返してきたフリーのジャーナリストが、この冤罪事件の全貌と袴田氏の思いをまとめたものだ。
まず第一の特徴は、具体的な証拠がないなかでの、長時間の執拗な取り調べと拷問による自白の強要である。自白以外の客観的な証拠がないまま逮捕したことは、当時静岡県警が作成した「捜査記録」からも明らかだ。
警察は事件から4日後、袴田氏を参考人として事情聴取したが、この時点でほぼ犯人だと断定していた。8月18日に逮捕すると、炎天下の警察署で、連日12~16時間以上の取り調べを20日間、休みなく続けた。本人は明確に容疑を否認しているのに、「犯人はお前だ。早く自白して楽になれ」と、二人一組や三人一組の警察官が交替で罵声を浴びせ、殴ったり蹴ったりしたことがわかっている。
ついに勾留期限の3日前、1966年9月6日に、袴田氏は意識が朦朧(もうろう)とするなかで「自供」させられ、警察と検察に合計45通の自白調書をとられている。このときどういう状態だったかは、2015年に開示された録音テープで明らかになった。
取り調べを担当した警部補は、「(袴田が)本当に今まで長い間、お手数をかけて申し訳ない」と謝罪し、涙を流しながら動機や犯行内容、奪った金の処理、凶器の購入経緯を具体的に語ったと法廷で証言した。ところがテープには涙や謝罪の場面はなかった。さらに検察が提出した調書も、作成順を並べ替えて、いかにも真犯人の調書らしく偽装していたことが明らかになった。そのうえ4人の取調官がその口裏合わせを組織的におこない、公判で偽証していたことも暴露された。
もう一つは、重要証拠として持ち出された、袴田氏が犯行時に着ていたとされるパジャマだ。事件直後から大手メディアは「血染めのパジャマ」と大々的に報じたが、これは警察のマスコミへのリークによるもので、実際には血は肉眼では確認できないほどわずかなものだった。
ところが、事件から1年2カ月後の第一審の公判中、味噌工場のタンクの底から、鮮やかな赤色の血痕のついたズボンなど5点の衣類が発見された。タンクの中は事件直後に徹底的に捜索され、何も発見できなかったのにである。警察・検察は、それまでパジャマを犯行着衣だと袴田氏に自白させていたのに、それでは証拠能力があまりにも低いため、公判中にもかかわらず重要証拠を「5点の衣類」に改めたと見られる。
だがその後、そのズボンを袴田氏ははけるかどうかの実験が何度もおこなわれたが、ズボンは太腿までしか入らず、チャックも閉められなかった。また、実験結果からは、1年2カ月も味噌に漬かると衣類についた血液は黒色化することがわかった。さらに血痕をDNA鑑定すると、袴田氏のものと一致しなかった。
弁護団は「事件直後でなく、発見直前に捜査機関が仕込んだ捏造証拠だ」と指摘し、これが認められて再審決定になっていく。袴田氏を真犯人にしようとする警察・検察側の証拠が、逆に無実を証明する証拠になったわけだ。
■根深い警察・検察の癒着と腐敗
著者は、杜撰(ずさん)な捜査で確固たる証拠がないまま、拷問で自白を強要して真犯人をでっち上げる一方、捜査側に不利な証拠は隠蔽・破棄するという強引な手法が、静岡県警に伝統として受け継がれていたとのべている。
敗戦後の一時期、難事件を次々に解決し「名刑事」と謳われた紅林麻雄という警部補がいた。幸浦事件、二俣事件、小島事件、島田事件など、静岡県下で死刑や無期懲役が下された多くの事件を紅林は以上のような手法で「解決」したが、後にすべて逆転無罪が確定しているそうだ。
この本のなかでは、1967年の静岡地裁死刑判決を下した裁判官の一人が、約40年にわたる沈黙を破って、「自分は無罪を主張したが、裁判官3人の合議に1対2で敗れ、意に反して死刑判決を書かざるを得なかった」「袴田氏を獄中から救出し、直接謝りたい」と訴えたことにも触れている。この元裁判官に対する著者のインタビューは、彼の号泣で何度も中断したそうだ。守秘義務に抵触することも恐れないこの勇気ある訴えは、逆に、警察・検察・裁判所という権力機構内部の癒着がいかに根深いかを浮き彫りにしている。
安倍政権の「モリ・カケ・桜」に警察・検察は動かず、今回の裏金問題もしかり。自分の出世のために、権力者を忖度し巨悪を野放しにする連中が、一般庶民に対しては権力を笠に着て襲いかかり、その人生を奪ってはばからない。「法の支配」とはいいながら、統治のモラルが失われ、損得や忖度で「白」が「黒」になることがあるのだ。それは戦後の一時期に限って起きたことでも、静岡県だけの話でもないことは、最近の大川原化工機事件を見ても明らかだろう。今年も鹿児島県警が「再審や国家賠償請求訴訟などで捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはない」と、捜査書類の廃棄を内部文書で促したことが明らかになったばかりだ。
袴田事件は事件発生から58年経ち、再審公判も15回の審理を終えて、9月26日に判決が下る。
(文春新書、286ページ、定価1100円+税)
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/355956?rct=tokuhou】
こちら特報部
袴田巌さんの素顔を見つめたジャーナリスト 「極限の状況を生き抜かせた」ボクサーの経験 最後に求める勝利
2024年9月23日 12時00分
再審公判の判決の言い渡しを26日に控え、無罪を待つ袴田巌さん(88)。釈放から10年を経た今も、拘禁反応が他者との意思疎通を妨げるが、口を突く言葉の節々から「闘い抜く強固な意志」を感じ取ったという2人のジャーナリストがいる。密着を続けた取材者の目に映る袴田さんの素顔とは。(西田直晃)
◆「おとなしく、非常に寡黙」な人柄
(笠井千晶さん=東京都渋谷区で)
「足腰が弱り、口数も少なくなった。急速な老いを実感させられる」
こう話すのは、2014年の釈放後、袴田さんが暮らす浜松市に拠点を構えた笠井千晶さん(49)。家族との日常を映像に収めてきたが、「この1、2年で衰えが目立ってきた」と述懐する。
「裁判は終わり」「袴田事件はない」などと事実と異なる発言を繰り返す袴田さん。裁判は複雑な経過をたどり、18年6月、再審開始の決定を東京高裁が取り消したことも。笠井さんは「日常生活での応答に支障はないが、死刑囚のままだという事実、再審の現状は認識していない」とみる。とはいえ、決定取り消しの当日には、自宅に集まった報道陣の多さに「外出先からの帰宅を嫌がった。周囲を注意深く観察するので、ざわついた雰囲気に不安なそぶりが垣間見えた」と振り返る。
袴田さんの人柄を「おとなしく、非常に寡黙」と評する一方、「ボクサーとしての経験が極限の状況を生き抜かせた」とも。袴田さんが頻繁に発する「闘い」「勝利」などのフレーズを念頭に「まっさらな気持ちで耳を傾けると、袴田さんが構築した世界には一貫性がある」と語る。「虐げられた過去を思いつつ、自分なりの答えを探しているようだ。いかに闘い、いかに生き延び、最後に勝利できるかを求めてきた。全てを拘禁反応に起因する妄想とは一蹴できない」
(青柳雄介さん=東京都千代田区で)
◆「これ以上の時間の浪費は絶対に許されない」
袴田さんには別の口癖もあるようだ。こちらも浜松市に移り、取材を続けていた青柳雄介さん(62)によると、周囲に「自分は23歳だ」と吹聴してきた。「彼がプロボクサーとしてデビューした年齢だ。最も脂が乗り、強かった時期に重ね合わせ、今も闘っているのだと思い知らされた」
釈放後、かつて勤務した静岡市内の飲食店を訪れる袴田さんに同行し、半世紀を経ても全く道に迷わない記憶力に「舌を巻いた」。昨春、東京高裁が再審開始を決定する直前には、袴田さんが「今日はいい決定が出る日なんだ」とつぶやくのを耳にした。「9月26日がどういう日かも分かっているかもしれない。無罪が確定すれば、拘禁反応も快方に向かうかもしれない」と思うのはこのためだ。
(支援者とドライブへ出かける袴田巌さん=5月22日、浜松市内で)
袴田さんが「仕事」と称する日課の散歩に何度も付き合った。「以前は1日8時間も歩き、同世代よりも速かったが、今は車での移動ばかり。最近はヨボヨボと歩幅が小さくなった」と老いがやはり気にかかる。「これ以上の時間の浪費は絶対に許されない」
◇
笠井さんのドキュメンタリー映画「拳(けん)と祈り―袴田巖の生涯―」が10月19日から公開される。青柳さんは「袴田事件 神になるしかなかった男の58年」(文春新書)を8月に刊行した。
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[↑ 飯塚事件 冤罪で死刑執行「再審請求…08年死刑執行」(朝日新聞 2024年06月3日[月])] (2024年06月25日[火])
《何という非人道的なことか》(桐山桂一さん)。《刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正》が全く進まないニッポン。《台湾では冤罪をなくすために、めざましい改革が進行中》だそうだ。羨ましい限りだ。《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》…何の進歩も無く、《日本の刑事司法のガラパゴス化》(鴨志田祐美さん)。
例えば、袴田冤罪事件、《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》の例ではないか。《残酷で異常な出来事と欧米などでは受け止められている》、《日本でも放置し続けてきた再審法を整備すべきときが来ている。法務・検察はそのことも自覚すべきである》(東京新聞社説)。何十年にも渡って無実の袴田巌さんを牢屋につなぎ、しかも証拠が捏造されていたとまで裁判所が指摘。再審裁判で、「有罪」を主張するのはいったいどういう神経か? しかも、検察は再び死刑を求刑した。なんという冷酷…。(大谷昭宏さん)《この期に及んでなお、「死刑を求刑する」と言い放つ検察官に、いまも背筋が凍りついている》。《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、一体どこまで人権侵害すれば気が済むのか。(東京新聞社説、2023年10月28日)《無実の訴えから半世紀。日本の刑事司法の異様さをも表している。すでに87歳の高齢。残る人生と名誉をこれ以上、検察は奪ってはいけない》。
東京新聞の【<視点>台湾に学ぶべき時だ 論説委員・桐山桂一】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/335746)。《つまり台湾では冤罪をなくすために、めざましい改革が進行中なのだ。日本では500条を超える刑訴法のうち、再審条文はわずか19しかない。かつ1949年の施行から一度も改正されていない。だから無実を叫びつつ、40年、50年を経ても「無罪」とならない。法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実の人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか。台湾に学んで早く法改正を実現せねば。》
(鈴木耕さん)《日本司法の異常さが世界からの批判の的になっているということを、国連ですら認めているのだ。よく言われるように「日本の常識は世界の非常識」の実例である》…それ故の犠牲者が次々と。再審法改正も進まず。低「民度」なニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引…。
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
…金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》』
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
何度でも、飯塚事件…既に死刑執行してしまった。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者・桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか。日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件(東電事件)、東住吉事件。だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす。殺したのは誰か、検察庁です」》。
鴨志田祐美さん《日本の刑事司法のガラパゴス化は、法務省が考えているよりも深刻です》。小泉龍司法相《「法律に不備はない」と言い放つ…果たして人の心はあるのだろうか。耐えがたいほど正義に反する日々は、まだまだ続く》(大谷昭宏さん)
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政』
『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く』
『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論…
いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》』
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》』
『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》』
『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は掌中の
証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ』
『●飯塚事件…鈴嶋裁判長《「…覚えているのは不自然」…女性の証言…「捜査
機関が無理に記憶と異なる調書を作成する動機、必要性は見いだせない」》』
『●袴田事件、《捜査機関による証拠捏造》…《第三者は捜査機関の者である
可能性が極めて高いと思われる》というのに、またしても検察は死刑求刑』
『●袴田冤罪事件 ――― 冤罪であるという《真実を明らかに》した時、
被害者遺族は、捜査機関や検察にどう責任をとってもらうのだろうか?』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/335746】
<視点>台湾に学ぶべき時だ 論説委員・桐山桂一
2024年6月25日 06時00分
刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正に向け、超党派の議員連盟が動き始めている。先月半ばに開かれた第4回の総会では、台湾の弁護士連合会理事長である尤美女さんが招かれて講演をした。
台湾が実現した再審法改正を模範にすべきなのだ。もともと大正時代の日本の刑事訴訟法をお手本にし、1928年、台湾刑訴法ができた。
だが、再審法は約87年間も改正されないまま放置されていた。近年になって台湾で再審法改正が現実化した契機は、2012年と14年の再審無罪判決だった。
前者は集団強盗や殺人などの罪で起訴され、死刑判決となったが、虚偽自白などに基づいていた。
後者は準強制性交罪の事件だったが、DNA型の再鑑定により再審無罪となった。
これがきっかけとなり、15年と19年の2度にわたり台湾で再審法が改正された。
注目すべき改正のポイントは、再審開始のためには従来、有罪判決を揺るがす「確実な新証拠」が必要だったが、これを「新証拠または新事実」と改正したことだ。
これで再審開始のハードルはぐっと下げられた。かつ新証拠や新事実のみを評価するのではなく、既に存在する各証拠と合わせて総合評価する方法を採用した。
証拠開示も全面的に変わった。日本では検察による証拠隠しが横行しているが、台湾では事件のすべての証拠や捜査機関が保有する記録を再審請求人や弁護人が入手できるようになった。つまり無罪方向の証拠を得られやすくなったわけだ。
再審請求審も原則公開の法廷で審理される。法廷で口頭でのやりとりが重視され、証拠調べの手続きも明文化されたことで、事件の真相がよりつかみやすくなった。
また、裁判所の内部規則によって、再審期日についても、4カ月に1回の頻度で開廷が必要になった。公判の迅速化が図られたわけだ。
驚くべきことは、検察内部にも、冤罪が潜んでいないかチェックする検証機関ができたことだ。形式だけの組織ではなく、能動的に冤罪を探す審査委員会である。
それらの結果、2022年には地裁で受理した再審請求568件のうち33件の再審開始決定が出た。13年の12件と比べると大きく改善した。
つまり台湾では冤罪をなくすために、めざましい改革が進行中なのだ。
日本では500条を超える刑訴法のうち、再審条文はわずか19しかない。かつ1949年の施行から一度も改正されていない。
だから無実を叫びつつ、40年、50年を経ても「無罪」とならない。法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実の人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか。台湾に学んで早く法改正を実現せねば。
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