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アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

アザーズ 2001年 アメリカ・スペイン・フランス

2008-02-27 | ミステリー&サスペンス
広大な屋敷に住む、母と二人の子どもたち。
以前いた使用人たちが、突然出て行ったという理由から、新たな三人が雇われる。

母グレースはいつも、心ここにあらずといった風情である。
娘アン、息子ニコラスは、強い光に当たることができない病にあるため、四六時中、炎の灯を頼りに過ごしている。

アンはよく、この屋敷に誰かがいる、と言う。
弟のニコラスは、作り話はやめてと姉に懇願するのだが、アンはすでに四人の人物を見たと言うのだ。
丁寧に絵まで描いて。

中盤に入る前あたりから何気に、’99の『シックス・センス』らしい臭いがしてきて、「もしや?」と思いながら最後まで鑑賞。
うーん、やはりこういった古い屋敷やヨーロッパなどの古城とか、よく「出る」という噂や話は言い伝えられてきてるし、そうか、やっぱり“彼ら”だって思い入れがあれば、ずっとそこに「住んで」いたくもなるのかもしれないだろうし、うー、だんだんと背筋がゾワゾワしてきたゾ。

この間金縛りに遭い、目が覚めてからも、しばらくの間、脱力感が抜けなかった。
ひどく疲れていたせいもあるのかもしれないが、映画の中でも言っているように、説明しようにもできない、そういうことってやっぱりあるのだろうかと、個人的には“思う派”である。

スイミング・プール 2003年 フランス・イギリス

2008-02-11 | ミステリー&サスペンス
女、奴、妨、妙、妖、妬、媚、嫌、嫉、嬌・・・
こうして並べてみると、ひと悶着ありそうな気配が漂ってきそうだ(汗)
本作品は、上記文字の集大成のような話である。

ミステリー作家のサラと、彼女の愛人の娘ジュリー。
親子ほども年の違う二人は、互いに嫉妬心をあらわにしながらも、夏のまばゆい陽射しの下、ジュリーの父親の別荘で偶然一緒に過ごすこととなる。
ジュリーの輝くような若さに、憎憎しげな視線をぶつけるサラ。
このときの彼女の表情は本当にコワイ。
心の中で、メラメラと嫉妬の炎が燃え盛っているのがよおく判る。

ところが不思議なもので、今まで敵意をむき出しにしていたのが、同じ境遇と察するや否や手を握り、結託してあらぬ事を考えたりする。
『悪魔のような女』もそうだったが、女性特有の仲間意識がそうさせるのだろうか。

サラを演じたシャーロット・ランブリングは、5ヶ国語を操るベテラン女優である。
確かに演技力は素晴らしいだろうし、彼女を尊敬する女優たちも多い。
個人的にはあの顔(特に眼)が、どうしても好きになれないのだが。
自慢の姿態をこれでもかと見せつけてくれた、ジュリー役のリュディヴィーヌ・サニエ。
「もういいから、早く服着ておくれ」と、言いたくなるほどでした(笑)

フランソワーズ・オゾン監督って、女性の本質を皮肉っぽく撮るのが好みなのかなぁ。
彼の作品を観るのはこれで3本目だけど、本当に女のイヤな面をえぐり出すのがヘンに巧い人なんですね。
やはり女性の心も持つ方の捉えかたは違います!

ゴスフォード・パーク 2001年 アメリカ

2008-01-12 | ミステリー&サスペンス
古典劇の殺人ミステリーとくれば、アガサ・クリスティを思い浮かべるのだが、その類とはまた異なり、本作品では単に謎ときを重立たせているわけではなく、ヒューマン・ドラマの要素もしっかりと際立たせているところが秀逸である。
ロバート・アルトマン監督も、「これは殺人者探しの映画ではない」と語っていた。

アルトマン作品は、とにかく出演者が多いのが特徴。
サスペンスものは初めて、と言っていたが、「あれ? そうだっけ」と勘違いしてしまうのも無理はない。
他作品を観ても、まぁ、出てくる出てくる、次から次へと新たな顔(役者)が。
「彼女は誰だったっけ? あぁ、そうだった。 で、彼は? えっ、こんな人いたっけ?」
配役の顔と、劇中の名前を記憶しておきながらストーリーを追うのも大変なこと。
大勢が物語の中で錯綜しまくるので、サスペンスじゃなくても、何だかミステリーに思えてきてしまう(笑)

イギリス ―― 田園風景が広がる中に建つ壮大なカントリーハウスに、上流社会の有象無象が集う。
階下では、彼らの使用人たちが、階上のゴシップに耳をそばだてながら雑用に追われていた。
そして、事件は2日目の夜に起こった。
屋敷の主人が殺されたのだ。

曲者だらけの貴族たち。
金があれば、人の心などどうでもいいという人間ばかり。
自分の主(あるじ)には徹頭徹尾従う使用人たちもまた、叩けば埃が出そうな者たちばかりであった。
対をなす上と下の社会。
決して混ざることはない、歴然たる関係。

米映画につきものの、どこかテレビ・ドラマチックな展開が皆無な彼の作品は、他と比べても非常に現実的である。
要するに、“作られて”いないのだ。
そのものズバリ。
ラストはたいてい何事もなかったかのように、パァーっと散っていく。
まとめ方が本当に見事だった。
彼の新たな作品が、もう観られないのは実に惜しい。

ヨーロッパ ’91 デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン

2007-11-02 | ミステリー&サスペンス
三度目にして、ようやくこの映画を最後まで観ることができた。
何年振りか・・・は忘れてしまったが、過去の二回は途中で眠ってしまい、そのときはどうしても観直そうという気になれなかったのである。
決してつまらない、というわけではないのだが、あの催眠術のようなナレーションのせいなのか、“ような”ではなく、本当に催眠術にかかってしまったのかは分からない。
今回は睡魔にも襲われず、しっかりとこのサスペンス・アクションに没頭できた。

第二次大戦後、ケスラーは叔父を頼って、アメリカから、ここドイツのフランクフルトへやってくる。
鉄道会社に勤務している叔父のコネで、彼はすんなりと一等寝台車の車掌の地位に就くこととなった(見習いではあるが)。
意気揚々と乗務したケスラーだが、客として乗っていた鉄道会社社長の娘ケイトとの出会いによって、彼は深い闇の中でもがき苦しむこととなる。

戦争は終わってもなお、ドイツの人々は苦しめられていた。
アメリカ占領下で自由を奪われた彼らを見て、ケスラーは苦悶する。
事実ドイツ系であっても、ケスラーは外国人、アメリカ人なのだ。
興味ありげに見る者、言葉巧みに近寄る者、そして彼を利用しようとする者・・・

寛容で人のよいケスラー。
生真面目さが返ってあだとなった結末がショッキングである。
父の祖国で何故・・・ ヨーロッパとアメリカの深い溝は、なかなか埋まらないのであろうか。

ケスラーと我々観ている者たちを、同じ二人称でくくってダブらせていたナレーションは斬新であった。
「あなたはだんだん、深い眠りにおちていく・・・」
でももうその手は食わないゾ(笑)

ホワイト・ライズ 2004年 アメリカ

2007-05-22 | ミステリー&サスペンス
’95の仏映画『アパートメント』のリメイク版ということで観てみた。
最初から比較するつもりでいたのだが、こうも薄っぺらくなってしまうものかと、正直がっかりであった。

ここのところ、ハリウッド映画の低迷が際立っているが、他国の作品をリメイクしすぎているとの批判も出ているようだ。
確かに。

複雑な展開を見せるこの映画、オリジナル作品に比べるとかなり冗長気味。
長くすればいいってもんではないだろう。
実際、『アパートメント』のほうは、コンパクトにキメているんだから。

キャスティングもオリジナル版に軍配を挙げるかな。
ダイアン・クルーガーも悪くないけど、やっぱりどうしても、濃厚なモニカ・ベルッチと並べてしまっては・・・ね。
オリジナルが面白かっただけに、ちょっと残念かな。

唯一、ラストが異なっているので、好みの分かれるところだろう。
正直、仏版を観たときは、「なんちゅう男やねん!」と思いましたよ。
ドキドキしながら、自分に投影していた男の人もいたかも(笑)
見比べてみて、「えっ!?」と唖然とすると同時に憤りを覚えるか、「ホッ」と安心するとともに和むかは、自由です(笑)

フォーン・ブース 2002年 アメリカ

2007-04-07 | ミステリー&サスペンス
“ポスト”ブラッド・ピットと囁かれていた、コリン・ファレル主演のノンストップ〈公衆電話〉アクション。(ちょっと意味不明!?)
この人も、ラッセル・クロウと同じ臭いのする俳優だが(笑)、結構好き勝手なコトをしているらしい。

ニューヨークでは、携帯で喋りながら歩くのがステータスなようだ。
もっとも日本と違って、歩きながらのメール打ちはステータスとはいえないだろう。
ともかく、この携帯電話に依存する者たちは数知れない。
日本では、携帯電話の普及で公衆電話自体が激減した。
このニューヨークも同様である。
しかし、携帯電話を持てない人々にとっては、まだまだ必要性の高い物だ。

コリン演じるスチュは、じきに撤去される、この8番街53丁目の公衆電話で身動きがとれなくなる。
妻帯者の彼は、あえて恋人にここからTELしていたのである。
毎日の習慣にしていたのが命取りとなってしまった事態。
悪いコトはできませんねぇ(笑)

誤解があっては申し訳ない。
この話は単に、公衆電話の中に閉じ込められてしまうものでは決してないので、念の為。
あと、犯人も「やっぱりねー」と思ってしまったら決していけません、これも念の為。

フォレスト・ウィテカーの警部役ってのはよかったな。
脇役が多かったウィテカーだが、本年度のアカデミー賞では堂々たる主演で男優賞も取ったし、何だかホッとしました。

しかし何と言おうか、恋人パム役のケイティ・ホームズ・・・
「あら、アナタまだいたの?」って、観る者に言われてしまいそうな空気がなんとも重たかった。


クリミナル・サスペクツ 2001年 アメリカ・ドイツ

2007-03-24 | ミステリー&サスペンス
600ドルでギャングの運転手を引き受けたレニー。
しかし、それが単なるパシリではないと気づくのに時間は要らなかった。

ド素人のレニー。
その世界に少しでも手を貸す“俺”とばかりに、マックィーンの『ブリット』を気取る姿が青臭い。
そんな震える手で銃を構えていたんじゃ、黒のタートルネックが泣きます(笑)
車を発進させる際、バックミラーをパシッと叩くレニーを見た捕われの身ジミーが、「ブリットか? マックィーンの」と訊く。
レニーの格好と仕草でそれと見定めた彼は、なかなかの映画通である。

700万ドルを強奪したジミーを誘拐したミルトン。
だが、レニーを雇ったこの男は、対立派(ジミー側)の車に轢き殺されてしまう。
運転どころじゃない・・・ おいおい俺はどうしたらいいんだ・・・
軟禁されているジミーとミルトンの頭(かしら)、それぞれが言うことに耳を傾けるのだが、どっちの言い分を信じればいいのか判らない。

裏切る者、裏切られる者。
裏切り者は、何度も人を欺く。
しかし、裏切られた事のある者は、同様のことを人に返したりはしない。
ジミーは如何に自分の口が堅いか、レニーに切々と語る。
さて、レニーは彼を信じるのか、それとも・・・

これは実話だそうだが、結局のところ、レニーはラッキーガイだったんだなぁ。 


ヴァンドーム広場 ’98 フランス

2007-03-16 | ミステリー&サスペンス
パリの観光名所で〈広場〉というと、真っ先に思い浮かぶのがコンコルド広場だろうか。
そこからオペラ座へ向かう途中に、このヴァンドーム広場がある。
マドレーヌ寺院やパリ三越も近いから、恐らく日本人観光客は知らずに、何気にこの広場を通り過ぎている確立は高い。

ヴァンドーム広場の一角にある老舗宝石店。
店は火の車という状況の中、主人が自殺する。
その妻マリアンヌは、アルコール依存症を克服し、かつて宝石の名ディーラーだった手腕を再び見せ始めるかと思いきや・・・

盗品の品をさばこうとした理由で追い詰められた夫。
夫の残したこの宝石の買い手を何としてでも見つけて、店を再建させようと願う妻。
だが、夫がこの品を誰から盗んだかが問題であった。
それがかつてマリアンヌが愛した男の物だったとは。

’02の『8人の女たち』では、かなりの厚塗りが目立っていたカトリーヌ・ドヌーブであったが、やはりどの作品でも彼女の存在感というのはすごいと思う。
例えるなら、“くさってもカトリーヌ・ドヌーブ”とでも言おうか。

ザ・インターネット ’95 アメリカ

2007-01-26 | ミステリー&サスペンス
ソフト社から一枚のディスクの解析を依頼された、コンピュータ・アナリストのアンジェラ。
そこには、ある機密文書が隠されていたため、それをバラされてはたまったものではないと、黒幕からアンジェラの命が狙われることになる。
彼女の個人情報は全て抹消され、それらはルース・マークスという、別の人物のものとすり替えられてしまう。

自分が自分でなくなるというのは怖い。
こうした個人情報は、映画の中で言っているように、ほとんど限りなく、“全て”に近いほど、コンピュータの中で眠っているわけだから、何かされれば、それこそ〈事実は小説より奇なり〉なんてことにもなりかねない(かも?)。

アンジェラを演じたサンドラ・ブロックが好演。
彼女ってほんとスカしたところがなくて、こういった役にはもってこいって感じである。
一方で、サバけた姉御タイプばかりってのも、少々問題ではあるけど・・・

ところで、この作品を当時映画館で観て、ものすごく疲れたって記憶があるが、今回観直してみても、やっぱり疲れました(笑) 

カラスの飼育 ’75 スペイン

2006-10-05 | ミステリー&サスペンス
子役の上手さで、その作品が際立つってことは多々ある。
かつて、名子役と謳われた者たちも多い。

本作品に出てくる、三姉妹の次女アナを演じたアナ・トレント。
この子はスゴイ。
一見可愛い。
だが不気味。
大きな黒い瞳で、じっと見据える彼女が怖い。
全てを見透かすような瞳が空恐ろしい。
口を真一文字に結んで空(くう)を見つめる少女の姿は、もののけのようにも見える。
ずばぬけた表現力を備えた彼女から目を逸らすことができない。
あの瞳に、こちらが吸い込まれてしまいそうになる。

もういない母と対話するアナ。
白い毒を手に取るアナ。
そして満足気に微笑むアナ。

亡き両親に代わって、権威を握ったとでも言っているような母の妹。
そんな叔母に、アナが殺意を抱くまでに時間はかからなかった。
「もう嫌だ・・・我慢できない」

そして孤独な少女は、空想と現実を行き来する。
Porque te vas
Porque te vas
Porque te vas・・・