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アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

ダ・ヴィンチ・コード 2006年 アメリカ

2009-08-03 | ミステリー&サスペンス
大変申し訳ないが、イマイチ面白くなかった。
緊張感をあおる場面も多く作られていたようだが、どうにも全体として不服である。
誰が本当の悪なのか、すぐ予測可能なところも興醒めであった。

重ねて申し訳ないが、原作本は読んでいない。
ブームに乗り遅れて(笑)、未だページをめくってもいない。
ただ上・中・下巻と、かなりの長編作品をあれだけ凝縮し、映画化したのは大儀だったろうと思う。
無理を承知でってところも、映像ゆえのトリックなのか。

本作品が上映された頃、日本はダ・ヴィンチ ブームに沸いていた。
その前は、ノストラダムス ブームだったっけ(笑)。
その頃、TVでよくダ・ヴィンチの、特に『モナリザ』の絵についての仮説をテーマにした番組を取り上げていた。
それには興味があったので、数局で放映していたのは必ず見ていた。
非常に論理的であったが、あくまでも仮説、想像に基づいての考えである。

本当に申し訳ないのだが、この不満さはキャスティングの善し悪しだったようにも思うのである。
ジャン・レノ除く脇役はよいとして、やはりトムとオドレイがなぁ・・・。
主役二人、何故彼らだったのだろう。
トム・ハンクスは教授向きではないし(コメディならアリ?)、瞬時に暗号を解析できる能力があるようには決して見えない。
オドレイも、もう少し大人びていたら、と思う。
「警察よ」の言葉が、まるで似合っていなかった。
次回作は、ココ・シャネルの若き日を演じるそうだが、さまざまな役柄にチャレンジしてみても、悲しいかな、彼女はやっぱり摩訶不思議な役が合ってしまうように思う。

そうそう、今回脇役隊のジャン・レノ。
ハリウッド進出している仏俳優だからといって、なんだかぞんざいに扱われてやしなかったか。
彼の持ち味がまったく活かされていなかったのも、作品にケチつけたくなる理由かもしれない。

ハードキャンディ 2005年 アメリカ

2009-06-23 | ミステリー&サスペンス
14才のヘイリーは、出会い系サイトでチャット中。
3週間続くその相手は、32才のプロカメラマン、ジェフ。
二人が初めて会う。
〈11時で、どう?〉

「なんかそんな感じに見えなーい」
ヘイリーは、大好きなガナッシュをほおばりながら、ジェフの印象をそう告げる。
甘え上手なヘイリーに、ジェフは目を細める。
「送っていくよ」というジェフの言葉を制すヘイリー。
「家に行ってもいいよ」

「怪しい飲み物は飲んではダメって言われてるの」
ジェフが差し出すグラスを拒むヘイリー。
「賢いな」
「それよりも、もっと美味しいもの作ってあげる」
冷蔵庫を開け、オレンジジュースを取り出す。
女バーテンダーよろしく、ヘイリーはスクリュードライバーをジェフに手渡す。
「ねぇ、あたしを撮ってよ」

序盤から一転して、ものすごい展開になっていったのには恐れ入った。
少女と男の一騎打ち。
どちらの言っていることが正しいのか。
ヘイリーは一体誰なのか。
少女といえども、あなどるなかれ。

男性を震撼させたこの映画。
身も大事なモノも縮みそうなほどの恐怖である。
実際鑑賞中に失神した人もいたそうなので、冗談ではなく、体調が悪いときは遠慮したほうがいいかもしれない。

しかし驚いたのが、ヘイリー役を演じたエレン・ペイジだ。
『花の中3トリオ』の頃の森昌子似に加え、少女時代のジュリエット・ルイスを甘くしたような大それた演技。
彼女はただ者ではないゾ。

マッチポイント 2005年 イギリス

2009-06-15 | ミステリー&サスペンス
試合の最後を決める一点は、“運”なのか。
冒頭、テニスの試合でマッチポイントを決めた後、コート上にボールが乗った際、そのボールがどちらのコートに落ちるかは運だと言っていた。
確かにそれもあるだろう。
アウトか? インか!?
ボールがライン上に落ちたときの心境も、まさにそんな感じである。

古典的なミステリー作品らしく、終盤ギリギリまで基本通りの筋書きであるため、フムフム、ハイお次は?ってな感じで鑑賞。

上流階級育ちのトムとクロエの兄妹。
トムには、アメリカから来た女優志望のノラという婚約者が。
クロエは、兄が連れてきた元テニス・プレイヤーのクリスを気に入る。
後にクリスは、トムたちの父親に目をかけられ、彼のもつ大企業の重役ポストにまで上りつめる。
やがて、クロエと結婚。
一方で、トムとノラは婚約を解消し、トムは別の女性と結婚する。
この中で、ドロドロの関係に陥っていたのが、クリスとノラである。
「お互いの仲が分かってしまったら、せっかくのチャンスが丸つぶれよ」と、ノラはクリスに警告したのであったが、クリスはノラに夢中ながらも、ちゃっかりクロエと逆玉婚してしまう。

その後も当たり前のように、クリスはノラと関係を続ける。
そして、お決まりのように、ノラは妊娠してしまうのである。
これは一大事だ。
もちろん、クリスは今の生活を壊すつもりなんて毛頭ない。
ノラは人が変わったように、クリスに詰め寄る。
頭を抱えるクリス。

もうここからは、恐らく同じような展開を想像すると思うのだが、ラストは意外であった。
悪運が強いというのはこういうことか。
後味は、苦め。

譜めくりの女 2006年 フランス

2009-05-20 | ミステリー&サスペンス
復讐とは、仕返しをすること。
復讐といっても、本作品の主人公メラニーの恨みのはらし方は極めて陰湿。

少女メラニーは、翌日にピアノの試験を控えていた。
自信はそこそこ。
もし落ちたら、ピアノはもう弾かないと言う。
父はそれでも続けたらいい、と言ってくれてはいた。

試験当日。
滑らかに鍵盤をはじくメラニー。
ところが試験の最中に、審査員の一人が無断で入ってきた女性に平然とサインをしてやっていたのである。
さっきは「忙しい」と断っていたのに。
それに気づいたメラニーは、集中力が散漫となり、ミスが続いてしまう。
悲観した彼女は、自宅のピアノに鍵をかける。
永久にピアノを葬ってしまうかのように・・・

短大を卒業したメラニーは、弁護士事務所で研修生として働くことに。
そこの上司であるジャンの家では、しばらくシッターが休暇をとるらしく、その代わりを探していた。
メラニーは自ら、「わたしでよければ」と申し出る。

駅でジャンの妻と息子を待つメラニー。
やがて迎えに来た夫人は、メラニーのピアノの道を断たせた、あの時の審査員であった。
表情ひとつ変えないメラニー。
彼女はこのことを知っててこの家に入り込んだのか。
それとも単なる偶然か。

夫人は優しく、ピアニストである自分の譜めくりを依頼するほどメラニーを信頼した。
譜をめくる役というのは、シンプルそうでいて、実は大変重要な仕事である。
演奏者との呼吸が合わないと、演奏にも打撃を与えてしまうことになる。
それほどの役目をメラニーに、彼女はしたのである。

あたかも相手を思いやっているかのように見せかけ、反面じわじわと、夫人もその家庭も崩壊させていこうとするメラニーの執拗さにはヒヤリとする。
思い込みも頑固さも人一倍であるメラニーは、100%他人(ひと)のせいにしてしまう傾向が強すぎたのかもしれない。

ストレンジャー ’96 アメリカ

2009-04-22 | ミステリー&サスペンス
「知らない人と話をしてはダメよ」「知らない人について行ってはいけませんよ」
小さい頃、こう親に言われた人も多いはず。
この映画の原題は、『Never talk to strangers』である。

トラウマを抱えた精神科医のサラは、買い物中、トニーという男に声をかけられる。
警戒しながらもサラは、その妖しげな魅力をはなつ男に電話番号を教える。

トニーと付き合い始めてから、サラの周りで奇妙な事件が続いた。
最も信頼するはずの彼を疑うサラ。
探偵まで雇い、トニーの動向を調べさせる。
やがてショッキングな事実を聞かされたサラは、トニーの部屋を訪れると、ある驚くべき証拠を見つける。

罪を逃れるために、精神を病んでいると主張する場合もあるようだが、それは鑑定すればいずれはっきりすること。
しかし本当に精神性疾患から起こった事件であったとするならば、いよいよ厄介なことであるのは否めない。
何故なら、裁判員制度というものに我々が関わらねばならないからである。

サラは再び平穏な生活に戻る。
誰も彼女を助けられず、新たな犠牲者を出すはめになってしまうであろうことは、おそろしく残念なのだが・・・

イギリスから来た男 ’99 アメリカ

2009-02-12 | ミステリー&サスペンス
服役中に、娘がロスで死んだ。
事故死と聞かされていたが、わたしはそれが信じられず、出所した今、真実を知ろうとロスへ飛んだ。

音楽プロデューサーのテリー・ヴァレンタイン。
娘はこの男と一緒に住んでいた。
やり手の彼には、うなるほど金がある。
だが本業の他に、裏でも金儲けをしていたらしい。
何故娘は死んだのか。
この男の口から直に聞かねば、本当のことは分からない。
わたしはやる。
どんな事をしてでも、奴の口から真実を聞くまでは。

英俳優テレンス・スタンプと、米俳優ピーター・フォンダの同い年同士の共演。
並べてみると、やっぱりピーターの方が若作りだった(笑)。
こうしたトップ俳優(だった?)の共演も、なかなかの見ものである。
テレンスといえば’94の『プリシラ』で、驚異的な存在感をまぶたに焼きつけられたため(笑)、今回見ていても、そっとヅラをかぶせて、化粧をほどこした彼を想像してしまった。

幼い頃から娘のことをよく知っているのが親である。
あの子はそんなことはしない。
他に理由があったはず。
真実を知った父親の、「あぁ、やっぱりあの子だ」と自分の中で確信できた瞬間(とき)、全てを認めることができるのだろう。

真実を知りたいと願う親は、まだまだ多い。

ゲーム ’97 アメリカ

2008-12-29 | ミステリー&サスペンス
ものの見事にひっかかりました、この“ゲーム”に。
うまく騙されてしまったから云うのではないが、かなりドキドキでしたよ。
このゲーム、実に巧妙で、恐ろしくお金もかかっているだろうけど、本当にこんな“ドッキリ会社”があったら、どんな事になるのか・・・

ゲームといえども、こうした環境(設定)の中にいたら、人間不信になるだろうなぁ。
誰も信じられないし、住んでいる家自体も怪しいってもんだし。
本作品は、かなりのブラック・ジョークな類だが、完璧にハマってしまった主人公のニコラスが、まるで心臓にダメージを受けてしまいそうなほどの仕掛けに幾度も遭わされ続けたにもかかわらず、最後は悪いような表情はしていなかった。
ニコラスの弟コニーが、「兄キがどんどん嫌な奴になっていくのを見たくなかった」という理由で、このゲームを持ちかけたのだが、ニコラスのようによい方へ転んだからいいが、返って精神的に悪くなってしまうってことも、大いに考えられると思う(苦笑)。
〈人生が一変する〉なんて触れ込みだけど、危険と紙一重だろう。

人生は一つのゲームだというが、それも一理あるかもしれない。
でもこんなジェット・コースターのような“ゲーム”はゴメンだなぁ。

メメント 2000年 アメリカ

2008-08-19 | ミステリー&サスペンス
衝撃的な事件を目撃したショックで、10分間しか記憶できなくなってしまった男。
断片的な記憶を手繰り、妻を殺害した犯人まで辿り着けることができるのか。

テープの逆回しのような手法。
創りはまさに斬新であるが、はっきり言ってわかりにくいし、観ていても疲れた。
もう一度観なくてはと思うのだが、そのエネルギーがない。(苦笑)

しかし後日、その斬新さを覆されてしまう事態があった。
松本人志著『シネマ坊主』に、目の覚めるような(?)引用が載っていたのだ。
なんと、バカボンのパパを引っ張り出しての類似点を述べていたのである。
これにはもう参りました。(笑)

普段、映画評にはあまり左右されないが、これを読んで、「そうか、特に目新しいものでもないのか」と、たった数行の記述で、すっかり本作品の個人的な評価が下がってしまったのには、我ながら驚きである。

隠された記憶 2005年 フランス

2008-05-03 | ミステリー&サスペンス
わからない。
本当にわからない。
欧州映画では、尻切れトンボのような結末をむかえるものが少なからずある。
盛り上げるだけ盛り上げ、観る者をこれでもかと惹きつけておいて、最後は「え・・・?」と、こちら側を不安と怒りをゴチャ混ぜにしたような気分に容赦なく突き落とし、「さぁ、この解釈は、あなたたち次第です」とばかりに、難問を投げかけてくるような作品は、はっきり言って辛い。

挿入される曲や効果音も一切ない。
このシンプルさの中で、実は様々な問題を提起している。
それらはとても複雑であって、我々に人間の非情さを強く訴えている。

じっと見張られているかのような映像が流れる不気味なビデオテープ。
それと一緒に送られてくる、子どもの描いたような残酷めいた絵。
それらを送った者は誰にもわからない。

いきなりのエンドクレジットで、しばらくは身動きできないでいる自分に驚く。
確かに「え・・・?」なんだが、エンドクレジットが流れていくのを眺めながら、頭の中で、思考がヒートアップしているのである。
作品の深さに驚愕。
でも、わからない。

バーバー 2001年 アメリカ

2008-03-18 | ミステリー&サスペンス
“カンヌを震撼させた、超一級クライム・サスペンス”という触れ込みで期待してみたのだが、とりたてて語ることがない、というのが本音である。
観ていくうちに、どんどんと興味をそがれていってしまったのは残念であった。
大方先が読めてしまうのは仕方がないとしても、〈クライム・サスペンス〉とするなら、もう少し踏み込んだ練り方をしてほしかった。

ベートーベンの『ピアノ・ソナタ』や『月光』が美しく響くほど、全編、静寂に包まれている。
よって、モノクロ撮影にしたのは正解だった。

主人公の寡黙な床屋を演じたビリー・ボブ・ソーントンのなりきり演技はすごかった。
台詞が少ないああいう役は、とても難しいと聞く。
カメレオン俳優なら、そんな心配もないのかもしれない。

もう一人、非常に気になったのが、スカーレット・ヨハンソン。
ピアノを弾く、純真な女子学生の役であったが、まさかそれで終わらないだろうと踏んでいたら、案の定、それで終わらなかった(笑)
今や、ハリウッドのマンイーターNo.1のスカーレットであるからして、やはり彼女はこうでないと、観る側も安心できないというのもとても妙な話である(笑)