すっかりの雪景色となって2週間近くになる。
会う人会う人との話は、天候の話が多いものだが、新潟だとどうしても雪の話になる。
昨日も、職場に年輩の方の来客があり、そんな雪を話題にした挨拶を交わした。
その後、昔と違って今の子どもたちは、冬になると外で遊ばなくなった、という話になった。
昔は、自分たちはそうでなかった、となるのは私を含めて年を重ねた者の悪い癖なのだが…。
昔の子どもの遊びで、今の子どもがすっかりやらなくなった雪の遊びがある。
雪の遊びと言うと、皆、雪合戦だとか雪だるまづくりだとかを思い浮かべるものだ。
しかし、私らが小学生高学年の頃熱中した遊びは、そういうものではない。
男児たちが熱中した遊びを、私らは「ダマ」と呼んでいた。
「昼休み、ダマしようで。」
そんな約束をしたものだ。
我々が「ダマ」と呼んでいたのは、おそらく「雪玉」から転じた言葉であろう。
遊び方は、簡単である。
最初は、雪玉を固く握り、それを柱や壁に押し付けながら転がし、その雪玉を丸く、硬いかたまりにしていく。
かなり硬くなったら、今度は、それをコンクリートの上などで足の裏を使って行う。
ぎゅうぎゅうと力を込めて足の裏で転がし、さらに硬くしていく。
時々体重をかけて乗ったり足に力をうんと入れてみたりして、硬くなっているのを確認し、ガチガチの硬いかたまりにしていく。
踏みつけながらやっていくので、最初は白かった雪玉も、足の裏でやっていくと、泥が凍ったようなかたまりになる。
「ダマ、できたか?」
「おお、いいぞ。」
と、お互いの雪玉が硬く出来上がったら、いよいよ戦いである。
互いのダマを雪上に置き、じゃんけんで先攻後攻の順番を決める。
何をするか、というと先攻の者から、自分のダマを雪上の相手のダマにぶつけるのである。割れなかったら、後攻の者が、今度は自分のダマを相手のダマにぶつける。
これを何度も繰り返す。
先に相手のダマを割った方が勝ち、という遊びである。
男の子たちは、冬になるとこの遊びに熱中したものである。
もっとも、熱中するのは血気盛んな男の子たちであった。
私のようなヤサ男の作ったダマは、だいたい1回で割られてしまったものである。
だから、あまり熱中はしなかった。
好きな連中は、「杉の葉をかませると硬くなる」などと言って、足で踏みつけて丸くする際に杉の葉を使ったりするなどしていた。
それがどれだけ効果があったかはわからないが、そんな工夫までして周囲の連中はダマ作り、ダマ遊びに夢中になっていたものだ。
来客とそんな冬の遊びについて話をかわしながら、「すでにその頃からもう半世紀近くがたっているのですねえ。」と言って笑い合ったのであった。