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新潮社 |
【一口紹介】
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
「何もなかった、あたしの頂上には何もなかった」――1979年秋。歌を捨てる決意をした美しき歌姫・藤圭子に、沢木耕太郎がインタヴューを試みた。その肉声は、聞き手と語り手の「会話」だけで紡がれる、まったく新しいノンフィクションに結実した。だが――。一度は封印された作品が、33年の時を隔てていま、新たによみがえる。
【読んだ理由】
沢木 耕太郎と藤圭子の意外な組み合わせに。
【印象に残った一行】
「一生懸命歌ってきたから、あたしのいいものは、だしつくしたと思うんだ。藤圭子は自分を出しつくしたんだよ。それでも歌うことはできるけど、燃えカスの余韻で生きていくことになっちゃう。そんなのはいやだよ」
「いや、いいんだ。あたしはもういいの。出せるものは出しきった。屑を出しながら続けることはないよ。やることはやった。だから、やめてもいいんだよ」
「藤圭子っていう歌手のね、余韻で歌っていくことはできるよ。でも、あたしは余韻で生きていくのはいやなんだ」
「一度、頂上に登ってしまった人は、もうそこから降りようがないんだよ。一年で登った人も、十年がかりで登った人も、登ってしまったら、あとは同じ。その頂上に登ったままいることはできないの。少なくともこの世界ではありえないんだ。歌の世界では,ね。頂上に登ってしまった人は、二つしかその頂上から降りり方法はない。ひとつは、転げ落ちる、ひとつは、ほかの頂上に飛び移る。
「男として格が違うと思うの。でも、やっぱり、前川さんは肉親みたいな気がしちゃうんだ。一緒にいると、こんなに心が落ち着く人はいないだけど、心がときめかないんだよね。どいうわけか・・・」
【コメント】
1969年の秋に18歳でデビューし、10年後の1979年に引退した藤圭子の全編インタビューで構成されている。
インタビューが行われたのが1979年末、当時28歳。
私たちのイメージと全然異なる饒舌な藤圭子がいます。本当の引退の理由が語られています。
この本読んでいる時、どうしても歌が聞きたくなり聞いたら涙が出てきました。
ご冥福をお祈りします。