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自然の中をロードバイクで走るのが大好き。現在の愛車ははPINARELLO GAN-RS(2016)。

佐藤あつこ「昭 田中角栄と生きた女」

2012-09-13 | 読書

かつて「越山会の女王」と呼ばれた佐藤昭は,田中角栄側近の金庫番にして愛人でもあった。本書はその子(しかし角栄は認知していない)である佐藤昭子が,自らの生い立ちや子どもの目から見た父母の姿,そしてある意味で不幸な環境で育った故の母との葛藤を描いたものである。

角栄が馬飼いの身から凄まじいエネルギーで総理大臣まで上り詰めた人間ならば,佐藤昭も故郷新潟で父母兄弟に先立たれ天涯孤独の身であったところを角栄に見初められ,ついには人も畏れる地位とカネを手に入れた成り上がりの人間であった。

「政治は人間の情念,業の塊」であるならば,本書はそういった生々しい人間の姿を描いたものである。と同時に,父母たちの「業」を最後には肯定,もしくは許している筆者の視線が窺えた。久しぶりに読み応えのある本を読んだな,という満足感を得た。

巻末には,立花隆と著者との対談が掲載されている。立花は,角栄の金脈追及で結果的に彼を総理の座から引きずりおろした張本人であるが,長い年月を経た今,彼が「あの人はやっぱりなかなかの人だったなあ」と述懐しているのは,深い言葉だと感じた。



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