もっと乗りた~い,自転車に!

自然の中をロードバイクで走るのが大好き。現在の愛車ははPINARELLO GAN-RS(2016)。

NHK BS-hi「グレース・ケリーの素顔を探して」。

2012-01-03 | 映画

今さらですけど,2011年に観た番組の中からベスト作品をあげてみたいと思います。それは正確に言うと2009年にNHKのBS‐hiで放送されたもので,映画好きな僕に,職場の或る人が,「これ,観てみない?」と貸してくれたものです。

タイトルは「グレース・ケリーの素顔を探して」

(斜体部は,NHKのアーカイブス保存個による紹介文を引用)
女優からモナコ公妃に転身したグレース・ケリー。52年の生涯を通して、その美しさは世界の人々を魅了した。写真や証言、最後の映画などをもとに、その生涯をたどる。
ハリウッド女優グレース・ケリーが、モナコ大公と結婚したのが1956年。その華麗なる転身に世界中が興奮した。女優時代はクールビューティと呼ばれる美しさで魅了し、公妃時代は大公と家族に尽くすつつましやかな女性としてたたえられた。だが、美しい笑顔の裏にどれほどの努力と苦悩があったのか、その素顔を知る人は少ない。生誕80年を迎えるのを機に、証言や写真、最後に出演した映画などを通して、その生涯をたどる。


グレース・ケリーといえば,ハリウッドの女優から一転モナコ王妃となったことで,非常に華やかなイメージがありますが,実はそれは一面的な見方=ステレオタイプなものでした。

むしろ彼女は,モナコの王室に入ったことで,或る意味で「カゴの中の鳥」となりました。
つまり,所与の環境の中で生きることが定めとなった訳です。

それはハリウッドの女優時代よりも,はるかに自由の無い生活であったことは想像に難くありません。
あるいは,時に失望や失意の中で苦しむこともあったようです。

しかし彼女は,自分の置かれた環境の中で,時に自分の役割とは何なのか?ということに苦悩しながらも,自らができることを誠実にやっていくのです。

王妃としての役割をきちんと果たし,夫と三人の子供を愛し,幸福な家庭を作りました。
いっぽうでは,恵まれない人たちのために,赤十字の運動など,社会活動にも力を入れたそうです。

女優として最後の作品となった映画のあるシーンでは,グレース自身が自らの全てのセリフに手を入れたそうです。
その中で,失望(diappoint)さえ人生の糧」。

というセリフが出てきます。
この言葉にこそ,彼女が自ら紡ぎ出した人生観が表れているような気がして,僕は深く心を動かされました。

この作品を撮った監督は,
「彼女は,痛みの無い人生なんて価値の無い人生ということを言いたかったのだと思います」。
「彼女は人を許し,人を幸せにすることで,自分が痛みを受け入れたのです」。
と語っていました。

番組は,グレースと一緒に仕事をした関係者の証言や,貴重なプライベート映像なども織り込みながら進行します。

秀逸なのは,グレースの残した長男,つまり現在のモナコ大公であるアルベール2世が,グレースが愛した美しいバラ園の中で,その母の人柄を語る時間です。

終始静かで美しい音楽とともに,その時間は流れていきます。
控えめな人柄と見える大公も,「母は非常に我慢強く寛大で,優しい心にあふれた人でした」とおっしゃっていました。

本当に美しくて,温かいものが深く心に浸み入る番組でした。
グレースを撮り続けたカメラマンが残した,彼女の様々な表情を収めた写真も,素晴らしいものでした。
時間をおいて,是非また最初からじっくりと観直してみたいと思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿