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マンション運営の難しさ

2017年02月19日 | 建設・不動産
マンション管理士の、5年ごとの法定講習会に生涯学習のつもりで、年甲斐もなく行って来た。マンションの全国での供給戸数は大幅に減ってきているようだ。国土交通省の発表によると、平成19年440万個が頂点で政府のバラマキ行政で多少持ち直したが、平成27年は200万個を切っている。逆に老朽化マンションや耐用年数が近づいたマンションのストック数は623万戸、旧耐震基準のままが106万個となっている。


また新築住宅の着工件数も右肩下がりとなっている。今後の人口の専門家の予想からすると、海外の市場開拓か、日本の人口が増えないと建設業界には余り明るい兆しは見られない。
マンションの管理については、基本的なマンションの管理運営方法について、法律の改正や、標準管理規約の改正、管理費、修繕積立金の必要性、管理や徴収方法等、阪神淡路大震災や、東北大震災、熊本地震と頻繁に改正され、居住者のトラブルを改善してきたようである。しかし世界各国の各人が生れた時から格差が存在し、前提条件が違う問題と類似する、各人の人間関係を含めた利害関係というマンション特有の問題はまだまだ解決には程遠いようである。


もともとマンションは色々な出身地や職業、高所得から低所得、ローンで買った人、現金で買った人等、知らない者同士がたくさん集まって、一つの居住空間にコミュニティを形成する。そんなわけだから問題が起きないわけがない。
高齢者の多いマンションでは高齢者の負担能力不足の問題がある。賃貸化したマンションや投資型ワンルームマンションでは国土交通省は---{戸建て住宅、共同住宅とも、地域の実情に応じて引上げ・引下げを可 能とする。ただし、戸建て住宅55㎡、共同住宅40㎡(いずれも1人世帯 の誘導居住面積水準を下限とする。)}という規定があり、ワンルームマンションは公的融資や大手銀行では融資が難しいという問題がある。またワンルームマンションは賃貸のケースが多く、リゾートマンションではシーズン以外では居住者がいない。これらのマンションの所有権を持った人が住んでいない事で、管理組合(マンションの運営はあくまで、その所有者が集まって運営することが原則)が、理事会が開けず、日常の運営がうまくいかない問題や休暇時期に人口が集中しその地のインフラ整備が追い付かない問題等がある。賃貸人やそこに一時的に宿泊する人達と定住者とのトラブル(騒音、夜中まで騒ぐ等)等もある。また空室が多くなると管理費や修繕積立金が不足し、マンションそのものの運営が難しくなる。


大規模マンションや高層マンションでは建替え時期や修繕時期の工事足場や建替えや修繕の工事方法、同じ強度以上の材料、製品等、まだ技術的に、未完成の部分が多数あり、強度を維持するための大規模修繕や、維持管理のための費用が大きくなり、その差額の資金調達方法や居住者の負担方法が難しくなる。複合マンションでは商業施設と居住部分で同じ建物なのに構造が違ったり、値段価値が違ったり、管理運営がどうしても一緒にはならない。そのほかに耐用年数が来た老朽化マンション、旧耐震構造マンション、外国人マンション、民泊化マンション、等のなるべく所有者全員の合意をとることが原則で所有者の負担割合を決め、管理組合だけで管理運営することが難しくなっているようだ。その他に地元住民との間でマンション住人に強制することはできない、自治会運営費や町内会運営会費やその運営方法などの問題もある。


この様な問題はマンションブームが起こる前から、住宅業界やマンション業界に携わり、経験している良識ある人には、既にすべてではないにしても、殆どが想定(想定内)されていたことであり、今更言うべき問題とは思えない。今のところ顧客の購入需要が多い大都市圏ではこれらの問題は余り表面化していないようだが、リゾートマンションや地方の空室が多いマンションではマンションそのものの運営が難しく、トラブルが多いようである。それに三大都市圏でもやはり供給戸数は減少してきているようである。


これらのことを考えると、管理費・修繕積立金の支払いの問題、ローンや二重ローン(地震等建替えの時)返済の問題、地震や建替えや大規模修繕の大幅な見積りオーバー負担の問題等世界各国の紛争問題と一緒で、人間関係の寛容の問題や法的問題より、各人の負担能力の違いによる利害関係の問題が居住コミニュティを複雑にし、紛争の元になっているようである。
例えばマンションが地震で、建替えが必要で、大幅な予算オーバーによる、建替え資金が必要な場合、その資金に対する各人の負担能力が違うということである。例えば年金暮らしの高齢者がいた場合、今の湯水のようにお金を使う成長重視行政では邪魔者扱いで、年金も削られる傾向にあり、新たな収入もみこめない。そして住宅ローンも対象外になる。そうすれば、売却して出ていくしかなくなる。
でもその後の居住や生活はどうするかが問題になる。ローンが終わっていない人や、低所得の人も同じような問題を抱える。


またリゾート中古マンション等では物件を安く売り、管理組合が管理費や修繕積立金の滞納分すべてを、新規所有権者に請求するケースのトラブルも増えているようである。※判例では特定承継人として不真性連帯債務と解されて、管理組合は売主・買主双方に滞納分を請求することが認められている(区分所有法8条)。また管理組合が区分所有者を特定する調査を行う義務はないそうで、購入者がマンション標準管理規約第三一条(届出義務)規約によって、「新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない」とされているということである。法的に合法と言っても、なぜ前の人の管理費や修繕費を払わなければならないのか、普通の購入者は理解できず、騙されたと感じると思う。仲介業者が販売する場合は宅建業法で購入者に事前に滞納がいくらあるか、重要事項説明が義務付けられている。しかし相続や、所有者から直接購入する等のときは注意が必要である。


マンションの、法の通常の適用順序は、➀憲法、規定がなければ憲法に違反しない詳細な➁一般法、刑法・民法・商法・刑事訴訟法・民事訴訟法、等、一般法に規定がなければ一般法に違反しない詳細な③特別法、マンションの場合は区分所有法、建築基準法、被災マンション法、マンション建て替え円滑化法等、特別法にも規定がなければ、特別法に違反しない国土交通省が定めた④単棟型や複合型の標準管理規約と法は適用されていく。また法の不遡及という、法令の効力はその法の施行時以前には遡って適用されないという法の一般原則、また後法が優先する等もある。ほかに国際私法の要請から法の適用に関する通則法という例外規定もある。また国の通達やそれぞれの都道府県の行政法もある。そして事件が同じようなケースの場合は裁判の判例が適用される。


これらをすべての法令数が日本には8、305以上ありそれを網羅して、判断することは裁判官でも非常に大変な事である。だから判例を頼りにする方法は裁判官でも間違える。だから講師が、一般の人は権利・義務法律関係を明文化された条文を事実関係に当てはめ証拠を集め立証主義から判断をすべきで、軽々しく判例を持ち出すと他の判例を持ち出され、逆に追及される可能性が高いと言っていた。
今後マンション管理組合の理事会には、623万個のマンションストック数は増えていくだろうし、トラブルも増えていくだろう、弁護士、一級建築士、マンション管理士等、技術や法的問題の専門家の人々が益々必要になってくるようである。


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