10月6日 NHK『ラジオあさいちばん』から
☆☆☆ ビジネス展望 ☆☆☆
『北海道の生協から学ぶこと』 遠藤 功さん
北海道のコープ札幌を訪ねたが、
これからの日本の企業の在り方を考える上でとても参考になった。
同社は、組合員数 133万人で、北海道の半分以上の世帯が加入している。
事業規模も全国150の生協のトップに位置している。
設立は1965年で50年以上経つが、決して順風満帆な歴史ではなかった。
1997年に拓銀が破綻して以降、北海道の経済が深刻な状況に陥ったことや、
自らのバブル時代の経営多角化の失敗と過大な投資による借入金の負担で、
経営破綻という大苦境に立たされた。
その為、1999年に大きなリストラを行い、
且つ『小売業としての原点を見直す』という姿勢で再建に努めてきた。
そうした結果、2001年の売上高は1453億円まで落ちていたが、
2010年には2477億円と大増収を成し遂げた。
経済の低迷が続く北海道おいて、
このように脅威的な発展を遂げたコープ札幌の経営から学ぶ事は多い。
まず一つ目は、
市場環境の変化に機敏に対応していることである。
北海道でも高齢化とか過疎化が進んでいる。
札幌を除けば、人口が減少し年寄りが増えている。
小売業としての環境は悪化を続けている。
今までのようにお店を開いて客を待っていても売り上げは増えない。
そこで、コープ札幌では宅配に力を入れている。
今では宅配の売上高は全売上高の 3割近くを占めている。
この宅配を利用している世帯は28万世帯、
北海道の9世帯に1軒はこのサービスを利用している。
また宅配ではカバーできない過疎地域などについては
移動販売車を走らせている。
『市場の縮小を嘆いていても仕方がない』
『商品を待ち望んでいる人は必ずいる』
そこへ、こちらから近づいて行くという努力が実ったと言える。
二つ目は
この生協では現場の知恵を巧みに活用している。
『改善カード』というのを、全職員・パート社員に持たせ
ボトムアップの業務改善活動を盛んにやっている。
これが、全社の活性化やパート社員の育成につながっている。
三つ目は
『最先端のものをやろう』という先進的な考えがあること。
例えば、いま宅配に使っている車両は 300台あるが
全車両がガソリンを使わない『バイオディーゼル車』である。
燃料に組合員から回収した天ぷら油などを使用している。
店舗もソーラーパネルを備えた木造のエコ店舗で
CO2の排出量も大幅に削減しているということである。
北海道経済が疲弊して元気がないと言われているが
中にはこのように元気な企業もある。
コープ札幌からは、
高齢化・過疎化・環境問題・労働環境などの環境の変化に対して
ただ嘆いている『待ち』の姿勢ではなく、
むしろ『ビジネスチャンス』ととらえて積極的に挑み、
自らを変身させていく姿勢がとても重要だと、学ぶことができる。
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##この文章は私の覚えとして放送を要約したものです。##
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