九州電力では太陽光などの再生可能エネルギーでつくられた電力を使わず無駄にする事態が頻発している。発電能力で、原発4基分ほどの電力が送電できない日もあるようだ。なぜ、このような事が起きているのか。
一つは、電力会社は、電力需給バランス維持のため、電力使用が少なく、余りそうな時は、発電会社に一時的に発電の抑制を求める「出力制御」を実施するのである。
その順序は、電力コストのほか、発電量の調節が容易かどうかによって、➀火力発電 ②バイオマス発電 ③太陽光・風力発電 ④水力・原子力・地熱発電、と定められている。
九州電力管内では、2018年10月に全国で初めて「出力制御」を実施した。その日数は、18年度が10月からの半年間で26日、19年度は74日、20年度は川内原発1号機・2号機が約7~8カ月停止したので60日、21年度は95日まで増える見通しである。原発4基態勢(出力計414万kW)に戻った21年3月19日から、九州一部が梅雨入りした5月11日まで、この期間の約7割に当たる計37日で再生可能エネルギーの出力を抑制した。4月18日は原発4基分に相当する382万kWの再生可能エネルギーの出力を抑制した。つまり、原発の稼働によって再生可能エネルギーを活用しないのである。
「出力制御」を続けられると、再生可能エネルギー設備の採算が悪化する。しかし、「出力制御」は、21年度中に北海道や四国でも行われる可能性がある。
もう一つは、電力が余った時、他地域に送電する「連系線」が不足している事だ。「連系線」の容量に余裕があれば、九州で再生可能エネルギーが余った場合、電力需要が多い本州に送電できる。それができないのである。しかし、「連系線」の運用開始は経産省によると、30年代後半のようだ。「連系線」の増強は再生可能エネルギーを主力電源にするために重要である。
(2021年6月25日)