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「2022原発のない福島を!県民大集合」(3月12日)報告から学ぶべき事

2022-05-23 10:31:27 | 原発

 菅自公政府は、2021年4月、「ALPS処理水」の海洋放出方針を決定した。政府と東電は、「廃炉を進めるために必要な決断」と言い、政府は「丁寧に説明し、理解を得られるように努めます」と言っているが、それは、関係者や県民・市民の声を聴き、様々な懸念や反対意見に対して国民的議論を通して最善の方法を模索しようとしているものではない。政府の言う「丁寧な説明」とは、「薄めて放出すれば大丈夫」という意味で、その「政府の考えを理解させる」という意味でしかない。経産省と復興省は、直接学校現場に、「放射線副読本」の活用を補足するチラシを配布し、「正しい知識を身につけてもらう」として、「ALPS処理水は安全」であると強調している。政府(現岸田自公政府)は、学校で習う事は真理であると信じ疑う事をあまりしない子どもを通して家族に「安全性」を浸透させようとしているのであるが、このような手法は教育の中立性、公平性を踏みにじるものである。

 廃炉作業は、「ALPS処理水の処分」だけでなく、中間貯蔵施設の「除染廃棄物の処分」や、「燃料デブリの取り出し、処分」など、今後たくさんの問題、課題が出てくる。これらは常に人々の生活に大きく関わる問題であり、世代をまたいだ問題である。福島に特化した問題ではなく、国民的な論議が必要な問題である。

 「海洋放出」について「ALPS小委員会」はどのような議論をしたのかについて、元「ALPS小委員会委員」である小川良太氏(福島大学食農学類教授)によると、小委員会決定機関ではなく、その役割は政府に提言する事であり、生産者、福島県民のみならず国民全体、また海外など信頼関係を築くためには、議論を尽くした後に決定する事が大切であるという事を訴えてきた。しかし、政府はそれを理解せず議論も求めないまま「海洋放出」を決定した。政府と東電は、「安全かつ迅速な廃炉」「復興と廃炉の両立」をうたっているが、多くの意見をないがしろにしたまま「海洋放出」の準備を進め、「保障・賠償」をもって苦渋の妥協を引き出そうとしている。人々の犠牲の上に「廃炉」を進めるものであり、「復興と廃炉の両立」とは矛盾している。30~40年後の「廃炉」の完成の姿も描けていない。廃炉工程も技術も未確実である。

 「ALPS小委員会」は、「ALPS処理水の処分」について、海洋放出、陸上保管の継続、トリチウムの分離処分技術の研究開発、放射能低減、汚染水減少措置など5つの方法の社会的影響について検討する場であったが、当初から「海洋放出ありき」であった。タンクを増設する土地は北側にも存在した。しかし、陸上保管には後ろ向きであった。

 「海洋放出」は30~40年の期間を想定しているが、その間事故なくミスなく情報が開示されるかという安全基準の信憑性については疑問がある。安心するには、科学的に安全である事と、それを誰が説明しているのかという事が重要であり、そこには「信頼」が必要である。

 (2022年5月23日投稿)