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復興庁のパンフ『放射線のホント』はウソとごまかしと隠蔽

2020-10-21 18:29:49 | 原発

※以下は2019年9月10日に投稿したものですが、改めて投稿します。

 安倍自公政権は2018年3月に放射線被ばくに関連して『放射線のホント』というパンフレットを公表している。このパンフは復興庁が「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」に基づいて作成したものである。

 ところが、このパンフの内容が「被ばく安全宣言」ともいうべき「ウソ」と「ごまかし」と「隠蔽」に満ちた内容であるため現在、関係団体が撤回を求める全国署名運動を実施している。パンフにはどのような問題点があるか紹介しよう。

〇敗戦後の自民党政府の原発推進政策がもたらした東電福島第一原発事故によって多数の住民が被ばくさせられたが、『放射線のホント』には、この被ばくが政府や東電に強いられた「不当な被ばく」であるという重要な点を隠蔽している事。

放射線被ばくの健康影響は「量の問題」であり、100ミリシーベルト以下では「検出困難」とし、放射線防護の原則を放棄している。また、放射線の影響は「遺伝しません」と断定している事。政府が尊重する国連科学委員会国際放射線防護委員会も、放射線による遺伝的影響を否定はしていないにもかかわらずである

〇「ふるさとに帰った人たちにも日常の暮らしが戻りつつある」と記載している。しかし、福島県では未だ5万人近い住民が避難生活を余儀なくされている。やむなく移住した人も多数いる。帰還した人々の多くは高齢者で、家族離散の状況にあり、事故前と同じ生業は営めず医療・介護設備も整わない中、「日常の暮らしが戻りつつある」状況からは程遠い生活環境を強いられている事を隠蔽し、ウソを記載しているのである。

 このパンフは、大規模地震などにより起きる事が想定されている次の原発重大事故に向けての準備であり、放射能で汚染された除染残土や廃炉廃棄物の再利用をさらに進めるため国民の洗脳を目的として作成したのではないだろうか。

 事故から8年。「復興」「安全」「帰還」が強調されているが、本当にそうだろうか?福島県の子どもの甲状腺がんだけでも200人を超えました。東京都内各地の病院統計でも白血病急増が確認され、福島県南相馬市立病院も、各種のがんや心臓病などの累積患者数が3・11以前より以降で急増している。厚労省発表の都道府県別死亡率でも、福島県の急性心筋梗塞死亡者が全国最多となっており、2倍以上である。福島事故後、乳児の複雑心奇形の手術件数が全国的に増加(名古屋市立大調査)している。これに対し、安倍自公政府は17年末に「事故による被ばく被害はゼロ」という政策を全省庁に指示し、ウソとごまかしと隠蔽の『放射線のホント』を全国の学校で配布させました。全国の原発再稼働を進め、東電が賠償を打ち切り、避難者住宅の住民に家賃2倍請求をかけて追い出しているのある。東京五輪までに公的な避難者と非難区域をゼロ扱いし、世界へ「復興終了」を宣言しようとしているのである。

 また、福島第一原発事故の直後、住民や避難者の放射線汚染を測定する福島県のスクリーニング検査についてであるが、その手続きは大幅に簡素化されていた。福島県の「緊急時被ばくマニュアル」によれば、体表の放射線が40ベクレル/㎠(=1万3000cpm)を超えた場合には、一時除染と鼻腔スミア(鼻の穴の粘膜を拭い、放射性物質の有無を調べる)、甲状腺検査を行って再測定し、再び基準値を超えれば医療機関への搬送を行う事を規定している。そして、いずれの過程でも記録を残す事になっている。しかし、福島県は2011年3月12日1万3000cpmでスクリーニングを開始したが、翌日の13日には基準を10万cpmに引き上げ、同時に対応手順を簡略化したのである。そのため、検査を受けた人や、のちに甲状腺がんを発症した人が、自身の初期の甲状腺被ばく量を把握できない状態になっているのである。

 福島県浪江町から兵庫県へ避難した菅野みずえさんらも、2011年3月15日に郡山市の郡山体育館で検査を受け、その際に測定器の針が振り切れる状態だったが測定記録は残っていないのである。しかし、15年2月に福島県内で健康検査を受けた時には甲状腺に異常はなかったが、16年2月に避難先の兵庫県で避難者検査をした際には、「リンパ節に転移しており、放っておけない甲状腺がん」と診断され、16年3月に手術を受けた。菅野さんは16年7月2日、福島県庁を訪れ、検査が簡素化された当時の状況を検証するよう県に要望書を提出した。

 菅野さんは、子どもたちの甲状腺がんが本当に原発事故と因果関係がないのか県にたずねたが、その答えは「資料はない、何も分からない」という事だった。

(2020年10月21日投稿)