こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
昨日に続いて、今日も晴れのいい天気になりました。9月になり、空の雲は秋仕様になってきましたが、日向では汗ばむほどの陽射しです。これから過ごしやすい季節が始まります。受験生の皆さんは大いに勉強してください。
さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。
問題は、
「各桁の数字が相異なるような37の倍数のうち、最大のものを求めよ。」
です。
初めに、37の倍数について調べておきましょう。
ある正の整数Nを末桁から3桁ずつ区切り、それらを順に、A0、A1、・・・An-1、An とすると、Nは、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d5/18df9c99b216ccf941be5551ce72e148.jpg)
と表すことができます。
一方、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/38/bcf37e8e654ecf68a04bc31e7f8b7f86.jpg)
なので、Nを37で割った余りは、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/fd/df78699c1add33b8bb52da62716695f8.jpg)
を37で割った余りと等しくなります。
つまり、Nが37の倍数のとき、Nを末桁から3桁ずつ区切って作った数の和が37の倍数になります。
それでは、問題に戻りましょう。
各桁の数字が相異なる数で最大のものは、9876543210です。
これが37の倍数であれば手間はないのですが、9876543210÷37=266933600・・・10と、37の倍数ではありません。
そこで、与えられた3つの条件(37の倍数、各桁の数字が相異なる、最大の数)を満たす数を探すわけですが、このとき、最大の数という条件に注目して、9876543210に近い数から探すことにしましょう。
ここで、先ほどの37の倍数の性質を思い起こすと、37の倍数は末桁から3桁ずつ区切って作った数の和が37の倍数になるのでしたから、9876543210に近い9876543***が37の倍数になるかを調べることにしましょう。(*は、0、1、2です)
初めに調べた37の倍数の性質から
9876543***が37の倍数になるのは、
9+876+543+***=1428+***
=37・38+22+***
から、22+***が37の倍数になるときです。
ここで、*は、0、1、2なので、
***=210、201、120、102、021、012
で、
22+***=232、223、142、124、43、34
になりますが、このなかに37の倍数はありません。
つまり、9876543***で表される数には問題の条件を満たすものはないということが判りました。
それでは、次に、9876******で表される数について調べましょう。末桁から3桁の数をP、次の3桁の数をQとすると、9876******が37の倍数になるのは、
9+876+Q+P=885+P+Q
=37・23+34+P+Q
から、34+P+Qが37の倍数になるときです。
ここで、P、Qはそれぞれ3桁(先頭が0のときも含む)で、それらの合わせて6個の数は、0、1、2、3、4、5なので、P+Qの最大値は、PとQの百の位が5と4、十の位が3と2、一の位が1と0になるときで、それは951です。
同様に、P+Qの最小値は、PとQの百の位が1と0、十の位が3と2、一の位が5と4になるときで、それは159です。
したがって、34+P+Qは、
193≦34+P+Q≦985 (★)
で、これを満たす37の倍数で、0、1、2、3、4、5を1回ずつ使った3桁の数が存在するかを調べることになります。
そこで、(★)を満たす37の倍数を書き上げると、
222、259、296、333、370、407、444、481、518、555、592、629、666、703、740、777、814、851、888、925、962
で、P+Qは、
188、225、262、299、336、373、410、447、484、521、558、595、632、669、706、743、780、817、854、891、928
になります。
ここで、PとQは、0、1、2、3、4、5を1回ずつ使った3桁の数なので、それらの和に、一回も現れない数字は0、2回以上は現れない数字は1、2、8、9です。
また、同時に現れない数字の組合せは、1と2、1と3、1と4、2と3、6と9、7と8、7と9、8と9です。
これらを使って、上のリストから該当しないものを取り除くと、
336、373、447、484、558、595、632、743、854
になります。
さらに、PとQの足し算で、繰り上がりが起こらないことを利用して、上の9個の数を片っ端に調べていきましょう。
336、373は、PとQの2つの位の数字が0、1、2、3で、残った数字は、4と5になります。ところが、4+5=9≠6、7なのでNGです。
447は、PとQの百と十の位の数字が0、1、3、4で、残った数字は、2と5になります。このとき、2+5=7なので、447はOKで、484はNGです。
558、595は、PとQの2つの位の数字が0、1、4、5と0、2、3、5と1、2、3、4の3通りで、それぞれの場合で残った数の和は、2+3=1+4=0+5=5≠8なのでNGです。
632は、PとQの一の位の数字が0、2で、残った数字は、1、3、4、5になります。ところが、これらの数字から632の十の位の3を作ることができないのでNGです。
743は、PとQの百の位の数字が2、5と3、4の2通りで、それぞれの場合で残った数字は、0、1、3、4と0、1、2、5です。ところが、これらの組合せで743の十と一の位の3と4を同時に作ることはできないのでNGです。
817は、PとQの百と一の位の数字がそれぞれ3、5と3、4で、これらを同時に作ることができないのでNGです。
854は、PとQの百の位の数字が3、5で、残った数字は、0、1、2、4です。ところが、これらの数字から854の十と一の位の5と4を同時に作ることができないのでNGです。
以上で、問題の条件を満たすP+Qは447であることが判りました。
そして、Q=435、P=012としたとき、9876QPは最も大きくなり、したがって、9876435012が答えです。
最後の候補をふるいにかけるところが煩雑です。もう少し上手い方法があるかもしれないです。ご存知の方はご教示ください。面白い問題でした。
昨日に続いて、今日も晴れのいい天気になりました。9月になり、空の雲は秋仕様になってきましたが、日向では汗ばむほどの陽射しです。これから過ごしやすい季節が始まります。受験生の皆さんは大いに勉強してください。
さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。
問題は、
「各桁の数字が相異なるような37の倍数のうち、最大のものを求めよ。」
です。
初めに、37の倍数について調べておきましょう。
ある正の整数Nを末桁から3桁ずつ区切り、それらを順に、A0、A1、・・・An-1、An とすると、Nは、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d5/18df9c99b216ccf941be5551ce72e148.jpg)
と表すことができます。
一方、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/38/bcf37e8e654ecf68a04bc31e7f8b7f86.jpg)
なので、Nを37で割った余りは、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/fd/df78699c1add33b8bb52da62716695f8.jpg)
を37で割った余りと等しくなります。
つまり、Nが37の倍数のとき、Nを末桁から3桁ずつ区切って作った数の和が37の倍数になります。
それでは、問題に戻りましょう。
各桁の数字が相異なる数で最大のものは、9876543210です。
これが37の倍数であれば手間はないのですが、9876543210÷37=266933600・・・10と、37の倍数ではありません。
そこで、与えられた3つの条件(37の倍数、各桁の数字が相異なる、最大の数)を満たす数を探すわけですが、このとき、最大の数という条件に注目して、9876543210に近い数から探すことにしましょう。
ここで、先ほどの37の倍数の性質を思い起こすと、37の倍数は末桁から3桁ずつ区切って作った数の和が37の倍数になるのでしたから、9876543210に近い9876543***が37の倍数になるかを調べることにしましょう。(*は、0、1、2です)
初めに調べた37の倍数の性質から
9876543***が37の倍数になるのは、
9+876+543+***=1428+***
=37・38+22+***
から、22+***が37の倍数になるときです。
ここで、*は、0、1、2なので、
***=210、201、120、102、021、012
で、
22+***=232、223、142、124、43、34
になりますが、このなかに37の倍数はありません。
つまり、9876543***で表される数には問題の条件を満たすものはないということが判りました。
それでは、次に、9876******で表される数について調べましょう。末桁から3桁の数をP、次の3桁の数をQとすると、9876******が37の倍数になるのは、
9+876+Q+P=885+P+Q
=37・23+34+P+Q
から、34+P+Qが37の倍数になるときです。
ここで、P、Qはそれぞれ3桁(先頭が0のときも含む)で、それらの合わせて6個の数は、0、1、2、3、4、5なので、P+Qの最大値は、PとQの百の位が5と4、十の位が3と2、一の位が1と0になるときで、それは951です。
同様に、P+Qの最小値は、PとQの百の位が1と0、十の位が3と2、一の位が5と4になるときで、それは159です。
したがって、34+P+Qは、
193≦34+P+Q≦985 (★)
で、これを満たす37の倍数で、0、1、2、3、4、5を1回ずつ使った3桁の数が存在するかを調べることになります。
そこで、(★)を満たす37の倍数を書き上げると、
222、259、296、333、370、407、444、481、518、555、592、629、666、703、740、777、814、851、888、925、962
で、P+Qは、
188、225、262、299、336、373、410、447、484、521、558、595、632、669、706、743、780、817、854、891、928
になります。
ここで、PとQは、0、1、2、3、4、5を1回ずつ使った3桁の数なので、それらの和に、一回も現れない数字は0、2回以上は現れない数字は1、2、8、9です。
また、同時に現れない数字の組合せは、1と2、1と3、1と4、2と3、6と9、7と8、7と9、8と9です。
これらを使って、上のリストから該当しないものを取り除くと、
336、373、447、484、558、595、632、743、854
になります。
さらに、PとQの足し算で、繰り上がりが起こらないことを利用して、上の9個の数を片っ端に調べていきましょう。
336、373は、PとQの2つの位の数字が0、1、2、3で、残った数字は、4と5になります。ところが、4+5=9≠6、7なのでNGです。
447は、PとQの百と十の位の数字が0、1、3、4で、残った数字は、2と5になります。このとき、2+5=7なので、447はOKで、484はNGです。
558、595は、PとQの2つの位の数字が0、1、4、5と0、2、3、5と1、2、3、4の3通りで、それぞれの場合で残った数の和は、2+3=1+4=0+5=5≠8なのでNGです。
632は、PとQの一の位の数字が0、2で、残った数字は、1、3、4、5になります。ところが、これらの数字から632の十の位の3を作ることができないのでNGです。
743は、PとQの百の位の数字が2、5と3、4の2通りで、それぞれの場合で残った数字は、0、1、3、4と0、1、2、5です。ところが、これらの組合せで743の十と一の位の3と4を同時に作ることはできないのでNGです。
817は、PとQの百と一の位の数字がそれぞれ3、5と3、4で、これらを同時に作ることができないのでNGです。
854は、PとQの百の位の数字が3、5で、残った数字は、0、1、2、4です。ところが、これらの数字から854の十と一の位の5と4を同時に作ることができないのでNGです。
以上で、問題の条件を満たすP+Qは447であることが判りました。
そして、Q=435、P=012としたとき、9876QPは最も大きくなり、したがって、9876435012が答えです。
最後の候補をふるいにかけるところが煩雑です。もう少し上手い方法があるかもしれないです。ご存知の方はご教示ください。面白い問題でした。
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