こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
ここ二、三日でめっきり涼しくなりました。今日は晴れて穏やかな過ごしやすい天気で、滝山名店会では「100円商店街」が催されていて、結構な人出でした。
今日は、平成19年度東大大学院工学系研究科システム量子工学の問題で、
「mn-3m-2n=0 を満たす正の自然数m、n の組をすべてもとめよ」
を取り上げます。
以前に書いたように、東大大学院入試では論理的思考を試すということで、規則性、魔方陣、推理算、暗号などパズルが出題されるのですが、今回の問題は、高1レベルの数学の問題です。(もちろん中学生でも解けますが)
多くの数学の問題には解法パターンがあり、この問題も例外ではありません。与式、
mn-3m-2n=0 (1)
を
(m-2)(n-3)=6 (2)
と変形します。
さらに、m、nは自然数なので、(2)の左辺の(m-2)と(n-3)は整数となります。つまり、(2)の右辺の6の約数を見つける問題になり、それらを求めると次のようになります。
m-2=±1、n-3=±6→(m、n)=(3、9)、(1、-3)
m-2=±2、n-3=±3→(m、n)=(4、6)、(0、0)
m-2=±3、n-3=±2→(m、n)=(5、5)、(-1、1)
m-2=±6、n-3=±1→(m、n)=(8、4)、(-4、2)
ここで、m、nは自然数なので、満足する組み合わせは、
(m、n)=(3、9)、(4、6)、(5、5)、(8、4)
になります。
このように解法パターンを知っていれば簡単に解ける訳ですが、それを知らない場合、どのように正解に辿りつくことができるかを考えてみます。
まず、このような自然数や整数の組み合わせを求める問題ではその解が有限個なので、mとnの取り得る範囲を求めて、その範囲にある数が与式を満足するか片っ端から調べて正解に辿りつくことができます。
それでは、(1)からmとnの取り得る範囲を求めてみましょう。初めに、(1)をmn(≠0)で割ると、
1-3/n-2/m=0 (3)
となり、
3/n=1-2/m (4)
です。
(4)の左辺は正なので、
1-2/m>0
より、
m>2 (5)
nについても同様に、
2/m=1-3/n (6)
(6)の左辺は正なので、
1-3/n>0
より、
n>3 (7)
となります。
ここで、(3)-3/nと-2/mの項を右辺に移項して、
1=3/n+2/m (8)
(8)の右辺は、(7)より、n=4のとき最大となるので、
1≦3/4+2/m
より、
1/4≦2/m
故に、
m≦8 (9)
となります。
つまり、(5)と(9)から
2<m≦8 (10)
ここで、mは自然数なので、
m=3、4、5、6、7、8 (11)
とmの取り得る範囲が判りました。
次に、(11を(4)に代入していくと、
m=3のとき、
3/n=1-2/3=1/3 より、n=9
m=4のとき、
3/n=1-2/4=1/2 より、n=6
m=5のとき、
3/n=1-2/5=3/5 より、n=5
m=6のとき、
3/n=1-2/6=2/3 より、n=9/2
m=7のとき、
3/n=1-2/7=5/7 より、n=21/5
m=8のとき、
3/n=1-2/8=3/4 より、n=4
なので、この組み合わせからm、nが自然数のものを選ぶと、
(m、n)=(3、9)、(4、6)、(5、5)、(8、4)
と正解に辿りつきました。
しかし、この解法は、(1)の定数項が0だったので簡単にできましたが、例えば、
mn-3m-2n=1 (12)
のような場合、M=m+1、N=n-2/3 などと置換し、
MN-(7/3)M-3N=0
と変形する必要があります。
それに対して、初めの解法では、(12)を
(m-2)(n-3)=7 (13)
と変形し、(13)の右辺の7の約数を調べればOKなので簡単です。
ということで、m、nが整数で、
mn+pm+qn+r=0
を満たす整数m、nの組を求めよ、という問題に出会ったら、
(m+α)(n+β)=s
と変形し、sの約数を調べるという解法パターンを覚えておくと良さそうです。
ここ二、三日でめっきり涼しくなりました。今日は晴れて穏やかな過ごしやすい天気で、滝山名店会では「100円商店街」が催されていて、結構な人出でした。
今日は、平成19年度東大大学院工学系研究科システム量子工学の問題で、
「mn-3m-2n=0 を満たす正の自然数m、n の組をすべてもとめよ」
を取り上げます。
以前に書いたように、東大大学院入試では論理的思考を試すということで、規則性、魔方陣、推理算、暗号などパズルが出題されるのですが、今回の問題は、高1レベルの数学の問題です。(もちろん中学生でも解けますが)
多くの数学の問題には解法パターンがあり、この問題も例外ではありません。与式、
mn-3m-2n=0 (1)
を
(m-2)(n-3)=6 (2)
と変形します。
さらに、m、nは自然数なので、(2)の左辺の(m-2)と(n-3)は整数となります。つまり、(2)の右辺の6の約数を見つける問題になり、それらを求めると次のようになります。
m-2=±1、n-3=±6→(m、n)=(3、9)、(1、-3)
m-2=±2、n-3=±3→(m、n)=(4、6)、(0、0)
m-2=±3、n-3=±2→(m、n)=(5、5)、(-1、1)
m-2=±6、n-3=±1→(m、n)=(8、4)、(-4、2)
ここで、m、nは自然数なので、満足する組み合わせは、
(m、n)=(3、9)、(4、6)、(5、5)、(8、4)
になります。
このように解法パターンを知っていれば簡単に解ける訳ですが、それを知らない場合、どのように正解に辿りつくことができるかを考えてみます。
まず、このような自然数や整数の組み合わせを求める問題ではその解が有限個なので、mとnの取り得る範囲を求めて、その範囲にある数が与式を満足するか片っ端から調べて正解に辿りつくことができます。
それでは、(1)からmとnの取り得る範囲を求めてみましょう。初めに、(1)をmn(≠0)で割ると、
1-3/n-2/m=0 (3)
となり、
3/n=1-2/m (4)
です。
(4)の左辺は正なので、
1-2/m>0
より、
m>2 (5)
nについても同様に、
2/m=1-3/n (6)
(6)の左辺は正なので、
1-3/n>0
より、
n>3 (7)
となります。
ここで、(3)-3/nと-2/mの項を右辺に移項して、
1=3/n+2/m (8)
(8)の右辺は、(7)より、n=4のとき最大となるので、
1≦3/4+2/m
より、
1/4≦2/m
故に、
m≦8 (9)
となります。
つまり、(5)と(9)から
2<m≦8 (10)
ここで、mは自然数なので、
m=3、4、5、6、7、8 (11)
とmの取り得る範囲が判りました。
次に、(11を(4)に代入していくと、
m=3のとき、
3/n=1-2/3=1/3 より、n=9
m=4のとき、
3/n=1-2/4=1/2 より、n=6
m=5のとき、
3/n=1-2/5=3/5 より、n=5
m=6のとき、
3/n=1-2/6=2/3 より、n=9/2
m=7のとき、
3/n=1-2/7=5/7 より、n=21/5
m=8のとき、
3/n=1-2/8=3/4 より、n=4
なので、この組み合わせからm、nが自然数のものを選ぶと、
(m、n)=(3、9)、(4、6)、(5、5)、(8、4)
と正解に辿りつきました。
しかし、この解法は、(1)の定数項が0だったので簡単にできましたが、例えば、
mn-3m-2n=1 (12)
のような場合、M=m+1、N=n-2/3 などと置換し、
MN-(7/3)M-3N=0
と変形する必要があります。
それに対して、初めの解法では、(12)を
(m-2)(n-3)=7 (13)
と変形し、(13)の右辺の7の約数を調べればOKなので簡単です。
ということで、m、nが整数で、
mn+pm+qn+r=0
を満たす整数m、nの組を求めよ、という問題に出会ったら、
(m+α)(n+β)=s
と変形し、sの約数を調べるという解法パターンを覚えておくと良さそうです。
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