グローバル・ナビ by 杉山哲夫

海外資産運用コンサルタントのつぶやき

波乱の1月の世界の金融業界

2016年02月07日 | 金融市場


昨年8月―9月から始まる世界同時株安が2016年の1月にも継続しています:主要因は(1)中国の経済の加速的な下降崩壊(2)関連して始まる天然素材の需要と供給のアンバランス(3)その影響は新興国の通貨市場の切り下げ(4)資金は十分に市場に注入するも市中銀行が健全でリスクの少ない対象企業が少ないために手持ち資金を中央銀行に預け入れる、しかし欧州の一部の中央銀行はマイナス金利政策を始め欧州中央銀行もマイナス金利に踏み切り民間銀行の貸し出しを促す政策に走りました:リスク覚悟の貸付を展開するかそれとも中央銀行に手数料ともいえるマイナス金利を支払うかまさに究極の選択を迫られています:金融機関は中央銀行に払う金利がやがて金融機関の収益に打撃を与えると観測する投資家は関連株を売ります、日本銀行もこれまでの預金に対しては課金しませんが超低利率の金利しか払わず新規の分に対しては金利を支払わなければなりません、このマイナス金利はいつでも変更できるまさに毒薬のような金融緩和策なのです投資家は安全資産である国債に資金を投入しますが利回りどんどん下降しています;米国の長期金利の指標とみなされる10年国債は本日1.89%です:ここにきて多くの証券会社は国債に関連する投資信託の新規募集を中止し始めています: ミナンバー制の実行に合わせて富裕層の銀行からの引き出しが増加しています、なぜならば事態がさらに進展すれば銀行預金に対して上記と同様に顧客が金利を払わなければならない事態が起こらないとは言えません: 多くの日本人はドル資産が為替リスクを考慮しても安全有利と考えても当然です、しかし海外への新規の口座開設はそろそろ不可能になると観測します、場合によれば日本円の海外流失を止めるために海外送金を制約する手段を講じるでしょう。新興国の通貨は今後ますます対ドルレートの切り下げに入るでしょう、特に中東諸国は原油価格の低迷のためにサウジなどは資金が赤字となりアジアへの投資資金の回収に入りました、人民元安の要因の一つです、新興国は自国通貨の高いときに他国の資金を受け入れ返済するときは安いときに行えばそれ自体で大きな損失が出るのです:BIISの資金等はよほど考慮しないと簡単に受け入れるべきではないのです、もつとも中国の戦略の一部なのですが。。。。
筆者は2016年中に多くの海外金融機関の日本国内での業務縮小や人員整理、中には引き上げもありうるとみています、マイナンバー制が始まれば日本国内における業務展開の《妙味??》が無くなるからです: 中国の経済は構造改革と過剰投資、過剰債務を解決しなければ今後も継続するとみています: 原油価格はよほどの《事象》が起こらなければWTI原油 US$40-45までが当面のベストと見ます:米国の金利は今のところ3月に再度の引き上げとの観測ですが筆者は《見送り》とみています、米国経済は減速を始めています 東京市場はGPIF等の運用に対してより慎重であるべきです、前回は3か月で7兆円の損失を計上しています、10-12月はどうでしょうか?


週間動向: 2月1日ー2月5日

指数  週初め    週末     変化    年初来

DJIA 16466.30 16204.83 -261.47 -1.6% -7.0%
NASD 4613.95 4363.14 -250.81 -6.4% -12.9%
S&P500 1940.24 1890.02 -60.22 -3.1% -8.0%
R2000 1035.38 985.95 -49.43 -4.8% -13.2%

2月の第1週の株式市場のみならず金融市場は波乱のスタートです、週間下降率はカカオに見ない大きな変動です、DJIA(ダウ》はー1.6%ですがナスダツクの下降率は異常です、年初来の下降幅もR2000とともに2ケタです、、米国経済の変調はどうやら本物です。個々の分析はともかくこのような環境でFRBは3月に再び政策金利を引き上げるのかどうか市場関係者は2月10日に金融政策の議会の証言を行い合わせて11日には上院の金融委員会に手も証言を行います、米国のみならず世界の金融市場の関係者の従来にない高い関心を持ち待機の姿勢です、8-9日の市場は多分サードウエーな展開と予測します: