ウリパパの日記

自由気ままに・・・

バイエルン国立歌劇場来日公演タンホイザー 2017.9.25

2017-09-26 21:46:46 | オペラ
昨日は午後から休暇を取得して、バイエルン国立歌劇場の来日公演を聞きにNHKホールまで出かけてきました。演目はワーグナーのタンホイザー。次期ベルリンフィルの主席指揮者に抜擢されたキリル・ペトレンコさんが指揮する話題の公演です。





公演の概要です。


『タンホイザー』全3幕
指揮:キリル・ペトレンコ
演出:ロメオ・カステルッチ

領主ヘルマン:ゲオルク・ツェッペンフェルト
タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
ウォルフラム・フォン・エッシェンバッハ:マティアス・ゲルネ
エリーザベト:アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ



指揮者のペトレンコさんは初来日。音楽、オーケストラ、合唱、歌手のアンサンブルが見事です。威圧的にならずにあくまでも優美なワーグナー。艶やかな音色と緻密な音楽作り、特に弦楽器の厚みと響きが素晴らしいですね。ホルンやオーボエも印象に残っています。ステージとピットが一体となり、このような音楽を作り出す凄い指揮者が現れたものです。特に合唱のハーモニーの美しさは感動ものでした。2幕後半、3幕の巡礼の合唱など脳裏に焼きついています。

演出は噂通りでオペラグラスが手放せませんでした(笑)。
弓矢が意味を持っているようです。1幕冒頭にギリシャ神話を思わせる射手達から大きな目に向かって次々と放たれる矢。2幕ではエリザベートの手によって一本の矢がタンホイザーの背に突き刺さります。これは愛の告白?、3幕では舞台の上のほうに突き刺さったまま動きません。一方踊り手のほうは1幕の弓矢から2幕のタイツ姿の演技までは良かったものの、その後は舞台上で何かが慌しく動き、グロテスクな演出にもついていけません。いろいろ象徴的な意味があるようですが2幕後半以降は音楽に引き込まれ演出は気にならなくなりました。色彩的にはシンプルな舞台に溶け込みストーリを邪魔することもなく全く違和感を感じませんでした。
 
歌手ではタンホイザーを歌ったフォークトさんが圧巻でしたね。新国立のローエングリン以来5年ぶりです。豊かな声量、端正は歌いっぷりは変わらず、ヴェーヌスブルクでも羽目を外しません。最後のローマ語りでは、法王の言葉の場面で荒々しい表現も見せて少し変わったなという印象。1幕は控えめでやや音程も外し気味でしたが、2幕、3幕と巨大なNHKホールに美声が響き渡りました。

ヴォルフラムを歌ったゲルネさんはリート歌手らしく、深みと柔らかい歌声が心に響きます。声量はありませんが、2幕の愛の本質の歌合戦はゲルネの勝ちでした。3幕の夕星の歌は美しいアリアですね。エリザベートが苦しみから解放されて天使となっていく場面を歌い上げていました。繊細にヴィブラートを使い、まさに昇天するような歌声でした。

エリザベートのアンネッテ・ダッシュさんは力強く透き通った歌声。容姿も素敵ですね。余裕たっぷりに抑え気味に歌っていた印象です。ヴェーヌスのエレーナ・パンクラトヴァさんは、怪しげな容姿はさておき(笑) 声量タップリ。領主へルマンのツェッペンフェルトさんは端正で張りのある歌声で貫禄の表現でした。さすがバイロイト音楽祭の常連です。

カーテンコールで一番拍手をもらっていたのはペトレンコさんでしたね。。。
それからフォークトさんがプロンプターと握手したのには驚きでした。 

NHKホールでオペラを見たのでは10年ぶりです。前回はベルリン国立歌劇場のトリスタンとイゾルデでした。NHKホールでの1階席は多分初めてです(L12列)。舞台間近で歌手の息づかいまで伝わってきます。細かく指示を出すペトレンコさんの指揮ぶりは顔から上が見えました。

ところで、いつもの2階、3階と違って1階前方に座っていると周囲の方々が気になりますね。開幕直前にリュック姿で会場に入り最前列に座り、幕が閉じると同時に拍手もせずに席を立ち去って老人がいました。あれは一体何者?? 
 
コメント
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