ウリパパの日記

自由気ままに・・・

新国立劇場 「神々の黄昏」 2017.10.7

2017-10-07 23:44:36 | オペラ
新国立劇場が開場して20周年を迎え、2017/18シーズンはワーグナーの「神々の黄昏」で幕を開けました。3連休初日の本日、初台まで出かけてきました。


劇場内には20周年を祝う幟があちらこちらに掲げられていました。開演は14時。休日の公演ということもあり会場は満席です。

今回のキャストは下記の通りです。

指揮:飯守泰次郎
管弦楽:読売日本交響楽団
演出:ゲッツ・フリードリヒ

出演
ジークフリート:ステファン・グールド
ブリュンヒルデ:ペトラ・ラング
アルベリヒ:島村武男
グンター:アントン・ケレミチェフ
ハーゲン:アルベルト・ペーゼンドルファー
グートルーネ:安藤赴美子
ヴァルトラウテ:ヴァルトラウト・マイヤー


開演前にキャストを眺めて驚いたのですが、ヴァルトラウト・マイヤーさんが出演するのですね。懐かしい名前です。ステファン・グールドさんは前回のジークフリートでもタイトルロールを歌っています。期待に胸が膨らみます。しかし6時間は長い・・・

演出は前回に続いてオーソドックス。ゲッツ・フリードリッヒ演出でフィンランド国立歌劇場の協力によって上演されています。奥行きある舞台と光を活用していましたが、先月のタンホイザーに比べると物足りなさを感じてしまいます。

音楽的には読売日本交響楽団が良かった。前回ジークフリートを演奏して感激した東京交響楽団に匹敵しますね。とにかく軽快でテンポよくアンサンブルが素敵です。重厚というよりはやや明るめで深みのある音楽が特徴で、ワーグナーというよりリヒャルト・シュトラウスを聞いているかのような印象。飯守さんの指揮もノリに乗っていて、1幕、2幕共に予定より3~4分早く終わってしまいました。3幕のジークフリートの葬送行進曲以降は特に素晴らしく、劇場全体が息を呑んで音楽に聞き入っていました。

ジークフリート役のステファン・グールドさん、ブリュンヒルデ役のペトラ・ラングさん共に声量タップリで貫禄の演技。期待通り、長丁場のオペラを余裕タップリに歌いきりましたね。奥行き有る舞台の後方で歌うこともあったのですが、2階正面4列目で聞いていても、十分に声が届いてきます。最後のブリュンヒルデの自己犠牲は特に圧巻。物凄いスタミナですね。

舞台を引き締めたのはニーベルング族のハーゲンを演じたアルベルト・ペーゼンドルファーさんです。貫禄タップリで、槍を持ち指輪の奪還を狙う姿は、まるでヴォータンを見ているかのようなど迫力。あれではグンターが気の毒(笑)。父親のアルベリッヒが貧弱に見えてしまいます(笑笑)

日本人が演じた3人のノルンやラインの娘たちは、演技、歌ともに好演でした。グートルーネ役の安藤赴美子さんは歌は素敵ですが、演技が硬い印象をうけました。おっと、忘れていけないのが1幕の後半を引き締めたヴァルトラウテ役のヴァルトラウト・マイヤーさんです。もう60歳を超えているのではないでしょうか。さすがに往年の艶やかで透明感ある響きは影をひそめていますが、随所にその面影を垣間見ることができました。貫禄の演技です。マイヤーさんというとジークリンデやイゾルデの名演を思い出してしまいます。

演出についてはネタばれするのでふれませんが、指輪がとにかく大きい。しかも演技で目立ちすぎ(笑笑)。あと3幕の結末は廃墟で終わってほしかったですね。何でブリュンヒルデが生き返るのだろうか・・・



14時に開演し、45分と35分の休憩を挟み、終演は19時45分過ぎ。飯守さん渾身のワーグナーでした。今年最後のワーグナーになりそうです。ヴァルハラは焼け落ち、指輪はラインに戻り、愛の救済の音楽の余韻が残る中、家路につきました。


1階ロビーに展示されていた生け花。勅使河原茜氏による作品です。
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バイエルン国立歌劇場来日公演タンホイザー 2017.9.25

2017-09-26 21:46:46 | オペラ
昨日は午後から休暇を取得して、バイエルン国立歌劇場の来日公演を聞きにNHKホールまで出かけてきました。演目はワーグナーのタンホイザー。次期ベルリンフィルの主席指揮者に抜擢されたキリル・ペトレンコさんが指揮する話題の公演です。





公演の概要です。


『タンホイザー』全3幕
指揮:キリル・ペトレンコ
演出:ロメオ・カステルッチ

領主ヘルマン:ゲオルク・ツェッペンフェルト
タンホイザー:クラウス・フロリアン・フォークト
ウォルフラム・フォン・エッシェンバッハ:マティアス・ゲルネ
エリーザベト:アンネッテ・ダッシュ
ヴェーヌス:エレーナ・パンクラトヴァ



指揮者のペトレンコさんは初来日。音楽、オーケストラ、合唱、歌手のアンサンブルが見事です。威圧的にならずにあくまでも優美なワーグナー。艶やかな音色と緻密な音楽作り、特に弦楽器の厚みと響きが素晴らしいですね。ホルンやオーボエも印象に残っています。ステージとピットが一体となり、このような音楽を作り出す凄い指揮者が現れたものです。特に合唱のハーモニーの美しさは感動ものでした。2幕後半、3幕の巡礼の合唱など脳裏に焼きついています。

演出は噂通りでオペラグラスが手放せませんでした(笑)。
弓矢が意味を持っているようです。1幕冒頭にギリシャ神話を思わせる射手達から大きな目に向かって次々と放たれる矢。2幕ではエリザベートの手によって一本の矢がタンホイザーの背に突き刺さります。これは愛の告白?、3幕では舞台の上のほうに突き刺さったまま動きません。一方踊り手のほうは1幕の弓矢から2幕のタイツ姿の演技までは良かったものの、その後は舞台上で何かが慌しく動き、グロテスクな演出にもついていけません。いろいろ象徴的な意味があるようですが2幕後半以降は音楽に引き込まれ演出は気にならなくなりました。色彩的にはシンプルな舞台に溶け込みストーリを邪魔することもなく全く違和感を感じませんでした。
 
歌手ではタンホイザーを歌ったフォークトさんが圧巻でしたね。新国立のローエングリン以来5年ぶりです。豊かな声量、端正は歌いっぷりは変わらず、ヴェーヌスブルクでも羽目を外しません。最後のローマ語りでは、法王の言葉の場面で荒々しい表現も見せて少し変わったなという印象。1幕は控えめでやや音程も外し気味でしたが、2幕、3幕と巨大なNHKホールに美声が響き渡りました。

ヴォルフラムを歌ったゲルネさんはリート歌手らしく、深みと柔らかい歌声が心に響きます。声量はありませんが、2幕の愛の本質の歌合戦はゲルネの勝ちでした。3幕の夕星の歌は美しいアリアですね。エリザベートが苦しみから解放されて天使となっていく場面を歌い上げていました。繊細にヴィブラートを使い、まさに昇天するような歌声でした。

エリザベートのアンネッテ・ダッシュさんは力強く透き通った歌声。容姿も素敵ですね。余裕たっぷりに抑え気味に歌っていた印象です。ヴェーヌスのエレーナ・パンクラトヴァさんは、怪しげな容姿はさておき(笑) 声量タップリ。領主へルマンのツェッペンフェルトさんは端正で張りのある歌声で貫禄の表現でした。さすがバイロイト音楽祭の常連です。

カーテンコールで一番拍手をもらっていたのはペトレンコさんでしたね。。。
それからフォークトさんがプロンプターと握手したのには驚きでした。 

NHKホールでオペラを見たのでは10年ぶりです。前回はベルリン国立歌劇場のトリスタンとイゾルデでした。NHKホールでの1階席は多分初めてです(L12列)。舞台間近で歌手の息づかいまで伝わってきます。細かく指示を出すペトレンコさんの指揮ぶりは顔から上が見えました。

ところで、いつもの2階、3階と違って1階前方に座っていると周囲の方々が気になりますね。開幕直前にリュック姿で会場に入り最前列に座り、幕が閉じると同時に拍手もせずに席を立ち去って老人がいました。あれは一体何者?? 
 
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新国立劇場 ジークフリート 2017.6.4

2017-06-05 20:28:25 | オペラ
昨日、新国立劇場のジークフリートを見てきました。14時開演で終わったのが20時前。さすがに腰が痛くなりました(笑)。観客も体力的に限界なのに、半分以上は舞台で歌いっぱなしのタイトルロール役のステファン・グールドさんのスタミナとパワーに圧倒されました。最後まで豊かな声量で歌いきりました。そしてオケも素晴らしかった。

まずは公演キャストの紹介から。

指揮:飯守泰次郎
演出:ゲッツ・フリードリヒ
管弦楽:東京交響楽団

出演
ジークフリート :ステファン・グールド
ミーメ      :アンドレアス・コンラッド
さすらい人   :グリア・グリムスレイ
アルベリヒ   :トーマス・ガゼリ
ファフナー    :クリスティアン・ヒュープナー
エルダ      :クリスタ・マイヤー
ブリュンヒルデ :リカルダ・メルベート



ジークフリートの公演を見るのはこれが2回目です。前回は14年前のトーキョーリング。準・メルクル指揮でNHK交響楽団がオーケストラピットに入って当時に話題になりました。昨日は東京交響楽団、指揮は飯守泰次郎さんです。前回のワルキューレ(東京フィル)のときも感じたのですが、新国立のワーグナーはオケと歌手と競いあうのではなく、オケは舞台を盛り立てる脇役に徹しています。でも、昨日の公演ではライトモチーフが次々とうねりとなって押し寄せ、それが自然に奏でられていました。圧倒的な音量ではありませんがワーグナーを聞いているという満足感に浸ることができましたね。管がしくじるのでは?とヒヤヒヤしながら聞くのではなく、たとえ音を外しても全く気にならないほど舞台に専念できました。これが飯守さんの目指すワーグナーなのかとおぼろげながら分かってきました。飯守さんも東京交響楽団も満足の演奏ではなかったのではないでしょうか。初日(6月1日)は皇太子殿下がお見えになったとか。昨日はきっと緊張から開放されてのびのびと演奏できたことでしょう。

演出はオーソドックスです。ゲッツ・フリードリッヒ演出でフィンランド国立歌劇場の協力によって上演されています。シンプルですが奥行きある舞台と光をうまく活用していました。2幕の大蛇との決闘や森の小鳥達が出てくる場面は、ディズニーランドにいるかのような錯覚。黄、白、赤、緑と続く森の小鳥達(ソプラノ役)の演出は面白かったです。青の小鳥(バレエダンサー)に導かれてブリュンヒルデの眠る岩山へ向かうところまで。あまり書くとネタばれしますがとても美しい演出でした。小鳥達の容姿の詳細については賛否両論あると思いますが・・・
それからミーメの赤い傘も謎。舞台上でやけに目立ちました。ジークフリートが小鳥の言葉を理解するようになってからのミーメの姿には何となくマッチしていたようにも思えますが演出の意図までは推察できません。

3幕冒頭のさすらい人とエルダの掛け合いは、さすらい人の舞台が上昇して舞台上下に分かれてのやりとり。昨日は1階20列の中央付近で聞いていたので2人の声が十分な迫力で正面から伝わってきましたが、客席の高さによっては声が伝わりにくかったのではないでしょうか。



タイトルロールのステファン・グールドさんは舞台に出ずっぱり。声量タップリで純粋なジークフリートを余裕タップリに演じてました。怖れを知ってからのブリュンヒルデとのやりとりは、それまでとは全く別人のような歌唱でこちらも拍手です。

前半の舞台と音楽を引き締めたのが、さすらい人(ヴォータン)のグリア・グリムスレイさん。ワルキューレに引き続いての新国立出演です。表現力と声量タップリで個人的にはお気に入りのタイプです。ミーメを歌ったアンドレアス・コンラッドさんはまさに役者ですね。声質的には癖がなくミーメ向きではないかもしれませんが、表現力は一番勝っていたように思います。

3幕になって始めて登場した(森の小鳥を除く)エルダを歌ったクリスタ・マイヤさんは迫力満点。さすらい人とのやり取りは音楽的にも素晴らしく、最後は地下に沈んでいきました。

最後に登場したブリュンヒルデのリカルダ・ベルメートさんは、舞台上で長い間寝かされていて、いきなりパワー全開で歌う難役。声質のせいかやや平坦な印象もありますが、もはやワルキューレではない自分の姿を受け止めるまでの心の葛藤、ジークフリートとの会話のすれ違いを表現豊かに歌っていました。声量もあってジークフリートとの掛け合いは白眉でした。

6時間近い長丁場でした。音楽的には前回のワルキューレ以上に充実していた印象です。昨日から頭の中は指環のライトモチーフが頭の中をクルクル回っています。当然睡眠不足です。今週は全く仕事になりませんね(笑)。これがワークナーの音楽の魅力。早く次の神々の黄昏を見たい気分です。


昨日の公演ではアンケートに回答すると粗品(クリップ)がもらえました。
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ウイーン国立歌劇場公演 ワルキューレ 2016.11.12

2016-11-13 00:22:46 | オペラ
来日中のウイーン国立歌劇場の公演を聞いてきました。演目は先月の新国立劇場と同じワーグナーのワルキューレです。


会場は上野の東京文化会館。主な配役は以下の通りです。


演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
指揮:アダム・フィッシャー 

フリッカ:ミヒャエラ・シュースター
ブリュンヒルデ:ニーナ・シュテンメ
ジークリンデ:ペトラ・ラング
フンディング:アイン・アンガー
ヴォータン:トマス・コニエチュニー
ジークムント:クリストファー・ヴェントリス


開演は15時。土曜日の公演ということもあって大入りのようです。実際は3階の左側に30席程ぽっかりと空席エリアがありました(笑)。

指揮はアダム・フィッシャー。さすがウイーン国立歌劇場管弦楽団です。1幕から弦楽器がうなりにうなります。ウイーンフィルの演奏会を聞いているかのような素晴らしいワーグナーですね。1幕の聞かせどころで管がミスりました。でも2幕以降は完璧。先月聞いた新国立の飯守さんと似た音楽作りですが、音楽の厚み、スケールの大きさ、音色のすばらしさは格段に今日のほうが素晴らしかった。ワーグナーにしては、ちょっと情熱的な演奏ですかね。


演出は変化に乏しく先月の新国立劇場のほうが楽しめました。でも、2幕のヴォータンとフリッカの争いや3幕のヴォータンとブリュンヒルデの会話と別れなど、ワーグナーにしてはずいぶんと官能的で感情の高まりがあり、それが情熱的な音楽となって表現されているような感じでした。2幕でフリッカが退いた後にブリュンヒルデが再び登場して、夫婦喧嘩に負けたの?の一言は妙に説得力ありました。3幕ではブリュンヒルデが花嫁衣装?を着てプロジェクションマッピングの炎に包まれる演出も印象に残っています。

歌手は皆さん素晴らしかった。4階右側の2列目で聞いていても大音量のオーケストラを突き抜けて声が届きます。特に素晴らしかったのはブリュンヒルデ役のニーナ・シュテンメ。非常に美しい声で実に表現豊かです。声量もあり決して絶叫しません。4階からでは表情が分からなかったので、双眼鏡をもっていけば良かったと後悔。ヴォータン役のトマス・コニエチュニーは力強い歌声で、特に3幕の怒りは迫力ありましたね。深い声と繊細な声を使い分けています。でも伝統的なヴォータンとは少し異なるタイプかもしれません。ジークムントのクリストファー・ヴェントリスは若々しく情熱的なジークムントを演じ、ジークリンデのペトラ・ラングは貫禄の演技と声量で勝負(年齢のせいか高音が若干苦しいか)。フンディングのアイン・アンガー、フリッカのミヒャエラ・シュースター共に力強い声に圧倒されました。

本公演の白眉は3幕後半の父と娘の2重唱からフィナーレにかけてでしょう。素晴らしい音楽に包まれ感動的な幕切れでした。途中、誰かの携帯が鳴ったのには興覚めでしたが・・・

これだけ素晴らしい歌手が揃った世界最高峰オペラハウスの公演でワーグナーを十分に堪能しました。C席の49000円は決して高くなかった。大満足の一夜でした。



会場では舞台衣装が展示されていました。


ロイヤルオペラ提供 椿姫「ヴィオレッタ」の衣装。アンジェラ・ゲオルギュー着用です。


ウイーン国立歌劇場提供 マノンレスコー「マノン」の衣装。ミレッラ・フレーニ着用です。
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新国立劇場「ワルキューレ」初日 2016.10.2

2016-10-02 23:01:31 | オペラ
先ほど新国立劇場のワルキューレを聞いてきました。オペラは昨年9月のロイヤルオペラ(マクベス)依頼一年ぶりです。今日は2016/2017シーズン開幕の初日ということもあって開場はほぼ満員。2階正面の4列目と非常に良い席を予約することができました。14:00開演、19:30終了の長丁場で腰がヘトヘトです(笑)

ワルキューレはワーグナーの中でもお気に入りで、今まで何度も聞いてきました。でも今日の公演はいつものワーグナーと何かが違うのです。こんなにしんみりと歌を聞かせてくれる、しかも泣かせてくれるワーグナーは初めての経験。それだけ素晴らしい歌手陣に恵まれたようです。飯守泰次郎指揮の東京フィルハーモニー交響楽団は終始控えめで、主役の歌手を引き立てていました。個人的にはもっと弦楽器の厚みと深みが欲しいかなと思いましたが、そういう音楽作りなのですね。きっと。

演出は東京リングに比べても保守的。それが一層音楽を引き立たせてくれたようです。個人的には今日のような演出のほうが音楽に専念できるので好きですね。あまり記載するとネタばれするので止めておきますが、傾斜と奥行きを活用した立体感ある舞台設定でした。光の明暗を効果的に使っていた印象です。3幕冒頭のワルキューレの騎行の場面は1,2幕と雰囲気が異なり目が覚めましたが、ブリュンヒルデが登場してからは電飾も消えて、音楽に専念できましたね。奥行きを活用した舞台だったので舞台の奥から歌う場面も多く、ソリストの皆さん声量たっぷりとはいえ多少酷だったのではないでしょうか。

歌手は皆さん素晴らしかった。ジークムント役のステファン・グールドは世界的なテノール。冒頭から絶好調で若々しいジークムントを演じていました。ジークフリートと間違えるかのような純情さがにじみ出ていて、ジークリンデと共に若々しい兄弟を演じていました。

ジークリンデ役のジョゼフィーネ・ウェーバーは初めて聞きました。声に若々しさと透明感あって、心に響いてくる歌声です。1幕の最初は多少緊張気味のようでしたが、尻上がりに役に溶け込み、見事なジークリンデでした。若い頃のワルトラウト・マイヤーを思い出します。ブリュンヒルデを歌ったイレーネ・テオリンのように声に迫力が備われば大歌手の仲間入りを果たせるのではないでしょうか。フンディング役のアルベルト・ペーゼンドルファーは、迫力ある人間界の豪族を歌い上げていました。

トリノコの木からノートゥングを抜き取ってから1幕最後へかけてのクライマックスは、本オペラの聞かせどころ。今まで聞いた公演(例えばバレンボイム指揮)ではテンポが上がってオーケストラ主導で高揚していくことが多いのですが、飯守さんの音楽ではあくまでも歌手が主役。じっくりと歌わせていました。さすがにステファン・グールドも最後は疲れていたように見受けられました。

2幕で登場する結婚の女神フリッカはエレナ・ツィトコーワが歌います。ヴォータンの魂胆を見抜きジークムントの死を要求する強い女神を声の力で表現していました。一方のヴォータンを演じたグリア・グリムスレイは心の葛藤、悩みを抒情的に表現します。声量は決して大きくありませんが舞台の奥からでも声がよく通ります。3幕では弱音の表現に心打たれました。2幕の前半は音楽が単調で眠気に襲われることがよくあるのですが、今日は全く違いましたね。

ヴォータンの心の悩みを察したブリュンヒルデを演じたイレーネ・テオリンも素晴らしい。今日一番の感動はブリュンヒルデでしたね。特に2幕最後でジークムントに差し迫った死を告げる場面、そしてジークムントの純粋な思いに負けて、父ヴォータンの命に逆らいジークムントを守ることを約束、そして決闘におけるジークムントの死、そしてフンディングの死と、あまりの素晴らしさに圧倒されます。劇的に圧倒的な音楽ではなく、心の内面を歌い上げるドラマとして響いてくるのです。

クライマックスの3幕。ヴォータンが迫りワルキューレ達に守ってもらえずに1人未知の世界へ旅立つジークリンデ。ブリュンヒルデから受胎告知をうけた後に、最後に歌う救済の動機のなんと見事なこと。昇天するような透明な歌声に感動しましたね。実は飯守さんの解説(新国立劇場のHP)で初めて知ったのですが、この救済の動機の音楽は、指環の中であと一場面しか出てこないそうです。神々の黄昏の最終場面ですね。この場面、昔、ワルトラウトマイヤーが歌ったときにも鳥肌たった経験がありますが(確かバレンボイム指揮)、その時に匹敵するほど素晴らしかったです。

そして感動のクライマックス。ブリュンヒルデはヴォータンの悩みを知り尽くしています。最後にヴォータンが槍を落として娘のブリュンヒルでに駆け寄る瞬間は涙を誘います。こんなに感動的な幕切れだったとは。

炎の輪の中で眠りにつくブリュンヒルデ。早く続きが見たい・・・


正面玄関の生け花です。


14時に開演。2幕後の休憩時にはすっかり日が暮れていました。2回の休憩をはさんで5時間30分の公演ですが至福のひと時はあっという間に過ぎ去りました。久しぶりのオペラに大満足し、単身赴任先の茨城県へ常磐線で戻ってきました。本ブログは常磐線の中で思いつくままに書き上げたので誤字脱字容赦下さい。

来月はウイーン国立歌劇場の日本公演で、今日と同じワルキューレを聞く予定です。こちらも楽しみです。

最後に今日の公演のキャストを記載しておきます。

指揮 飯守泰次郎
演出 ゲッツ・フリードリヒ

ジークムント  ステファン・グールド
フンディング  アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン   グリア・グリムスレイ
ジークリンデ  ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ イレーネ・テオリン
フリッカ     エレナ・ツィトコーワ

管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
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英国ロイヤルオペラ「マクベス」 2015.9.12

2015-09-12 21:49:44 | オペラ
今日から英国ロイヤルオペラの日本公演が始まりました。5年ぶり5度目の来日でヴェルディの「マクベス」とモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」が上演されます。オペラを聴き始めて30年以上になりますが、実はロイヤルオペラは一度も聞いたことがありませんでした。今回のマクベスはシェイクスピアの戯曲に基づく台本をもとにヴェルディが作曲したものでイギリスと言えばシェイクスピア。しかもバレンボイムに見出され、今やロイヤルオペラの顔になっているパッパーノの指揮となれば見逃すわけにはいきません。大枚を叩いて公演初日のチケットを購入。座席はもちろん指揮者やオーケストラピットが見える舞台左手前方(3階L2列の前方)としました。


初日ということもあって大入の看板が迎えてくれます。でもチラホラ空席もありましたが。。。

オペラマクベスは昔、藤原歌劇団の公演を見たことがありますが、上演される機会があまりありませんね。33歳の若きヴェルディが音楽と劇の融合によりシェイクスピアを音楽で表現することを目指した作品で、難易度が高いのかもしれません。音楽的には悲劇にしてはちょっと軽めで物足りなさを感じるので、コンサート形式でも演奏されません。

初日の公演は鳥肌がたつほどの充実度でした。流石にイギリスのオペラハウス。音楽も舞台も一体になってシェイクスピアを演じていました。シンプルで象徴的な舞台は黒、赤、金を基調に終始暗め。悲劇を演出します。そそしてパッパーノに導かれた音楽の何と素晴らしいこと。決して主役にはならず(目立たず)、それでいてしっかりと舞台と歌手をリードして緊張感を産み出し、ゾクゾクっとする悲劇が繰り広げられていくのです。マクベスを歌ったサイモン・キーリンサイドはまさに役者でしたね。強さというよりは人間の弱さ、内面の葛藤を演じて歌いあげていきます。尻上りに調子が出て、特に3幕、4幕、そして最後のアリアは白眉でした。キーリンサイドを初めて聞きましたが決して力で押すことは無く美声で朗々と歌うタイプですね。昔のレナード・ブルゾンを思い出しました。

実はキーリンサイドは昨年12月にウイーン国立歌劇場のリゴレット初日に不調のため途中降板して以来、キャンセル続きで心配していたのです。キーリンサイドのHPによると8月まで公演キャンセルが続き、10月のメトロポリタン歌劇場のリゴレットもキャンセルが入っていたので、果たして東京に来てくれるのか、歌ったにしてもブランクの影響で不調なのではないかなど不安でいっぱいでした。そんな懸念は一瞬で消え失せてしまうほど魅力に溢れていました。

マクベス夫人を歌ったリュドミラ・モナスティルスカはドラマチィックなソプラノで声の力で迫ったかと思えば、低音の繊細な響きで聞かせてくれて、こちらも表現力たっぷりでした。ドラマティックなところは昔のディミトローヴァを彷彿させます(テミトローヴァの声量はけた違いでしたが(笑))。

ライモンド・アチェトのバンクォーも素晴らしい声でした。魔女たちは少し控えめでしたね。でもハーモニーと振付が素晴らしかった。さすがロイヤルオペラです。中央に置かれた回転する箱もの中で象徴的な劇が演じられていきますが、今一つインパクトに欠けるかな? 戦いに負けたマクベスの前でバーナムの木が突き刺さっていく最後の場面は素晴らしかった。

あっという間の3時間でした。オペラを見たのは昨年の新国立劇場のパルジファル」以来。久しぶりに舞台芸術に接して、満足なひと時を過ごすことができました。パッパーノの素晴らしい音楽、そしてキーリンサイドとモナスティルスカの主役二人に感謝です。


幕間のロビーの様子。東京文化会館に来たのは久しぶりです。

本日の公演のスタッフをHPから抜粋しておきます。

指揮 アントニオ・パッパーノ
Conductor Antonio Pappano
演出 フィリダ・ロイド
Director Phyllida Lloyd
再演監督 ダニエル・ドーナー
Revival Director Daniel Dooner

マクベス サイモン・キーンリサイド
Macbeth Simon Keenlyside
マクベス夫人 リュドミラ・モナスティルスカ
Lady Macbeth Liudmyla Monastyrska
バンクォー ライモンド・アチェト
Banquo Raymond Aceto
マクダフ テオドール・イリンカイ
Macduff Teodor Ilincai
マルコム サミュエル・サッカー
Malcolm Samuel Sakker


ところで、今日は嬉しいニュースが飛び込んできました。娘の母校である八王子学園八王子高校の吹奏楽が東京都本選で金賞を受賞し、しかも全国大会出場が決定しました。先日のマーチング大会でも東京代表に選出されていて2冠達成です。娘が2年生の時(3年前)にも座奏とマーチングで全国大会に出場しましたが、本番では緊張のためか全力を出しきれませんでした。今回は是非雪辱を果たしてほしいですね。
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新国立劇場「パルジファル」 2014.10.5

2014-10-06 21:58:14 | オペラ
昨日の午後、新国立劇場で久しぶりにオペラを聞いてきました。ワーグナーのパルジファルは1989年のウイーン国立歌劇場の引っ越し公演(NHKホール)に続き2度目の体験。ワーグナーのオペラと言えば北欧神話を題材にしたものが多いですが、このパルシファルはキリスト教です。25年前の公演ではワーグナーの重厚で神聖な音楽に衝撃をうけ、その時の体験は今でも鮮明に蘇ってきます。ホルライザー指揮、ルネ・コロ演じるパルジファルやグルントへーバー、ハンス・チャマー、ホルニックなどウイーン国立歌劇場を支えた当時の歌手たちの重厚な歌声に圧倒されました。果たして昨日は・・・

2年ぶりの新国立劇場。公演開始は14時です。座席は2階正面、後方から2列目。前のほうには各国の大使館員と思われる方が大勢お見えになっています。

指揮はオペラ芸術監督に就任した飯守泰次郎さん。そして演出はハリー・クプファー。アムフォルタスはエギリス・シリンス、ティトレルは長谷川顕、グルネマンツは巨匠ジョン・トムリンソン、タイトル・ロールのパルジファルはヘルデンテノールのクリスティアン・フランツ、クリングゾルはロバート・ホーク、クンドリーはエヴェリン・ヘルリツィウスといった布陣です。

クプファーの演出は「光の道」と呼ばれる舞台装置上で展開されます。先端LED技術により光を効果的に使い視覚的にも楽しめました。2幕の魔法の花園の場面は素晴らしかったですね。一方、1幕と3幕の聖杯の儀式の場面では紗幕が下りてきて神聖な場面を美しく演出します。1幕後半、グルネマンツがパルジファルを聖杯式に案内し騎士団が登場するまでの転換の場面は、立体的で迫力満点の舞台の変化と重厚な音楽が印象的。25年前の公演ではホールが暗闇に包まれ行進する2人に照明が当たる演出でした。

今回の演出のもう一つの特徴は、クプファーさんのインタビュー記事によるとキリスト教と仏教の融合のようです。見ていて違和感は感じませんが・・・3人の僧侶?はしっくりきませんね。なぜ1人ではなく3人なのか、容姿が仏教ではなく何となく密教のようにも見えてしまいます。幕切れはうーん。演出のメッセージを汲み取るレベルに達していません。個人的には期待外れでした。何だかラインの黄金の終幕に神々がワルハラ城に入場していくかのような・・・

飯守さんと東京フィルの作り出す音楽は聴かせてくれました。指揮者と弦楽器がちぐはぐだったり、金管がおやっ?と思う場面も多々ありましたが、重厚さよりも調和を大切にした音楽作りです。音量を抑え、その中で次々とライトモチーフが効果的に引き出されていきます。特に聖金曜日のモチーフのすばらしさ、ドレスデン・アーメンも印象的でした。幕間にオケピットを見学に行ってみましたが、ワーグナーにしては小編成かなという印象です。

一方、合唱団は鳥肌がたつくらい素晴らしいかったです。海外の一流歌劇場のレベルに匹敵するのではないでしょうか。聖杯の儀式の場面のバックコーラスや騎士団の歌唱は感動ものです。

ソリストの皆さんはレベルが高く、特にグルネマンツを演じたジョン・トムリンソンは歌唱、演技力共に秀でていました。勘所ではジーンと訴えてくるものがありました。大ベテランで既に65歳を超えているそうです。重厚なオペラをしっかりと支えた影の主役でした。一方、寡黙なタイトル・ロール(パルジファル)を演じたクリスティアン・フランツも素晴らしい。昔、新国立劇場でジークフリートを聴いたことあります。昨日も力強く明るい声が印象的に残りました。

クンドリーのエヴェリン・ヘルリツィウスは演技力抜群。声量もあって繊細な表現から劇的な歌唱まで自在に操り、モンサルヴァート城と魔法の城を彷徨う哀れな女性の弱さを見事に表現していました。最後はどのように救済されたのか・・・ここでは書けません。

エギリス・シリンス演じるアムフォルタスは癒えない傷を負った若々しい瀕死の王を表現してました。騎士団から強要される聖杯の儀式を拒むところなど見ごたえ満載。クリングゾルのロバート・ホーク、ティトレルの長谷川顕も熱演です。

今回の公演は主役から脇役にいたるまで粒揃いでレベルが高かった印象です。キリスト教徒ではないので聖杯の儀式とか聖金曜日の奇跡とか実感がわきませんが、登場人物がそれぞれ悩みを抱え、最後は聖金曜日の奇跡で救われる、そんな人間臭さにフォーカスされていたのではないかと思います。

25年前のウイーン国立歌劇場の公演では第1幕終了後には拍手厳禁で、巨大なNHKホールが荘厳な雰囲気に包まれて進行していった記憶があります(衝撃体験でした)。今回の公演では第1幕終了後に控えめな拍手が始まるとすぐにカーテンコールが始まりました。公演プログラムには拍手を歓迎するという記載がありました。舞台神聖祝典劇ではなく人間ドラマとして捉えてほしいという舞台関係者のメッセージだったのですね。

14時に始まったオペラの幕が下りたのは20時前。2回の休憩をはさんで6時間の公演ですが、長さを感じません。久しぶりのオペラに大満足し、そのまま単身赴任先の茨城県へ常磐線で戻りました。



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新国立劇場「ローエングリン」 2012.6.16

2012-06-16 23:06:41 | オペラ
新国立劇場へローエングリン(最終日)に行ってきました。2年ぶりのオペラ。バイロイト音楽祭で有名になったクラウス・フロリアン・フォークトが主役を歌うということで前評判が非常に高く、会員優先予約で大枚はたいてS席をゲットしたものです。
1階16列(通路はさんで最前列)の中央付近はなかなか手に入らない最高のポジションです。期待に胸が高まり劇場に40分前に到着し14時の開演を待ちます。休日の最終日ということもありチケットは完売。満席です。

2回の休憩をはさんだ5時間の公演は素晴らしいものでした。オペラの世界にはまって30年以上になりワーグナーの公演も15回以上経験しましたが、間違いなくベスト5に入る印象に残ったワーグナー公演です。日本にいながらバイロイト音楽祭に匹敵する高レベルの公演を経験できるのは幸せですね。でもローエングリンって、こんなに悲劇的なオペラでしたっけ? エルザは決して救われることがありませんでした。

立役者はタイトルロールのフォークト、そして大御所のペーターシュナイダーではないでしょうか。シュナイダーさんは5年前にも新国立劇場で「バラの騎士」の素晴らしい公演(ザョナサン・ミラー演出)を聴いていますが、前回同様、今回のワーグナーも東京フィルからスケールの大きい音楽を引き出していました。管を抑え弦を中心に鳴らしていた印象です。東フィルは、弦の高音にもっと天に届くような響きが欲しいな~とか、アンサンブルに厚みが欲しい箇所があったり、聞かせどころのソロが今一つとか気になるところがあるものの、決して音量に頼らず、やや抑え気味に一定のテンポを保ち、それでいて舞台と一体になったダイナミックな音楽は巨匠ならではの音楽づくりでしょう。

さてタイトルロールのフォークトですが期待以上で圧倒的な存在感。どこまでも透明で甘い歌声、とにかくよく通る声で、舞台奥からも弱音がはっきりと届いてきます。他の歌手とスケールが違いますね。高音まで音域が広く、決して自分のスタイルを崩しません。しかも容姿は白鳥の騎士にピッタリ。ヘルデンテノールとはちょっと違いますが、久しぶりの本格的ワーグナー歌手でしょう。昔、テレビ放映やレーザーディスクで見たペーターホフマンを思い出しました。カーテンコールは物凄い熱狂に包まれました。

他の歌手も総じて粒揃い。エルザを演じたリカルダ・メルベートは演出の影響か、気の毒なほどに暗い印象。でもベテランらしく内面を歌い上げています。3幕冒頭で初夜を迎えて一瞬喜びに満ちた姿と、禁じられた問いを発してから猜疑心に包まれオルトルートがのり移ったかのように変貌していく姿の落差が巧みに歌われていました。ハインリッヒ国王のギュンター・グロイスベックは若々しい国王を演じています。テルラムントは悪役というイメージがあるのですが、今回の演出ではオルトルートに操られる気の毒で純情な姿をゲルト・グロホフスキーが歌い上げています。そして影の主役であるオルトルートを演じたスサネ・レースマークですが・・・好演なのですが声に力がありませんね。ペーターシュナイダーがフォローしていたのですが、フォークトと比べてしまうと気の毒かもしれません。ゲルマンの神々に背いた報復だと激烈に呪う最後の聞かせどころは、もっと声の力と迫力が欲しいところですね。贅沢かな?

マティアス・フォン・シュテークマンの演出は、今、流行りの奇をてらった謎欠けは一切なくてシンプルで抽象的。舞台に物体がほとんどなく、背景に設置したモザイク状のパネルを活用した色彩と光の表現が効果的です。数少ないオブジェもうまく活用されています。でも1幕最後の花火は、ちょっとリアルすぎますね。問題は登場人物の動きがデジタル的というか整然としすぎていることです。演出の意図が隠されているのかもしれませんが、もう少し工夫が欲しいですね。何だか幼稚園のお遊戯会みたい(笑)。先ほども述べましたが、2幕のエルザはずっと暗かったですね。2幕の最後に教会堂へ向うところで、ふらついて倒れこむところは、思わず「はっ」としました。音楽的にも演出的にも2幕から3幕へかけての盛り上りは素晴らしかったです。でも幕切れがいま一つかな?? 白鳥は現われませんでしたね。1幕と逆に白鳥がお迎えに降りてくるものとばかり思ったので。

久しぶりのオペラ、感動しました。このところ景気が悪く財布が厳しい状況ですが、年に2~3回行きたいものです。昔(独身の頃)は、海外からの引越公演や国内団体の公演など毎月のように聞きに行っていました。あの頃が懐かしい・・・

ところで、2幕、3幕開演前の館内アナウンスで品川ナンバーのマーク2が有名になってしまいました(ナンバープレートも)。駐車場に止めた車が通行妨害になっていたらしい。満員の観客は思わず失笑・・・



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バイロイト音楽祭ライブ中継「ローエングリン」

2011-08-15 21:04:58 | オペラ
昨夜、BSプレミアムシアターでバイロイト音楽祭の舞台が衛星生中継で放送されました。演目は「ローエングリン」です。最近オペラから遠ざかっているのですが、ワーグナーは見逃すわけにはいきません。昨夜は第1幕をライブで、そして残りの2・3幕は今日の午後ビデオでじっくりと見ました。

指揮はアンドリス・ネルソンス。ローエングリン:クラウス・フロリアン、エルザ:アネッテ・ダッシュ。いずれも初めて聞きましたが、特にタイトルロールのクラウス・フロリアンは、明るく力強い美声で魅力的です。往年のペーター・ホフマンを彷彿させるような容姿・歌声です。テルラムント、オルトルート、国王はベテランでしっかりと支えられ、音楽的には非常に充実していました。しかし演出がね・・・

本当に驚きですね。ワーグナーの聖地でもこのような演出が当たり前のようになってしまったのでしょうか。前衛的ではありません。奇抜というかユニークというか、それともお笑い系? 幕間には、演出家(ハンス・ノイエンフェルツ)のメッセージが解説されていましたが、うーん。ついていけないな・・・

理解できません。ネズミのぬいぐるみを着てコーラスしたり、映像でアニメが映されたり。。。まるで、オペラ伴奏付きの映画「ネズミの国」を見ているみたい。白の次は奇抜な黄色い衣装。羽根をむしられた丸裸の哀れな白鳥に思わず噴き出しそう。どうやらネズミにかじられたらしい。

ネズミ達が消えた3幕は安心して見ていられました。ローエングリンの名乗りのところはクラウス・フロリアンの熱唱で感動ものです。しかし、ハリネズミのような衣装と、こてこての化粧で復讐を誓ったオルトルートでずっこけ、極めつけは白鳥が人間の姿に変わり戻ってきたゴットフリート(ブラバント公国の世継ぎ)です。まるでET。ここまでくるとストレスが溜まりますね。

  
1幕の様子です。デジカメでパチリしました。

  
続いて3幕の様子。

オペラは何度も滅多に見る機会がないので、できれば音楽に専念できるような伝統的な演出で楽しみたいものです。絶えず進化していきたい、メッセージを打ち出していきたい演出家の意図も分かりますが、音楽を邪魔しないでほしいというのが我々一般人の切なる希望なのです。今回のローエングリンを見てしまうと、新国立劇場で上演されたキース・ウォーナー演出の東京リングが何だか保守的な演出に見えてしまいます。

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新国立劇場「影のない女」初日

2010-05-21 00:49:25 | オペラ
 昨日、半年振りに音楽会へ行ってきました。新国立劇場で公演の始まったリヒャルト・シュトラウス「影のない女」の初日です。あまり演奏されない馴染みの無いオペラですが、私は18年ほど前にサヴァリッシュの指揮、市川猿之介が演出して話題になったバイエルン国立劇場の来日公演を見に行ったことがあります。その時は歌舞伎様式の豪華絢爛な演出のみが強く印象に残っているのですが、今日出だしのカイコバートのモチーフを聞いてすぐに音楽の記憶がよみがえりました。このオペラはワ―グナーを意識したのかライトモチーフが多用され、3時間を越える長いオペラですが音楽的には飽きることなく聞けます。皇帝とバラクが住む人間界とカイコバートの霊界が舞台となっていて、モーツァルトの魔笛とも比較されるみたいですが、私にはワ―グナーの呪縛から逃れることができなかったシュトラウスを象徴する作品のように思えます。鷹が出てきて皇帝と語る場面などは、まるでジークフリートのよう。乳母はオルトルート、皇帝の妻はエルザか。バラクの妻は嫉妬深い生々しい人間なのでこのタイプはいないかな?ブリュンヒルデに似ているかも等々考えながら見るのも楽しいですね。
 音楽的には結構充実してアッという間の4時間でしたが、終った後の満足感は3年前の薔薇の騎士には遥かに及ばないかな?このオペラの限界なのかもしれません。
 演出はブーイングも出ていましたがシンプルで奇をてらったものでなく、劇場の奥行きをうまく活用してました。7つの石垣と3つのシンプルな家の組み合わせと照明と影を駆使して場面を作りあげていますが、場面転換は全て黒衣装の人手によるものです。転換の多い2幕などは大変そうでしたが。時々上から降りてくる桃の形をした鏡?(途中で破かれる)や根っこが見えている木など何かを象徴していたようですが、難しいことを考えるのは止めておきました。

 海外から招聘したソリストも粒そろいです。一番印象に残ったのは乳母のジェーン・ヘンシェル。かなりのご年配のようですが演技力や表現力が抜群。表現が相応しくありませんが、千と千尋の神隠しに出てくる湯婆婆みたい・・・ 皇帝を演じたミヒャエル・バーバはまだ若そうで、丁寧に歌っていました。美声ですね。皇帝は各幕一回ずつしか出番が無いのですが、高音を聞かせてました。でも3幕はいま一つだったかな。皇后を歌ったエミリー・マギーは透明な声でうっとりさせてくれます。3幕の「私は飲まない」という言葉によって勝利するところは見事な演技でした。バラクのラルフ・ルーカスとバラクの妻ステファニー・フリーデも熱演。ルーカスさんはドイツ人らしく、しっかりとした歌唱。フリーデさんは尻上がりに調子を上げ、皆さんを圧倒してましたね。ヴェリズモオペラみたいにも聞こえ、ちょっと違うかな?と思ったときもありましたが、バラクの妻は嫉妬深い人間なので正しい解釈なのでしょう。

 エーリッヒ・ヴェヒター指揮の東京交響楽団は、、、うーん。いま一つ。ざっと数えたところ100名近い大編成で、狭いオーケストラピット内に詰め込まれていましたが、何だか音楽も窮屈そう。オペラなので大音響は求めませんが、何か物足りなかったな。チェロのソロは良かった。でも管楽器が・・・

 

正面玄関の生け花です。

久しぶりの音楽会でした。給料カットも4月から無くなったため、自分へのご褒美として行ってきたのです。座席は2階Rサイドの前のほう(B席)。17時開演ということもあり空席がかなり目立った公演初日でしたが、リヒャルト・シュトラウスの世界を堪能できましたよ。


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新国立劇場 オテロ

2009-09-23 21:26:27 | オペラ
シルバーウィーク最終日。新国立劇場の2009年オープニング公演となるヴェルディのオテロを聞いてきました。期待以上の素晴らしい公演に大満足。今まで体験したオテロの中では間違いなくNO.1でしょう。

ここまで成功に導いた最大の功労者は演出家のマリオ・マルトーネです。前衛演劇出身で映画監督としても活躍。新国立は初出場ということで若干不安を感じながらの幕開けでした。

場面の設定はキプロス島ではなくなぜかヴェネチア。余談になりますが昨年公演のドン・ジョバンニもヴェネチアが舞台でした(最近の流行?)。舞台セットは場面転換の無い簡素なものですが、奥行きを活かしたステージに多彩な照明と炎、そして水が立体感を演出します。衣装や装置は極めてオーソドックス。光に彩られた幻想的な演劇を見ているかのようで、舞台上で繰り広げられる音楽劇に集中できたという印象です。休憩が2幕と3幕の間の一回だけというのも効果的でした。
残り4回公演があるためネタばれになってしまいますが、あっと驚く仕掛けは舞台上の花火と水。第1幕の焚火の合唱の場面では合計20発以上の花火が舞台奥で打上げられたのにはビックリ。妙に音楽にマッチしてました。更に第2幕以降では舞台上に水(運河)が引かれ、歌手はここぞという場面では水に入って歌います。オテロの死も予想通り水の中で死んでいく悲劇の幕切れ・・・
それからオーケストラピット上の架け橋もうまく活用されていました。


リッカルド・フリッツァ指揮の東京フィルは冒頭の嵐の場面からパワー全開。このオペラはオーケストラが旋律を奏でるところが多いのですが、実に美しく歌いあげていました。新国立劇場合唱団も迫力満点。第1幕や第3幕の後半など鳥肌がたつほどの素晴らしさです。新国立の合唱団は、先日のスカラ座には及びませんが世界に誇れるのではないでしょうか。

主役の3人も、歌・演技ともに素晴らしく、特にデズデーモナ役のタマール・イヴェーリが泣かせてくれました。決して太くはありませんが、低音から高音までよく通る声がホール一杯に響き渡ります。オテロの心境の変化を目の当たりにしても純潔と従順を訴え続ける表現力、そして第4幕の柳の歌は涙を誘いました。イアーゴのルチオ・ガッロは演技力抜群。嫉妬の心を見事に歌い上げ、非常に分かりやすいイアーゴを演じていました。でも軽快で端正すぎてここぞという時の凄みが欲しかった(贅沢ですかね・・)。そしてタイトルロールのステファン・グールド。直球勝負の力強い歌声。私は好きです。声に力がありワーグナー向きかもしれません。ややバリトンに近いテノールのため高音が少し苦しそうでしたが、演技力でカバーしていました。

脇役の日本人も粒揃いでエミーリアの森山京子、ロドヴィーコの妻谷秀和がしっかり脇をかため、カッシオを演じたブラゴイ・ナコスキは線が細いものの美声を聞かせてくれました。

今日は、祭日のマチネにもかかわらず空席が目立ちました。スカラ座でお金を使い果たしてしまったのかな?こんなに素晴らしい涙を誘うオテロが日本のオペラハウスで上演できるなんて・・・


正面玄関の生け花です。
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新国立劇場 チェネレントラ

2009-06-11 21:54:02 | オペラ
昨日6月10日の夕方、新国立劇場でロッシーニの「チェネレントラ」を聞いてきました。オペラの世界にはまって30年近くなりますが、ロッシーニは「セビリアの理髪師」を数回聞いたことがあるだけで、「チェネレントラ」は初体験。でもこんなに楽しいオペラだったとは・・・

7月から勤務地が再び都心から離れ、仕事も非常に厳しくなりそう。従って平日夜の音楽会は恐らく最後のチャンスとなります。昼休みにインターネットを検索したところ当日の公演に空席があったため、比較的良い場所B席を予約し定時間で切り上げ初台へ直行。公演やソリストに関する事前準備もほとんど無しに、辛い仕事を忘れてロッシーニの音楽を楽しめれば・・・程度の軽い気持で駆けつけたのですが、何と素晴らしい公演なのでしょう。ソリストが粒揃いで演技も絶妙、笑わせてくれます。オーケストラも舞台に牽引されてロッシーニワールド全開。些細な音のミスなど気になりません。こんなに充実した新国立劇場の公演は「バラの騎士」以来かな?

プログラムによると、この作品はシンデレラ物語です。シンデレラを題材にした多くのオペラやバレエが御伽噺の枠組を残す一方、笑いと感傷を交えみじめな境遇の女性が善良な心によって王妃となるまでの大人の恋愛劇として描かれたのがロッシーニのチェネレントラです(水谷彰良さんの作品解説より抜粋)。そして、後で気付いたのですが、王子がシンデレラ(チェネレントラ)見つける手がかりは"靴"ではなく彼女から手渡された"腕輪"だったのですね。それと継母ではなく継父である点も御伽噺との違いです。

本公演はバイエルン州立歌劇場のプロダクションをレンタルして上演されており、ジャン=ピエール・ポネルの演出はとてもシンプル。奇をてらうこともなく、ごく自然に音楽と舞台に集中できます。豪華絢爛や流行りの時代読み変えも否定はしませんが、私はシンプルなほうが好きだな~
緞帳が下りて、舞台転換の間に狭い空間で演じる場面が何回かありましたが、一幕でアリドーロがアンジェリーナを舞踏会に誘う場面は緞帳に映る影がなかなか効果的でした。

ディヴィッド・サイラス指揮、東京フィルは出だしの序曲のロッシーニ・クレッシェンドがいま一つ盛り上がりに欠けて不安が頭をよぎりましたが、幕が開くと杞憂に終わりました。何といっても歌手陣が素晴らしい。王子ドン・ラミーロ役のアントニーナ・シラグーザとその従者ダンディーニ役のロベルト・デ・カンディアは絶妙のコンビ。継父である男爵ドン・マニフィコ役のブルーノ・デ・シモーネが味のある演技で応えます。哲学者で王子の教育係アリドーロ役のギュンター・グロイスベックは舞台の進行を支え、同時に引き締めてくれますが、ちょっと物足りなかったかな。それにしても、途中まで従者に扮する王子シラグーザの美声の見事なこと!2幕初めに”彼女を探し出そう”と歌うアリアは驚異的なハイCで大喝采。遂にカバレッタのアンコールまで飛び出しました。オペラ公演でのアンコールは久しぶりです。熱狂に包まれたアンコールの直後、従者に戻ったダンディーニが”これでお役御免だ”と歌う出す部分も、実感こもり笑いが湧き出てきます。これもロッシーニオペラの魅力なのでしょう。

一方アンジェリーナ役のヴェッセリーナ・カサロヴァは長身でバリトンのような声質と深くて太い声。しかも陽気なイタリア人に囲まれた中でブルガリア人らしい?怪しい魅力が漂ってきます。最初はシンデレラのイメージと違うなという印象でしたが、2人の姉のキャラクターに比べて動きを抑え(それでも存在感絶大!)、チェネレントラ(灰かぶり娘)から王妃に至る内面の変化を見事に演じていました。抑制された声は底抜けに明るい王子と凄くバランスとれていましたが、王子よりも長身なシンデレラはイメージと違うかな(見た目ですが)・・・ふと3年前のセビリアの理髪師でロジーナを歌ったバルチェッローナを思い出してしまいました。あの公演ではアルマヴィーヴァ伯爵の背が低く、イスの上に立ってもロジーナに届かなかった。

演技のほうも皆さん芸達者。特にダンディーニ役(途中まで王子に変装)のカンディアはコミカルな動きに会場の笑いを誘っていました。クロリンダとティースベの二人の継姉を演じた日本人(幸田浩子と清水華澄)も熱演でしたが、国民性の違いなのかどうしてもオーバアクションになりすぎ、逆にそのアンバランスがとても楽しめました。セリフでも、3(サン!)とか、誰だ!とか突然日本語が飛び出し、先に紹介した王子アリアのアンコールもあって、舞台と客席が一体となった素晴らしい公演でした。

この「チェネレントラ」の完成はロッシーニが25歳の1817年。「セビリアの理髪師」や「オテッロ」が発表された翌年で、僅かな期間で大作を書き上げてしまったようです。モーツアルトと並ぶ天才ですね。当時のヨーロッパでは、モーツアルトよりもロッシーニのほうが人々の感性に合っていて絶大な人気を博したそうです。「セビリアの理髪師」に比べると、口ずさみたくなるようなメロディがすぐに思い出せないのですが、ガラコンサートで歌われる聞き覚えのあるアリアがいくつか出てきます。休憩一回をはさみ3時間10分近い長丁場ですが、軽やかな音楽とロッシーニ歌いによる超絶技巧と演技、大満足の一夜でした。


正面玄関の生け花です。
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新国立劇場 ドン・ジョヴァンニ初日

2008-12-06 17:52:16 | オペラ
昨日、ドン・ジョヴァンニの初日公演を聴いてきました。
インターネットでチケットの状況を調べたところ空席がかなりあり、チャンス!と仕事帰りに新国立劇場へ直行しB席を購入。この劇場のサイド席(3階L列前方)は初めての経験でしたが、舞台に近くオーケストラピットも見下ろせるため、値段の割にはお得でした。しかし、開演5分前まで携帯電話で仕事の話しをしていたため、プログラムを読む事前準備も無いまま本番突入!

実はこのオペラ、ビデオでは何度も見ていますが生で見るのは初めて。いきなり舞台奥にヴェネツィアの映像、そして手前にはゴンドラに乗って登場するドン・ジョヴァンニ。あれあれ?舞台は確かスペインのセビリアだったはず。初演はプラハ。何故ヴェネツィアなのか?と思いつつも美しい舞台に吸い込まれていきます。グリシャ・アサガロフの演出は劇場の奥行きと舞台装置を活用したもので古典的。光や色彩へのこだわりを感じました。「カタログの歌」では、巨大な人形が天井から降りてきたのはびっくり。レポレッロ曰く、スペインでは既に1003人・・・やっぱり舞台はスペインだ!この謎は幕間の休憩にプログラムを読んで解決しました。それは台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテと親交の深かった稀代の色男ジャコモ・カサノヴァの存在です。カサノヴァとドンジョヴァンニの人物像には多くの共通点があったことを意識し、カサノヴァが生まれ育ったヴェネツィアに設定したとのこと。なるほど考えたものですね。でも時代を18世紀末に設定されていたため作品との違和感は感じませんでした。

音楽は歯切れが良い。このオペラは"明"の軽妙さと"暗"の重厚さの交錯に特徴がありますが、前者に重点が置かれた音楽作りのように思えました。指揮者のコンスタンティン・トリンクスは1975年のドイツ生まれとのことで30才台前半、新国立劇場のHPには古楽の分野でも造詣を深めると紹介されています。レチタティーヴォでは自らチェンバロを演奏していました。
歌手は秀でたソリストがいない代わりに粒揃い。準主役級でもレチタティーヴォとアリア、重唱などバランスのとれたアンサンブルでモーツァアルトの世界を楽しめました。タイトルロールのルチオ・ガッロは演技、歌唱共に素晴らしかったです。今までビデオで見た主役に比べると軽めかな?という印象ですが、この舞台とアンサンブルには適役。レポレッロやドンナ・エルヴィーラとのやり取りも絶妙です。レポレッロのアンドレア・コンチェッティは身のこなしも軽く低音が魅力です。ドンナ・アンナ役のエレーナ・モシュクは全ての音域でムラが無く透明感ある声で、最後のジョヴァンニ邸晩餐の直前に歌われるアリアを完璧に決めていました。一方ドン・オッターヴィオ役のホアン・ホセ・ロペラは艶のある声で丁寧な歌唱に好感もてました。コロンビア生まれで医師の資格を持っているそうです。ドンナ・エルヴィーラ役のアガ・ミコライは高音が素晴らしかった。それにしてもモシュクさんもミコライさんもとても美しい方でした(^^♪。そして忘れてはいけない、ツェルリーナ役の高橋薫子さんも大奮闘。招聘キャストに引けをとらない美声を響かせていました。騎士長の長谷川顯も堂々とした演技と歌声です。真っ白な大理石の石像として登場した2幕は楽しめました。最初は墓の上で微動だにしなかったので、石像が歌ったり頷いたりした時にはジョヴァンニやレポレッロだけでなく観客の私もビックリ。ジョヴァンニ邸の晩餐に石像が招かれジョヴァンニを地獄へ引き込む場面は・・・ネタばれになってしまうので秘密にしておきます。予想外の展開でした。

モーツァルトのオペラを見たのは1994年のウイーン国立歌劇場公演「フィガロの結婚」以来なので実に14年ぶりです。ロココ様式の中にも古典派を通り越してロマン派の香りまで垣間見る、そんなモーツァアルトの音楽は、いつものヴェルディーやワーグナーに比べると人間の原点に戻れるような心の安らぎ与えてくれます。今日のようにふと思いつき気軽に音楽を楽しみたい時はモーツァルトがお薦めなのかもしれません。


幕間のロビーの風景です。すっかりクリスマスの装いでした。

ところで、今日は”うっかり”をやってしまいました。開演直前、仕事の件でドタバタしたため3階と4階を間違えてしまい、第一幕は何と1階上の4階サイド席で開演をむかえてしまったのです。さすがに舞台まで遠く、前のお客さんの頭が影になり全体を見渡すことが出来ません。でも予想外に音響は良く、特にソリストの声が響いてくるのにはびっくり。一方、正しい席に戻った第2幕は、舞台が近いにもかかわらずレポレッロの声が響いてきません。いつもは1階正面席で聞いているため響きを気にしたことがありませんでしたが、席によってこんなに聞こえ方が違うのですね。今回は予算をケチってしまいましたが、おかげで思わぬ発見がありました。
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ボローニャ国立歌劇場来日公演「リゴレット」ビデオ

2008-11-03 19:29:35 | オペラ
今日は文化の日。天気がぱっとしないため"音楽鑑賞の日"としました。午前中は、リストのピアノソナタロ短調やメンデルスゾーンの厳格な変奏曲ニ単調、ショパンの小品などを、「いつかは弾いていたい」と思いながら耳を傾け、午後からはオペラを聴くことに。昔のビデオテープを引っ張り出して悩んでいたところ先月末に新国立劇場で聞いたリゴレットを再び見たくなり、1993年にボローニャ歌劇場が初来日した際にフジテレビで放映された録画を楽しみました。

収録があった1993年6月19日(初日)は、奥さんと二人で東京文化会館まで見に行った公演です。いきなりイタリア・日本両国の国歌演奏から始まり、とても厳粛な雰囲気が漂っていました。音楽監督リッカルド・シャイーの若々しく躍動感溢れる音楽作り、そして父親としての苦悩と復讐を歌と演技でぶつけてくるレオ・ヌッチのリゴレットに感動したのを今でも思い出します。配役は以下の通りです。

 マントヴァ公爵 ヴィチェンツォ・ラ・スコーラ
 リゴレット    レオ・ヌッチ
 ジルダ      ルチアーナ・セッラ
 スパラフチーレ ニコライ・ギャウロフ


15年前の感動がビデオから伝わってきました。ヌッチのリゴレットの凄さ。今でもヨーロッパで大活躍のようですが、当時は50才台前半の絶頂期で声の張り、艶、凄みに感情表現が加わり見事です。2幕の悪魔がのり移ったかのような迫力には圧倒されました。ジルダのセッラはあまり記憶に残っていませんが、ビデオで見ると容姿が美しく透明感ある声で魅力ありました。公爵のラ・スコーラは当時30才台前半で、若々しいマントヴァ公を演じています。スコーラはこの3年後にフィレンツェ歌劇場の「ルチア」でグルベローヴァと競演し、この時のエドガルド役の印象が私には強烈に残っています。スパラフチーレのギャウロフは、私が生で聞いた最後のオペラ公演となりました。でも、ここぞという時の迫力はヌッチよりも上でした。演出は非常に簡素。舞台上の大きな鏡で公爵の宮廷と外の世界を分け、当時としては現代的なもので、私の記憶にも残っていました。

以上あれこれ思い出しながら、ビデオを2回も見てしまいました。テープにノイズがのりビデオデッキとの相性が悪いせいかトラッキングがずれていたため、無理やりマニュアルで調整。大変苦労したので、2回目はDVDにダビングしました。
しかし、録画には不満が残ります。やたらと指揮者のシャイーをクローズアップして、3幕の4重唱では中心に指揮者が浮かび上がる有様。最後のAh la maledizione! で終わる感動的な幕切れも、突然指揮者へ画像が切り替わりエンティングとなってしまいすっかり興醒めです。音楽監督でもあるシャイーへの配慮かもしれませんが、視聴者への配慮が足らないなという印象。フジテレビなので仕方ないか・・・

昔の公演録画を見ながらあれこれ思いをめぐらすのも、たまには楽しいものです。次はプロッティ演じるイタリア歌劇公演のビデオを見てみよう。

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新国立劇場 リゴレット初日

2008-10-25 23:10:44 | オペラ
新国立劇場「リゴレット」の初日を見てきました。舞台も音楽も充実した公演で、これこそイタリアオペラ!満足して帰ってきました。

本公演は、ルキーノ・ヴィスコンティの元で研鑽を積んだ故アルベルト・ファッシーニが新国立劇場のために演出した舞台の再演です。奥行きのある劇場空間を活用し、第1幕では回り舞台による場面転換を取り入れています。光と闇のコントラストが効果的で大変美しい舞台でした。でも第3幕のスパラスチーレの家は傾斜がきつく、特にリゴレットとジルダは外で立っているのが辛そうでした(笑)。
2000年の新国立劇場初演時にも私はこの演出を見ていますが、今回のほうが格段に印象に残りました。最近流行の時代の読み替えとか、奇をてらった演出にうんざりするこの頃なので、むしろ伝統的な演出のほうが新鮮に感じてしまうのかもしれません。
 
ダニエレ・カッレガーリの音楽は、東京フィルと新国立劇場合唱団そして粒揃いの歌手達からヴェルディの劇的な音楽を引き出していました。座席は一階4列目(ほぼ正面)で見たのですが、舞台の歌手に指示を送るカッレガーリの指揮棒の動きがよく見えて面白かったです。

タイトルロールを歌ったラード・アタネッリは初めて聞きました。若々しく魅力たっぷりです。第1幕の道化師役はとても芸達者、第2幕では響き渡る圧倒的な力強い歌声で魅了、そして第3幕のジルダが息絶え、Ah la maledizione! で終わる感動的な幕切れとヴェルディバリトンの本領発揮。素晴らしい歌唱と演技でした。但し、リゴレットの心の内側で起こる激しい葛藤を歌い上げる表現力という意味ではまだまだかな?という印象でした。今後の活躍が楽しみなバリトンです。

マントヴァ公爵を歌ったシャルヴァ・ムケリアは、アタネッリと同じグルジア生まれ。パンフレットに紹介されていた写真とはイメージが程遠く(外見上の話です)、キャストが変わったのかなと思ったほどでしたが、魅力たっぷりの公爵でした。高音の美声には思わず鳥肌がたつほどで、見事にハイCを決めていました。

そして、ジルダを歌ったアニック・マッシス。イタリアの声ではありませんが、私は満足しました。出だしこそ控えめでかつ不安定。この先でどうなるのか心配になりましたが、尻上りに本領発揮。何て美しく透明感溢れる歌声なのでしょう。一幕後半のアリア(慕わしい人の名は)が終わり、舞台が回転して場面転換しつつ声が消えていく場面は、感動ものでした。周囲(私の母親です)から思わず素晴らしい!の一言。終幕の息絶える場面も涙を誘いました。

主役3人を支える日本人キャストも粒揃いで、特にスパラフチーレを歌った長谷川顯とジョヴァンナ役の山下牧子が印象に残っています。そして東京フィルと合唱団は期待を裏切らない素晴らしさでした。前回のトゥーランドットは終演後にもやもやしたものが残りましたが、今日の公演は満足感に満たされて帰ることができました。
 
私は今回を含めて5回リゴレットの生演奏を聞いていますが、1993年のボローニャ歌劇場来日公演が一番印象に残っています。内面的な心の葛藤を歌い上げるレオ・ヌッチのリゴレットに衝撃をうけたのです。新国立劇場の2000年公演では、そのヌッチがリゴレットを歌う予定でしたがキャンセルになり、アレクサンドル・アガーケに代わりました。アガーケも今日のアタネッリも、これからが期待できるヴェルディ・バリトンです。 


これは新国立劇場正面に飾られていた活け花です。
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