竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

船涼し左右に迎ふる対馬壱岐  虚子

2017-02-18 | 虚子鑑賞
高浜虚子 「五百五十句」第6回 昭和十一年六月

船涼し左右そうに迎ふる対馬つしま壱岐いき



上海シャンハイの梅雨懐なつかしく上陸す
六月八日 朝七時、上海著。堀場定祥、大内水、下村非文、星野露頭仏、中田秋平、中原大烏来船。上陸、南市の半淞園プーソンユに行きそれより三菱商事の招宴にて月廼家にて田中三菱商事支店長等と会食。午後五時、閘北の新月花壇のすみれ会に列席。十一時から三菱銀行上海支店の竹内良男の説明にて、フランス租界八仙橋の黄金大戯場に支那芝居を観みる。

船涼し左右そうに迎ふる対馬つしま壱岐いき
六月十日 雑詠選了。対馬見え壱岐見え来る。大阪朝日九州支社より、帰朝最初の一句を送れとの電報あり。

戻り来て瀬戸の夏海絵の如し
六月十一日 朝六時甲板に立出で楠窓と共に朝靄あさもや深く罩こめたる郷里松山近くの島山を指さし語る。

夏潮を蹶けつて戻りて陸くがに立つ
六月十一日 神戸入港。名古屋の丹治蕪人、加藤霞村、加藤了谷。高松の村尾公羽、安藤老蕗。京都の松尾いはほ、平尾春雷、田中八重、田畑三千女、其他京阪神の諸君五、六十名の出迎を受く。蘆屋のとしを居に赴き晩餐。旭川、泊月に続いて『猿蓑さるみの』輪講のため三重史、大馬、涙雨、九茂茅、蘇城来り小句会。それより輪講に加はり午前一時頃帰船。

濁り鮒ぶな腹をかへして沈みけり

蠅はえよけもかぶせて猫は猫板に
六月十九日 家庭俳句会。発行所隣室にて。

朝顔の苗なだれ出し畚ふごのふち
六月二十二日 玉藻俳句会。丸ビル集会室。

籐椅子とういすにあれば草木花鳥来らい


対馬から大阪神戸へと寄港しながら旅を終えた
帰国の喜びが感じられる
帰国後はすぐに俳句会に参じている
芭蕉、一茶、子規などとは全く異なる旅吟が生まれた(丈士)
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