――夜を切り裂くような、けたたましいサイレン。
漆黒の街を赤く染め上げる回転灯の光。
その背景に溶け込むような色の影がひとつ、
ゆっくりと、立ち上がった。
Middle9(Master Scene) 夜魔 3月14日 p.m.09:39
周 ――って、事態は一体どうなってるんだ?
GM む、では時間を少し巻き戻して説明しよう。君たちが喫茶店で情報交換をしたその夜、突如として雨音の容態が急変した。
周 部屋にバタバタと駆け込んで呼びかける!「雨音!雨音!しっかりしろ!」
GM しかし雨音には、その呼びかけに応える余裕すらない。ただひたすら胸元を掻き毟るように締め付け、その呼吸はこれまで見たことがないほどに荒い。
周 急いで病院に連れて行く!ちょっと辛いかもしれないけど、雨音をバイクの後部シートに座らせて――
GM それはやめておけ。君がそういうことをしようとする前に、君の母親が病院に連絡を入れてくれている。5分後には救急車が到着するよ。
周 では俺も同乗して病院までついて行くぞ。同乗が無理でも、バイクで追いかける!
GM いや、それは母親に止められるぞ。「周、気持ちはわかるけど、あんたは家で待ってて。お父さんにも事情を説明してもらわなくちゃいけないし、こっちから連絡することもあるでしょうから」
周 う~~ん、いや、それでも気になるから、バイクで救急車の後を追っかけるぞ。
GM うい。了解。
修治 ちなみに私の方も雨音の容態の急変については気づいてるはず。
周 あ、では修治に家の見張りをメールで頼んでおこう。バイク運転しながらだがっ(笑)
GM (危ねえな、おい)……とまあ、そういうわけで雨音は救急車で搬送されるわけだが――ここでマスターシーンに切り替わる。
周 何かまた嫌な予感が……
母親の付き添いの下、救急車で搬送される少女。
先刻から少女の呼吸は極めて細く、しかし荒い。
「――病院はまだなんですかっ!?」
娘に必死に呼びかけながら、少女の母親は叫ぶ。
傍らの救急隊員がそれに応えようとした刹那、
不意に世界の色が反転し、同時に全身を締め付けるような圧迫感に襲われた。
苦しい。
声が出ない。
何が起こったのか理解できない……
次の瞬間、車体ががくんと揺れ、ハンドルが突然大きく右に切られたのを体感する。
見ると運転席に座っている彼の同僚も、先ほどまで娘に呼びかけていた母親も、
ともに自分と全く同じ症状に襲われていた。
一体これは、何なんだ?
次第に遠のく意識の中で、男はフロントガラスに張り付く影を見た。
1人の少女の影。
よくみればそれは、搬送中の少女によく似た顔立ちをしていた。
霞みがかった視界の向こうで、もう1人の少女の口元がきゅっと吊り上る。
そして口元の動きに合わせて、なぜか聞こえるはずのない少女の声が、
隊員の耳に不気味なほどにはっきりと聞こえた。
「・・・・・・見ぃつけた・・・・・・」
周 いぎゃああああああ!なんかヤバいことになってるーー!
修治 あの時少女の顔の描写がなかったのが気になってはいたんだが……こうきたか。
GM うひひひ。ではここでマスターシーンは終了だ。
Middle10 疾走 シーンプレイヤー:石動 周 3月14日 p.m.09:46
GM さて、それではミドル10いってみよー!
周 GM、さっきのマスターシーンの様子は、俺の位置からは見えていていいのかな?
GM いいよ。バイクで追跡してるって言ってたし、《ワーディング》張ったわけだしね。
周 では叡輝や修治にも連絡を入れてそのまま雨音を追う!(ころころ)――って、侵蝕率98!これで衝動判定が終わった時点で侵蝕率が100を超えることが確定しました。
修治 そ、それって、大丈夫なのか?
周 知るか!で、GM、状況をもう1度説明してくれ。
GM そうだな――君はバイクに跨って救急車を追っていたわけだが、前方を行く救急車に突然“人影のようなもの”が飛び移ったように見えたかと思うと、次の瞬間、周囲に《ワーディング》が展開される。
周 と、とりあえずフロントガラスに張り付いているらしい奴の顔を見る!
GM 君が見据えた視線の先にいるもの。その顔は、驚いたことに君の妹と瓜二つだった。
周 「あ、雨音……!?」思わずそう呟く。でも、そんなはずはない。雨音は今そいつが飛び移った救急車の中にいるはずなんだから。
GM 君が動揺を隠せないでいると、目の前の救急車は突如進行方向を右に変え、スピンするように電信柱に激突した!
周 くっ!こっちも半ば転倒するような感じでバイクを歩道に停めて、そのまま救急車に駆け寄る!
GM 激突時の衝撃で後部のハッチは開いた状態になっている。そこからは君の妹を含め、数名が重傷を負って倒れているのが見える。そしてもう1人、先ほど君がフロントガラス上に見た、妹と同じ顔を持つ少女の姿も。
周 「お、お前は――」
GM 少女は君の問いかけには答えず、なおも苦しそうな声を上げる雨音を抱き上げ、そのまま姿をかき消した。えーと、《猫の道》な。
周 うおっ!逃げられた!?一応追跡してみるけど、技能は?
GM <知覚>か<追跡>だ。
周 なら<追跡>で判定する。【精神】は7あって、侵蝕値でダイスがさらに3個振れる!(ころころ)1個クリティカルで13!
GM こっちは(ころころ)――だめだ!1個もクリティカルしてない。
周 「逃がすか!」雨音に向かって手を伸ばすぞ!
GM 君の伸ばした腕は、しかしほんの一瞬の差で雨音に届くことはなかった――えーと、対決はこっちの負けなんだが、今後の演出の都合で逃げていった方向だけはわかるということで。
周 ん、了解。ちなみにどっちの方向?
GM 君たちにとっては非常に思い出深い場所――そう、君たちが幼い頃誘拐され監禁されていた廃倉庫だ。
周 ああ!あそこか!
この手の逃走に関する対決に追跡側が勝利した場合、通常は逃走行為そのものが失敗するため、逃走側はシーンから退場することができない。
しかし今回の場合、次のシーンで確実にクライマックスに突入することが予想できること、さらにクライマックスに相応しい舞台を別途用意していたこともあったので、『相手に逃走は許したものの、逃げた方向だけはわかっている』という形でプレイヤーの了解をとった。
GM ちなみに場所は――ここな(地図に書き込む)
周 では大雑把な事情や廃倉庫の場所をメールで2人に送る。で、俺は一足先に廃倉庫へ向かう!正直な話、還ってこれるか心配なんだが、今はそんなこと言ってられない。
GM ちなみに修治の方にはそれと前後するようにUGNから《ワーディング》を感知したことを知らせる電話が入っている。
各務/GM 「――つい先ほどのことだが、2丁目の交差点付近で何者かがワーディングを展開するのを感知した」
修治 「知っています。私はこれからそのワーディングの主の所へ向かいます。場所は××町の外れにある廃倉庫。どうか応援をよろしくお願いします」
各務/GM 「わかった。では、こちらも至急応援を連れてそちらに向かおう」
修治 「よろしくお願いします」そう言って通信を切り、メールで知らされた場所に向かう。
GM おっけー。
叡輝 で、私の方も自転車を漕いでる最中にメールで場所を知らされて――「はぁ、はぁ――なに!?反対方向じゃないか!」(一同爆笑)
一同 おいっ!!
GM うはは。ではそんな具合に全員が廃倉庫に向かったところでシーンエンドだ。
2人に連絡を入れ、周は横倒しになったままのバイクを起こした。
跨る寸前、上着の内ポケットに入れたままの“包み”のことを思い出す。
――大丈夫、きっと渡せる。
自分に言い聞かせるように呟き、周はヘルメットを目深に被った。
漆黒の街を赤く染め上げる回転灯の光。
その背景に溶け込むような色の影がひとつ、
ゆっくりと、立ち上がった。
Middle9(Master Scene) 夜魔 3月14日 p.m.09:39
周 ――って、事態は一体どうなってるんだ?
GM む、では時間を少し巻き戻して説明しよう。君たちが喫茶店で情報交換をしたその夜、突如として雨音の容態が急変した。
周 部屋にバタバタと駆け込んで呼びかける!「雨音!雨音!しっかりしろ!」
GM しかし雨音には、その呼びかけに応える余裕すらない。ただひたすら胸元を掻き毟るように締め付け、その呼吸はこれまで見たことがないほどに荒い。
周 急いで病院に連れて行く!ちょっと辛いかもしれないけど、雨音をバイクの後部シートに座らせて――
GM それはやめておけ。君がそういうことをしようとする前に、君の母親が病院に連絡を入れてくれている。5分後には救急車が到着するよ。
周 では俺も同乗して病院までついて行くぞ。同乗が無理でも、バイクで追いかける!
GM いや、それは母親に止められるぞ。「周、気持ちはわかるけど、あんたは家で待ってて。お父さんにも事情を説明してもらわなくちゃいけないし、こっちから連絡することもあるでしょうから」
周 う~~ん、いや、それでも気になるから、バイクで救急車の後を追っかけるぞ。
GM うい。了解。
修治 ちなみに私の方も雨音の容態の急変については気づいてるはず。
周 あ、では修治に家の見張りをメールで頼んでおこう。バイク運転しながらだがっ(笑)
GM (危ねえな、おい)……とまあ、そういうわけで雨音は救急車で搬送されるわけだが――ここでマスターシーンに切り替わる。
周 何かまた嫌な予感が……
母親の付き添いの下、救急車で搬送される少女。
先刻から少女の呼吸は極めて細く、しかし荒い。
「――病院はまだなんですかっ!?」
娘に必死に呼びかけながら、少女の母親は叫ぶ。
傍らの救急隊員がそれに応えようとした刹那、
不意に世界の色が反転し、同時に全身を締め付けるような圧迫感に襲われた。
苦しい。
声が出ない。
何が起こったのか理解できない……
次の瞬間、車体ががくんと揺れ、ハンドルが突然大きく右に切られたのを体感する。
見ると運転席に座っている彼の同僚も、先ほどまで娘に呼びかけていた母親も、
ともに自分と全く同じ症状に襲われていた。
一体これは、何なんだ?
次第に遠のく意識の中で、男はフロントガラスに張り付く影を見た。
1人の少女の影。
よくみればそれは、搬送中の少女によく似た顔立ちをしていた。
霞みがかった視界の向こうで、もう1人の少女の口元がきゅっと吊り上る。
そして口元の動きに合わせて、なぜか聞こえるはずのない少女の声が、
隊員の耳に不気味なほどにはっきりと聞こえた。
「・・・・・・見ぃつけた・・・・・・」
周 いぎゃああああああ!なんかヤバいことになってるーー!
修治 あの時少女の顔の描写がなかったのが気になってはいたんだが……こうきたか。
GM うひひひ。ではここでマスターシーンは終了だ。
Middle10 疾走 シーンプレイヤー:石動 周 3月14日 p.m.09:46
GM さて、それではミドル10いってみよー!
周 GM、さっきのマスターシーンの様子は、俺の位置からは見えていていいのかな?
GM いいよ。バイクで追跡してるって言ってたし、《ワーディング》張ったわけだしね。
周 では叡輝や修治にも連絡を入れてそのまま雨音を追う!(ころころ)――って、侵蝕率98!これで衝動判定が終わった時点で侵蝕率が100を超えることが確定しました。
修治 そ、それって、大丈夫なのか?
周 知るか!で、GM、状況をもう1度説明してくれ。
GM そうだな――君はバイクに跨って救急車を追っていたわけだが、前方を行く救急車に突然“人影のようなもの”が飛び移ったように見えたかと思うと、次の瞬間、周囲に《ワーディング》が展開される。
周 と、とりあえずフロントガラスに張り付いているらしい奴の顔を見る!
GM 君が見据えた視線の先にいるもの。その顔は、驚いたことに君の妹と瓜二つだった。
周 「あ、雨音……!?」思わずそう呟く。でも、そんなはずはない。雨音は今そいつが飛び移った救急車の中にいるはずなんだから。
GM 君が動揺を隠せないでいると、目の前の救急車は突如進行方向を右に変え、スピンするように電信柱に激突した!
周 くっ!こっちも半ば転倒するような感じでバイクを歩道に停めて、そのまま救急車に駆け寄る!
GM 激突時の衝撃で後部のハッチは開いた状態になっている。そこからは君の妹を含め、数名が重傷を負って倒れているのが見える。そしてもう1人、先ほど君がフロントガラス上に見た、妹と同じ顔を持つ少女の姿も。
周 「お、お前は――」
GM 少女は君の問いかけには答えず、なおも苦しそうな声を上げる雨音を抱き上げ、そのまま姿をかき消した。えーと、《猫の道》な。
周 うおっ!逃げられた!?一応追跡してみるけど、技能は?
GM <知覚>か<追跡>だ。
周 なら<追跡>で判定する。【精神】は7あって、侵蝕値でダイスがさらに3個振れる!(ころころ)1個クリティカルで13!
GM こっちは(ころころ)――だめだ!1個もクリティカルしてない。
周 「逃がすか!」雨音に向かって手を伸ばすぞ!
GM 君の伸ばした腕は、しかしほんの一瞬の差で雨音に届くことはなかった――えーと、対決はこっちの負けなんだが、今後の演出の都合で逃げていった方向だけはわかるということで。
周 ん、了解。ちなみにどっちの方向?
GM 君たちにとっては非常に思い出深い場所――そう、君たちが幼い頃誘拐され監禁されていた廃倉庫だ。
周 ああ!あそこか!
この手の逃走に関する対決に追跡側が勝利した場合、通常は逃走行為そのものが失敗するため、逃走側はシーンから退場することができない。
しかし今回の場合、次のシーンで確実にクライマックスに突入することが予想できること、さらにクライマックスに相応しい舞台を別途用意していたこともあったので、『相手に逃走は許したものの、逃げた方向だけはわかっている』という形でプレイヤーの了解をとった。
GM ちなみに場所は――ここな(地図に書き込む)
周 では大雑把な事情や廃倉庫の場所をメールで2人に送る。で、俺は一足先に廃倉庫へ向かう!正直な話、還ってこれるか心配なんだが、今はそんなこと言ってられない。
GM ちなみに修治の方にはそれと前後するようにUGNから《ワーディング》を感知したことを知らせる電話が入っている。
各務/GM 「――つい先ほどのことだが、2丁目の交差点付近で何者かがワーディングを展開するのを感知した」
修治 「知っています。私はこれからそのワーディングの主の所へ向かいます。場所は××町の外れにある廃倉庫。どうか応援をよろしくお願いします」
各務/GM 「わかった。では、こちらも至急応援を連れてそちらに向かおう」
修治 「よろしくお願いします」そう言って通信を切り、メールで知らされた場所に向かう。
GM おっけー。
叡輝 で、私の方も自転車を漕いでる最中にメールで場所を知らされて――「はぁ、はぁ――なに!?反対方向じゃないか!」(一同爆笑)
一同 おいっ!!
GM うはは。ではそんな具合に全員が廃倉庫に向かったところでシーンエンドだ。
2人に連絡を入れ、周は横倒しになったままのバイクを起こした。
跨る寸前、上着の内ポケットに入れたままの“包み”のことを思い出す。
――大丈夫、きっと渡せる。
自分に言い聞かせるように呟き、周はヘルメットを目深に被った。
ついにクライマックスまでやってまいりました。
状況は動いてるけど未だわからない部分は多かったな。
ボチボチ行きましょ~。