龍の声

龍の声は、天の声

「日本維新の会は日本の夜明けかバブルか」

2012-09-16 05:58:34 | 日本

池田信夫さんは言う。
これは、今後の「日本維新の会」の動きを見る上で、極めて参考になる。



維新の会の選挙公約「維新八策」には、首相公選制や参議院の廃止など、憲法を改正しないとできない政策がかなりある。憲法を改正するには衆参両院の3分の2で発議して、国民投票による過半数の賛成が必要だ。最盛期の自民党でもできなかったことをどうやって実現するのかは具体的に示されていない。
衆議院議員の定数半減、地方交付税の廃止、消費税の地方税化なども打ち出されているが、どれも非常に困難だ。特に地方交付税を廃止すると、多くの自治体は財政が行き詰まるので、どの政党も賛成しないだろう。
社会保障では、年金を積立方式に移行するほか、負の所得税(低所得者への税の還付)や教育バウチャー(教育費の実物給付)も掲げている。これもほとんどの党が反対だ。公務員制度改革も、民主党が最優先課題に掲げたが何もできなかった。


こういう理想主義的な政策は経済学的にも合理的なものがあり、地域政党が将来の夢として掲げている分には問題はない。しかし国政に出て実行することは不可能だ。「維新八策」のような政策で、他党との政策協定を結ぶことができないからだ。
おそらく実際には、こうした政策は棚上げし、可能な範囲で政策協定を結ぶことになるのだろうが、そうすると既成政党との違いがなくなる。それを拒否すると、少数政党のままで何もできない。
そういうジレンマの中で第三極としての存在感を出せなかったみんなの党は、3年たっても衆議院5議席、参議院11議席のミニ政党のまま。今回3人の議員が離党し、消滅の危機に瀕している。維新の会も、今のまま他党と連携する戦略が立てられないと、第二の(大きめの)みんなの党になるおそれが強い。


最大の問題は、こういう大改革を実現する戦略がまったく描けていないことだ。橋下氏がいつも言うように、政治というのは学者の机上の空論とは違う。実際にできるかどうかがすべてで、実行できない政策はいくら理想的でも意味がない。
維新の会の場合は、比例区ではうまくいけば30人ぐらいは取れるかもしれない。小選挙区でも、大阪を中心に30人ぐらいの当選は可能かもしれない。うまくいって「国民の生活が第一」や公明党ぐらいの中規模政党になったとすると、自民・公明で過半数に達しない場合はキャスティングボートを握れる。
この場合は政策協定が必要になるが、前述のように「維新八策」では他党との協力は困難だ。橋下氏が「過半数を目指す」と言うのも、連携が困難だと知っているからだろう。
しかし衆議院で300議席以上を取った民主党でも何もできなかった。ボトルネックは国会ではなく、霞が関なのだ。
大阪なら「選挙が民意だ」と言うことで抵抗を押し切れるが、国家公務員は100万人。その権限も情報量も、大阪市役所とは比較にならない。これを変えるには、まだ数十年はかかるだろう。