日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

イタリアブックフェア2016春「翻訳絵本ができるまで 翻訳大賞からのスタート」(2016.4.3)@イタリア文化会館

2016年04月04日 | イタリアの本・絵本・雑誌
イタリアブックフェア2016春「翻訳絵本ができるまで いたばし国際絵本翻訳大賞からのスタート」に行ってきました(2016.4.3)@イタリア文化会館


満開の桜の中今年も行ってきましたイタリアブックフェア2016!!
今年のメインは「翻訳絵本ができるまで いたばし国際絵本翻訳大賞からのスタート」です!!

ブックフェアでは例年のように 文学 絵本 歴史 料理 デザイン写真 教育 社会 哲学 音楽 映画 地理紀行 言語 その他のカテゴリーで様々な本が売られていました 

つい最近友人がおススメしてくださった本も見つけました: イタリア文化55のキーワード  (近代国家として誕生した19世紀後半を分岐点に据え、都市国家から国民国家への転換がもたらした矛盾を浮き彫りにし、この一大転換を準備した多様な文化的事件を複眼的に見つめ直す。イタリア文化の立体像を鮮やかに描き出した一冊。和田忠彦著/ミネルヴァ書房)


まずは地下2階ホワイエで「最後はなぜかうまくいくイタリア人」の著者による本の紹介を聞きました とてもエネルギッシュで大きな声で喋り続けるパワー溢れた方でした!

以前この本を読んでおり ローマで働いていたという著者の話を聞くうちにふと 80年代にローマで働いていた知人が「イタリア人は昼食時間がとにかく長すぎる 私はさっさと食べて仕事に戻るけど」と言っていたのを思い出しました( *´艸`)

70年代の鉛の時代に種がまかれたものが 80年代半ばに世に出始め 80年代後半にはイタリアブームが起きたのと同じ頃にイタリアに駐在され目の当たりにしてきたこと 夕食に招かれて8時きっかりに行くとまだ誰も来ていないで困った話(笑) レストランで喋ってばかりで注文は一時間もあととか(笑) 分業の概念がなく気持ちが先走る仕事の仕方 それでも結果はそう変わらないものだと

日本のように最短最速を求められる国での仕事のストレスは大きい ただイタリア人も働き者であり働き方がちがうだけで ジャッジせずに理解して魅力を語るというスタンスで書かれた本です  


 本の感想は こちら


         *        *         *


終了後に一階の会場に戻ると「イタリアの絵本と音楽のコラボレーション Viva Vivace!」がちょうど「水おとこのいるところ」を朗読しているところでラッキー(*^^)v ゆっくりと展示を見ながら聞きました
olivetti design タイプライターから聞こえるスタッカートビート」という オリベッティの名機と広告ポスター展では デザインはとてもしゃれているものの 昔の重いキーの図体のでかいタイプライターの時代を懐かしく思い出したり 絵本邦訳大賞コーナー「あなたの言葉で絵本を」では 課題絵本と出版された日本語の絵本と講評が これはいつもいたばしボローニャ子ども絵本館で見ているものが展示されていました(^_^)


さていよいよ「翻訳絵本ができるまで いたばし国際絵本翻訳大賞からのスタート」が始まりました!! 先ほどの本の紹介と同じく 開会の挨拶も何もなく時間が来たら本人たちが話し始めるというイタリア式スタイルです~(笑)

きじとら出版から出た「とびっきりの おむかえ」の翻訳大賞受賞者 翻訳大賞審査員 絵本編集者の3名が語ります
この出版社はご自身も英語部門受賞者であられ 毎年商業出版されるわけではない状況を変えたいと お一人でたちあげた出版社で これからも大賞受賞作品を世に出されてゆくとのことで大きな希望です

いたばし絵本翻訳大賞の審査の過程は 応募数の2/3が作品を提出 (絵本を手元に置きたいだけのエントリーもあるということ) その中からすべてに目を通しての一次選考 これは誤訳がないかどうかというラインです 
次に日本語としての表現力 子供に近い文になっているか 等の視点から絞り込んでゆきます


大賞受賞者は かなり前に初挑戦されてから長いブランクを経て 5年連続での挑戦の結果大賞を受賞されたとのことで どのくらい意訳してもよいか悩まれたそうです 
たとえば 「丸パン」を 日本にある「メロンパン」と訳したことなど イタリアにはメロンパンはないので迷ったとのことですが そういう心配りがきらりと光っていたわけですね!!

審査員からは 接続詞(maなど)は必ずすべて訳さなくてはならないというわけではない 話がつながっていれば減点にはならないとのお話がありました 子供に近いことばに書きかえる工夫 また心にひびく日本語を とのこと

受賞の決め手は「sympatia」は辞書には 感じがいい、好感が持てる、とあるが 「すぐになかよくなれそうな(顔)」と訳したことだそうです
これには甥御さんの入園式でのエピソードがあり そのひらめきをもとに手直ししたところ受賞につながったそうですが 聞いていてすごく「まるごと取り組んでいる」感が伝わりました 

出版に際してタイトルを「とびっきりのびっくり」から より話の中身がわかる「とびっきりのおむかえ」に直したとのことで 編集者の方からは いつもは翻訳者の方の原稿は 受賞作品からさらに絵本のスペースに合わせて剪定された 削ったあとの原稿で それをいつも読んでいるが 今回は 受賞作を出版のために削ってゆくという前段階を見られたとのこと 

そしてなんといっても 自分の翻訳した絵本が 自分の家の近くのいつも行く本屋さんに並べられた時のあの感動!!  地元の新聞にも載ったそうです

そのあとは イタリアの児童書出版の現状についてお話がありました 仏 西の作家がイタリア人作家よりも多く出されていることや 日本では絵本は子供のものだがイタリアではビジュアルブックとして大人にも読まれている (子供をひとりの人間として見ており 子ども扱いしていない) またアーティスティックなものと 商業的なものとが両極端というお話がありました 

著者の声をいかにゆがめずに日本語にしてゆけるか」がカギだそうです
そして 翻訳者の翻訳能力は表には出ないが 日本語の表現が読者に伝わるのだ というお話 
児童書はそして 海外文学への扉であること イタリア文学の裾野を広げてゆきたい という夢も語っていただきました


イタリアブックフェア2016春(3.31~4.17)は こちら 

あとからイベントが追加されることがありますので要チェック!!


イタリア語 ブログランキングへ

にほんブログ村

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 実用イタリア語検定2級&CILS ... | トップ | 「ダ・ヴィンチ」展&カラヴァ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

イタリアの本・絵本・雑誌」カテゴリの最新記事