保健福祉の現場から

感じるままに

現役世代の糖尿病重症化予防は喫緊の課題

2016年10月27日 | Weblog
第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ていることは知っておきたい。例えば、HbA1cの8.4以上(NGSP)の人数が男女別・年齢階級別に出ており、各都道府県において、40代、50代の男性でかなり多いことがわかる。特定健康診査・特定保健指導の実施状況(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info03_h26.html)を踏まえれば、実際にはその倍以上存在するであろう。まさに、現役世代の糖尿病重症化予防は喫緊の課題である。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1021/shiryo_04.pdf)の資料「経済・財政一体改革 (社会保障改革)の取組状況」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1021/shiryo_04.pdf)p1で、糖尿病重症化予防(全国的に取組推進+平均以上は差を半減) 【▲約800億円】とあったが、様々な合併症を考慮すればもっと大きいかもしれない。日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/)の「導入患者の主要原疾患の割合推移」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p011.pdf)では「糖尿病性腎症」が圧倒的で、2014年の糖尿病性腎症による透析導入の平均年齢は67.2歳である(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p012.pdf)。これはまさに現役世代の健康管理の悪さが反映しているであろう。平成23年国民健康栄養調査(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h23-houkoku.html)の結果(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h23-houkoku-06.pdf)p182の「糖尿病を指摘されたことがある者における,治療の状況」では、40代・50代の治療継続者は半数以下である。国立循環器病研究センターがプレスリリース「<糖尿病実態アンケート調査結果>約半数の患者さんが血糖管理目標に達していない」(http://www.ncvc.go.jp/pr/release/005581.html)の調査結果で「①約半数が血糖管理目標に達していない、②特に50代後半から60代に血糖管理が悪い方が多い、③4割以上が眼科を定期受診していない、④8割以上が糖尿病連携手帳を所持していない」とあり、「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl-att/2r9852000002ecj9.pdf)p4では、「医師から糖尿病と言われたことがある人で、ほとんど治療を受けていない人は約4割で、また、定期通院を自己中断した主な理由としては、仕事が多忙であるとの理由が多く(51%)を占め、男性・若年・サラリーマンや専門職に中断が多くなっている」とあった。現役世代の健康管理が、将来の市町村国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を社会全体で持ちたい。「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)p1国保・後期高齢者医療「保険者努力支援制度の前倒し」は今年度からで、特別調整交付金(28年度分)に反映される。「保険者努力支援制度における評価指標候補」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160506S0020.pdf)の一つである「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)に取り組んでいる市町村も少なくないであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、保健事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。「保険者インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)はまさに現役世代こそ急務と感じる。定年退職後からの取り組みでは遅い。例えば、大企業が多い「健康保険組合」(http://www.kenporen.com/)や公務員の「共済組合」(http://www.kkr.or.jp/)(http://www.chikyoren.or.jp/)が率先して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)などに取り組むべきであろう。「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)の結果について、日本健康会議データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)に出ており、データマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)の都道府県地図をクリックし、「詳細」をみれば、それぞれの都道府県内の取り組み状況(市町村、保険者)が詳細にわかることは常識としたい。
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在宅医療の医療県別分析データの公表が必要

2016年10月27日 | Weblog
キャリアブレイン「在宅医療の受け皿整備、自治体が方針検討を- 財政審分科会で財務省」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49899.html)。<以下引用>
<財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会は27日の会合で、医療提供体制の改革について議論した。この中で財務省は、団塊世代が75歳以上になる2025年に向けて在宅医療などの対象患者の受け皿を準備するため、対応する医療機関や介護施設などを整備する方針などを自治体が検討する仕組みづくりを提案した。25年に向けて医療提供体制を整備するため、各都道府県が、地域ごとの将来の需要に見合った病床数などを定める「地域医療構想」の策定作業を進めている。同構想には、高度急性期と急性期、回復期、慢性期の4つの機能ごとに病床数を整備していくことで、今より効率的に医療を提供できるようにする狙いもある。また病床数の必要量は、入院しないで自宅などで治療を受ける患者の増加を見込んで推計している。今年度末までに全都道府県で策定される見込みだ。財務省はこの日の会合で、同構想が見込む在宅医療などを受ける患者の増加に対応するため、在宅医療を提供する医療機関や介護施設、高齢者住宅などの見通しを立て、整備を進める必要があると指摘。そうした患者の受け皿の整備方針などを、都道府県と市町村が調整・検討すべきだとした。■知事の医療保険上の権限強化なども提案 さらに、地域医療構想の実現に向け、医療機関同士の協議を進めるための制度改革も提案した。将来を見据えた病院の機能の転換は、自主的に進められるのが原則だが、話し合いで転換が進まない場合、都道府県知事が指示し、公立病院などの医療機関に転換を促すことができるルールになっている。しかし、医療法人などが運営する民間の医療機関には指示ができない。財務省は、民間医療機関に転換を命令できるように、都道府県の医療保険上の権限を強化すべきだとした。また、医療機関で実施されている診療行為のデータを病棟ごとに分析し、各機能の「定量的」な基準を定めることも提案した。そのほか、地域医療構想を踏まえた医師の需給のあり方にも言及。働く地域や診療科の偏在を是正するために都道府県の権限を強化し、保険医の定数設定といった「実効的な対策」を講じられるようにすべきだとした。■在宅医療増やす政策、医療費への影響は? 会合は非公開で行われたが、終了後に記者会見した吉川洋分科会長(立正大経済学部教授)は、都道府県の権限を強化する財務省案に賛同する委員がいたことを明らかにした。また委員から、在宅医療を受ける患者を増やす政策が医療費全体に及ぼす影響が明確でないと問題視する声が上がったことも紹介した。>

第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では在宅医療のレセプトについて都道府県別算定回数が出ているが、同一県内でも地域によって格差が大きいはずで、これでは使えない。「平成26年(2014)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)では、在宅医療サービスの実施状況が出ているのであるが、それぞれの地域における評価が関係者で共有されなければならない。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、全く不十分と感じる。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p35~46「地域包括ケアシステム推進のための取組の強化」、p48~65「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」について、それぞれの地域ではどうなのか、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)で、分析できるようにすべきである。そして、分析結果は地域における関係者間で共有される必要がある(ここが重要なポイント!)。しかし、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の主な改正内容」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000135183.pdf)にあるように、レセプト情報等の提供依頼申出者の範囲に「市区町村」が追加されていることを踏まえ、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも行政職員に直ちに開放すべきである。
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レセプト審査基準のバラツキへの対応が急務

2016年10月27日 | Weblog
メディウォッチ「NDBオープンデータから何が見えてくるのか―GHC湯原が分析例を提示」(http://www.medwatch.jp/?p=10932)。<以下引用>
<NDBオープンデータから、疾患別リハビリテーション料の算定状況を見ると、脳血管疾患等リハ(廃用以外)の算定回数が多い地域で、脳血管疾患等(廃用)や運動器リハの割合が低くなっている。ここには都道府県による「審査基準(査定基準)のバラつき」の影響があるのではないか―。このほど厚生労働省が公表した第1回NDBオープンデータから、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)の湯原淳平マネジャーはこのように分析します。疾患別リハ料の算定状況から、都道府県別の「審査基準のバラつき」が見えてくる NDBは、National Data Baseの略称で、レセプトと特定健診のデータを集積したものです。今般、公表されたオープンデータは、それらの一部を定式化して集計したもので、多くの研究機関などでの活用が期待されます。オープンデータでは、2014年度(2014年4月-2015年3月)診療分の▼医科診療報酬点数表項目▼歯科傷病▼薬剤データと、2013年度実施分の特定健診集計結果―が基礎データとなりました。初・再診料や入院基本料、加算、医学管理、検査、薬剤などの算定回数が都道府県別、性・年齢階級別に集計されています。ただしデータ量は膨大であり、「どこから見ればよいのか」と困惑しておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでメディ・ウォッチでは、GHCマネジャーの湯原による「NDBオープンデータを活用した分析」の一例を紹介します。湯原は、「リハは全国的に見て審査支払機関における査定の差が大きい」と指摘されている点に鑑み、疾患別リハ料に注目した分析を実施しました。まず入院における疾患別リハ料の算定状況を見ると、「脳血管疾患等リハ(廃用以外)の算定回数が多い地域では、脳血管疾患等(廃用)や運動器リハの割合が低くなっている」ことが伺えます。湯原をここから「ここには都道府県による『審査基準(査定基準)のバラつき』の影響があるのではないか」と見ています。また岡山県において、「脳血管疾患等リハ(廃用以外)の算定回数が低く、脳血管疾患等リハ(廃用)の割合が低い」点にも注目。湯原は「岡山県では審査支払機関のリハビリに対する考え方が独特という指摘もあり、今回のデータからもそういった状況が伺える」ともコメントしています。同じデータでも切り口によってさまざまに分析できることが分かります。査定の基準が都道府県間で、あるいは社会保険診療報酬支払基金(支払基金)と国民健康保険団体連合会(国保連)との間で異なる状況は以前から指摘されています。審査基準の統一化に向けて、支払基金では広く情報提供を行うなどの取り組みを行っていますが、まだまだ「審査基準の差は大きい」と指摘されています。湯原は、「実施しているリハビリに違いがないにも関わらず、地域によってリハビリ料の審査基準が異なってしまうのはおかしい」と強調。厚労省の検討会では、現在、支払基金のあり方を含めて審査基準の統一などを模索しており、具体的な方針の策定が期待されています。>

第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)によって、レセプト審査の地域格差が裏付けられるように感じる。医療費の地域差分析(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/iryohi_h26.pdf)をみれば、かなり格差が大きいことがわかる。団塊世代の高齢化に伴い、医療費はさらに増大するのは間違いないが、大きな地域差に注目すべきである。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「経済・財政一体改革推進委員会」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/index.html)の第2次報告(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/report_280428_1.pdf)p3「医療費適正化計画の策定による地域差「半減」」を認識したい(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1021/shiryo_04.pdf)。しかし、健康保険組合連合会から社会保険診療報酬支払基金への要請(http://www.ssk.or.jp/pressrelease/pressrelease_h28/press_280408_2.files/pressrelease_2804082_10.pdf)では、審査の充実強化として「健康保険組合からの指摘により確認された審査結果の異なる事例については、要因を分析し、その分析結果を情報開示するなど、健康保険組合が納得できる審査基準の統一化への対応に取り組んでいただきたい」「審査における支部独自の取決め事項(査定基準等)や取扱い(返戻等)については、その有無や内容を開示し、是正・統一化を図っていただきたい」「審査情報提供検討委員会で検討する事例については、検討対象を広げることで、審査格差の是正に努めていただきたい」とあったように、「支部独自の取決め事項(査定基準等)や取扱い(返戻等)」にかなり違和感を感じる。政府が医療費の地域差の「見える化」徹底を強調するのであれば、まずは、レセプト審査の地域差、審査機関差について、継続的に把握し、情報公開を徹底することが不可欠と感じる。レセプト審査基準の統一の政策的優先度は高いように感じる。果たして審査に携わる高齢医師の方々は医療の進歩に対応できているであろうか。当面「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=350947)の動向には注目したい。レセプト審査に関して「同じ疾患で同じ病院に入院した同じ年齢層の患者で、審査基準の差(国保と被用者保険)が生じるのはおかしい」と感じる方や「審査基準の地域差はおかしい」と感じる方が少なくないかもしれない。電子レセプトの審査について、将来的に人工知能の積極的採用は考えられないであろうか。試行的に、「生活保護の医療扶助電子レセプト」において全国統一で採用することも考えられるかもしれない。なぜ、電子レセプトが自治体ごとの審査に委ねられているのか、不思議に感じる方が少なくないかもしれない。例えば、電子レセプトの審査では「不自然なレセプト」の抽出は比較的容易であろう。
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療養費の不正

2016年10月27日 | Weblog
M3「マッサージ不正請求9億円 高齢者の保険食い物に 75歳以上、はり・きゅうも 訪問距離、回数水増し」(https://www.m3.com/news/general/470993)。<以下引用>
<高齢者向けが大半を占めるマッサージ、はり・きゅう治療で、施術者が回数や訪問距離を水増しするなどして、75歳以上が加入する健康保険に療養費(治療費)を不正・不適切に請求し、返還を求められたケースが2011年度からの5年半で約4万8千件、約9億円に上ることが25日、共同通信の調査で分かった。あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師は国家資格で、筋肉のまひや神経痛などの施術は、医師の同意があれば健康保険の対象となる。75歳以上の療養費は患者負担(原則1割)のほか、現役世代を含む保険料と税金で賄われており、不正な事業者の食い物になっている形だ。背景には高齢化で患者数が増え、自宅や老人ホームへの訪問施術にビジネス目的で参入する事業者が相次いだことがある。厚生労働省は近く対策を打ち出す方針だが、施術者が患者の代わりに療養費を請求することが多く、不正が発覚しにくい構造のため、実効性を疑問視する声も出ている。不正の手口は、(1)高く設定されている出張料(往療料)を狙い、訪問距離を実際より長くして請求(2)高齢者の記憶が曖昧なことにつけ込み、施術回数を水増しして申告(3)保険適用に必要な医師の書類を偽造―など。調査は9~10月、75歳以上が加入する47都道府県の後期高齢者医療広域連合を対象に実施した。不正・不適切な請求をした施術所は計200カ所。返還請求額は11年度の約1億4400万円から、15年度は約2億1千万円に増えた。16年度も既に約8700万円に上っており、5年半で計約9億200万円。広域連合が刑事告訴した例は少なく、返還は約4億8200万円にとどまる。都道府県別では、和歌山が約1億5800万円と最多で、大阪が約1億2200万円、神奈川が約1億200万円と続いた。一方で、東京、千葉などの都市部や、北海道、長野、熊本など15都道県は「なし」と回答。調査や返還請求に消極的な広域連合もあるとされ、今回明らかになった不正は全体の一部にすぎないとみられる。※療養費 都市部などで営業するマッサージ店と異なり、国家資格のあん摩マッサージ指圧師、はり師やきゅう師の施術には、健康保険から療養費が支給される。ただし対象は脳出血後のまひ、神経痛など一定の疾患で、医師の同意も必要。本来は患者がいったん全額を施術者に支払った後、自己負担を除いた分を健康保険から受け取る「償還払い」が原則だが、施術者が患者負担分を受け取り、代わりに療養費を請求する「代理受領」のケースが多い。療養費を巡っては、整骨院などの柔道整復師による不正も相次いでいる。>

M3「モラル低下、業者荒稼ぎ 医師やホームと結託も 「表層深層」マッサージ費用不正9億円」(以下引用)。<以下引用>
<マッサージ、はり・きゅうの療養費(治療費)を狙った「高齢者ビジネス」が横行している。老人ホームなどで多数の患者を紹介してもらい、1度の訪問で出張料(往療料)を荒稼ぎするなど手口は巧妙。高齢化の進行で患者が増え続ける中、事業者のモラル低下に歯止めがかからない。▽ATMのよう 訪問施術を受け入れてもらうため有料老人ホームの事務長に月10万円のリベート、不正が発覚しないようホーム職員と口裏合わせ..。2012年に和歌山市内の事業者が療養費の返還を求められたケース。75歳以上の人が加入する和歌山県の後期高齢者医療広域連合の調査では、こんな実態が明らかになった。実際にホームを訪れたのは1人だけだったが、3~4人が施術したことにして、出張料を水増し請求。保険適用に必要な医師の同意書は、ホームと協力関係にある医師が押印した白紙の書類を用意し、施術者側が勝手に作っていたという。不正に受け取った療養費は約1億1千万円。事務長への"袖の下"にも、国民の保険料や税金が間接的に回っていた形だ。多額の不正受給は今年に入ってからも、静岡県で約6700万円の事例が発覚。ある広域連合の元職員は「会社員の健保組合に比べると、広域連合のチェックは甘い傾向にあり、一部の事業者からは申請書を送ればお金が出てくる現金自動預払機(ATM)のように見られている」と話す。▽無料体験 多くの関係者が問題視するのが、ビジネス目的で参入してきた新規の事業者だ。「経営者が『もうかりそうだ』と目を付けて、マッサージ師などの資格がある人を多数雇い、巧みに制度の抜け穴を突いている」(マッサージ師団体幹部)。広域に展開するチェーンやフランチャイズもある。「無料体験」で患者を獲得する手法も広がっている。関西地方のマッサージ師は「業界では、保険が適用されるケースでも、あえて患者負担分を徴収しないことがよくある」と証言。75歳以上の患者は原則1割を負担するが「健康保険から9割分の療養費が入ってくれば、利益を出せるからだ」と明かす。だが患者の一部負担金は健康保険法などで定められ、徴収しないのは本来なら違法。患者が「タダなら受けたい」と考え、不要な施術を招く恐れもある。▽主張が対立 マッサージ、はり・きゅうの療養費はここ数年、大きく伸びているが、整骨院などの柔道整復に比べるとまだ4分の1ほど。規模が小さく、問題が見過ごされてきた。制度的な不備もある。マッサージなどの療養費については、施術者の指定・登録や行政の指導監督権限が法令で定められていないため、チェックが行き届かない。厚生労働省は不正防止策を検討しており、近く工程表を示す方針だ。療養費は本来、患者が全額を支払った後、健康保険に自分で請求する仕組み。ただ患者の負担が大きいため、施術者側が代わりに請求する「代理受領」が広く認められている。全日本鍼灸マッサージ師会の往田和章(おおた・かずあき)副会長は「行政側が施術者と契約を結ぶ正式な制度に変え、指導監督する形が適当だ」と提案する。厚労省も同様の考えだが、健保組合などは「すでに同様の制度を取り入れている柔道整復師の療養費でも不正は続いており、対策に逆行する」と反発し、主張が対立している。>

柔道整復療養費検討専門委員会における議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000136735.html)、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会における議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000136720.html)が出ているが、果たしてこれで療養費の不正が防げるであろうか。例えば、①、②医療保険データベース(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)のような地域差分析を含む情報公開、③介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.jp/)のような施設情報の公表制度などがあってもよいように感じる。④立入検査のあり方も問われてもよいかもしれない。そういえば、「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正について(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/160923-01.pdf)が出ているが、アップ項目が多い。まずは療養費(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken13/index.html)に対する社会的関心を高める必要があるかもしれない。報道では「会社員の健保組合に比べると、広域連合のチェックは甘い傾向にあり、一部の事業者からは申請書を送ればお金が出てくる現金自動預払機(ATM)のように見られている」とあるが、医療費適正化のような地域差縮減策を打ち出すべきであろう。
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患者の価値中心は地元優先ではいけない

2016年10月27日 | Weblog
M3「医師の働き方ビジョン検討会、「患者の価値中心」が第一 検討のたたき台整理、今年内に中間報告」(https://www.m3.com/news/iryoishin/471023)。<以下引用>
<厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は10月25日、第2回会議を開催、今後の検討のたたき台として、(1)患者の価値中心、(2)キャリアデザインに中立的、(3)生産性と質の向上、(4)経済活力(イノベーション・国際化)への貢献、(5)地域住民の生活を深く支える――という5つのビジョンを提示した。(1)と(5)はオーバーラップするため、実質的に4つのビジョンとして整理される見通し。今後、各ビジョンについて議論を深め、2016年内に中間報告、2016年度内に最終報告をそれぞれ取りまとめる方針。これらのビジョンには現時点では言及していないが、医師の偏在対策や専門医についても、「検討のスコープから外さない」(厚労省医政局医事課長の武井貞治氏)。ビジョン検討会については、社会保障審議会医療部会と、「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」が、医師の偏在対策や医師需給に関して議論していることから、その位置付けが曖昧との指摘が出ている。会議後にブリーフィングした武井課長は、ビジョン検討会は、「医師需給分科会」の中間取りまとめを踏まえて発足したものであり、社保審医療部会と「医師需給分科会」は、まず医師の偏在対策について2016年内をめどに議論すると、改めて説明。医師需給については今後、厚生労働科学研究費補助金による研究班で現状等の調査を今実施する。2016年度内にまとまる同調査の結果と、ビジョン検討会の最終報告を踏まえて、「医師需給分科会」で将来推計を行う。もっとも、医師の偏在対策については、本ビジョン検討会の中間報告、社保審医療部会と「医師需給分科会」の議論は、同時並行的に進むため、「省として、整合性は図っていく」(武井課長)ものの、いまだこれらの関係性については不透明な部分が残る。ITによる医師の働き方の変化も視野 第2回会議で示された5つのビジョンは、10月3日の第1回会議の議論を踏まえたもの。それぞれについて「目指すべき姿」と「課題・イッシュー」を整理している。厚労省医政局によると、特徴の一つが、医療提供側ではなく、「患者の価値中心」というビジョンを第一に掲げている点だという。このビジョンの「目指すべき」姿として、(1)患者の複合的なニーズ・多様な価値観に応え、患者の価値を常に維持向上させる能力と、それを育成するキャリアが構築できる、(2)多様な職種、住民とのチームで患者と向き合う、(3)治療に関して、患者・家族の意思決定や意向を尊重し、巻き込むためのコンピテンシーが確保される、(4)疾病予防や重症化予防等のため、患者の意識を高めながら参加を促す――が並ぶ。また「地域住民の生活を深く支える」では、「まちづくり」の視点も盛り込んでいる。そのほか、医師の働き方を考える上での医療機関のマネジメントの重要性、医療技術やITの進歩による医師の生産性の向上や働き方の変化などについても、今後の論点になる。>

「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)の資料「今後の検討の全体構造(たたき台)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000140893.pdf)p3「ビジョン;地域住民の生活を深く支える」の課題・イシュー(例)として「▪地域医療や地域包括ケアシステムとまちづくりが連動するための仕組みや人間関係を構築するための方策が存在するか ▪自治体が能動的に関与するための能力育成や国との健全なコミュニケーションを行う環境ができているか ▪医療機関や医療職が、地域社会を支えるリーダーとなり、あるいは連携する体制が採られているか。医療や介護の提供に際して、地域社会との関わり方について明確な方針を持つことができているか」が目にとまった。まちづくりの前提として、人材育成が欠かせないであろう。「患者の価値中心」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000140871.pdf)は当然であるが、例えば、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の具体的推進に不可欠である「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)ではどれほど勘案されているであろうか。入院患者の増加・外来患者の増加で経営改善を図る病院が少なくないであろうが、それは必ずしも地域住民の幸福につながらないことは認識したい。また、「患者の価値中心」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000140871.pdf)は、地元の病院にすべての医療機能を揃えるということではない。医師の働き方ビジョンは住民側、医療機関側、行政側の自立と協働のトライアングルが不可欠と感じる。さて、総務省「公営企業の経営戦略及び新公立病院改革プランの策定状況」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439913.pdf)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000149.html)では、都道府県別の策定状況(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439915.pdf)も出ているが、地元ではどれほど話題になっているであろうか。「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)すらまともに打ち出せないで、働き方ビジョンはあり得ない。
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外来時定額負担とかかりつけ医の普及

2016年10月27日 | Weblog
メディウォッチ「かかりつけ医は普及すべきだが、外来定額負担には反対、かかりつけ医の定義も曖昧―社保審・医療保険部会」(http://www.medwatch.jp/?p=10960)。<以下引用>
<「かかりつけ医以外の外来を受診した場合の、別途の定額負担」を導入しても、かかりつけ医の普及にはつながらないのではないか。そもそもかかりつけ医の定義が明確でない―。26日に開かれた社会保障審議会の医療保険部会では、委員からこういった指摘が相次ぎました。骨太方針2015などで検討を指示されたテーマですが、医療保険の専門家は「却下」という結論を出したと言えます。ほとんどの委員が「かかりつけ医以外受診での外来定額負担」に反対 安倍晋三内閣が2015年6月に閣議決定した骨太方針2015(経済財政運営と改革の基本方針)では、「かかりつけ医の普及」を目指し、外来の定額負担について検討するよう厚生労働省に指示。同年12月に経済財政諮問会議が決定した「経済・財政再生アクションプログラム」でも、同様の指示がなされています。具体的には、「患者がかかりつけ医以外の外来を受診した場合に、現行の1-3割の定率負担とは別に『定額負担』を導入する」ことの是非が検討テーマとなります。経済・財政再生計画 改革工程表(抜粋2)、かかりつけ医以外の外来受診について定額負担の導入を2016年末までに検討するよう求めている しかし26日の医療保険部会では、ほとんどの委員がこのテーマについて「反対」を表明しました。反対の理由として、まず「『かかりつけ医』の定義が不明である」という点があげられます。日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)では、2013年8月に、かかりつけ医とは「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義しました。しかし、ほとんどの委員は「共通認識になっていない」「定義があいまいである」と指摘しています。また多くの委員があげた反対理由の2つ目に、「仮にかかりつけ医がいたとして、『かかりつけ医以外』を受診した場合の定額負担をどう運用するのか」という点があります。例えば、高齢者では「眼科のかかりつけ医は●●先生、内科のかかりつけ医は◆◆先生」といった具合に、多くのかかりつけ医を持つ方も少なくありません。逆に若者は「かかりつけ医を持っていない」ケースも少なくありません。こうしたケースでは、どのように定額負担を課せばよいのかが極めて難解です。さらに、新谷信幸委員(日本労働組合総連合会副事務局長)や松原謙二委員(日本医師会副会長)らは、2002年の健康保険法等改正法の附則第2条に反するとも指摘します。附則第2条では「将来にわたって7割の給付を維持する」とされており、ここに定額負担が導入されれば、この規定を反故にすることになってしまうからです。この点、2015年の健保法等改正、2016年度の診療報酬改定で導入された「紹介状を持たずに特定機能病院などを受診した場合の定額負担(初診時5000円以上、再診時2500円以上)」は本規定に反しないかが気になりますが、松原委員は「身近なクリニックなどを受診し、紹介状を書いてもらえば定額負担は発生しない」ことから、本規定との齟齬はないとの見解を示しています。また白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)や菊池令子委員(日本看護協会副会長)らは「定額負担を課すことで、かかりつけ医の普及が進むのか」という点にも言及しています。ただし、ほんとの委員は「外来の機能分化を進めるために、かかりつけ医の普及を促進することは極めて重要」との見解も強調しています。上記の大病院における定額負担や、2014年度診療報酬改定で導入された地域包括診療料・地域包括診療加算は、外来医療の機能分化を進めるものです。高機能の大病院に軽症患者が数多く受診することは、「高機能病院でなければ受けられない医療が必要な患者」のアクセスを阻害し、医療従事者の過剰負担を招くため、機能分化が求められていますが、まだ十分とは言えないようです。今回の外来定額負担は医療保険部会として「却下」の烙印を押されましたが、外来機能分化をさらに進める方策を練って行く必要性は薄れていません。スイッチOTC薬の給付率引き下げ、別の高額薬剤にシフトしてしまうのでは 26日の医療保険部会では、「スイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付率を下げるべきか」というテーマについても議題となりました。やはり骨太方針2015などで指示されているテーマです。スイッチOTCとは、医療用医薬品としての使用実績などを踏まえて、「その成分は安全性が比較的高く、OTC(一般用医薬品など)として適切である」と判断された医療用医薬品のことです。最近では、消炎鎮痛剤のロキソプロフェンナトリウム水和物(外用)(ロキソニンゲルなど)がスイッチOTC化されました。一般用医薬品は全額自己負担であるのに、同じ成分の医療用医薬品では1-3割の自己負担で済んでいることなどに鑑み、骨太方針では▼公的保険の役割▼セルフメディケーションの推進―などを考慮して、見直しを検討するよう求めています。このテーマについては、さまざまな角度からの反対意見がありました。薬剤の専門家である森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「仮にスイッチOTCの給付率を下げれば、かえってより高額な医薬品へのシフトが生じてしまい。安価で安全性の高い医薬品の使用が阻害されてしまう。スイッチ化にもブレーキがかかるのではないか」と指摘し、反対姿勢を明確にしました。また前述の外来定額負担と同様に、「将来にわたって7割の給付を維持する」との規定に反するとの指摘もあります。一方、白川委員は「そもそもスイッチOTCは保険給付から除外すべきである」と指摘した上で、超高額薬剤を含めた薬剤の保険給付そのものという大きなテーマで議論する必要があると指摘しています。このようにさまざまな意見があり、医療保険部会としての合意は形成できていません。>

キャリアブレイン「外来・在宅を一体で診るかかりつけ医評価へ-医療費適正化計画で外来が変わる(2)」(http://www.cabrain.net/management/article/49870.html)。<以下一部引用>
<前回論じたように、国は「医療費適正化計画」を強力に推進している。現在、7対1看護配置要件の厳格化など、急性期病床の絞り込みを図り、在宅移行を推進するなど、機能分化・連携を通じた入院医療費に焦点が当てられているが、今後は生活習慣病の重症化予防など、入院外医療費についても「適正化」が進むことは間違いない。病院・診療所で外来診療に携わる関係者も、適正化計画に注目すべきだ。2015年度の介護報酬改定でも、「適正化」が進められ、16年度の診療報酬改定で導入された「かかりつけ薬剤師」は、調剤報酬の「適正化」にもつながるものだった。18年度診療・介護報酬同時改定では、外来診療評価において同様の「適正化」の動きがある可能性は高いだろう。在宅医療の評価では、既に施設等在宅の評価が「適正化」されている。厚生労働省は、全国のレセプトデータのほとんどを網羅するNDB(National Database)などの活用を通じ、ビッグデータに基づいた評価を推し進めている。急性期におけるDPCや主治医(かかりつけ医)機能評価、回復期リハビリにおける評価の包括化は、そのような流れの一つだろう。そして、外来の各段階で、評価の包括化は進んでいくだろう。介護保険への移行が進むリハビリなどは、入院を含めてすべてが包括化されるかもしれない。>

医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の「かかりつけ医の普及の観点からの 外来時の定額負担について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000141012.pdf)p5は特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院について、現行の選定療養の下で定額の徴収が責務とされているが、p4選定療養による初再診において特別の料金徴収は「病床数が200床以上の病院であって、地方厚生局に届け出たもの」ができる。したがって、まずは「紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入」の対象病院の要件引き下げ(例えば一般病床200床以上の病院)が考えられるであろう。なお、かかりつけ医の普及策として、地域包括診療料・地域包括診療加算の算定は期待される。社会保障ワーキング・グループ(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/index.html)の資料(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/280711/sankou2.pdf)p16「都道府県別の地域包括診療料を届け出た施設数」、p17「都道府県別の地域包括診療加算を届け出た施設数」をみれば、非常に低調であることがわかる。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p36・p37「地域包括診療料・地域包括診療加算の施設基準の緩和」、p35、p37「認知症地域包括診療料・認知症地域包括診療加算」によってどうなるか注目される。地域包括診療料については200床未満の病院も算定でき、在宅医療の提供も役割の一つになっていることは認識したい。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p35~46「地域包括ケアシステム推進のための取組の強化」、p48~65「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」について、それぞれの地域ではどうなのか、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)で、分析できるようにすべきである。そして、分析結果は地域における関係者間で共有される必要がある(ここが重要なポイント!)。しかし、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の主な改正内容」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000135183.pdf)にあるように、レセプト情報等の提供依頼申出者の範囲に「市区町村」が追加されていることを踏まえ、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも行政職員に直ちに開放すべきである。
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精神保健指定医の不正取得

2016年10月27日 | Weblog
NHK「精神保健指定医の不正取得 計89人処分を発表」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161026/k10010745351000.html?utm_int=news_contents_news-main_003)。<以下引用>
<重い精神障害がある患者に強制的な入院が必要かどうかなどを判断する精神保健指定医の資格について、厚生労働省は、不正に取得していた全国の49人の医師と、その上司にあたる指導医40人の合わせて89人を対象に資格を取り消す処分を発表しました。これは、26日に開かれた審議会の答申を受けて、厚生労働省が発表しました。それによりますと、精神保健指定医の資格を不正に取得していたのは、全国の国公立や私立の大学病院などに勤務していた49人の医師で、いずれも定められた症例を十分に診療していないのに、しているように装うなどして国に報告していたということです。厚生労働省は、上司にあたる指導医40人と合わせて89人を対象に資格を取り消す処分を行ったということです。さらに、現在資格を申請していて、不正が疑われていた5人の医師のうち1人は申請を取り下げ、残る4人は申請を却下したということです。一方、ことし7月に、相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件で、逮捕された男の措置入院の診断に関わった医師の1人についても、厚生労働省は資格を不正に取得していたと認定しましたが、本人が資格の返上を申し出たため、対象には含まれていないということです。今回の処分について、厚生労働省は、「このような事態は精神科医療の信頼を大きく損なうものだと考えている。今後は信頼を回復できるよう対応を検討していきたい」とコメントしています。「精神保健指定医」の資格をめぐっては、去年4月、川崎市の聖マリアンナ医科大学病院で、11人の医師の不正取得が明らかになり、厚生労働省が平成21年から27年7月にかけて資格を申請した全国の3000人余りの医師を対象に調査を進めていました。「精神科医療への信頼揺るがす事態」精神障害がある患者や家族で作る全国精神保健福祉会連合会の小幡恭弘事務局長は、「精神保健指定医の資格には人権に関わる強制的な入院を決める権限があるのにその資格を不正に取得していたことは、精神科医療への信頼性を揺るがす大変な事態であり、医師の責任の重さや人権感覚が弱まっているのではないかと不安を抱いている。国には監督責任があり、このような不正が繰り返されないよう原因などをしっかりと検証するべきだ」と話していました。精神保健指定医とは「精神保健指定医」とは、精神障害のある患者が他人を傷つけるおそれがある場合などに強制的な入院が必要かどうかを判断する専門の医師の資格です。強制的な入院には人権に配慮した専門的な判断が求められるため、都道府県などが、患者本人や家族の同意なしに入院させる「措置入院」の際は2人、患者本人の同意を得ずに家族などの同意だけで入院させる「医療保護入院」では、少なくとも1人の指定医が「必要だ」と診断することが要件となっています。資格を取得するには、3年以上の精神科での実務経験に加え、統合失調症や、児童・思春期の精神障害、それに認知症など、8種類の症例について診療を行ったうえでレポートを国に提出し、国の審査を経て厚生労働大臣が指定します。厚生労働省によりますと、精神保健指定医の数は精神障害のある人の増加を背景に年々増え、ことし4月の時点で全国で1万4707人に上っています。強制的な入院の件数も増え続け、医療機関からの届け出は、平成26年度の措置入院と医療保護入院で合わせて17万件を超えました。資格不正取得問題の経緯 「精神保健指定医」の資格の取得をめぐって不正が明らかになったのは、去年4月でした。川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院で、11人の医師が、先輩のレポートをコピーして使い回すなどして、不正に資格を取得していたことがわかり、厚生労働省は、上司の指導医と合わせて23人の資格を取り消し業務停止の処分にしました。さらに、厚生労働省は、ほかの医療機関でも不正がなかったか調べるため、提出されたレポートをデータベース化し、コピーなどがないかチェックしてきました。そのうえで、医療機関で保管されているカルテと照らし合わせ、医師への聞き取りを進めてきましたが、多くの医師に不正が疑われたため、調査は長期化しました。ことし7月に相模原市の知的障害者施設で、入所者などが刃物で刺されて19人が死亡、27人が重軽傷を負った事件では、逮捕された元職員の措置入院の診断に関わった医師の1人に、資格を不正に取得していた疑いが発覚しました。この医師は、資格の返上を申し出たため今回の処分の対象には含まれていませんが、厚生労働省が設置した事件の検証チームは、「措置入院をめぐる判断は妥当だったが、制度に対する信頼を損ねたことは重大な問題」と指摘しました。「医局のなれ合い あったのでは」厚生労働省の調査の対象となった男性医師の1人は、精神保健指定医の資格を不正に取得していた医師の上司にあたる指導医でした。NHKの取材に対し、この指導医は部下の不正取得には気付かなかったとしたうえで、「いいかげんに資格をとった医師が治療にあたっているとなれば、信用がなくなる。指導医として確認すべき事をしていなかったという責任を感じるので処分を受け入れる」と謝罪しました。そのうえで、不正がまん延していた実態については「前の年に資格をとった先輩の医師からアドバイスをもらう中で、同じ症例を使うなどこれくらいなら許されるだろうという医局のなれ合いがあったのではないか」と話しました。さらに、大学病院では、資格の取得に必要な症例が集まりづらいと指摘したうえで、「かつては医局員が大学から関連病院に派遣され、そこで必要な症例を診察することができたが、今は、医局員が少なく、派遣する余裕がない」などと現場の状況を話しました。「制度の見直し必要では」日本精神神経学会の元理事長で、さいたま市にある大宮厚生病院の小島卓也副院長は「精神保健指定医の資格は、患者の人権を守りながら治療にあたるための制度であり精神科医療には不可欠な資格にもかかわらず、今回の事態で患者などに対して不安と不信感をまねいた」と批判しました。そのうえで、資格の不正取得が広がっている背景について、「取得に必要な8症例の中には児童思春期などなかなか集まりにくい症例もある。制度ができてから30年近くがたっており、当時とは環境が違ってきているので、制度の見直しが必要ではないか」と指摘しています。>

「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=373375)が注目を浴びているが、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=321418)の「医療保護入院のあり方分科会における論点整理」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000138404.pdf)では、①医療保護入院制度についてどのように考えるか、②医療保護入院の同意のあり方についてどのように考えるか、③医療保護入院の必要性・妥当性をどのように審査するべきか、④移送を含む医療へのアクセスを確保するための手段について、どのように考えるか、⑤入院中の患者の意思表明支援について、いわゆる「代弁者」のあり方も含めどのように考えるかの論点が掲げられているも認識したい。措置入院、医療保護入院には精神保健指定医は大きな存在であるが、絶対視すべきではないように感じる。精神科病院に対する実地指導(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaisei_seisin/dl/tsuuchi-16.pdf)(http://www.city.niigata.jp/kensaku/youkou/files/public/03978.pdf)も重視したいところである。
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障害児福祉計画

2016年10月27日 | Weblog
キャリアブレイン「日医が小児在宅医療の検討委員会発足- 来年度中に答申取りまとめへ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49879.html?src=catelink)。<以下引用>
<日本医師会(日医)は26日の記者会見で、小児在宅医療の在り方を検討する委員会を発足させたことを明らかにした。周産期や小児医療の進展で、小児の死亡率が減少する一方で、障害や慢性疾患により長期の在宅療養を必要とする患児が増えているとの現場の声を受け、実態を把握した上で、小児在宅医療の提供体制についての提言などをしていく方針だ。この委員会の名称は、「小児在宅ケア検討委員会」。日医で初めて、小児在宅医療に特化して本格的に議論する。小児期だけでなく、思春期や若年成人のAYA(Adolescent and Young Adult)世代も対象となる。来年1月に第1回の会合を開催し、関係者からヒアリングをする予定だ。来年度中の答申の取りまとめを目指している。委員会は、田村正徳・埼玉医科大総合医療センター小児科教授や前田浩利・医療法人財団はるたか会理事長ら10人の委員で構成される。日医の松本吉郎常任理事が担当役員となる。同日の記者会見で、委員会の論点について松本常任理事は、「小児在宅医療に対応する医療機関の拡充や人材育成に向けた方策、小児の地域包括ケアシステムの在り方、都道府県医師会や郡市区医師会の役割などになる」と述べた。>

障害者部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)の「「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」について(経過)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000128863.pdf)に出ているように、障害児計画は平成30年度からである。6月3日「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280603/renkei_suishin.pdf)が発出されていたが、医療的ケア児には小児慢性特定疾病児も少なくないであろう。「平成30年度に向けた障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139973.pdf)p8「医療的ケアを必要とする障害児支援のための保健・医療・福祉・教育等の関係機関の協議の場の設置」とあるが、「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138129.pdf)に示す保健医療福祉施策との連携が欠かせないであろう。なお、小児医療は医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の柱の一つである。医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第30条の3第1項に基づく「医療提供体制の確保に関する基本方針」、第30条の8に基づく「医療計画作成指針」、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)の改定は今年度末であり、医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)にも注目である。平成30年度から第5期障害福祉計画、第1期障害児福祉計画、第7次医療計画が揃う意義は小さくないように感じる。健やか親子21(http://sukoyaka21.jp/)との連携は当然であろう。
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