朝日新聞「医師・看護師の働き方ビジョン策定へ 多死社会備え 厚労省検討会」(http://www.asahi.com/articles/ASJB452S8JB4UBQU00R.html)。<以下引用>
<団塊世代の高齢化に伴う「多死社会」の到来や医療現場の技術革新などに伴う新しい医療のあり方と、医師・看護師の働き方を議論する厚生労働省の有識者検討会が3日始まった。勤務実態なども調べ、医師・看護師の働き方や将来のあるべき姿をビジョンとして来年2月にもまとめ、夏ごろまでには国の分科会で需給推計を行う予定だ。団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、年間の死者数は現在より20万人多い150万人を超えると推計されている。厚労省によると、多死社会の到来による看取(みと)りニーズの増大や、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)などの医療現場への導入による革新、医師と看護師、医療職と介護職の役割分担を含めた、新たな医療のあり方を話し合う。3日は委員からこうした論点のほか、医療現場に詳しい医療機関の経営管理の人材育成などを求める声が出たという。今後検討会は女性だけでなく、男性医師の勤務実態について、病院・診療所などの職場別に調査し、医師や看護師らの働き方を見直し、ビジョンとしてまとめる方針。ビジョンを踏まえ、来年夏ごろまでに、医師や看護師らの将来需給について、各分科会でそれぞれ議論し、詳細な推計を行う。■医療を取り巻く状況の変化を踏まえた新たな医療の在り方(例)・多死社会の到来による看取(みと)りニーズの増大 ・病床機能の分化・連携、療養病床の見直し ・在宅医療・介護、地域包括ケアの推進 ・総合診療専門医・かかりつけ医の普及 ・医療ICT(情報通信機器)等インフラ整備やAI(人工知能)等によるイノベーション ・医療従事者間、介護従事者との役割分担、業務負担の軽減 ・働き方改革>
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p4「医師の需給推計の結果について(暫定)」では、「2024年頃に需要推計(中位)と供給推計が均衡」「2033年頃に需要推計(上位)と供給推計が均衡」とあるが、この供給推計に来年4月からの「国際医療福祉大学医学部」(http://narita.iuhw.ac.jp/igakubu/)は勘案されているのであろうか。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p4「供給推計においては、今後の医学部定員については、平成28年度の9,262人が維持されるとして推計。」と注釈がついている。前提が異なる資料で議論されることに違和感がある。もう一つ気になるのは、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p13「2025年に向けた看護職員の推計と確保策」で「■社会保障・税一体改革の試算による看護職員の必要数 は「2025年に約200万人 ■2025年で約3万人~約13万人分の需給ギャップ」の点である。看護職員需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)で6月10日に「看護職員の需給推計方法(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000126968.pdf)が示され、厚労省スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117664.pdf)では8月第3回会合「需給推計方法を確定後、都道府県の需給推計ツールを策定し、各都道府県で需給推計を実施。」、10月第4回会合「都道府県推計の集約」とあった。資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p9「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積上げ)」は看護師の需給推計に大きく影響するのは間違いない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138747.pdf)p22「都道府県別にみた人口10万対看護師・准看護師数」はかなり都道府県格差が大きいが、p23「都道府県別にみた病院の病床100対看護職員数」では格差は小さい。すなわち、病床数が変われば看護師の需要が変わるということであり、審議会資料は、新たな看護職員の需給推計に差し替えられる必要がある。看護職については、中医協「入院医療(その7)について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000106597.pdf)p49「7対1から10対1入院基本料に変更する場合に 一時的に複数の入院基本料の届出を認めた場合のイメージ」にあるように、7対1から10対1入院基本料に変更された場合、病院病棟の看護職員の雇用数が大幅に減ることになる。日経メディカル「2016年改定で病床再編を迫られた急性期病院の選択」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/inoue/201604/546510.html)の「7対1病棟維持のための選択肢」で「救急車の受け入れ件数を大きく増やそうとする急性期病院も出てくると思われますが、医療スタッフの負担もあるため、そこは慎重にすべきでしょう。また、10対1看護体制に変更した場合、看護師が過剰になるため、余剰になった看護スタッフの処遇が問題となります。」とあった。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138747.pdf)p27「看護師および准看護師学校養成所の1学年定員の推移」も踏まえたい。 平成29年度開設予定の大学等の設置に係る答申(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1376289.htm)では看護学科が目立っている(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_01_1.pdf)(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_02_2.pdf);看護学科の開設は岩手保健医療大学80人、(福井医療大学60人;短大からの振り替え)、福岡看護大学100人、岩手医科大学90人、秀明大学80人、東京情報大学100人、聖カタリナ大学80人。とにかく、国の審議会において、前提が異なる「過去資料」に固執するのはおかしい。ところで、資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p43「各都道府県における医療勤務環境改善支援センターの設置状況 (平成28年9月1日現在)」が出ているが、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターの活動は医療従事者にどれほど知られているであろうか。「働き方ビジョン検討」以前の話である。
<団塊世代の高齢化に伴う「多死社会」の到来や医療現場の技術革新などに伴う新しい医療のあり方と、医師・看護師の働き方を議論する厚生労働省の有識者検討会が3日始まった。勤務実態なども調べ、医師・看護師の働き方や将来のあるべき姿をビジョンとして来年2月にもまとめ、夏ごろまでには国の分科会で需給推計を行う予定だ。団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、年間の死者数は現在より20万人多い150万人を超えると推計されている。厚労省によると、多死社会の到来による看取(みと)りニーズの増大や、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)などの医療現場への導入による革新、医師と看護師、医療職と介護職の役割分担を含めた、新たな医療のあり方を話し合う。3日は委員からこうした論点のほか、医療現場に詳しい医療機関の経営管理の人材育成などを求める声が出たという。今後検討会は女性だけでなく、男性医師の勤務実態について、病院・診療所などの職場別に調査し、医師や看護師らの働き方を見直し、ビジョンとしてまとめる方針。ビジョンを踏まえ、来年夏ごろまでに、医師や看護師らの将来需給について、各分科会でそれぞれ議論し、詳細な推計を行う。■医療を取り巻く状況の変化を踏まえた新たな医療の在り方(例)・多死社会の到来による看取(みと)りニーズの増大 ・病床機能の分化・連携、療養病床の見直し ・在宅医療・介護、地域包括ケアの推進 ・総合診療専門医・かかりつけ医の普及 ・医療ICT(情報通信機器)等インフラ整備やAI(人工知能)等によるイノベーション ・医療従事者間、介護従事者との役割分担、業務負担の軽減 ・働き方改革>
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p4「医師の需給推計の結果について(暫定)」では、「2024年頃に需要推計(中位)と供給推計が均衡」「2033年頃に需要推計(上位)と供給推計が均衡」とあるが、この供給推計に来年4月からの「国際医療福祉大学医学部」(http://narita.iuhw.ac.jp/igakubu/)は勘案されているのであろうか。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p4「供給推計においては、今後の医学部定員については、平成28年度の9,262人が維持されるとして推計。」と注釈がついている。前提が異なる資料で議論されることに違和感がある。もう一つ気になるのは、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p13「2025年に向けた看護職員の推計と確保策」で「■社会保障・税一体改革の試算による看護職員の必要数 は「2025年に約200万人 ■2025年で約3万人~約13万人分の需給ギャップ」の点である。看護職員需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)で6月10日に「看護職員の需給推計方法(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000126968.pdf)が示され、厚労省スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117664.pdf)では8月第3回会合「需給推計方法を確定後、都道府県の需給推計ツールを策定し、各都道府県で需給推計を実施。」、10月第4回会合「都道府県推計の集約」とあった。資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p9「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積上げ)」は看護師の需給推計に大きく影響するのは間違いない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138747.pdf)p22「都道府県別にみた人口10万対看護師・准看護師数」はかなり都道府県格差が大きいが、p23「都道府県別にみた病院の病床100対看護職員数」では格差は小さい。すなわち、病床数が変われば看護師の需要が変わるということであり、審議会資料は、新たな看護職員の需給推計に差し替えられる必要がある。看護職については、中医協「入院医療(その7)について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000106597.pdf)p49「7対1から10対1入院基本料に変更する場合に 一時的に複数の入院基本料の届出を認めた場合のイメージ」にあるように、7対1から10対1入院基本料に変更された場合、病院病棟の看護職員の雇用数が大幅に減ることになる。日経メディカル「2016年改定で病床再編を迫られた急性期病院の選択」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/inoue/201604/546510.html)の「7対1病棟維持のための選択肢」で「救急車の受け入れ件数を大きく増やそうとする急性期病院も出てくると思われますが、医療スタッフの負担もあるため、そこは慎重にすべきでしょう。また、10対1看護体制に変更した場合、看護師が過剰になるため、余剰になった看護スタッフの処遇が問題となります。」とあった。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138747.pdf)p27「看護師および准看護師学校養成所の1学年定員の推移」も踏まえたい。 平成29年度開設予定の大学等の設置に係る答申(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1376289.htm)では看護学科が目立っている(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_01_1.pdf)(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_02_2.pdf);看護学科の開設は岩手保健医療大学80人、(福井医療大学60人;短大からの振り替え)、福岡看護大学100人、岩手医科大学90人、秀明大学80人、東京情報大学100人、聖カタリナ大学80人。とにかく、国の審議会において、前提が異なる「過去資料」に固執するのはおかしい。ところで、資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p43「各都道府県における医療勤務環境改善支援センターの設置状況 (平成28年9月1日現在)」が出ているが、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターの活動は医療従事者にどれほど知られているであろうか。「働き方ビジョン検討」以前の話である。