保健福祉の現場から

感じるままに

医療従事者の需給と前提が異なる資料

2016年10月05日 | Weblog
朝日新聞「医師・看護師の働き方ビジョン策定へ 多死社会備え 厚労省検討会」(http://www.asahi.com/articles/ASJB452S8JB4UBQU00R.html)。<以下引用>
<団塊世代の高齢化に伴う「多死社会」の到来や医療現場の技術革新などに伴う新しい医療のあり方と、医師・看護師の働き方を議論する厚生労働省の有識者検討会が3日始まった。勤務実態なども調べ、医師・看護師の働き方や将来のあるべき姿をビジョンとして来年2月にもまとめ、夏ごろまでには国の分科会で需給推計を行う予定だ。団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、年間の死者数は現在より20万人多い150万人を超えると推計されている。厚労省によると、多死社会の到来による看取(みと)りニーズの増大や、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)などの医療現場への導入による革新、医師と看護師、医療職と介護職の役割分担を含めた、新たな医療のあり方を話し合う。3日は委員からこうした論点のほか、医療現場に詳しい医療機関の経営管理の人材育成などを求める声が出たという。今後検討会は女性だけでなく、男性医師の勤務実態について、病院・診療所などの職場別に調査し、医師や看護師らの働き方を見直し、ビジョンとしてまとめる方針。ビジョンを踏まえ、来年夏ごろまでに、医師や看護師らの将来需給について、各分科会でそれぞれ議論し、詳細な推計を行う。■医療を取り巻く状況の変化を踏まえた新たな医療の在り方(例)・多死社会の到来による看取(みと)りニーズの増大 ・病床機能の分化・連携、療養病床の見直し ・在宅医療・介護、地域包括ケアの推進 ・総合診療専門医・かかりつけ医の普及 ・医療ICT(情報通信機器)等インフラ整備やAI(人工知能)等によるイノベーション ・医療従事者間、介護従事者との役割分担、業務負担の軽減 ・働き方改革>

新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p4「医師の需給推計の結果について(暫定)」では、「2024年頃に需要推計(中位)と供給推計が均衡」「2033年頃に需要推計(上位)と供給推計が均衡」とあるが、この供給推計に来年4月からの「国際医療福祉大学医学部」(http://narita.iuhw.ac.jp/igakubu/)は勘案されているのであろうか。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p4「供給推計においては、今後の医学部定員については、平成28年度の9,262人が維持されるとして推計。」と注釈がついている。前提が異なる資料で議論されることに違和感がある。もう一つ気になるのは、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138743.pdf)p13「2025年に向けた看護職員の推計と確保策」で「■社会保障・税一体改革の試算による看護職員の必要数 は「2025年に約200万人 ■2025年で約3万人~約13万人分の需給ギャップ」の点である。看護職員需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)で6月10日に「看護職員の需給推計方法(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000126968.pdf)が示され、厚労省スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000117664.pdf)では8月第3回会合「需給推計方法を確定後、都道府県の需給推計ツールを策定し、各都道府県で需給推計を実施。」、10月第4回会合「都道府県推計の集約」とあった。資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p9「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果(全国ベースの積上げ)」は看護師の需給推計に大きく影響するのは間違いない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138747.pdf)p22「都道府県別にみた人口10万対看護師・准看護師数」はかなり都道府県格差が大きいが、p23「都道府県別にみた病院の病床100対看護職員数」では格差は小さい。すなわち、病床数が変われば看護師の需要が変わるということであり、審議会資料は、新たな看護職員の需給推計に差し替えられる必要がある。看護職については、中医協「入院医療(その7)について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000106597.pdf)p49「7対1から10対1入院基本料に変更する場合に 一時的に複数の入院基本料の届出を認めた場合のイメージ」にあるように、7対1から10対1入院基本料に変更された場合、病院病棟の看護職員の雇用数が大幅に減ることになる。日経メディカル「2016年改定で病床再編を迫られた急性期病院の選択」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/inoue/201604/546510.html)の「7対1病棟維持のための選択肢」で「救急車の受け入れ件数を大きく増やそうとする急性期病院も出てくると思われますが、医療スタッフの負担もあるため、そこは慎重にすべきでしょう。また、10対1看護体制に変更した場合、看護師が過剰になるため、余剰になった看護スタッフの処遇が問題となります。」とあった。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138747.pdf)p27「看護師および准看護師学校養成所の1学年定員の推移」も踏まえたい。 平成29年度開設予定の大学等の設置に係る答申(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1376289.htm)では看護学科が目立っている(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_01_1.pdf)(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_02_2.pdf);看護学科の開設は岩手保健医療大学80人、(福井医療大学60人;短大からの振り替え)、福岡看護大学100人、岩手医科大学90人、秀明大学80人、東京情報大学100人、聖カタリナ大学80人。とにかく、国の審議会において、前提が異なる「過去資料」に固執するのはおかしい。ところで、資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p43「各都道府県における医療勤務環境改善支援センターの設置状況 (平成28年9月1日現在)」が出ているが、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターの活動は医療従事者にどれほど知られているであろうか。「働き方ビジョン検討」以前の話である。
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医療機能情報データベース

2016年10月05日 | Weblog
キャリアブレイン「中小病院に労力を強いる「病院情報の公表」-データで読み解く病院経営(7)」(http://www.cabrain.net/management/article/49738.html)。<以下一部引用>
<■1日時点で評価される「病院情報の公表」 2016年度の診療報酬改定では、機能評価係数Ⅱの保険診療指数の項目として「病院情報の公表」が追加され、17年度から評価されることとなった。この「病院情報の公表」は、12年度診療報酬改定を検討する中で、機能評価係数Ⅱの追加項目として、診療情報の提供や活用等、診療の透明化や改善の努力に対する評価を目的に検討が進められた。検討がスタートしてから実際に項目の追加を決めるまでに、かなりの時間を要した理由は定かではないが、評価内容の性質上、緊急性を有するものではなく、優先順位はさほど高くなかったのではないか。10月1日は、17年度のDPC係数の評価が決定する日であり、各病院のウェブサイトに指標が公開できているか否かが「病院情報の公表」の評価ポイントであった。同日、さまざまな病院のウェブサイトを見たところ、筆者の確認した30余りの病院では、すべての病院において病院情報が公表されていた。■病院への指示から評価まで驚くほど短期間 病院情報の公表は、検討開始から導入決定まで長い歳月を要した。にもかかわらず、国が実際の指標に関する集計条件や作業手順の案を示したのは、公表期限のわずか2カ月弱前の8月10日の事務連絡であった。短期間での対応は、多くの医療機関にとって大きなストレスだったと聞いている。検討期間の長さを考えると、現場に負担を強いる無計画さには憤りを感じる。なお、全病院が一律で評価されるのをよしとせず、ふるい落としの意味で、意図的に評価までの期間を短くしていたのだとしたら、あきれて物が言えない。病院情報の公表の目的の一つに、各病院でデータ分析を行う人材の育成を挙げているのであればなおのこと、作業手順の指示から評価まで十分に時間を取るべきだったのではないか。>

厚労省「DPC導入の影響評価に関する調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html)で個別病院の情報は公開されているが、DPC評価分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128164)の「病院情報の公表」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000136365.pdf)の公表項目である、1)年齢階級別退院患者数、2)診療科別症例数の多いものから3つ、3)初発の5大癌のUICC 病期分類別ならびに再発患者数、4)成人市中肺炎の重症度別患者数等、5)脳梗塞のICD10 別患者数、6)診療科別主要手術の術前、術後日数症例数の多いものから3つ、7)その他 DICの請求率等、は医療計画・地域医療構想の関係者は常識としたい。公表項目は、医療法に基づく病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)や医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)の「一定の情報」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6a.pdf)とも整合を図ってもよいかもしれない。なお、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は厚労省でデータベース化されている。都道府県に配布され、職員研修もされており、分析データを活用したい。しかし、病床機能報告は一般病床と療養病床だけであって、精神病床は除外されている。医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)はすべての医療機関対象であり、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)の「一定の情報」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6a.pdf)について、「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/05/tp0531-1.html)や診療報酬仮定等との整合を図り、データベースとして活用すべきと感じる。DPCにはデータ提出加算(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/04/dl/tp0421-1.pdf)があるが、負担を感じるような「情報の公表」には診療報酬での評価も考えられるであろう。
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市町村別の死亡数推計が必要

2016年10月05日 | Weblog
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)の資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p2~p5「多死社会の到来」が出ているが、地域によってかなり事情が異なるであろう。市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)だけではなく、死亡数推計がぜひ必要と感じる。資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p28「地域包括ケアシステム(医療介護総合確保促進法第2条第1項)」にはQOD(クォリティ・オブ・デス)を盛り込む必要がある。そういえば、日本創成会議「高齢者の終末期医療を考える ―長寿時代の看取り―」(http://bookstore.jpc-net.jp/detail/books/goods003835.html)が出ていたが、それぞれの地域において、「長寿時代の看取り」を考えたいものである。
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