東京新聞「軽度者介護保険サービス 「生活援助」維持の方向」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016100702000137.html)。<以下引用>
<厚生労働省は六日、介護保険制度の見直し案のうち、介護の必要度が低い要介護1、2の人向けの訪問介護である「生活援助」サービスの見直しを見送る方向で検討に入った。介護保険サービスから外し自治体の事業へ移行させることを検討しているが、介護現場の負担を考慮した。生活援助は、自宅で生活する高齢者にヘルパーが調理や買い物、掃除などの訪問介護サービスを提供する。現在は、利用料の一割(一定所得のある人は二割)を利用者が負担、残りは介護保険から支出している。軽度の人の利用が多く「ヘルパーを家政婦のように使っている」との指摘もある。厚労省は、生活援助について保険給付から外し自治体の事業に移すことを検討してきた。地域の実情に合ったサービスを提供するとの理由だが、支援体制が整わない自治体によってはサービス縮小も懸念されている。政府は高齢化に合わせて介護保険の財政支出の抑制を進める方針。自治体への事業移行は費用抑制の狙いもある。介護保険は要支援1、2と要介護1から5までの七段階。現在、要介護1より状態が軽い要支援の訪問・通所介護を介護保険の給付対象から外し、二〇一七年度まで三年をかけ自治体の事業に移行させている。これに続き、要介護1、2の人の生活援助サービスを移行させれば、自治体や介護現場に負担がかかるため、移行の実態を見極める必要があると判断した。検討を続ける社会保障審議会介護保険部会でも委員から「時期尚早だ」「家庭に入ってのケアは専門性も必要。(保険外しは)後々重度化や命に関わる」などの声が上がっていた。事業者の報酬引き下げなどで介護費用を抑えることも検討する。財務省は、軽度の人の自己負担増も求めており、年内に結論をまとめる。見直し議論では、福祉用具レンタル支援の自己負担引き上げ、一定所得のある人の自己負担二割の拡大、保険料支払い開始年齢の「四十歳」からの引き下げなども検討している。<介護保険の生活援助> 訪問介護サービスの一つで、掃除や調理、洗濯、買い物などをする。入浴や食事の介助、おむつ交換など利用者に直接触れる「身体介護」と区別した類型。45分以上の生活援助の場合、事業者に支払われる報酬は約2500円で、利用者の負担はその1~2割。「要介護1、2」で訪問介護を利用している人の半数程度は生活援助が中心だ。より軽度の「要支援1、2」の訪問介護は介護保険から切り離され、2015~17年度の間に市区町村事業へ移行することになっている。>
財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料「社会保障①(総論、医療・介護制度改革)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281004/01.pdf)p48「軽度者に対する生活援助サービスの在り方」では「移行の前提として、以下の見直しを行い、制度趣旨に沿った適正利用を徹底すべき。 ・ 民間家事代行サービスの利用者との公平性や中重度者への給付の重点化の観点から、保険給付の割合を大幅に引き下げる。 ・ 生活援助により、どのように重度化の防止や自立支援につながるのかをケアプランに明記することを義務付ける。」とあり、まずは「移行の前提」が必要であろう。公的介護保険において「生活援助により、どのように重度化の防止や自立支援につながるのかをケアプランに明記」は当然である。そういえば、全国介護保険・高齢者保健福祉担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000108007.html)の資料「介護予防・日常生活支援総合事業の実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000108005.pdf)が出ていたが、行政側には、地域住民に対する情報公開を徹底し、ともに考え、取り組む姿勢が不可欠と感じる。「介護予防・日常生活支援総合事業」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)が進むにしたがって、要支援者に対する業者の介護予防サービスの減少が顕著になるのは間違いないが、「介護予防サービスの大幅減 ⇒ サービス低下」と短絡してはいけない。「新しい総合事業の移行戦略 地域づくりに向けたロードマップ」(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060201/files/2016070100197/sougoujigyou_ro-domappu.pdf)が出ており、ぜひ参考にしたい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000126549.pdf)p7~p16で介護予防の取り組みによって要介護認定率が低下した事例が紹介されているが、データヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/index.html)は介護分野でも重要である。介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の「介護保険総合データベースの活用」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000137700.pdf)p4「保険者による地域の実態把握・課題分析のための基盤を整備し、都道府県・市町村の介護保険事業計画の作成、実施及び評価、並びに国民の介護保険事業の運営に関する実情の把握に資するため、①市町村による国に対する介護給付費や要介護認定等に関するデータの提出を法律上位置づけるとともに、②国は、市町村から提供されるデータを集計・分析し、地域包括ケア「見える化」システムを通じて、各都道府県・市町村の地域分析に資するようなデータ(地域差に関するデータを含む。)を提供することとしてはどうか。」「NDBの取組を踏まえ、データベースをより有効活用するために、データの利用目的が公益性の高い場合には、第三者提供を可能にしてはどうか。その場合の、データを提供する対象、データ利用に係る手続き等については、別途、検討の場を設けて検討することとしてはどうか。」「医療と介護のデータを合わせた分析・利活用については、「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」の議論の状況を踏まえつつ、検討していくこととしてはどうか。」とあったが、エビデンスの積み重ねと情報公開徹底が不可欠と感じる。
<厚生労働省は六日、介護保険制度の見直し案のうち、介護の必要度が低い要介護1、2の人向けの訪問介護である「生活援助」サービスの見直しを見送る方向で検討に入った。介護保険サービスから外し自治体の事業へ移行させることを検討しているが、介護現場の負担を考慮した。生活援助は、自宅で生活する高齢者にヘルパーが調理や買い物、掃除などの訪問介護サービスを提供する。現在は、利用料の一割(一定所得のある人は二割)を利用者が負担、残りは介護保険から支出している。軽度の人の利用が多く「ヘルパーを家政婦のように使っている」との指摘もある。厚労省は、生活援助について保険給付から外し自治体の事業に移すことを検討してきた。地域の実情に合ったサービスを提供するとの理由だが、支援体制が整わない自治体によってはサービス縮小も懸念されている。政府は高齢化に合わせて介護保険の財政支出の抑制を進める方針。自治体への事業移行は費用抑制の狙いもある。介護保険は要支援1、2と要介護1から5までの七段階。現在、要介護1より状態が軽い要支援の訪問・通所介護を介護保険の給付対象から外し、二〇一七年度まで三年をかけ自治体の事業に移行させている。これに続き、要介護1、2の人の生活援助サービスを移行させれば、自治体や介護現場に負担がかかるため、移行の実態を見極める必要があると判断した。検討を続ける社会保障審議会介護保険部会でも委員から「時期尚早だ」「家庭に入ってのケアは専門性も必要。(保険外しは)後々重度化や命に関わる」などの声が上がっていた。事業者の報酬引き下げなどで介護費用を抑えることも検討する。財務省は、軽度の人の自己負担増も求めており、年内に結論をまとめる。見直し議論では、福祉用具レンタル支援の自己負担引き上げ、一定所得のある人の自己負担二割の拡大、保険料支払い開始年齢の「四十歳」からの引き下げなども検討している。<介護保険の生活援助> 訪問介護サービスの一つで、掃除や調理、洗濯、買い物などをする。入浴や食事の介助、おむつ交換など利用者に直接触れる「身体介護」と区別した類型。45分以上の生活援助の場合、事業者に支払われる報酬は約2500円で、利用者の負担はその1~2割。「要介護1、2」で訪問介護を利用している人の半数程度は生活援助が中心だ。より軽度の「要支援1、2」の訪問介護は介護保険から切り離され、2015~17年度の間に市区町村事業へ移行することになっている。>
財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料「社会保障①(総論、医療・介護制度改革)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281004/01.pdf)p48「軽度者に対する生活援助サービスの在り方」では「移行の前提として、以下の見直しを行い、制度趣旨に沿った適正利用を徹底すべき。 ・ 民間家事代行サービスの利用者との公平性や中重度者への給付の重点化の観点から、保険給付の割合を大幅に引き下げる。 ・ 生活援助により、どのように重度化の防止や自立支援につながるのかをケアプランに明記することを義務付ける。」とあり、まずは「移行の前提」が必要であろう。公的介護保険において「生活援助により、どのように重度化の防止や自立支援につながるのかをケアプランに明記」は当然である。そういえば、全国介護保険・高齢者保健福祉担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000108007.html)の資料「介護予防・日常生活支援総合事業の実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000108005.pdf)が出ていたが、行政側には、地域住民に対する情報公開を徹底し、ともに考え、取り組む姿勢が不可欠と感じる。「介護予防・日常生活支援総合事業」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)が進むにしたがって、要支援者に対する業者の介護予防サービスの減少が顕著になるのは間違いないが、「介護予防サービスの大幅減 ⇒ サービス低下」と短絡してはいけない。「新しい総合事業の移行戦略 地域づくりに向けたロードマップ」(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060201/files/2016070100197/sougoujigyou_ro-domappu.pdf)が出ており、ぜひ参考にしたい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000126549.pdf)p7~p16で介護予防の取り組みによって要介護認定率が低下した事例が紹介されているが、データヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/index.html)は介護分野でも重要である。介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の「介護保険総合データベースの活用」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000137700.pdf)p4「保険者による地域の実態把握・課題分析のための基盤を整備し、都道府県・市町村の介護保険事業計画の作成、実施及び評価、並びに国民の介護保険事業の運営に関する実情の把握に資するため、①市町村による国に対する介護給付費や要介護認定等に関するデータの提出を法律上位置づけるとともに、②国は、市町村から提供されるデータを集計・分析し、地域包括ケア「見える化」システムを通じて、各都道府県・市町村の地域分析に資するようなデータ(地域差に関するデータを含む。)を提供することとしてはどうか。」「NDBの取組を踏まえ、データベースをより有効活用するために、データの利用目的が公益性の高い場合には、第三者提供を可能にしてはどうか。その場合の、データを提供する対象、データ利用に係る手続き等については、別途、検討の場を設けて検討することとしてはどうか。」「医療と介護のデータを合わせた分析・利活用については、「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」の議論の状況を踏まえつつ、検討していくこととしてはどうか。」とあったが、エビデンスの積み重ねと情報公開徹底が不可欠と感じる。