保健福祉の現場から

感じるままに

医療介護ICT連携の標準化

2015年07月21日 | Weblog
総務省「クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/cloud-ict-medical/index.html)の動向に注目である。以前の総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000303234.pdf)p13のスケジュールでは「在宅医療・介護における共有項目の標準化、システムの標準化」の全国展開は目前であることがわかる。厚労省資料(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0416/shiryo_09.pdf)p5で、「ネットワークの標準モデルの確立、普及」「在宅医療・介護を含めた標準規格の策定・普及」「クラウド技術の活用等による費用低廉化」があり、期待される。クラウト活用では「完全非公開型 医療介護専用SNS メディカルケアステーション」(https://www.medical-care.net/html/index.html?gclid=CLaTlZvT2rwCFUxwvAodFFEArg)、富士通「「高齢者ケアクラウド」(http://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/01/23.html?nw=pr)などの商品開発もされているが、以前、医療福祉クラウド協会;MeWCA(http://www.mewca.jp/)の医療クラウドを活用した医療介護ICT連携の動向を聞いた。予算的には、介護保険地域支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000077428.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/tebiki.pdf)で「エ.医療・介護関係者の情報共有の支援」があり、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076308.pdf)p8地域医療介護総合確保基金による「ICTの基盤整備」もある。特に厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000077429.pdf)p14の「地域医療介護総合確保基金を活用した在宅医療の充実のための取組例」では「ICTによる医療介護情報共有」があり、期待されるかもしれない。しかし、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)等による莫大なコストでの在宅医療介護ICT連携システムの開発競争をそれぞれの地域でするのではなく、標準モデル・標準規格による在宅医療介護ICT連携の普及・普遍化を図る必要性を強く感じる。もはや、それぞれの地域内限定のローカル医療介護ICT連携ではなく、地域横断的な一人ひとりを軸とした医療介護ICT連携の確立を期待したいものである。
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人生の最終段階における医療

2015年07月21日 | Weblog
今年6月末に日本創成会議「高齢者の終末期医療を考える ―長寿時代の看取り―」(http://bookstore.jpc-net.jp/detail/books/goods003835.html)が出ているのであるが。それぞれの地域において、「長寿時代の看取り」を考えたい。とにかく、今年3月の厚労省通知「終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150325_01.pdf)、事務連絡「終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインの改訂について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150325_02.pdf)、厚労省リーフレット(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000078983.pdf)、厚労省専用HP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/index.html)をもっと周知する必要性を感じる。管内の訪問看護ステーションによると、死亡直前まで自宅で過ごし、最期の1~2週間程度を病院(療養病床含む)で過ごして看取るケースが多くなっているという。
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病床機能報告制度の罰則規定

2015年07月21日 | Weblog
厚労省「病床機能報告制度専用HP」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)に出ているように、医療法では「第三十条の十二 病院又は診療所であつて一般病床又は療養病床を有するもの(以下「病床機能報告対象病院等」という。)の管理者は、地域における病床の機能の分化及び連携の推進のため、厚生労働省令で定めるところにより、当該病床機能報告対象病院等の病床の機能に応じ厚生労働省令で定める区分に従い、次に掲げる事項 を当該病床機能報告対象病院等の所在地の都道府県知事に報告しなければならない。一 厚生労働省令で定める日(次号において「基準日」という。)における病床の機能、二 基準日から厚生労働省令で定める期間が経過した日における病床の機能の予定(次項において「基準日後病床機能」という。)、三 当該病床機能報告対象病院等に入院する患者に提供する医療の内容、四 その他厚生労働省令で定める事項 2・3 (略) 4 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項及び第二項の規定により報告された事項を公表しなければならない。 5 都道府県知事は、病床機能報告対象病院等の管理者が第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、期間を定めて、当該病床機能報告対象病院等の開設者に対し、当該管理者をしてその報告を行わせ、又はその報告の内容を是正させることを命ずることができる。6 都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた病床機能報告対象病院等の開設者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。」「第七十五条の三 第三十条の十二第五項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。」と規定されている。病床機能報告は毎年実施されるものであるが、昨年の報告にかかる報告命令がどうなったか、少々気にならないではない。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)では、病床機能報告が適切になされていることが前提である。罰則規定は軽くはない感じがする。そういえば、キャリアブレイン「次回病床報告に向け8月末までに新たな目安- 厚労省が検討会開催へ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46221.html)とあり、地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)で、「8月末までに、病床を持つ医療機関がその有する医療機能を適切に判断するために必要な、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの区分の新たな目安」が取りまとめられることになっており、注目である。
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医療事故調査の行方

2015年07月21日 | Weblog
M3「「事故調査報告書、遺族に開示」日病医療事故調査制度シンポ、現場対応に難しさ」(https://www.m3.com/news/iryoishin/341240?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150720&dcf_doctor=true&mc.l=112797385)。<以下引用>
<日病会長の堺常雄氏 日本病院会主催のシンポジウム「医療事故調査制度の施行に向けて~制度の理解と具体的運用~」が7月18日、都内で開催され、日病会長の堺常雄氏は、冒頭のあいさつで、多くの参加者が集まったことを受けて、「実際に医療事故が発生した際に、どう対応したらいいかが分からないからだろう」と、制度の解釈に難しさがあるとした上で、それ故に「管理者の責任は大きい」と指摘した。医療事故調査・支援センターに医療事故として報告するか否かなど、「管理者の判断」での対応が求められる事項が多いからだ(質疑応答は、『「事故の報告対象」「報告書」に質問集中』を参照)。シンポジストは、日病副会長の末永裕之氏が司会を務め、日病の医療の安全確保推進委員会委員長の木村壮介氏、北海道大学病院医療安全管理部部長・診療教授の南須原康行氏、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏、名古屋大学医学部附属病院の副院長で、医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏の4人が、順に登壇。10月から始まる医療事故調査制度は、院内の事故調査を基本とする。同制度をめぐって、解釈や対応が実際に分かれると想定されるのが、院内事故調査の報告書の取り扱い。同制度の省令では、当事者を「匿名性、非識別化」して報告書をまとめるよう求めている。4人の演者はいずれも、遺族への報告書の開示を支持。ただし、どのように「匿名性、非識別化」すればいいか、現場は悩むところだが、具体的な手法についての言及はなかった。院内事故調査に当たっては、法律上、義務ではないが、厚生労働省は、「外部からの委員を参画させ、公平、中立な調査に務める」ことを求めている(同省のホームページ参照)。この点についても、シンポジストは外部委員の参画を支持した。北大「全ての死亡診断書を確認」 シンポジウムは、4人の演者の講演の後、質疑応答という形で進められた。医療事故調査制度における医療機関の実務について講演したのは、南須原氏と長尾氏だ。北海道大学病院医療安全管理部部長・診療教授の南須原康行氏 「医療事故発生から院内調査委員会設置までの具体的対応」と題して講演した南須原氏は、(1)日ごろから行っておかなければいけないこと、(2)医療事故の判断のポイント、(3)調査の一般的な流れ――などについて説明した。(1)について、南須原氏が強調した一つが、医療事故を拾い上げる体制だ。「院内の報告体制の充実が前提であり、そのためには死亡事例をいち早くキャッチする体制が必要。全ての死亡事例を把握しておかないと、もれてしまう」(南須原氏)。北大病院では2014年11月から、南須原氏が院内死亡例の全ての死亡診断書を確認する体制にした。年間約600例の院内死亡があり、うち約300例は心肺停止の状態で搬送されてきた患者であり、検証が必要なのは残る約300例。「同じ診療科で立て続けに死亡が発生していないかなども見ている。場合によってはカルテを取り寄せたり、ヒアリングをすることもある」(南須原氏)。さらに診療記録が今まで以上に重要になることから、正確かつ遅滞のない記載がなされるように徹底したり、事故調査では臨床経過における時刻把握が重要になることから、モニター類や院内各所の時計の定期的な時刻合わせなど、きめ細かな対応をしている。(2)については、事例を挙げて判断例を紹介。医療事故調査・支援センターに報告するのは、「医療に起因した、予期しなかった死亡・死産」だが、その判断プロセスとして、院内合議を行い、管理者が判断する重要性を強調。「この判断においては、院内で、第三者的な立場の人を含む会議で、組織として対応せざるを得ない。この際、当事者の意見を聞くことも求められる」と南須原氏は話し、合議によっても判断に迷う場合には、支援団体やセンターに相談することも一つの方法であるほか、解剖やAiも活用できるとした。(3)の調査委員会について指摘したのは、設置規程を定める必要性だ。「病院の都合のいいように設置したように見られないようにしたい」(南須原氏)。また調査を進めるために、診療諸記録の保存、事故発生直後の状態の保存(事故と関連する可能性がある物品や薬剤、医療行為を検証するための画像やモニター記録など)なども求められるとした。さらに調査に当たっては、当事者の匿名性に配慮する必要性も指摘した。「調査する際に、カルテなどには主治医や患者の名前が入っている。これらの資料は、匿名化する必要はないだろう。調査を誤る可能性があり、委員には守秘義務があるからだ。ただし、それを基に経過表や報告書を作成する場合には、匿名化する。報告書は開示対象だが、委員会の内部資料は非開示という扱い」(南須原氏)。「事実は正確に、分析は機械的に、評価は丁寧に」 名古屋大学医学部附属病院の副院長で、医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏 「調査の実際と報告書の作成」と題して講演した長尾氏は、事故調査の実施から報告書をまとめるに当たって、「事実は正確に。分析は機械的に。評価は丁寧に」が基本になるとした。「この点をあえて言うのは、事実が曖昧なままになり、分析はその都度異なり、評価が乱暴に行われることがある。こうした報告書が量産されたら、困る」(長尾氏)。院内調査の実施に当たっては、南須原氏と同様に、あらかじめ規程を定めておくことが必要だとした。「臨床経過に関する情報収集」は精度の高い分析と良質な再発防止策の立案に重要だとし、各種記録とヒアリングを基に進めると説明。ヒアリングに当たっては、(1)少人数の場でのヒアリング、(2)事故調査委員会でヒアリング――の二通りがあるとし、当事者の意向を踏まえて使い分ける。情報収集後は、時系列的に、関係する医療者が分かるように事実関係を整理する。その際、「診療記録など客観的に得られた資料」と「ヒアリングによる情報」を区別して記載することが必要であり、分析・評価に入る前には、遺族も含め、当事者に確認することが求められる。その上で分析・評価は、(1)死因、(2)事故の発生要因――の二つの視点から行う。死因については、必ずしも確定できない場合もあり得るという。事故の発生要因は、診療行為の全てに関して深堀するのは、時間がかかることなどから、死亡に関連した点を重点的に行っていく。その際、「何をしたか」(作為型行為)だけでなく、「何をしなかったか」(不作為型行為)に対しても検討するほか、事故の背景要因を探り、再発防止につなげていくことが必要だとした。報告書作成についても、その構成や記載する場合の注意点を詳しく説明。注意喚起した一つが、用語。例えば、「相当程度の可能性」「予見可能性」「注意義務」などの法律用語は、医療者が考える意味と異なる場合があるので、使用を避けるべきとした。また、「医療行為の評価」と「再発防止の提言」を区別するなど、記載に当たっての留意点も解説。報告書の病院の顧問弁護士に見せるか否かについて、長尾氏は次のようにコメント。「信頼でき、クライアントの意図を理解してくれる弁護士であれば、見せていいと思う。事故調査は、過失判断から切り離して行うものだが、遺族に報告書を説明して、謝罪や賠償への対応、社会への公表など、病院は次の判断をしなければならなくなるからだ。弁護士から、足りない部分などを指摘してもらえる場合もある」(長尾氏)。名大病院では現在、報告書はまず原本を遺族に渡して、説明している。それでも遺族の理解が得られにくい場合には、平易な表現で解説を加えたものを渡す。10月に医療事故調査制度が始まった後も、医療事故調査・支援センターに報告する内容と同じものを遺族に渡す方針だ。モデル事業、民事訴訟は234事例中6事例 木村氏は、日本医療安全調査機構の中央事務局長も務める。2005年度から日本内科学会主導で開始し、現在は日本医療安全調査機構で実施している「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の実績のほか、医療事故調査制度の概要を紹介。日病の医療の安全確保推進委員会委員長の木村壮介氏 モデル事業は全国10カ所で、今年4月までに受け付けたのは、239事例。うち、評価結果報告書を交付し、説明会開催までを終えたのは、221事例。機構の調べによると、把握できた234事例のうち、民事訴訟に発展したのは6事例。また2010年4月以降、評価を終えた102事例について、医療機関や遺族にアンケートした結果、医療機関側は「良く了解・理解した」96%、「質問多いが理解」2%、遺族側は「良く了解・理解した」57%、「繰り返し質問し理解」が35%で、おおむね高い評価が得られているとした。日病の「医療の安全確保推進委員会」では、2014年10月に会員にアンケートを実施。医療事故(死亡事例)の件数は、全国で年間1225件と推計される。1病院当たりの発生率は年平均0.3件が、病床規模別に見ると規模が大きいほど、発生率は高く、「20~99床」では年0.0285件、一方、「500床以上」では年0.7326件だった。また報告書の遺族への開示について、「当然手渡すべき」「匿名性を配慮した上で手渡すべき」とした回答が73.9%に上るという結果も紹介。医療事故調査制度で強調した一つが、院内事故調査に外部委員を入れる点。医療法上では義務ではないが、「病院の職員だけでなく、外部委員を入れることは、ほぼ義務に近い、と厚労省も言っている。外部委員が入ることにより、中立性、専門性、公正性が担保できる」(木村氏)。世界医師会の1987年のマドリッド宣言を引用し、医師が「職業的自主性」と「自己規律」を持って、「個人ではなく、職業団体が有するシステムとしての自律」の下に、医療事故調査に対応していく必要性を強調した。「報告書、遺族に開示を」山口氏 「医療事故調査制度に期待すること」と題して講演した山口氏は、まずCOMLのこれまでの実績を紹介。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏 1990年から開始した患者からの電話相談件数は、2000年から2005年の間がピークで、多い時は年間4000件を超えたが、最近は1500件弱にとどまっている。相談件数が変化した一因として、メディアが医療事故を取り上げることによる患者の意識の変化と医療現場の取り組みを挙げた。医療事故調査制度で期待することとして、山口氏が挙げたのが、報告書の交付だ。制度創設前の厚労省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」の委員を務めた山口氏は、「ガイドライン(省令と通知)作成の議論の際に、検討部会で決めたことから、少し後退する面があったため、残念だと思った」と述べた。検討部会では、報告書について「遺族に開示しなければならない」となっていたが、2015年3月に取りまとめを行った「医療事故調査制度の施行に係る検討会」では、遺族への説明について「口頭または書面、もしくはその双方で」となったからだ。報告書について「当然手渡すべき」「匿名性を配慮した上で手渡すべき」とした回答が73.9%に上るという日病の「医療の安全確保推進委員会」アンケートにも言及し、山口氏は、「遺族の理解が深まれば、訴訟が増えるというが、むしろ逆ではないか。透明性を担保することで、患者の医療者への理解は深まる。開示しなければ、医療への不信感が逆に高まり、また医療不信の時代に戻ってしまうのではないか」と指摘した。さらに山口氏は、「今後、問題になってくるのが、遺族からの第三者機関への調査依頼」と指摘。「なぜ報告の対象にならないのか、と遺族が疑問を感じた時に、どこが受け皿になるのか。(来年)6月の見直しで、この点が出てくることが必要」(山口氏)。>

M3「「事故の報告対象」「報告書」に質問集中 日病医療事故調査制度シンポ、遅れる準備」(http://www.m3.com/news/iryoishin/341241)。<以下引用>
<7月18日に都内で開催された日本病院会主催のシンポジウム「医療事故調査制度の施行に向けて~制度の理解と具体的運用~」の質疑応答では、医療事故制度の入口となる、医療事故調査・支援センターに届け出るべき医療事故の対象と、院内調査の実施報告や報告書の取りまとめについて質問が集中した(シンポジストの講演内容は、を参照)。名古屋大学医学部附属病院の副院長で、医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏は、「ばらつきを許した形で制度はスタートする。解釈に幅を持たせ、小さく生む制度」と述べ、医療界への信頼があってこそ成り立つ制度であるとした。それでも、フロアからは、「『私はこう考える』という発表が多かった。10月に制度がスタートするが、講師の意見も違うのではないか、と判断した。もう少しまとめることができないのか」との意見も出た。10月の制度開始まで2カ月強と迫っているにもかかわらず、いまだ制度への理解が深まらず、医療現場での準備が進みにくい現状が、シンポジウムから浮き彫りになった。シンポジウムでの主な質疑応答は、以下の通り。司会は、日病副会長の末永裕之氏が務め、長尾氏のほか、北海道大学病院医療安全管理部部長・診療教授の南須原康行氏、日病医療の安全確保推進委員会委員長の木村壮介氏の3氏が回答した(質問および回答ともに、全文ではなく、主要点を要約。類似の質問への回答は、まとめて掲載)。◆報告対象になる医療事故の判断について Q:患者がベッドから転落し、その後、急性硬膜下血腫で死亡した場合、「予期した死亡」と言えるか。A(長尾氏):まず転倒転落は医療の範囲なのか、という議論がある。単なる転倒転落で患者が死亡することはあり得るが、それだけで医療に関連したとは言えない。ただ、入院時に、患者の転倒のしやすさなどをアセスメントして、それに応じた介入をする。これは医療行為。これが全く行われていない、あるいは不十分だった場合は、院長は予期していないことになるので、そのことにより死亡したのであれば、報告の対象になり得るのではないか。Q:「予期しない」の予期の時期はいつか。当該医療行為の開始前になるのか。A(長尾氏):患者の死亡直後で、主治医団は、「これは予期していなかった」と思い、遺族に説明していなかったが、よく考えると、予期される最悪の合併症だったということがある。診療録を見てみると、「1%の確率で死亡するかもしれない」などと書いてあったりする。(医療事事故調査・支援センターに報告するか否かを判断する院内の)合議体で資料として出し、議論する。それでも1回調査すべきとなれば、報告対象になる。あるいは「主治医団が予期していなくても、医学的には予期されることであり、冷静に考えると説明が付く」となれば、報告はしない。二つの事例を紹介する。いずれも合議体開催し、院長が判断した。一つは、血管外科で大動脈の処置中に、出血が止まらなくなった事例。そのまま「テーブルデス」に近い形で患者は死亡した。主治医団は、予期していなかったという。痛恨の思いがあったのだろう。遺族も予期はしていなかった。ただし、合議体で議論し、医学的にはあり得ることになったが、処置から死亡まであまりにも短いので、手技的に問題はなかったのかなどを検証するために調査を実施した。もう一つは、呼吸器外科で、気管支をつなぐ処置をした事例。1週間後に、出血を来して、そのまま死亡した。主治医団は予期できたと言っていた。説明文書を見たら、かなりの頻度で、こうしたことが起こり得ると書いてあった。事前に説明もしてあり、遺族側にも疑義がなかったということで、予期し得たということで、調査はしなかった。A(木村氏):モデル事業においては、手術から合併症等の発症まで1週間以内が約8割、死亡までは1カ月以内が約9割。日病の会員アンケート(2014年10月)では、「合併症であっても、経過等から事故扱いとする選択も必要」との回答が73.5%だった。いくら合併症について説明していても、通常より早い時期に死亡した場合は、事故と考えて調査に踏み切っているのが現状なので、「期間」も重要。Q:説明同意書の記載内容は、全て予期できる内容と言っていいのか。A(南須原氏):結果的には、書いていればいいことになるが、単に書けばいいわけではなく、患者側に説明し、納得できる時間も必要。A(長尾氏):胃カメラをやっていて、顎が外れた事故がある。その時の患者への説明文書には書いていなかったが、教科書には書いてある。この事故を踏まえ、名大病院では、インフォームド・コンセント委員会で、説明文書に顎が外れることを追記する作業を実施した。病院として押さえなければならない説明内容について、説明文書のひな型を見直す必要がある。名大病院にはインフォームド・コンセントに関する文書があり、今年4月からその確認を進めている。Q:原因が明らかな医療過誤、例えば麻酔薬の10倍投与は報告すべき医療事故になるのか。「説明文書に死亡率0.01%などと書くのはダメ」とされるが、どのような記録になっていればいいのか。A(南須原氏): 10倍投与は報告対象だろう。また手術の際、死亡率の書き方は難しいが、想定された死亡原因があり、説明文書に書いてあり、それが原因で死亡した場合には予期されたと言っていいのではないか。ただ、(死亡原因も書かずに)漠然と「死亡率0.01%」と書く場合は、予期されたと言いにくいのではないか。A(長尾氏):本来なら具体的な説明があればいいが、(患者への)説明文書に書かれており、渡されていれば、最低限の説明責任は果たしていて、医学的に予期されていたことなのだろうと解釈している。もっとも、説明文書に書かれていても、調査しなければいけない事例もある。例えば、甲状腺の術後に、出血が止まらなくなり、気道狭窄で死亡した。これは何度も起きている事例。事前に説明もしているが、また起きたことは、今の改善案では完全に再発防止できないことになるので、この辺りを検証しないと、「対社会的にも、対患者的にも説明ができない」という判断になる。それで調査を行った。Q:(誤薬など頻発する類型のエラーなどは)過誤過失であっても報告しなくていいという解釈には、現場では違和感を覚える。A(南須原氏):法律には、過失という言葉はなく、過失の有無は報告とは関係がない。過失があったら、報告しなくていいとはならない。A(長尾氏):過誤か過失かは、事故直後には分からない。調べてみて、明らかになる事実は多々ある。過量投与によって死亡していた場合、その過量投与については、予期していなかったことになるだろう。合意体を開催して、検証して、院長が再発防止すべきと判断したら報告対象になり、調査委員会が立ち上がる。Q:管理者が報告しなくていいと判断しても、遺族が納得しなかった場合の対応は。A(南須原氏):報告するか否かの判断には、遺族の希望は入らないが、現実にはそうはいかないかもしれない。やはり遺族と話し合った上で、それでも毅然として報告しない、あるいは報告して第三者の判断を仰ぐという考えはあると思う。A(長尾氏):遺族の疑義が、最後まで拭えない場合はあり得る。院内の合議体で、当事者の意見を聞いて、病院で判断した内容が妥当となる場合もあれば、遺族と主治医団の説明が違い、白紙に戻して議論し、その結果、報告する場合もあり得る。◆院内調査の進め方について Q:院内事故調査会について、当事者が医師の場合も委員に入れないのか。A(木村氏):執刀医は、事故の調査委員会には入らない方がいい。他の委員への影響もある上、本人がストレスを感じながら加わることは問題。ただし、本人へのヒアリングと、報告書をまとめた時点で一度確認してもらうことは必要。A(長尾氏):悩ましいのは、院長や安全管理者が当事者だった場合。調査委員会のメンバーとして入るのは、適切ではないと思うので、事前に誰を代行にするかなど、事前にシミュレーションをしておくことが必要。Q:院長が、院内事故調査委員会に入るのは不適切という理由が分からない。委員長になるのは不適切と思うが、委員であれば問題はないのではないか。第三者が委員会に入れば、中立性は保たれるのではないか。A(長尾氏): 事故直後に、報告対象か否かを検討する合議体には、院長は入る。ここは決定機関であり、検証機関ではない。その上で、調査を行う場合、法律上は禁止していないが、第三者性を保った調査の在り方を考える場合、委員会には院長は入らない方がいい。院長は、調査の結果を受ける側。つまり調査委員会は、院長と遺族という二者に対して、報告書をまとめると言う体制を作りたい。結果を待つ側の人が、報告書の作成過程に入ったり、報告書を書いたりするのは、やはり理解が得られにくいのではないか。もっとも、考え方やリソースの違いもあり、院長が入らざるを得ない場合もある。Q:職員が証言拒否をした場合に、どのように対応すればいいか。A(長尾氏):どのくらい権利で守られているか、私も分からないが、突き詰めれば、黙秘権はあるだろう。ただ、この制度は、事実を共有して、原因を探る、再発防止につなげることが目的。当事者たちが証言しないことは前提とはなっていない。当事者の黙秘の下で行われる調査が、成立するのかということだ。例えば、(プロポフォール投与事故の)東京女子医科大学の調査に関わったが、確かにヒアリングの過程で、「それは覚えていない」「記憶にない」「答えられない」と回答した人もいた(『「死因は禁忌薬の使用」、女子医大第三者委』を参照)。それに対して、調査委員長は厳しい感触を持った。調査の意図を理解できていないのではないか、ということになった。これは長く残る課題だが、(自身が主導した調査で)少なくとも私自身は、当事者に「言いたくはない」と言われたことがない。当事者にとっても調査する意義があるのであり、調査の目的と意義の共有が甘いと、証言拒否ということになるのではないか。Q:報告書が、裁判の証拠に使われる可能性があれば、聴取の前に当事者に伝えなければいけない。それをやると、きちんとした情報が出ない可能性がある。A(長尾氏):名大病院の場合には、規約で、報告書をそのまま遺族に渡すことが前提になっている。各医療者へのヒアリング内容そのものは、内部資料なので、外に出ることはない。このことを理解して調査への協力を得ている。(個別のヒアリングではなく)調査委員会の場での発言を希望する人もいる。この場合も議事には残るが、外部に出ることはないという前提でやる。遺族が報告書をどう利用するかについては、任せるしかない。私たちはそれを前提に報告書を作成するので、決して個人の非を書き連ねる報告書にはしない。個人であってもチームの一員として医療をやっているのであり、その前提で事故の背景にある要因を探る。病院の管理者は、報告書を基に、遺族に謝罪、賠償するのか、あるいはやむを得ない事故だったかなどを判断して、説明する。そのことが適切に行われていれば、患者側が事実が分からないなどとし、弁護士に相談する頻度は減るだろう。恣意的ではなく、事実を丁寧に書き起こした報告書であれば、どこに出されてもやむを得ない。一方、事実経緯が曖昧で、分析もあまりせず、何が言いたいのかが分からない報告書であれば、恐らく遺族の怒りを買い、裁判になるのだろう。どんな報告書を作成するかにかかっている。A(南須原氏):北大も同じ。内部資料は公表しないが、調査は外部委員を入れて行い、報告書は裁判などに使われることを前提で書く。事実は事実としてしっかり書く。裁判になるかどうかは、報告書の有無にかかわらないのではないか。 分析の結果、病院の非を明らかに認めた報告書であれば、説明した時点で遺族は納得し、損賠賠償になる。報告書が訴訟に使われることは、一定の確率で起きると思うが、長尾先生と同様に、正直に出すことでトラブルを回避する可能性が高いと考えている。Q:報告書の書き方について。モデル事業では、断言的ではない書き方をしていた。A(木村氏):モデル事業では、報告書の作成段階では、法律家にも入ってもらって、表現に留意し、個人の責任追及ではなく、根本的な原因は何かを書くようにした。モデル事業の234事例中、民事訴訟になったのは6事例。直近の102例では、遺族が報告書を理解したのは約9割だが、残りが裁判になったわけではない。報告書を渡し、納得しないから裁判になるわけではなく、裁判になる要因はいろいろある。なお、モデル事業では、報告書の責任は委員会にあり、個々の委員ではない。関わった委員個人に責任が及ぶことがないようにすることが大事。(報告書についての説明を終えた後、裁判などで)委員個人に報告書についての説明を求められても、対応はしていなかった。報告書が全てであり最終的なもの。◆医師法21条について Q:異状死体の警察への届出が一番頭を悩ませること。医療事故調査・支援センターに報告すれば、警察に届出なくてもいいという話になるのか。A(木村氏):(医療事故調査制度は)医師法21条とは全く別なところで議論されたので、(異状死体の届出は)そのまま残っている。異状死体と判断した場合には、届出なければいけないが、医療側がきちと調査をしているのであれば、現実には司法が出てこないという状態になっている。この制度がきちんと施行されて、社会に認められれば、さらにそうした可能性は高くなっていくだろう。また(医療事故調査制度を定めた改正医療法の施行から)2年後の見直しでは、21条についても検討することになっている。自民党のワーキング・グループの主なテーマになっているのではないか。A(長尾氏):外表異状説は正確な解釈ではない。外表に異状がない過失等が起きた時に、警察に届け出なくていいのかについて、司法の専門家に聞いたところ、過去に裁判例がないという。「もし届出でいなかったら、今の法体系では、ペナルティが下るだろうというのが大方の司法家の見方だ」と言われた。もっとも、最近の愛知県の事情では、警察に届け出ても、電話で「事件性がない。検証するなら、その結果を教えてほしい。それを待つ」などのやり取りをする。検証の場がシフトしつつあるのではないか。警察が入ってくるのが好ましくないと考えるならば、この制度のアウトカムが重要になってくるだろう。末永氏:これは、微妙な問題。(2012年10月に厚生労働省医政局医事課長による、同省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」における発言で)外表異状説が出たおかげで、多くの病院長はほっとしているのが現状ではないか。ただ、これで(外表に異状ななければ)全ての症例を届け出なくていい、ということにはならないという判断でいいのか。>

厚生労働関係部局長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/tp0219-1.html)の医政局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-03-02p.pdf)p37~p40、全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=180575)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p5~6にあるように、今年10月に医療法による医療事故調査制度が施行される。既に日本医師会「平成26・27年度医療安全対策委員会中間答申「医療事故調査制度における医師会の役割について」」(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/anzen26-27.pdf)が出ているが、5月8日付通知「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行(医療事故調査制度)について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150508_01.pdf)は正確に理解しておきたい。通知(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150508_01.pdf)p12では「遺族への説明については、口頭(説明内容をカルテに記載)又は書面(報告書又は説明用の資料)若しくはその双方の適切な方法により行う。」とあるが、どうなるであろうか。日本医療法人協会 「医療事故調運用ガイドライン」最終報告書(http://insuring-medical-practice.net/?p=449)もみておきたい。厚労省の医療事故調査制度専用HP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061201.html)に出ているQ&Aは医療従事者にどれほど理解されているであろうか。
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病床機能報告の変化と地域医療構想

2015年07月21日 | Weblog
キャリアブレイン「次回病床報告に向け8月末までに新たな目安- 厚労省が検討会開催へ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46221.html)とあり、地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)で、「8月末までに、病床を持つ医療機関がその有する医療機能を適切に判断するために必要な、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの区分の新たな目安」が取りまとめられる。厚労省が示す推計方法(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000078122.pdf)p4では、「高度急性期と急性期の境界(C1)医療資源投入量3000点、急性期と回復期の境界(C2)医療資源投入量600点、医療資源投入量175点未満の患者数は慢性期機能及び在宅医療等の患者数として一体的に推計」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000080283.pdf)とされているが、新たな目安をもとに、昨年の定性的な病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)からは変更してくるであろう。医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou.html)の2025年の都道府県別医療需要推計(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou1.pdf)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou2-1.pdf)について、医政局「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20150618_01.pdf)、日本医師会「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会第1次報告について ~内閣官房による地域医療構想の必要病床数の推計値の公表~」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1892.html)(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20150617_2.pdf)が出ているが、焦点は構想区域の設定と二次医療圏・構想区域ごとの推計である。それによっても、各医療機関からの病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は影響を受けるであろう。また、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000088491.pdf)や「入院医療等の調査・評価分科会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128166)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000090210.pdf)等をみれば、報酬改定が影響を与えるのは間違いない。これについて、キャリアブレイン「地域医療構想と診療報酬との連動必要-日病・堺会長、ホスピタルショウで」(http://www.cabrain.net/management/article.do?newsId=46216)とあり、診療報酬による誘導を歓迎する意見も出ている。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)は、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p6の策定プロセスに示すように、①構想区域の設定、②構想区域ごとに4機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとの医療需要の推計、③医療需要に対する医療提供体制の検討と必要病床数の推計、④2025年のあるべき医療提供体制を実現するための施策を検討であるが、今後、病床機能報告が変化することを踏まえれば、今年度策定する地域医療構想での具体的な記載には自ずから限界があるように感じる。一方で、公立病院改革(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)で、各公立病院は、来年度までに、地域医療構想を踏まえた当該病院の果たすべき役割「当該公立病院の将来の病床機能のあり方」を打ち出す(計画期間は平成32年度まで)ことになっており、当面は公立病院の動向に注目である。総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を、許可病床数から稼動病床数に見直す」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)とあり、影響が大きい公立病院も少なくないであろう。総務省通知「公立病院改革の推進」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8「前ガイドラインにおいては、一般病床及び療養病床の病床利用率がおおむね過去3年間連続して70%未満の病院については、抜本的な見直しを行うことが適当であるとしていたが、病床数の削減、診療所化等に取り組んだ病院も多いものの、依然として3年間連続して70%未満の病院が相当数ある。これらの病院にあっては、新改革プランにおいて、地域の医療提供体制を確保しつつ、病床数の削減、診療所化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しなど、再度抜本的な見直しを検討すべきである。」とあり、公立病院の再編は「病床利用率が特に低水準である病院」で優先的に検討されるべきと感じる。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000080284.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p45「稼働していない病床への対応」について「病床過剰地域において、公的医療機関等が正当な理由がなく病床を稼働していないときは、都道府県医療審議会の意見を聴いて、当該病床の削減を命令することができる(医療法第7条の2第3項)。」「実際には、病床の稼働状況は病床機能報告制度において病棟単位で把握することが可能であることから、病棟単位で病床が稼働していないことについて正当な理由がない場合に、当該対応を検討することが適当である。」とある。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を踏まえて、将来、厚労省通知「病院又は診療所と介護老人保健施設等との併設等について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20070730_01.pdf)が脚光を浴びるかもしれない。
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