都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「酒井抱一 琳派の華」(前期) 畠山記念館
畠山記念館(港区白金台2-20-12)
「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」(前期展示)
1/22-3/21
酒井抱一の生誕250年を記念し、館蔵の抱一作品を展観します。畠山記念館で開催中の「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」へ行ってきました。
定評のある畠山記念館の琳派コレクションではありますが、今回のように抱一メインで紹介されること自体がかなり珍しいかもしれません。抱一及び、光琳、光悦、其一、乾山などの絵画、工芸の諸作品が、前後期合わせて計35点ほど登場しました。
しかしながら如何せん手狭なスペースです。さらに絵画は会期途中で全て作品が入れ替わります。(主な展示品の出品期間については以下の同館WEBサイトをご参照下さい。)
「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」 前期:1/22~2/17、後期:2/19~3/21(一部作品は異なります。)
というわけで現会期の前期では抱一画が約5点(十二ヶ月花鳥図の6幅を1つと数えます。)、また他に光琳、其一、光悦、乾山画がそれぞれ各1~2点、さらにはほぼ展示替えのない乾山や光琳らの工芸品が約15点ほど紹介されていました。決して規模の大きな抱一回顧展ではありません。
酒井抱一「四季花木図屏風」
さて前半の抱一で最も艶やかなのは、ちらし表紙にも掲載された「四季花木図屏風」ではないでしょうか。右手上部には満開の桜の木が堂々たる姿を披露し、左手より下部には抱一一流の鮮やかな色彩と繊細な描写で示された四季の花々が広がっています。リズミカルに靡くすすきをはじめ、緩やかな曲線を描く草の蔓など、随所に動きを感じさせる一枚でもありました。
酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」
名高い尚蔵館本に最も似た形式をとるという「十二ヶ月花鳥図」も6幅(1月~6月)展示されています。四季の彩りを時候の花鳥に組みこんでこれぞ抱一と言うべき風流な表現をとる連作ですが、今回改めて見てもこの畠山本が尚蔵館本に劣らない魅力をたたえているような気がしてなりません。
梅を大胆にクローズアップした1月、そして番いの鳥が可愛らしい仕草をとる6月など、情感漂う自然の景色が、あたかも俳諧をよむかの如く軽妙に描かれていました。
酒井抱一「富士見業平図屏風」
さて抱一以外にも其一の「曲水宴図」や乾山の香合や皿など、まさに眼福と言える作品が揃っていましたが、とりわけ至極感心したのは光悦の一点、「扇面月兎画賛」でした。
これは光悦では比較的珍しい絵画の形式をとる扇面でしたが、その中の構図、つまりは金箔を月、そして兎の跳ねる大地を緑に示して空間を区切る様子は、それこそ宗達の「蔦の細道図屏風」のように大胆でかつ斬新です。あくまでも小品ですが、この一点こそハイライトに他なりませんでした。
本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘李白」
後期、2/19からは抱一の十二ヶ月花鳥図の後半部(7月~12月)をはじめ、風神雷神図、また其一の向日葵図などが展示されます。そちらも欠かさずに見に行くつもりです。
ところで抱一関連の書籍としておすすめしたいのが、先日も拙ブログでご紹介した別冊太陽の酒井抱一です。
別冊太陽 「江戸琳派の粋人 酒井抱一」
「別冊太陽 酒井抱一/平凡社」
またもう一つ、東京美術の「もっと知りたい酒井抱一」も抱一ファン必携の書籍です。かの玉蟲敏子氏が同シリーズでは群を抜くほどの充実したテキストで抱一の全貌を明らかにしています。こちらも是非書店でご覧ください
「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」
前期は2月17日まで、展覧会は3月21日まで開催されています。
*関連エントリ
「酒井抱一 琳派の華」(後期) 畠山記念館
*開館日時:火~日(毎週月曜日、及び2/18は休館。但し3/21は開館。) 10:00~16:30(入館は16時まで。)
「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」(前期展示)
1/22-3/21
酒井抱一の生誕250年を記念し、館蔵の抱一作品を展観します。畠山記念館で開催中の「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」へ行ってきました。
定評のある畠山記念館の琳派コレクションではありますが、今回のように抱一メインで紹介されること自体がかなり珍しいかもしれません。抱一及び、光琳、光悦、其一、乾山などの絵画、工芸の諸作品が、前後期合わせて計35点ほど登場しました。
しかしながら如何せん手狭なスペースです。さらに絵画は会期途中で全て作品が入れ替わります。(主な展示品の出品期間については以下の同館WEBサイトをご参照下さい。)
「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」 前期:1/22~2/17、後期:2/19~3/21(一部作品は異なります。)
というわけで現会期の前期では抱一画が約5点(十二ヶ月花鳥図の6幅を1つと数えます。)、また他に光琳、其一、光悦、乾山画がそれぞれ各1~2点、さらにはほぼ展示替えのない乾山や光琳らの工芸品が約15点ほど紹介されていました。決して規模の大きな抱一回顧展ではありません。
酒井抱一「四季花木図屏風」
さて前半の抱一で最も艶やかなのは、ちらし表紙にも掲載された「四季花木図屏風」ではないでしょうか。右手上部には満開の桜の木が堂々たる姿を披露し、左手より下部には抱一一流の鮮やかな色彩と繊細な描写で示された四季の花々が広がっています。リズミカルに靡くすすきをはじめ、緩やかな曲線を描く草の蔓など、随所に動きを感じさせる一枚でもありました。
酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」
名高い尚蔵館本に最も似た形式をとるという「十二ヶ月花鳥図」も6幅(1月~6月)展示されています。四季の彩りを時候の花鳥に組みこんでこれぞ抱一と言うべき風流な表現をとる連作ですが、今回改めて見てもこの畠山本が尚蔵館本に劣らない魅力をたたえているような気がしてなりません。
梅を大胆にクローズアップした1月、そして番いの鳥が可愛らしい仕草をとる6月など、情感漂う自然の景色が、あたかも俳諧をよむかの如く軽妙に描かれていました。
酒井抱一「富士見業平図屏風」
さて抱一以外にも其一の「曲水宴図」や乾山の香合や皿など、まさに眼福と言える作品が揃っていましたが、とりわけ至極感心したのは光悦の一点、「扇面月兎画賛」でした。
これは光悦では比較的珍しい絵画の形式をとる扇面でしたが、その中の構図、つまりは金箔を月、そして兎の跳ねる大地を緑に示して空間を区切る様子は、それこそ宗達の「蔦の細道図屏風」のように大胆でかつ斬新です。あくまでも小品ですが、この一点こそハイライトに他なりませんでした。
本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘李白」
後期、2/19からは抱一の十二ヶ月花鳥図の後半部(7月~12月)をはじめ、風神雷神図、また其一の向日葵図などが展示されます。そちらも欠かさずに見に行くつもりです。
ところで抱一関連の書籍としておすすめしたいのが、先日も拙ブログでご紹介した別冊太陽の酒井抱一です。
別冊太陽 「江戸琳派の粋人 酒井抱一」
「別冊太陽 酒井抱一/平凡社」
またもう一つ、東京美術の「もっと知りたい酒井抱一」も抱一ファン必携の書籍です。かの玉蟲敏子氏が同シリーズでは群を抜くほどの充実したテキストで抱一の全貌を明らかにしています。こちらも是非書店でご覧ください
「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」
前期は2月17日まで、展覧会は3月21日まで開催されています。
*関連エントリ
「酒井抱一 琳派の華」(後期) 畠山記念館
*開館日時:火~日(毎週月曜日、及び2/18は休館。但し3/21は開館。) 10:00~16:30(入館は16時まで。)
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