大分県立美術館(OPAM)が2015年4月24日に開館します

国内での県立美術館の新設は2006年の青森県立美術館以来のことです。2015年4月24日(金)、大分市に大分県立美術館、略称OPAM(オーパム。Oita Prefectural Art Museum)が開館します。


[大分県立美術館 OPAM(Oita Prefectural Art Museum)]
http://www.opam.jp/
@OPAM_OPAM

場所はJR大分駅北口より徒歩15分ほどの寿町。市役所や県庁の立ち並ぶ昭和通り沿いです。大分県立総合文化センターことiichiko総合文化センターの向かいに位置します。


大分県立美術館 OPAM イメージ図

建物の設計は坂茂。近年ではポンピドゥー・センター・メスの設計を担当したほか、阪神大震災や東日本大震災の復興支援活動でも知られた建築家です。2014年には建築の国際的な賞であるプリツカー賞を受賞したことでも話題となりました。

館長は新見隆です。武蔵野美術大学の教授をつとめ、かつては西武美術館やセゾン美術館で様々な展覧会を手がけた人物でもあります。


©Hiroyuki Hirai

建物自体は既に昨年冬に完成。11月には「OPAM誕生祭」として一般市民にも開放されました。その際には完成記念式典のほか、坂茂氏や新見館長の講演なども行われ、多くの人で賑わったそうです。

「県民の皆さんに、自由に建物の使い方を提案してもらいたい。建物がパーマネント(永久)になるか仮設に終わるかは、人々に愛されるかどうかで変わってくる。」坂茂(大分合同新聞「OPAM設計者・坂氏が語るコンセプト」より)

美術館の敷地面積は13595平方メートルで建物面積は16769平方メートル。うち展示部門の延べ面積は3883平方メートルです。一概に比較は出来ませんが、東博の本館の建築面積が6602平方メートル(展示面積は7346平方メートル)であることを鑑みると、その大きさの一端が伺い知れるのではないでしょうか。

外観は箱型、上部のデザインは大分の伝統的な竹工芸をイメージしています。これは地元の杉を用いているそうです。単なる飾りではなく、ギャラリーを支える構造物も兼ねています。

隣接するオアシスひろばとは屋根付きのデッキで接続しています。さらには大通りに面した南側では水平の折り戸を開閉することで、街路と一体感を得られるような構造となっています。


©Hiroyuki Hirai

館内は展示室のほか、自由に出入り可能なアトリウム、カフェ、情報コーナーやミュージアムショップも併設。展示室自体もかつての大分県立芸術館の3倍を確保しています。また室内に可動壁を設置し、アトリウムと一体となった運営も可能です。西洋絵画展から現代アート展までの幅広い展示を行うことが出来ます。

さらにアトリエや研修室などを整備し、若手芸術家の育成を行うとともに、いわゆる生涯学習施設としての機能も果たしていくそうです。

[大分県立美術館(OPAM)メインコンセプト]
・「五感で楽しむことができる」美術館
 様々な視点、感覚を通して、感性や創造性に訴え、訪れる人が五感で楽しむことが出来る美術館を目指します。
・「自分の家のリビング」と思える美術館
 美術館というと敷居の高いイメージがありますが、来館者が自宅のリビングにいるかのような、気軽に立ち寄れる美術館を目指します。
・「県民とともに成長する」美術館
 次代を担うこどもたちから高齢者まで、すべての年齢層の県民と一緒に成長する美術館を目指します。

オープニングを飾るのは「モダン百花繚乱『大分世界美術館』」です。桃山時代の楽茶碗からターナー、ピカソ、福田平八郎に高山辰雄、それに宇治山哲平など、和洋も時代も様々な美術品を5つのコンセプトの元に展示します。

「モダン百花繚乱『大分世界美術館』展示構成]
・モダンの祝賀
・死を越える生・咲き誇る生命
・日常の美 世界を映すもの・かたち
・画人たちの小宇宙
・視ることの幸福

国内外の美術館ないし、大分を象徴する同館のコレクション全200点をあわせ見ることで、大分の文化土壌を再発見し、さらに異なる文化を見知ることの意義を問う内容となるそうです。


©Hiroyuki Hirai

さらに開館記念展に引き続き、2015年度には以下の展覧会の開催も予定されています。

[大分県立美術館 年間スケジュール]
開館記念展 vol.1
「モダン百花繚乱『大分世界美術館』」
ー大分が世界に出会う、世界が大分に驚く「傑作名品200選」
会期 : 2015年4月24日(金)~7月20日(月・祝)

「『描く!』マンガ展」
マンガの今、マンガの明日
会期(予定):2015年8月1日(土)~9月23日(水・祝)

「第51回 大分県美術展」
主催:大分県美術協会
会期(予定):2015年9月29日(火)~10月18日(日)

開館記念展 vol.2
「神々の黄昏」
ー東西のヴィーナス出会う世紀末、心の風景(けしき)、西東
会期(予定):2015年10月31日(土)~2016年1月24日(日)

「シアター・イン・ミュージアム」
ライブ満載、ダンス満載、踊るミュージアム
会期(予定):2016年春

特筆すべきは、少なくともここにはいわゆる巡回展がないことです。つまり全て大分発の展覧会です。また大分県には県立美術会館が長らく蒐集して来た5000点もの美術品があります。それを活用した展覧会を意欲的に行っていくそうです。

「大分の優れた伝統と国内外の素晴らしい美術品を出会わせて新しい価値を生み出すこと。それが新しい美術館の使命である。」新見隆(OPAM Communication Paperより)

またアトリウムや3階屋外でも様々な展示が行われます。

「開館記念展・展覧会 アトリウム展示・3階屋外展示のご案内」@OPAM 大分県立美術館


マルセル・ワンダース「ユーラシアの庭」のためのデザイン構想図 2014年

アトリウムの西側スペースは現代美術家のミヤケマイさんの担当です。大分発のプロジェクト「世界は届けい・セカイハトドケイ」をテーマにしたインスタレーションを展示します。

開館まで残すところあと約100日です。それにあわせて美術館のプロモーションビデオが新たに公開されました。

コンセプトは「五感のすべてで感じ、心が遊び踊り出す。ここは、踊るミュージアム。」演出はクリエーターの桐島ローランド。パフォーマンスを披露するのは大分県出身のバレーダンサー首藤康之です。

大分県立美術館(OPAM)プロモーションビデオ「踊るミュージアム」


美術館の中を静かに進んでは時に力強く踊り出す首藤さん。館内の雰囲気も伝わるのではないでしょうか。ラストに降る雪は何と本物だそうです。

ちなみに市内には大分出身の磯崎新の設計の建物(アートプラザ、大分市情報学習センター、豊の国情報ライブラリーなど)がいくつも存在します。また坂茂もかつて磯崎のアトリエに在籍したことがありました。

その坂茂が国内の公立美術館として初めて手がけたのが大分県立美術館です。建築の観点からも注目すべき美術館、磯崎の作品とあわせて見るのも面白いのではないでしょうか。


©Hiroyuki Hirai

大分から全国へ向けて新たに美術を発信する場となる大分県立美術館。2015年4月24日(金)に「モダン百花繚乱『大分世界美術館』」展でオープンします。

[大分県立美術館 概要]
所在地:大分市寿町2-1
交通:JR線大分駅から徒歩約15分。
建築設計:株式会社坂茂建築設計
構造:鉄骨造・一部鉄筋コンクリート造
工期:平成25年4月~平成26年10月
敷地面積:13595平方メートル
建物面積:16769平方メートル
URL:http://www.opam.jp/op/

[問合せ先]
公益財団法人 大分県芸術文化スポーツ振興財団
住所:〒870-0036 大分市寿町2-1
電話:097-533-4500
ファックス:097-533-4567
メール:info@opam.jp

大分県企画振興部 芸術文化スポーツ局県立美術館推進室
住所:〒870-8501 大分市大手町3-1-1
電話:097-506-2083
ファックス:097-506-1725
メール:a10930@pref.oita.lg.jp
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