「美濃のラーメンどんぶり展」 松屋銀座7階デザインギャラリー1953

松屋銀座7階デザインギャラリー1953
「第710回デザインギャラリー1953企画展 美濃のラーメンどんぶり展」
2014/12/27-2015/1/26



松屋銀座デザインギャラリー1953で開催中の「美濃のラーメンどんぶり展」を見て来ました。

誰もが一つや二つは持っているであろうラーメンどんぶり。これほど身近で普段遣いする器もないかもしれません。

そのラーメンどんぶり、実は90%が美濃で生産されているそうです。つまり我々のラーメンの食生活は美濃なくしては成り立ちません。



ラーメンどんぶりとデザインとの関わりを見る展覧会です。企画したのは「美濃のやきもの研究会」。美濃焼の魅力を全国に発信すべく活動を続ける官民の有志連合です。そしてどんぶりをデザインしたのは25名のアーティストやデザイナー。中にはコメディアンや建築家まで参加しています。

[出店者]
秋山具義、浅葉克己、アラン・チャン、石上純也、片桐仁(ラーメンズ)、唐長・千田誠次、菊地敦己、北川一成、佐藤晃一、佐藤卓、佐野研二郎、ジョナサン・バーンブルック、祖父江慎、田名網敬一、束芋、天明屋尚、土井善晴、仲條正義、永井一史、永井一正、服部一成、松永真、皆川明、森田恭通、横尾忠則 (50音順)

のれんをくぐりましょう。ずらり並ぶのはラーメンどんぶり。いずれも形こそ同じ、大きく円を描いては口を開けていますが、その色や模様はさすがにバラエティに富んでいます。



建築家の石上純也が目を引きました。どんぶりを大きな花に見立てたデザイン、何でも縁の模様が雷ではなく蔦に見えることからひらめいたそうです。シンプルながらも強い印象を与えます。



佐野研二郎は水玉やストライプを組み合わせたデザインを提示しました。随所に見える金の模様は、割れた器の継ぎ目を飾る金継ぎからヒントを得ています。なかなかオシャレではないでしょうか。



どんぶりが地球儀と化しています。永井一史です。器の中には日本を核にユーラシア大陸、そして北米大陸が広がっています。日本のみが金色です。ラーメンを掬って、汁を飲み干しては初めて見えてくる黄金の国、日本。なかなか面白い趣向だと思いました。



一際、色彩鮮やかなのが皆川明です。緑やピンクに黄色の面がモザイク状に並んでいます。そしてレンゲは水玉の模様です。ちなみにこの図柄の色、ラーメンの中にある様々な色彩をイメージしたそうです。言われてみれば麺やスープに卵、そしてなるとや付け合わせの野菜など、一杯のラーメンには様々な色があります。



横尾忠則が強烈です。何と器の中で散らばるのはカラフルな人の骨です。そして外側にはドクロも並んでいます。「とんこつラーメンを食べてしっかりした骨をつくりましょう。」とのメッセージも添えられていました。



田名網敬一も凄まじい。蜘蛛です。歯を剥き出しに、舌をべろりとのばしては待ち構える。赤い脚を四方八方にのばしています。もはや魔物です。ちなみにこれは氏が学生時代にラーメンを食べていると、目の前に蜘蛛が落ちて来て、どんぶりに沈没してしまった体験を元にしているとか。さぞかし驚いたことでしょう。もはや薄気味悪くてスープを飲み干せません。



異彩を放つといえば束芋も忘れられません。何ともグロテスクとも言えるようなモチーフ、二人の男女の物語を表しているそうです。どんぶりの中でも展開される束芋ワールド、ブレがありませんでした。



江戸時代より続く日本唯一の唐紙屋、千田誠次によるどんぶりが魅惑的でした。デザインは紙の紋様です。色も繊細。飽きの来ないデザインです。ラーメン以外を盛っても映えそうな器、何かと重宝するのではないでしょうか。



なお会場では人気投票も行われていました。しかもどんぶりは商品化も検討されるそうです。お値段は分かりませんが、お気に入りのラーメンどんぶりを手に入れるチャンスかもしれません。なお詳細は4月以降に以下のデザインコミッティーのサイトで告知されます。

第710回デザインギャラリー1953企画展「美濃のラーメンどんぶり展」@日本デザインコミッティー

どんぶりの中の画像ばかりを挙げてしまいましたが、デザインは側面、そしてレンゲにも及びます。上から横からと眺めてはどんぶりの意匠を楽しみました。

入場は無料です。1月26日まで開催されています。

「第710回デザインギャラリー1953企画展 美濃のラーメンどんぶり展」 松屋銀座7階デザインギャラリー1953
会期:2014年12月27日(土)~2015年1月26日(月)
休館:1月1日(木・祝)
時間:10:00~20:00。最終日は17時閉場。
料金:無料。
住所:中央区銀座3-6-1
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅A12番出口直結。都営地下鉄浅草線東銀座駅A8番出口より徒歩3分。JR線有楽町駅より徒歩8分。
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