東京国立博物館の本館が一部リニューアルオープン

この春(4/15)、本館の一部リニューアルオープンを遂げた東京国立博物館。実のところ東博は3月末に「栄西と建仁寺」展を見たきりご無沙汰。リニューアル後もすっかり行きそびれていました。


「正門プラザ」全景 平屋の建物です。

というわけで久々に上野に繰り出して東博へ。まずは正門です。一見、いつもの見慣れた光景ですが、右手横、ガラス張りの新しい建物が出来ています。これが本館と同じ日にオープンした「正門プラザ」です。


「正門プラザ」入口

「正門プラザ」には新たにミュージアムショップとラウンジとトイレが設置。またチケット売場も移設。そのまま正門内へアプローチ出来るようになりました。


「正門プラザ」内 手前がショップで奥がラウンジです。

なおショップはチケットなしでも利用可能です。ベンチのあるラウンジもあり、待ち合わせにも便利。インフォメーションカウンターも併設されています。


「正門プラザ」チケット売場

率直なところショップの品揃えは館内と比べるとかなり落ちます。ただそれでもポストカード、メモ帳、東博関連の書籍の他、手ぬぐいなどのグッズ類が一通り販売されていました。


「本館一階案内図」 15~19室がリニューアルされました。

館内へ進みましょう。今回リニューアルされたのは本館の15~19室。一階の最奥部と左手の近代美術のコーナー、及びみどりのライオンの体験コーナーです。


18室「近代の美術」展示室風景

手前の18室です。テーマは「近代の美術」。近代日本画、洋画、彫刻の展示されている空間。絵画と工芸が同じ展示室に統合されました。(以前は別でした。)そしてリニューアルされた中では一番広い。どうでしょうか。変化したことがお分かりいただけるでしょうか。


18室「近代の美術」展示室風景

奥に掲げられるのは上村松園の「焔」です。そこから壁に沿って日本画が並び、手前には明治、大正の工芸がずらりと構える。そして振り返れば高橋由一の「酢川にかかる常盤橋」などの洋画がかかっている。つまり明治から昭和初期の絵画と工芸を同じ空間で見ることが出来ます。


初代宮川香山「染付菖蒲図大瓶」 明治時代

また工芸用の展示ケースも一新。重厚感のあるものに変わりました。驚くべき透明度です。写り込みは殆どない。色に形が際立つ。工芸の細かな意匠も際立っているのではないでしょうか。

天井の照明の効果もあるやもしれません。展示室全体も明るくなりました。また以前は良く言えば見通しが利いたものの、ともすればガランとしている感は否めませんでしたが、リニューアル後は部屋の中央にケースを置くなど、密度も増している。展示室としてのメリハリがあります。


16室「アイヌと琉球」展示室風景

続いて16室です。「アイヌと琉球」。日本列島の南北、その言わば両端にある文化を紹介するコーナー。現在は「アイヌの祈り」の展示が行われています。(7/6まで)


北海道アイヌ「シトキ(首飾り)」 19世紀 他

こちらもまたケースが見やすくなっている。また壁の色も変化したとか。天井からの丸いスポットライトが床面に写る。心なしか解説パネルも映えて見えます。アイヌの青玉の首飾りが特に印象的でした。


16室から15室へ向かう通路

また16室と15室にはそれぞれ出入口部分には自動ドアがつきました。展示室内の空調などにも効果を発揮するかもしれません。


本館奥の休憩スペース

さてその両室の間にある休憩スペース、ここも何気なく「外」が変わっています。


屋外テラス

というのもご覧の通り屋外のテラスへ出られるようになりました。東博のお庭、通常は春などの期間限定での公開ですが、ここなら少なくとも眺めだけでも楽しめる。嬉しい配慮です。


15室「歴史の記録」展示室風景

15室は「歴史の記録」です。東博の所蔵する古文書や記録、地図や拓本などを展示しています。また意外と知られていませんが、同館は日本有数の古写真コレクションを誇るとか。中央の長いケースが目を引きました。こちらでは現在、江戸期の街道を表したという「五海道其外分間延絵図」(重文)が展示中です。

如何でしょうか。かつて同じく本館でリニューアルのあった漆工(12室)の変わり様には驚きましたが、ここ15~19室も見やすくなっている。そういえば昨年には東洋館も一新しました。東博の常設展、これからもさらに深化していくのかもしれません。

東洋館リニューアルオープン(はろるど)

また長らく改修で使用出来なかった本館のエレベーターもリニューアル。台数が減って1台のみとなりましたが、中は前よりも広い。車いすでもスムーズに出入り出来るのではないでしょうか。それに本館地下のトイレも新しくなっていました。

なお「正門プラザ」に託児室が設置されました。年間を通じて託児サービスを受けられるそうです。詳しくは同館WEBサイトをご覧ください。

「東京国立博物館 託児サービスのご案内」 *事前予約制

私が出向いた時は本館でちょうど本年度の新収品の公開が行われていました。(特別2室。6/1まで。)


「平成25年度新収品」(特別2室)

展示は是真の「金華山真景」や江戸期の「源氏物語図屏風」、それに室町から明治にかけての水滴、はたまた黒田清輝の小品「花」と様々。日本の茶人に愛用されたというイランの帯や鎌倉期の「如意輪観音菩薩坐像」にも目を奪われます。明日までの展示ですが、お出かけの際はお見逃しなきようご注意下さい。


「如意輪観音菩薩坐像」(鎌倉時代)

現在の東博は大盛況となった「キトラ展」が終わり、次回、これまた話題の「故宮博物院展」に向けての端境期。常設こと総合文化展のみの開催です。混雑とは無縁。ゆっくり楽しめました。


「花車図屏風」 江戸時代

本館2階の7室「屏風と襖絵」が充実していました。長谷川久蔵の「大原御幸図屏風」に岡本秋暉の「四季花鳥図屏風」、そして写真にあげた作者不詳の「花車図屏風」。見応えがあります。

「こんなに面白い東京国立博物館/とんぼの本/新潮社」

東京国立博物館の本館の15~19室は4月15日にリニューアルオープンしました。(法隆寺宝物館が6月2日より30日まで展示環境整備のため休館します。)

「2014年本館リニューアルオープン」 東京国立博物館@TNM_PR
会期:4月15日(火)~
時間:9:30~17:00。*特別展開催時は夜間開館あり。(入館は閉館の30分前まで。)
休館:月曜日。6月3日(火)は臨時休館。祝休日の場合は翌火曜休館。
料金:一般620(520)円、大学生410(310)円、高校生以下無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
 *特別展開催時は共通券あり。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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