都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
東洋館リニューアルオープン
東京国立博物館
「東洋館リニューアルオープン」
1/2~3/31
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/fa/f2c532ae187130356949bbefe0ee678d.jpg)
東京国立博物館で開催中の「東洋館リニューアルオープン」へ行ってきました。
2009年より耐震補強工事のために長らく全面休館していた東京国立博物館の東洋館。かねてより国内随一の質と量の東洋美術品コレクションには定評がありましたが、展示の手法にはやや物足りなさを覚えたのも事実。大変失礼ながら東博へ行っても一番に足が向くことがありませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/9b/4d8dad8ca3c17aa405e575af88f09ef6.jpg)
東洋館外観全景
しかしながらこのリニューアルで一新。谷口建築をほぼそのままながらも、全面的に入れ替わったLED照明、またケースの効果か、まさに見違えるような内容となっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/94/e3218458ea7bf4f1bb13f66642abd4a9.jpg)
1室「中国の仏像」(1階)
まずは1階スペースから。エントランスに東洋館関連のグッズなり書籍を扱うミュージアムショップが新設。その横の展示室は「中国の仏像」です。ここでは中国の長安の寺に祀られていた7~9世紀の仏像などがずらりと並んでいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/02/1d49df8f8d33fc4d1eed961311205784.jpg)
1室「中国の仏像」(1階)
ともかく第一印象は明と暗、その際立ったコントラストです。空間全体の照明はかなり落としつつも、作品はぐっと明るく際立って浮かび上がっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/80/33bcda2aed75bbbd5918011f6ca5f570.jpg)
「舎利容器」6-7世紀 中国・スバシあるいはクムトラ石窟 *3-2室「西域の美術」(2階)
また新たな照明は作品自体の細部だけでなく、色の美しさも巧みに引き出しています。例えば6世紀頃の中国の「舎利容器」、この細かな意匠と色の美しさと言ったら比類がありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/23/537debef6ba73ae5d36270fd16a5d943.jpg)
3-3室「西アジア・エジプトの美術」(2階)
かつて東洋館で見ていたはずの作品が、この新たな空間の力を借りて一変。ともかくより美しく、また輝いていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/82/1bf7601a6ff9dbdc5e4480dc73636b66.jpg)
5-1室「中国の青銅器」(3階)
さて展示のガラスケースも一新。ドイツグラスバウハーン社製、写り込みも殆どありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/ed/e4270aea3809a5a9dd9c842ce3864e13.jpg)
5-1室「中国の青銅器」(3階) 青銅器独立展示ケース内
その極めつけは「中国の青銅器」から扇形の独立ケース。まるでガラスの宝石箱のようではありませんか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/8b/eb6e7cb501780ecc6a42305ed8998910.jpg)
「揺銭樹」1-2世紀 中国四川省あるいはその周辺 *5-1室「中国の青銅器」(3階)
なお照明は作品の近くやケース内部ではなく、殆ど天井から当てられています。作品と照明との距離があるにもかかわらず、まさかこれほど美しく見えてくるとは思いもよりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/90/22e18b33ab9c8f8f8afb6bc2f2651b7b.jpg)
「白磁瓶」19世紀 朝鮮 *10-3室「朝鮮の陶磁」(5階)
大好きな白磁もご覧の通り。また写真では分かりにくいかもしれませんが、さり気なく東洋館のコレクションで特に充実していた中国絵画も前の展示とは見違えます。ともかく絵画の色に形が際立っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/17/9821b38a6c69ccb8a02da2f0d83eedbb.jpg)
8-1室「中国の絵画」(4階)
さて東洋館、以前は1階から5階の5層での展開でしたが、リニューアル後はスペースも拡大。地下に展示室が加わりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/d9/cc02ea51dbd5ffef33ccbb4ec69855a7.jpg)
12-2室「インド・東南アジアの考古」(地下1階)
こちらはクメール彫刻に東南アジアの金銅像、またインドの細密画や染織など。特にクメールと細密画はこれまで限定的にしか公開されていなかったそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/86/e38b1d8c07357f8432f5c694b7269639.jpg)
「ワヤン・クリ・ドゥルユドノ」他 20世紀 インドネシア *13-3室「アジアの民族文化」(地下1階)
スペースが拡大したことでより厚みを増した東洋館の展示。10世紀インドネシアのワヤンと呼ばれる絵人形の他、色鮮やかなインドの染織などにも惹かれる方が多いのではないでしょうか。
さらに地下には「TNM&TOPPANミュージアムシアター」も資料館より移設。現在はVR作品「アンコール遺跡バイヨン寺院-尊顔の記憶」と「洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く」を上映中です。*有料化されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/98/7180fcea5d90b3b71699eb6d8b7b51f4.jpg)
「官服」他 19世紀 朝鮮 *10-5室「朝鮮時代の美術」(5階)
ちなみに館内の空間こそそのままですが、設備面では一部大きく変化しています。その最たるものが新設されたシースルーエレベーターです。以前もエレベーターが設置されていましたが、全てのフロアに停車せず、時に移動に階段を必要としました。
その階段は残っていますが、シースルーエレベーターは全てのフロアに停車。エレベーターで行き来可能です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/30/d1771f752561edc0d8e2c06b97ea36e8.jpg)
3階屋外テラス
なお細かなことですがトイレも全面更新。また3階からは屋外テラスへも出られるようになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/28/6839dddebcf6dd08ea21122c7ba1f089.jpg)
東洋館内部全景
またお馴染み青い日記帳のTakさんが、東洋館のリニューアルの照明と展示デザインを担当された木下史青さんにインタビューをして下さいました。必読です。
「木下史青氏に聞く東洋館リニューアルのポイント」@青い日記帳
それにしても谷口建築のスペースはそのままにしながら、照明とケースを一新することで、これほど見違えるとは思いませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/18/cb1512f4e3b8b728692a5fece9eb9d60.jpg)
「柩」10世紀 カンボジア・プラサート・スララウ *11室「クメールの彫刻」(地下1階)
東博の主役はしばらく東洋館。先日スタートした円空展、そして22日からは平成館で王羲之展も始まりますが、東洋館もお見逃しなきようおすすめします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/8a/6da910870e31ee3c4b9dacfb20f35310.jpg)
3階屋外テラスより東京国立博物館全景
東京国立博物館の東洋館は1月2日にリニューアルオープンしました。
「東洋館リニューアルオープン」 東京国立博物館
会期:2013年1月2日(水) ~ 2013年3月31日(日)
休館:月曜日。(祝祭日の場合は開館。翌火曜日休館。)
料金:一般600円(500円)、大学生400円(300円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。特別展との共通券あり。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
「東洋館リニューアルオープン」
1/2~3/31
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/fa/f2c532ae187130356949bbefe0ee678d.jpg)
東京国立博物館で開催中の「東洋館リニューアルオープン」へ行ってきました。
2009年より耐震補強工事のために長らく全面休館していた東京国立博物館の東洋館。かねてより国内随一の質と量の東洋美術品コレクションには定評がありましたが、展示の手法にはやや物足りなさを覚えたのも事実。大変失礼ながら東博へ行っても一番に足が向くことがありませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/9b/4d8dad8ca3c17aa405e575af88f09ef6.jpg)
東洋館外観全景
しかしながらこのリニューアルで一新。谷口建築をほぼそのままながらも、全面的に入れ替わったLED照明、またケースの効果か、まさに見違えるような内容となっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/94/e3218458ea7bf4f1bb13f66642abd4a9.jpg)
1室「中国の仏像」(1階)
まずは1階スペースから。エントランスに東洋館関連のグッズなり書籍を扱うミュージアムショップが新設。その横の展示室は「中国の仏像」です。ここでは中国の長安の寺に祀られていた7~9世紀の仏像などがずらりと並んでいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/02/1d49df8f8d33fc4d1eed961311205784.jpg)
1室「中国の仏像」(1階)
ともかく第一印象は明と暗、その際立ったコントラストです。空間全体の照明はかなり落としつつも、作品はぐっと明るく際立って浮かび上がっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/80/33bcda2aed75bbbd5918011f6ca5f570.jpg)
「舎利容器」6-7世紀 中国・スバシあるいはクムトラ石窟 *3-2室「西域の美術」(2階)
また新たな照明は作品自体の細部だけでなく、色の美しさも巧みに引き出しています。例えば6世紀頃の中国の「舎利容器」、この細かな意匠と色の美しさと言ったら比類がありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/23/537debef6ba73ae5d36270fd16a5d943.jpg)
3-3室「西アジア・エジプトの美術」(2階)
かつて東洋館で見ていたはずの作品が、この新たな空間の力を借りて一変。ともかくより美しく、また輝いていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/82/1bf7601a6ff9dbdc5e4480dc73636b66.jpg)
5-1室「中国の青銅器」(3階)
さて展示のガラスケースも一新。ドイツグラスバウハーン社製、写り込みも殆どありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/ed/e4270aea3809a5a9dd9c842ce3864e13.jpg)
5-1室「中国の青銅器」(3階) 青銅器独立展示ケース内
その極めつけは「中国の青銅器」から扇形の独立ケース。まるでガラスの宝石箱のようではありませんか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/8b/eb6e7cb501780ecc6a42305ed8998910.jpg)
「揺銭樹」1-2世紀 中国四川省あるいはその周辺 *5-1室「中国の青銅器」(3階)
なお照明は作品の近くやケース内部ではなく、殆ど天井から当てられています。作品と照明との距離があるにもかかわらず、まさかこれほど美しく見えてくるとは思いもよりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/90/22e18b33ab9c8f8f8afb6bc2f2651b7b.jpg)
「白磁瓶」19世紀 朝鮮 *10-3室「朝鮮の陶磁」(5階)
大好きな白磁もご覧の通り。また写真では分かりにくいかもしれませんが、さり気なく東洋館のコレクションで特に充実していた中国絵画も前の展示とは見違えます。ともかく絵画の色に形が際立っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/17/9821b38a6c69ccb8a02da2f0d83eedbb.jpg)
8-1室「中国の絵画」(4階)
さて東洋館、以前は1階から5階の5層での展開でしたが、リニューアル後はスペースも拡大。地下に展示室が加わりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/d9/cc02ea51dbd5ffef33ccbb4ec69855a7.jpg)
12-2室「インド・東南アジアの考古」(地下1階)
こちらはクメール彫刻に東南アジアの金銅像、またインドの細密画や染織など。特にクメールと細密画はこれまで限定的にしか公開されていなかったそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/86/e38b1d8c07357f8432f5c694b7269639.jpg)
「ワヤン・クリ・ドゥルユドノ」他 20世紀 インドネシア *13-3室「アジアの民族文化」(地下1階)
スペースが拡大したことでより厚みを増した東洋館の展示。10世紀インドネシアのワヤンと呼ばれる絵人形の他、色鮮やかなインドの染織などにも惹かれる方が多いのではないでしょうか。
さらに地下には「TNM&TOPPANミュージアムシアター」も資料館より移設。現在はVR作品「アンコール遺跡バイヨン寺院-尊顔の記憶」と「洛中洛外にぎわい探訪 舟木本屏風を歩く」を上映中です。*有料化されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/98/7180fcea5d90b3b71699eb6d8b7b51f4.jpg)
「官服」他 19世紀 朝鮮 *10-5室「朝鮮時代の美術」(5階)
ちなみに館内の空間こそそのままですが、設備面では一部大きく変化しています。その最たるものが新設されたシースルーエレベーターです。以前もエレベーターが設置されていましたが、全てのフロアに停車せず、時に移動に階段を必要としました。
その階段は残っていますが、シースルーエレベーターは全てのフロアに停車。エレベーターで行き来可能です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/30/d1771f752561edc0d8e2c06b97ea36e8.jpg)
3階屋外テラス
なお細かなことですがトイレも全面更新。また3階からは屋外テラスへも出られるようになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/28/6839dddebcf6dd08ea21122c7ba1f089.jpg)
東洋館内部全景
またお馴染み青い日記帳のTakさんが、東洋館のリニューアルの照明と展示デザインを担当された木下史青さんにインタビューをして下さいました。必読です。
「木下史青氏に聞く東洋館リニューアルのポイント」@青い日記帳
それにしても谷口建築のスペースはそのままにしながら、照明とケースを一新することで、これほど見違えるとは思いませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/18/cb1512f4e3b8b728692a5fece9eb9d60.jpg)
「柩」10世紀 カンボジア・プラサート・スララウ *11室「クメールの彫刻」(地下1階)
東博の主役はしばらく東洋館。先日スタートした円空展、そして22日からは平成館で王羲之展も始まりますが、東洋館もお見逃しなきようおすすめします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/8a/6da910870e31ee3c4b9dacfb20f35310.jpg)
3階屋外テラスより東京国立博物館全景
東京国立博物館の東洋館は1月2日にリニューアルオープンしました。
「東洋館リニューアルオープン」 東京国立博物館
会期:2013年1月2日(水) ~ 2013年3月31日(日)
休館:月曜日。(祝祭日の場合は開館。翌火曜日休館。)
料金:一般600円(500円)、大学生400円(300円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。特別展との共通券あり。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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