群馬県立近代美術館@群馬の森公園 2008/9

昨日、高崎哲学堂の記事をアップしたばかりですが、18きっぷの残り一回分は結局、群馬県へのミニ・アートツアーに使いました。主たる目的は、先だって全面改装を終え、約2年4ヶ月ぶりに再オープンした群馬県立近代美術館です。ちょうど山口薫の展示が開催されていました。



18きっぷの使用ということで、移動は当然ながら「鉄道+バス」でしたが、車社会の当地のこと、県群馬の森公園内にある美術館へは明らかに車が便利です。と言うのも、高崎駅からの主要アクセスであるバス(ぐるりん)は約1時間に1本程度しかなく、しかも中には遠回りして向かう便もあるので、有効本数としてはもっと少なくなってしまいます。公共交通機関での利用の際には、時刻表との睨めっこが必要です。

  

哲学堂のある高崎駅西口から「ぐるりん」で揺られること約30分、ようやく到着した群馬の森は、『森』というよりも近代的な都市型公園でした。美術館へは公園入口より歩いて5、6分ほどでしょうか。眩しい日差しに照らされながら正門をくぐると、池に突き出したアルミのホワイトキューブが見えてきます。そこが磯崎新設計、1974年に開館した老舗の公立美術館、群馬県立近代美術館でした。

  

県歴史博物館と半ば一体となるように隣り合う姿は、ともかくリニューアルの概要を伝えるパンフレットにもあるように、立方体を強く意識させるつくりとなっています。やや圧迫感のあるエントランスを抜けると広がるのは、コンクリートの重厚感と側面のガラス窓が奇妙なコントラストを描くメインホールです。スペースとしてはそう広くありませんが、窓越しより眺められる外の光と公園の緑が、何とか立方体の重みを相殺する仕掛けとなっています。居心地は悪くありません。





ホールを一巡して興味深く思えたのは、今回の山口展が開催されている展示室1への入口でした。分厚いコンクリートの壁面がくり抜かれるようにして開き、四角い巨大な穴のようなそれがぽっかりと姿を表しています。またホール正面、白い石造りの階段状の壁面も印象的です。まるで何らかの舞台装置のようでした。

  

館内にいくつか存在する長い廊下、もしくはスロープを除けば、展示室はまさにいくつかの立方体の連続する一つの巨大な箱です。改装は照明にも変化を与えたのでしょうか。清潔感のあるライトが白のキューブ全体を明るく照らし出し、作品の良さを素直に引き出していました。また積み木細工のようなに巨大な立方体をつなぐのは、それとは一転した長細いスロープです。メリハリのある空間が特徴的でした。

  

今回は時間の都合でレストランを利用することは叶いませんでしたが、池越しの公園を借景にしたスペースはなかなか気分良さそうです。次回は試してみたいと思います。

帰りは新町駅へのバス便を使いました。こちらの方が高崎へ向かうことよりも早く高崎線の駅へ着くことが出来ます。(それでも約20分はかかります。)ただし新町駅前には時間をつぶせるような施設がありません。

山口薫展は、氏を回顧するのにふさわしい充実の展覧会でした。また別エントリで触れるつもりです。
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