極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

悪魔の囁き

2014年06月17日 | 時事書評

 



●環境リスク本位制用太陽光発電システム:雷対策

先日、太陽光発電設備計画の件で代理店の担当者と話す機会があった。そのとき、既設住宅への設
備には屋根構造とパネル重量の関連で応札しないメーカが半数あることがわかったが、地球温暖化
による異常気象現象の逓増が予測される時代、暴風雨で言えば、仮に、毎秒25メートルから毎秒
70メート強風になった場合や雹(ヒョウ)、竜巻、あるいは落雷などの異常気象の多発を考える
と屋根据付技術開発は重要だということ、それだけにとどまらず、日本の家屋の、特に現在の瓦屋
根主体の有り様を変えていく必要があるということで双方一致をみる。特に持論でもある、日本家
屋の形を、もっと"美しい形"に設計し直したいとの考えも伝えた(具体的には、無落雪屋根や白川
郷でお馴染みの合掌造りの大屋根方式に興味を持っている)。
その日の打ち合わせは家屋の現認と
2社見積積算のを決めて終えた。

暫くして届いた、『環境ビジネス』、夏季号に「雷対策」の特別企画が記載されていたので目を通
した。今後、電源設備における再生可能エネルギーの割合は急激に増加していくが、主要な再生可
能エネルギー源である太陽光発電設備も、その設備数が増えるにつれて雷害の数も増加すると予想
されるが、雷が太陽光発電設備に与える直接的被害や、連系されるスマートグリッドに与える影響
について研究されていないが、年間3~4回程度の落雷回数で、年間雷雨日数が少ない地域では、
1平方キロメートルあたり1~2回程度の落雷と推定している程度である。また、太陽光発電設備
への雷サージ(誘電雷)の侵入経路には以下のように大きく3つのケースが考えられている。

(1)太陽光発電設備への直接の落雷、(2)付近の家や樹木などに落雷して、接地を介して雷電
流が設備に侵入、(3)太陽光発電設備に繋がる電源線や通信線からの侵入。このうち(1)につ
いて、落雷箇所付近のモジュールにはなんらかの被害は生じるが、それだけで壊滅的な被害につなが
るか否かは、対策により大きく変わる。(2)については、太陽光発電設備周囲に建物や、樹木があ
り、そこへの落雷により、付近接地の電位が高くなり、太陽光発電設備に一部の電流が流入するケ
ースである。雷対策として、太陽光発電設備周辺に独立避雷針を設置した場合も、接地抵抗が十分
低くない場合には、同様の現象が発生する。(3)は、連系している電源線や通信線側に雷サージ
が発生して、太陽光発電設備に雷サージが侵入する場合だという。(1)(2)のいずれも、雷電
流は接地に流れ込み、接地抵抗が高いと太陽光発電設備の回路に大きな雷サージが侵入する。

これらの対策として、(1)メガソーラーなどでの独立避雷針の設置、(2)接地抵抗の効果的低
減、(3)下図のようなSPD(サージ防護デバイス)による回路保護。特にPCS(パワーコン
ディショナー)の保護の3つとなるが、具体的には、(1)の場合、通常、雷を捕捉する建物など
は存在しないので、その地域の平均的な落雷頻度に比例して、太陽光発電設備にも落雷する。直接
太陽光発電パネルに落雷させないことが、被害の低減に大きく役立つので、周囲に独立した避雷針を
立てて、雷を捕捉することは、考えられる方法である。ただし、接地抵抗が高いと雷電流の一部が、
発電設備の接地に流入して被害を生じさせるので、接地抵抗はある程度低い値に管理することが求
められる。(2)の場合、被害の多くが屋上に設置される太陽電池アレイ(太陽電池集合体)である
こともあり、地上設置に比べて雷の影響を受けやすいが、高建造物のような避雷針を立てることは多
くの場合非現実的であり、少ない確率ではあるが、ある程度の落雷はあきらめることがリスクマネジ
メントの結論になるという。この場合でも、PCSのような重要機器はSPDの施設により、でき
るだけ防護するべきであると指摘している。

 

そこで、実際の太陽光発電システムの誘電保護技術をひろい読みしてみたので京セラ社の新規考案
を例示
掲載してみる。

一般に、下図に示すように、太陽電池1で発電された直流電力は、パワーコンディショナ(または
系統連系インバータ)等の電力変換装置で交流電力に変換される。この交流電力は、商用電力系統
に逆潮流されるか、または、交流負荷に供給される。なお、また、図中21は商用電力系統に電気
的に接続された系統側アース線。電力変換装置は電力変換回路を備え、この電力変換回路は主に電
力変換部と制御回路部とから構成されている。また、電力変換部はDC/DC変換およびDC/A
C変換を行なう。また、制御回路部は電力変換部の最適なスイッチング速度への制御、太陽電池の
最大出力電力点の算出や保安に関する保護制御を行なう。電力変換回路は金属や樹脂製の筐体内に
収納収容する。

 

電力変換装置から出力される交流電力は、開閉器を通して商用電力系統2に逆潮流することが可能
である。太陽電池1が発電状態のとき、商用電力系統が停電したり、または電圧が異常に上昇した
とき、開閉器25の接点が開放されて電路が切り離されるように制御回路部24で制御。なお、こ
のとき太陽電池からの発電電力が入力される入力側の開閉器26の接点は開放されない。入力側の
開閉器は直流用であり、主にメンテナンス時に太陽電池を電力変換装置から切り離し感電等から作
業者を保護する。

また、電力変換装置は、電力変換等の際のスイッチングで、様々な周波数のノイズが発生し、商用
電力系統側の電力波形が乱されないように保護する必要がある。さらに、誘導雷などの高電圧が印
加されぬよう
、電力変換部の送電路に各種の保護素子を設けている。保護素子としてコンデンサや

サージアブソーバ(放電管型またはバリスタ等の固体素子型)が代表的であり、保護素子の一方の
端子が送電路に、他方の端子がアース線にそれぞれ接続されている。アース線はアースに接続され
ている(アース線は地中に接地されている)。一般に、アースは電力変換装置の筐体に設けられた
アース端子に電気的に接続されており、保護素子が接続されたアース線とアース端子とが電気的に
接続されている。

一般に、電力変換装置は雷による誘導雷(雷サージ)に対して保護機能を有しているが、雷のエネ
ルギーは大きく、落雷が近いと保護能力を超えて機器破損に至ることがある。そこで、雷保護制御
部を設けて、外部からの雷警告信号を受信したときに、入力側の開閉器と出力側の開閉の双方の接
点を開放して電力変換装置が雷サージの影響を受けないようにする等の対策が提案されている。ま
た、雷の発生を外部に設置された制御センターに判定させて、電話回線またはインターネット回線
を通じて電力変換装置へ通信を送り、商用電力系統との配電線を開閉器で切り離す構成にするとと
もに、太陽電池1の発電電力が所定以下の電力になったかを制御センターに情報を送り、雷の発生
判断の精度を高める方法も提案されているが、いずれも、装置や制御用プログラムの複雑化、制御
遅延ロスが生じるため、太陽電池と、該太陽電池からの直流電力を交流電力に変換の電力変換装置
を備えた太陽光発電システムで、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路と、電力変換回路に
結線した接地部と、これを開閉するスイッチを備え構造にすることで、誘導雷からの破損を制御し
出力電力量を安定向上することが提案されている。

 

 

 

 


  その夜、どうしてその女と関係を結ぶことになったのか、木野には自分の心の動きが思い出
 せない。その女には何かしら普通ではないものがあることを、木野は最初から感じ取っていた。
 何かが小さな声で彼の本能の領域に訴えていた。この女に深入りしてはならないと。おまけに
 この背中につけられた煙草の火の痕だ。木野はもともと用心深い男だ。どうしても女が抱きた
 いのならプロを相手にすればいい。金を払えばそれで済むことだ。だいたい木野はその女に心
 を惹かれているわけでもなかった。
 
  しかしその夜、女は明らかに男に――現実的には木野に―抱かれることを強く求めていた。

 彼女の目は奥行きを欠き、瞳だけが妙に膨らんでいた。後戻りの余地を持たない、決意に満ち
 た煌めきがそこにあった。木野はその勢いに抗することができなかった。彼にはそこまでの力
 はない。
 
  木野は店の戸締まりをし、女と一緒に階段を上がった。女は寝室の明かりの下で手早くワン

 ピースを脱ぎ、下着を取り、身体を開いた。そして彼に「見せにくいところ」を見せた。木野
 は思わず目を背けた。しかしまたそこに視線を戻さないわけにはいかなかった。それほど残酷
 な真似ができる男の心の動きも、それほどの痛みに耐え続ける女の心の動きも、木野には理解 
 できなかったし、理解したいとも思わなかった。それは木野の住む世界から何光年も離れたと
 ころにある、不毛な惑星の荒ぶれた光景だった。
 
  女は木野の手を取り、その火傷の痕へと導いた。すべての傷痕をひとつひとつ順番に触らせ
 た。乳首のすぐ脇にも、性器のすぐ脇にもその痕はあった。彼の指先は彼女に導かれるまま、
 その暗くこわばった傷痕を辿った。番号を追って鉛筆で線を引き、図形を浮かび上がらせるみ
 たいに。その形は何かに似ているようでありながら、結局のところ何にも結びつかなかった。
 それから女は木野の服を脱がせ、二人は畳の床の上で交わった。会話もなく前戯もなく、明か
 りを消す余裕も、布団を敷く余裕もなく。女の長い舌が木野の喉の奥を探り、両手の爪が背中
 に食い込んだ。




 
  彼らは飢えた二匹の獣のように、むきだしの明かりの下で言葉もなく、欲望の肉を何度も貪

 った。様々な姿勢で様々なやり方で、ほとんど休むこともなく。窓の外が明るくなり始めた頃、
 二人は布団の中に入り、暗闇に引きずり込まれるように眠った。木野が目を覚ましたのは正午
 の少し前で、そのとき女は既に姿を消していた。ひどくリアルな夢を見たあとのような気持ち
 だった。しかしもちろん夢ではない。彼の背中には深く爪あとがつき、腕には歯形が残り、ペ
 ニスには締め付けられた鈍い痛みが感じられた。白い枕には何本もの長い黒髪が渦を巻き、こ
 れまで嗅いだことのない強い匂いがシーツに残されていた。

  その後も女は客として何度か店を訪れた。いつもの顎耀の男と一緒だった。カウンターに座
 り、二人で静かに話をしながら適度にカクテルを飲み、そして帰って行った。女は主に音楽に
 ついて、木野と短く言葉を交わした。ごく普通のさりげない声音で、いつかの夜に二人のあい
 だで起こったことなど何ひとつ覚えていないという様子で。しかし女の目の奥には、深い欲望
 の光のようなものがあった。木野にはそれが見えた。それは真っ暗な坑道のずっと奥に見える
 ランタンの灯のように、間違いなくそこにあった。その凝縮された光は木野に、背中に食い込
 む爪の痛みと、きつく締め付けられたペニスの感触と、動き回る長い舌と、布団に残された奇
 妙な強い匂いをありありと思い出させた。あなたはそれを忘れることはできない、とそれは教
 えていた。



 
  彼女と木野が言葉を交わしているあいだ、連れの男は行間を読み取るのに長けた読書家のよ
 うな目で、注意深く子細に木野の顔つきや素振りを観察していた。その男女のあいだには、ね
 っとりと纏わりつくような感触があった。二人にしか理解できない重い秘密を、彼らはひっそ
 りと分け合っているようだった。彼らが店を訪れるのが性行為の前なのか後なのか、木野には
 相変わらず判断できなかった。でもそのどちらかであることは確かだった。そして不思議と言
 えば不思議なのだが、二人とも煙草はまったく吸わなかった
 
  女はまたいつか、おそらくは静かな雨の降る夜に、一人でこの店を訪れるだろう。連れの顎
 髭の男がどこか「遠いところ」にいるときに。木野にはそれがわかった。女の目の奥にある深
 い光がそのことを告げていた。女はカウンターに座って寡黙にブランデーを何杯か飲み、木野
 が店じまいするのを待つ。そして二階に上がり、ワンピースを脱ぎ、明かりの下で身体を開き、
 新しく加わった火傷の痕を彼に見せる。それから二人はまた二匹の獣のように激しく交わるだ
 ろう。何を考える余裕もなく、夜が白むまでずっと。それがいつなのか、木野にはわからない。
 でもいつかだ。それは女が決める。そのことを考えると喉の奥が乾いた。いくら水を飲んでも
 癒されることのない渇きだった。



                 村上春樹 著『木野』(文藝春秋 2014年 2月号 [雑誌] )

 

 

●悪魔の囁き

防衛省は、防衛装備品の国産化を推進する従来の基本方針に代わり、「防衛装備移転三原則」の下に、政
府主導で積極的に国際共同開発への参画を推進するなどとする新たな戦略をまとめ、水陸両用機能
など、技術的に弱い面を補強することなどを盛り込んだ。防衛装備品の開発や生産は、1970年に国
産化を推進する基本方針が決定。防衛省は国際共同開発が主流となってきている現在の情勢などを
踏まえ、新たな戦略をまとめ、自衛隊が求める性能や導入スケジュールなどの条件を国内技術で満
たせる装備品は国内開発を基本とする一方、国内技術の向上やコストの低減につながるといったメ
リットがある場合は、国際共同開発などによる取得を検討するとしている。そこで「武器輸出三原
則」に代わる、新たな「防衛装備移転三原則」に基づき、政府主導で積極的に国際共同開発への参
画を推進するとしている。離島などへの侵攻に対処するため、水陸両用機能など、日本が技術的に
弱い面を補強するとともに、警戒監視能力を支えるレーダーの探知能力向上などの研究開発を重点
的に行うとしているという(NHK 2014.06.17)


そこで、16日、パリで開かれる世界最大規模の武器の国際展示会へ十三社が参加し、三菱重工業は
開発中の装輪装甲車の模型を初披露。気象レーダーなど民間技術を紹介し、軍事転用の可能性を探
るとしているが、武器の国際展示会参加は各社初めてである。武器を輸出することで紛争解決が可
能か?それとも紛争が紛争を呼びはしないか?この問いかけは、すでに、戦後歴史が証明するとこ
ろであるが、それでも、"武闘信仰派"(へラクレス信仰)の耳元で悪魔が囁く。「新しい三角貿易
で一儲けしてはどうですか?!」と。

 

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