東芝が米国で買収した会社(原発サービス社)が数千億円の負債を抱えていることが判明し、この負債額が東芝の株主資本額(3600億円)を上回り、債務超過になったのでは と昨年末にニュースになっていた。
今年に入って、東芝は、メインバンクからの追加融資で、2月までは債務超過にはならないと発表した。
東芝は2005年にウエスチグハウス(WH)の原発部門を、英国の会社から、5100億円で、77%の株式を、買い取った。更に1250億円を支払って、合計6350億円で、ウエスチングハウスの原発事業の87%の株主になったという。当時 WH の原発部門を持っていた英国の会社は、18億ドルで売る計画を持っていたというから、東芝は相手の希望価格のほぼ2倍で買ったことになったという。この東芝の買った WH が、昨年、今回問題の原発のサービス会社を米国で買収し、この WH が買った会社が、東芝に、今回、数千億円の損をもたらしたということのようだ。
今だ WH の収益は赤字で、また、数千億円の損もWH内に隠れているとの情報もあるので、東芝は、WH 絡みで少なくとも1兆円以上の損を出したことになる。東芝は、架空の利益を上げてたという不祥事からようやく立ち直りかけていたので、この巨額な負の買収は、東芝の株主や従業員にとっては大変な問題だ。
日系企業による海外の企業や不動産の買取は、高値掴みで、欧米ではつとに有名。バブル期での海外不動産の高価買いと、その後の安値売りの実例に枚挙のいとまがないほどだ。今以って、よくハリウッド映画には、抜けた日本人・日経企業バイヤーがちょくちょく顔出す。
身近では、20年ほど前、ある日本のメーカーが、英国の油圧機器メーカーを買った例がある。メーカー買収後、工場は使いものにならないことが判明して、ほとんどの製造機器を入れ替え、日本人技術者を大量に使って、ようやく、よちよち操業を始めた代物だった。売り手から、また、仲介者から、そそる話、例えばEC域内進出にはいい買い物ですよ、といわれ、トップが簡単に信じてしまう悪弊だった。
まるで裸の王様の様なふるまいと 欧州業界内で評判となったものだった。
そういえば隣国では、日本人への攻め手口は裏口で、トップには、実はで始まるお得話や土下座で攻めるもの、といわれている。最近のアサヒの中国での牛乳事業、カルビーの中国や韓国での事業損にも、事業承知の段階までさかのぼることも考え得る?
欧米企業の M&A や、中韓での投資話には、常に相手や仲介者の方が交渉上手であることと、勘や情で商売を決めないようにすることが肝心でしょう。
M&A に乗るときは、ソフトバンクの孫さんのように、巨額の仲介料(ARM買収の銀行手数料175億円という)を払って、買収先を微に入り細に入り調べるとか、M&A に実績のある人物を、高額な報酬を払ってでも、雇い入れ、担当させるなどしかないように思えます。日本人では、人の好さなどで、いいものを安く手に入れることはまず無理でしょうから、まあ、一番安上がりで間違いのないのは、売り手が寄ってくることを 待つことでしょう。
改めて、色々考えさせられる 東芝の買収失敗話でした…