函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

鹿威し政権

2020年01月12日 20時35分04秒 | えいこう語る

▼日本庭園で見かけるが、竹筒に水が流れ、溢れて水が逆流すると竹筒がひっくり返り、その時空になった竹筒の底が敷石にあたり、こーんと乾いた音が庭中に響き渡る。「鹿威し(ししおどし)」という、庭に侵入する鳥獣を追い出す、日本的な小道具だ。

▼以前、金魚を育ていた我が家の小さな池に、その鹿威しを置いてみた。田舎なので夜になると、自動車の往来もほとんどなく、静寂極まる中、こーん・こーんと、軽快に鳴り響く。

▼ところが隣の家のおばさんから、音が気になって眠れないと苦情が出た。おばさんは寝る前に、医者から支給された睡眠薬を常用していると聞いていたが、薬を多く飲むと身体に悪いと思い、鹿威しは数ヶ月で取り外した。

▼嫁に来て以来60数年間、私の庭の四季の移り変わりを、ながめては楽しませてもらっていると言ってたおばさんも、数年前に亡くなった。誰もいなくなった家は、先日取り壊したので、私の家の隣は空き地になった。

▼いまだに外に出ると空き地になった場所に、おじさんとおばさんが佇んでいるような思いに駆られる。1でも2でも、少なくてもいいが、0というのはやはり虚無感が漂ってくる。

▼そんな気持ちになるのも、昭和39年の東京五輪の時の我が村の人口は、4000人に近かった。56年後の二度目の五輪の年を向かへ、900人を切ったからだ。「一極集中」と「過疎化」は、前回の五輪から始まったと、私は記憶しているからだ。

▼そんなわけで2020五輪開催年、テレビでの大盛り上がりを観ていると、なんだか気が重くなる。知人が五輪閉会式のチケットが当たったという。なんと20万円だと聞いては、ため息の後に完全に意気消沈だ。

▼「鹿威し」の話に戻るが、昨夜読み返した本の中に、京大教授の中西輝政が「鹿威し」について書いてあった。そこから隣のおばさんを思い出し、地方の過疎化から五輪までと、遠回りしてしまったのだ。

▼「鹿威しは水が入りすぎてバランスを失った時に、局面の大転換が起きる」。今のアベ政権に例えると、嘘の政治がたまりすぎ、大転換が起きる直前ではないか。

▼何とか水があふれ出ないのを抑えているという現状だ。その勢いをちょっぴり止めるため、中東への海自派兵という、大バクチに出た。88,2%という中東からの原油を守るための、自衛のための出動だという。

▼戦争とはすべてが「自衛のため」という大義名分で始まっている。「自衛のため」というのは「戦争開始」と同義語なのだ。この頃夢に見るのは、中東派兵の海自護衛艦がミサイル攻撃を受ける。そうなれば、中東沖に動く海上基地と呼ばれる空母の派遣だ。

▼憲法解釈上我が国は空母の保持は禁止されている。だが空母はある。「いずも」と「かが」だ。護衛艦を改装し空母化している。その名も【多用途運用護衛艦】だ。戦争準備万端整っているのだ。

▼アベ政権は、水があふれる状態を五輪まで持ちこたえるのに、必死だ。五輪さえ持ちこたえれば、アベ政権はさらに水を取り込む量を増やせ、一気に放出できるからだ。その水があふれだせば「衆議院解散」で、アベ政権は続投できる。

▼野党は一早く竹筒の水を増やさせ、五輪前の解散に追い込まなければ、勝ち目はない。最近そんな夢を何度か見るので、私の妄想は当たるかもしれない。

▼先日函館市町会連合会の新年会で、現職の野党の衆議院議員と落選中の与党の議員の挨拶があった。現職の議員は雄弁が売りものだが、勢いが少し薄れていた。与党の落選中の議員の方が元気はつらつにふるまっていた。

▼わずかの変化だが、野党が竹筒の水を増やしきれないで焦燥しているのではないかと、そんなふうに感じた。今日はアベ政権を「鹿威し」で、解剖してみた。